VAV方式に改修したのに室温にクレーム

VAV方式に改修したのに室温にクレーム
整理番号:04-05
登録年月:22 年10 月
分類
①現象
105
④設備部位
401
コード
②建物用途
201
⑤発生時期
502
③建築部位
312
⑥原因
602
時期:竣工後 0.5 年
●不具合の内容
事務所ビルのある階で、省エネを推進するために、定風量単一ダクト空調方式をVAV(変風量)制御方式
に改修した。もともと空調系統は、事務室、会議室、所長室が同一系統であったので、冷房暖房の切換も当然
ながらいっしょになった。夏期の冷風運転時は、大部屋も小部屋もあまり問題が無く、投資した改修工事費に
見合う省エネ運転ができていた。
ところが、11月末に暖房切換を行なってから、所長室の室温が異常に暑くなった。所長の部屋は南側に面
した場所で、他の空調設備はなかった。
(図1参照)
日射
空調機
会議室
所長室
事務室
図1 システム概要
● 原因
1.所長室は、朝は暖房負荷であった。しかし、日中は日射の影響で冷房負荷になっていたのに、温風を吹
いていた。
2.VAV制御方式に改修した際、給気温度設定制御を採用したが、所長室の室温が高いまま、給気
温度設定制御がうまく働かなくなった。暖房時のVAV制御方式の室内温度と風量および給気温度
設定の関係は図2の通りである。
暖房能力適正
(給 気 温 度 変 更 無 し )
暖房能力不足
暖房能力過剰
給気温度を下げ
た結果室温が下
がった
100
風
量
(% )
事務室
(給 気 温 度 上 げ 指 令 )
0
室 内 温 度 (℃ )
図2
給気温度設定制御の概要
所長室
(給 気 温 度 下 げ 指 令 )
*給気温度設定制御の概要(図2参照)
各部屋のVAVの制御状態から暖房能力不足、
適正、過剰の情報を集計し、空調機系統全体の
暖房能力不足、適正、過剰を判断する。不足の
場合は給気設定温度を約 0.5℃きざみで上げ、
過剰の場合は 0.5℃きざみで下げる。適正の場
合は変更無し。各部屋の状態に過剰と不足の両
方がある場合は設定変更無しとなる。このトラ
ブルの場合は、所長室の下げ指令により給気温
度を少し下げた結果、事務室の温度が下がり、
それ以上の給気設定変更が作動せず、所長室が
暑くなったと考えられる。
● 対策
単一ダクト方式では、冷房負荷と暖房負荷が混在する状態では対応できないため、パッケージ空調機を所長室
に増設した。
● 再発防止策:
1.秋季および冬期の冷房負荷計算を行い、冬期の冷房が必要な部屋は、冷房運転が可能なシステムの採用
を検討する。
2.省エネルギーを考えるならば、外気冷房の採用を検討する。
備
考
最大負荷計算だけに頼った設計法は、秋季、および冬期の冷房計算は行われないが、今日のよう
に、室内発生熱負荷が多い建物では、冬期の冷房負荷計算を行うべきである。