オーラル試験の新たな試み-到達度採点方式

第 11 回フランス日本語教育シンポジウム 2010 年フランス・リヨン
11ème Symposium sur l’enseignement du japonais en France, Lyon France, 2010
オーラル試験の新たな試み-到達度採点方式-
新井優子・千葉絵里子
(パリ・ディドロ・第七大学)
0. はじめに
オーラルの能力を測る試験のやり方は様々であるが、限られた時間の面接試験で、
その学習者の「口頭能力」を正しく測定することは非常に難しい。また、学校などで
カリキュラムが決められており、決められた範囲の中から問題を作ろうとすると、習
った文型を産出させることに重点を置きすぎ、「流暢さ」や「自然さ」など、本来
「口頭能力」の基準とすべきものがなおざりにされがちである。しかし、それでは、
「口頭能力」を正しく測定できているとは言えない。OPI のような試験を行えば、学
生の総合的な会話力を測ることができるが、教師がテスターのスキルを持っていない
場合、採点基準が非常に曖昧になってしまうし、各学生によって話題を変えていくと
なると、授業で習ったことと関連付けて試験を行うことが難しい。そこで、授業で学
習した内容を踏まえた上で、学習者の「口頭能力」を測定する方法はないだろうかと
考えた。本稿では、「口頭能力」とは何かという問題を考えつつ、本校で実施したオ
ーラル試験の方法とその結果について説明する。
1. 従来の試験方法と問題点
本校のオーラルの授業では、学期末に試験官と学生が一対一で約 10 分程度の口頭
試験を行っている。従来の試験方法では、試験内容は、プレゼンテーション、質疑応
答問題、ロールプレイの 3 部構成であった。受験者数が 100 名ほどになるため、複数
の試験官が別々の教室で面接を行うが、試験の評価・測定の公平性を保つために、評
価基準を設定した上で、試験中も途中で試験官が集合し、お互いに採点基準がずれて
いないか、採点方法に問題がないかなどを確認しながら実施してきた。
しかし、その評価・採点にはいくつかの問題点があった。まず、学生の背景を知っ
ているかいないかなど、試験官の主観が採点に影響するということである。試験中に
試験官が集合し、採点基準がずれていないか確認する際には、試験官が知っている学
生の点数が基準になることになる。「この学生が何点くらいなら、この採点基準は妥
当だろう」というように基準が定められるのである。さらに、試験終了後にも、試験
官同士で話し合い、「この学生がこんなに点数が高い、あるいは低いのはおかしい」
と点数調整をすることもあった。これでは、「この学生はだいたいこのくらいの点数
だろう」と試験をする前から決まっているようなものだと言っても過言ではない。し
かし本来、誰が採点しても同じ点数が出るような試験が正しい試験であり、教師の主
観によって点数調整が必要となる試験というのは、そもそも試験として欠点があるの
ではないだろうか。そこで、なぜ「予め定めた採点基準に基づいた判断」と「教師の
直感による判断」の間にズレが生じるのだろうかということを考えてみた。
その結果、原因は、オーラル試験でありながら、文法力重視の減点式の採点方法を
とっていることによるのではないかという結論に至った。以前に行った試験の中から
例をあげる。
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問題例:健康のために何か気をつけていますか?
模範解答:あまりお酒を飲まないようにしています。
解答例
① よく寝るようにしています。
② スポーツをしたり、野菜や果物をたくさん食べたりします。
点
③ 前はよくたばこを吸っていましたが、体によくないだから、
今はあまり喫煙をしなくなりました。
→正解
→-0.5
→-1 点
「健康のために何か気をつけていますか」という問題に対して、模範解答例は「あ
まりお酒を飲まないようにしています」と設定されており、その学期の学習項目であ
る「~ようにしています」が使えていないと減点の対象になっていた。「~ようにし
ています」の文型を使えばよいということなので、(①)「よく寝るようにしています」
などのようなシンプルな解答で正解となるのだが、それに対して、例えば「スポーツ
をしたり、野菜や果物をたくさん食べたりします」(②)という解答は、「~ようにし
ています」が使えていないので-0.5 点、また例えば、(③)「前はよくたばこを吸っ
ていましたが、体によくないだから、今はあまり喫煙をしなくなりました」という解
答があったとしたら、
「~ようにしています」の文型が使えていない上に、「体によく
ないだから」の部分が文法的に間違っていることから、-1 点となる。しかし、実際
には、①の発話をした学生より②の方が、②の発話をした学生より③の発話をした学
生の方が「日本語が話せる」印象を与えることは明らかである。結果として、発話の
多い学生の点数が低くなる傾向があり、どうも違和感のある採点結果となってしまう
のである。
このような問題を解決するため、本学では「到達度採点方式」という試験方法を試
みることにした。
2. 試験の実施
今回の試験は 2009 年 3 月に、本校学部 2 年生を対象に行った。受験者数は約 70
名、試験官は 2 名であった。試験時間は一人 10 分程度、質疑応答問題に加え、「到達
度採点方式」を導入し、2 部構成で試験を実施した。今回は初めての試みということ
もあり、試験の実施方法などについて試験中に試験官同士で確認しながら行った。
3. 試験方法
以下、「到達度採点方式」の内容について説明する。この方式は、学生の解答に応
じて、次の問題を段階的に出題していき、学生がどの段階まで解答できたかという到
達レベルによって採点する方法である。今回は『みんなの日本語初級Ⅱ』を学習中の
本学 2 年生を対象に、授業で取り扱った「貸してもらう」「貸してもらいたいという
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依頼を断る」という 2 つのテーマに 5 段階のタスクを設定し、各レベルに用意された
複数のタスクカードから 1 枚を学生に選ばせ、カードの指示に従って発話するという
問題を作成した。ロールプレイではなく、状況がカードに説明されていて、それに応
じて学生が発話するというものである。教師は相槌をうつことはあっても、ロールプ
レイのように会話に参加はしない。というのは、教師が会話に参加することによって、
その発話がヒントになってしまって、平等性が保たれない可能性を排除するためであ
る。基本的に、これは「教師とのやりとり」ではなく、学生の「一つの発話」によっ
て判断をするものである。具体的にどのような問題を使ったか、以下に例をあげる。
レベル 1(クリアできたら 1 点)
友達にお金を貸してほしいと言われます。理由を言って、断ってください。
理由:今、持ち合わせがない。
(Vous n’avez pas d’argent liquide maintenant.)
レベル 2
(クリアできたら 2 点)
妹に DVD を貸してほしいと言われます。理由を言って、断ってください。
理由:明日から 2 週間くらい、その DVD を貸してほしいと友達にたのまれている。
(Un de vos amis vous a demandé de lui prêter ce CD demain, pendant 2
semaines.)
レベル 3(クリアできたら 3 点)
観光客に携帯電話を貸してほしいと言われます。理由を言って、断ってください。
理由:その観光客は、自分の国に電話をかけようとしている。携帯電話で外国に電
話を
かけると、お金がかかるので、できれば貸したくない。
(Il vous semble que ce touriste veut appeler son pays. Si on appele un pays
étranger avec un portable, cela coûte cher. Vous préféreriez éviter de lui
prêter votre portable, si possible.)
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レベル 4(クリアできたら 4 点)
友達に DVD プレーヤーを貸してほしいと言われます。理由を言って、断ってくだ
さい。
理由:貸すことができるが、自分の DVD プレーヤーはアメリカで買ったものなの
で、
その DVD プレーヤーでフランスの DVD を見ることはできないと思う。
(Ça ne vous dérange pas, mais vous ne pensez pas que votre ami pourra
regarder son DVD avec votre lecteur car le votre vient des Etats-Unis et
donc la zone n’est pas même.)
レベル 5(クリアできたら 5 点)
これから会社を作ろうとしている人に、お金を貸してほしいとたのまれます。理由
を言って、断ってください。
理由:まずはどんなビジネスをしようとしているのか聞いてみるが、話を聞いてみ
る
と、そのビジネスが成功するようには思えない。貸したお金が返ってこない
の
が予想できる。
(Vous essayez de l’écouter, mais vous ne croyez pas que son projet vas réussir. Vous pensez que votre argent risque de ne pas revenir.)
なお、ここでは理由文を日本語で表記してあるが、学生が見るカードは、カードに
書いてある日本語をそのまま読み上げるだけで答えになってしまうことを避けるため、
「理由」の部分はフランス語のみで表記した 1。レベルが上がるにしたがって、複雑
な状況が設定されているが、全員がレベル 1 から 5 までの全てのタスクをするのでは
なく、レベル 1 ができた学生はレベル 2 に進み、レベル 2 ができた学生はレベル 3 に
進むというように、タスクがクリアできたら次の問題に進めるというようにした。そ
して、どのレベルまで到達できたかということで点数をつける。できない学生には、
それ以上難しい問題を与えない、またできる学生にはどんどん難しい問題を与えてい
くということで、従来の試験での「発話量の多い学生が点数を落としてしまう」とい
う問題を緩和できるのではないかと考えたからである。
採点基準は、「タスクカードの指示に従っているか」と「試験官が理解できるよう
に発話できるか」の 2 つである。つまりその学期に勉強した文型を使用しているかど
うかにかかわらず、口頭能力をもっと大きい視野でとらえ、「実際の場面でこの発話
をしたら、通じるかどうか」ということを採点基準にしたということである。
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4. 結果
試験実施後、従来の問題点について次のような改善点が見られた。まず、発話量の
多い学生の点数が低くなってしまう問題については、上手く解決できたのではないか
と思う。というのも、今回の試験ではタスクを上手く達成できないと次に進めないと
いう手順をとったため、結果として「話せる」学生がいい点数を取ることができたと
いえる。
そして、試験官の主観による点数調整の問題は、採点基準を「通じるかどうか」と
いう点に設定したため、試験官同士のずれは少なくなったと思われる。もちろん、自
分の知っている学生に試験を行う場合、その学生がどのくらいできるかの予測をつけ
ながら行うわけであるし、またよくできる学生が話していると「通じる」と思ってし
まうという試験官の心理的な側面もあり、試験官の主観を 100%取り除くことは難し
い。ただ少なくとも、試験後に点数を調整しなければならなくなるような「採点基準
による判断」と「教師の直感による判断」の間のズレは少なくなったのではないかと
思われる。
5. 問題点と今後の課題
しかし、新たな課題もあがってきた。まずタスクに関して、レベルの上下が問題作
成者の直感によってなされていることである。試験実施時に、レベル 2 ができなかっ
た学生に対して、試しにレベル 3 の問題を与えてみたところ、レベル 3 はできてしま
ったという例があった。今後は、事前に日本語ができる日本語非母語話者にチェック
してもらうなど、タスクのレベルと問題をより綿密に設定すべきである。
また、受験者側の心理的な問題も出てきた。到達度によって測定するため、レベル
1 ができなかった学生はそこで終了ということになるが、レベル 5 までできた学生は
5 枚タスクカードが与えられる。そのため、試験後、何人かの学生から、「どうして
人によって問題の数が違うのですか?」という質問が出た。この試験方法を繰り返す
と、学生の方も、問題数が多いほど点数が上がるということに気付くだろう。その場
で受験者に結果がわかってしまうというのはあまり望ましくない。そのような反省を
生かして、その後行われた期末試験では、レベル 1 ができなかった学生にはレベル 1
の他の問題をさせるというようにし、学生のレベルによって問題数に差が出ないよう
にした。
まだまだ、試みの段階であり、改善点も多い試験方法だと思われるが、今後はタス
クのレベル設定や問題作成、試験の実施方法に調整を加え、試験としての精度を高め
ていきたい。
5. 結論に代えて‐口頭能力とは何か
オーラルの試験を作成することの難しさは、やはり、「何をもって口頭能力とする
のか」というところに起因するだろう。今回試みた試験でも、教師の主観による判断
を極力避けようと試みたが、「実際の場面で通じる」と判断する基準が人によって違
うということも否めない。例えば、妹に DVD を貸してほしいと言われ断るのに、
「友達は DVD を借ります」と言った場合、それを「通じる」とみなすかどうかは、
難しい問題である。その場合、ジェスチャーであったり、音調であったり、非言語的
なものによって通じたり通じなかったりするのかもしれない。教師間の主観のズレを
避けるため、試験中に学生の発話を録音し、あとで複数の教師が聞いて客観的に評価
するという方法もあり得るが、それでは面と向かって話しているときのアクチュアリ
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ティが失われてしまうので、実際の場面で通じるかどうかという判断がもはやできな
くなってしまうようにも思われる。口頭能力とは、言語・非言語を含めた総合的なも
のであり、その人物と対面して話したときに受ける、発話に関する全体的な印象から
も判断されるものであるため、同じ文字列を発話しても、通じる場合と通じない場合
があるのではないだろうか。よく聞いてみるとそんなに複雑な構文を使って話してい
ないのに、妙に上手く聞こえる日本語を話す学習者というのにもしばしば出会うが、
「上手く聞こえる」のであればやはりその学習者は「上手い」のであり、テンポであ
ったり、ジェスチャーであったり、そのような非言語的なもので聞き手に「上手い」
と思わせるのであれば、口頭能力が高い学習者と判断してよいのではないだろうか。
また、今回の試験では、どの構文を使うかにはこだわらず、相手に通じる発話がで
きれば点数を与えるという方法をとった。ここで問題になるのは、文法力と口頭能力
の関係である。どの構文を使うかにはこだわらないということは、文法力はなくても
いいというのと同義ではないことに留意しておきたい。近年、「日本語を使って何が
できるか」ということが重視され、文法の知識が語学力なのではないという考え方が
主流になってきているように思われる。しかし文法力は口頭能力の重要な部分だと考
える。書き言葉であっても話し言葉であっても、文を構成しているのは文法なのだか
ら、文法がおかしければやはり通じないのではないだろうか。たとえば、
「消しゴム
を貸していただけませんか」というのを、文法を間違えて、「消しゴムを貸していた
だきます」と言えば、やはり伝わらない。もちろん、消しゴムを使いたいのだという
ことはわかるが、
「消しゴムを貸してほしい」という意図は伝わらないだろう。「通じ
る」というのは、用事が足りればいいということではなく、自分の思っている意味で
相手に理解させることができるということである。文法力がなくても用事は足りるで
あろうが、自分の意思が伝わっていないという点では、やはりコミュニケーションが
上手くいっていないと判断せざるを得ないだろう。この試験で、構文を問わないとし
たのは、文法が間違っていてもいいということではなく、授業で勉強した文型、複雑
な文型を使わなくてもいいという意味においてである。たとえば、「消しゴムを貸し
ていただけませんか」というのを、「消しゴムを貸してください」と簡単な文型を使
って言ってもかまわないということである。なぜなら、自分の文法知識に自信がない
場合に、確実に言える文型に言い換えて言うというのも一つの能力だといえるからで
ある。
以上の考察をまとめると、口頭能力とは、「文法構成能力に基づく言語活動・非言
語活動によって、相手に自分の意図を正確に伝えられる能力」とでもいえるだろうか。
今回、「到達度採点方式」を用いた試験方法を試みるにあたって、改めて「口頭能力
とは何か」を考え、試験で評価するものを「相手に理解させる発話」とすることによ
って、授業で何を学ばせるかも明確になり、授業の仕方も変わってきた。試験の方法
を変えることによって、授業でも以前より「オーラルの力を伸ばす」ことに重点がお
けるようになったように思われる。そのことが一番の利点だったのではないだろうか。
本稿における口頭能力についての考察、試験方法の提案を通して、日本語教育におけ
る口頭能力について議論の発展に貢献できれば本望である。
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註 1 問題をフランス語で表記することによって、翻訳力を見る試験になってしまう
のではないかという危惧があったが、実際には、訳せてもそれを会話的な表現にする
力がなければ「相手に伝わる発話」にはならないため、日本語のみで表記をした場合
と比べてあまり差はなかった。(その後行われた期末試験では、問題をすべて日本語
のみで表示した。)
参考文献
ボイクマン総子・宮谷敦美・小室リー郁子(2006)『日本語生中継・初中級編 1』くろ
しお出版
牧野成一・鎌田修・山内博之・齊藤真理子・荻原稚佳子・伊藤とく美・池崎美代子・
中島和子(2001)『「ACTFL - OPI 入門」紹介 日本語学習者の「話す力」を
客観的に測る』
アルク
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Un essai d'examen d'oral – L’évaluation des acquis par palier
Yuko ARAI, Eriko CHIBA (Université Paris Diderot)
L’examen du cours de japonais oral de l’université Paris Diderot se fait sous forme d’une
entrevue de 10 minutes avec un professeur. Il est formé de trois parties : présentation,
questions/réponses et jeu de rôle. Néanmoins les critères d’évaluation posaient plusieurs
problèmes.
Tout d’abord, la subjectivité de l’examinateur pouvait être influencée par son degré de
connaissance de l'étudiant. De plus, bien que ce soit un examen oral, on attachait beaucoup
d’importance aux erreurs de grammaire dans la notation. Un étudiant loquace pouvait perdre
beaucoup de points. Pour remédier à ce problème, nous avons essayé un nouveau système :
«l’évaluation des acquis par palier». Des questions de difficulté croissante sont posées à
l’étudiant, et l’interrogation se poursuit tant qu’il parvient à y répondre. On le note ensuite en
fonction de son niveau d’acquisition, c'est-à-dire du niveau qu'il a pu atteindre. Lors d’une
session d'examen du deuxième semestre, nous avons préparé des questions de 5 niveaux sur 2
thèmes vus en cours : « emprunter quelque chose » et « refuser de prêter quelque chose ». Le
critère d'évaluation est simple : l’étudiant parvient-il à se faire comprendre de l'examinateur sur
l’un des thèmes choisis au hasard. Il y a donc moins de décalage entres les examinateurs, même
s’il reste évidemment une part de subjectivité. Vouloir exclure complètement la subjectivité
pour évaluer objectivement la compétence orale fausserait d’ailleurs le résultat de l’évaluation,
car « parler » contient aussi des composantes « non verbales », telles que la gestuelle et
l’intonation. La connaissance de la grammaire reste bien sur un principe fondamental même à
l’oral, mais savoir reformuler sa phrase en utilisant une grammaire plus simple pour bien se
faire comprendre de son interlocuteur est également une compétence essentielle à prendre en
compte quand on évalue l’étudiant.
En conclusion, la compétence orale peut être définie comme le fait de pouvoir se faire
comprendre correctement par une activité linguistique qui englobe aussi bien la grammaire que
la communication non verbale.
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