学校だより

学校だより
坂戸市立若宮中学校
平成27年
9月
宇佐美
1日
学校教育目標
「自ら考える力
美巳子
第7号
信頼する心
健やかな体」
※本校は、ESD(持続発展教育)を推進するユネ
スコスクールです
夏休み中、早朝から駅伝部(一時期だけの活動ですが)が練習をしていました。ご案内
のように、能力の中には非認知能力というものがあり、IQ や学力テストで計測できる認知
能力とは違い、たとえば、
「忍耐力がある」、「社会性がある」、「意欲的である」といった、
人間の気質や性格的な特徴のようなものを指しました。一般的には「生きる力」といわれ
る部分です。この力は、生涯に渡って影響をし、子供たちの人生にとって非常に重要であ
ることが多くの研究で示されています。今、駅伝部の子たちは、この力も育成しています。
部活動も同様ですが、
「やり抜く力」は、生涯その子を支えていきます。今、一所懸命取
り組むべきことならば、そんなことも、意識して取り組めるとよいと思い紹介しました。
【 学校教育目標 】 「 自ら考える力
信頼する心
健やかな体 」
考える広場「エビデンス(科学的根拠)に基づく子育て」から
先日、本屋さんで【
「学力」の経済学(中室牧子著)
】という本を手にとってみたら、
つい読み進めてしまい、ついに購入してしまいました。「人間はだませても、データ
はだませない。収集したデータを分析し、社会の構造を明らかにすることが、いかに
自分たちの生活を大きく変える可能性があるか、理解してほしい。
」という【はじめ
に】の部分から、
【教育は一億総評論家】状態であり、子供を全員東大に入れた老婆
の本は購入するが、自分が病気になったらまず長生きしているだけの老人に長寿の秘
訣を聞きには行かないだろう・・・という第1章あたりまでは、つい立ち読みしてし
まったわけです。そこで、せっかく購入したので、いくつかをご紹介することにしま
した。
(ちなみに、どこかの誰かが子育てに成功したからといって、同じことをした
ら自分の子供も同じように成功するという保証はどこにもありませんと、1章には記
載されていました。また、教育経済学では、たった一人の個人の体験よりも、個人の
体験を大量に観察することによって見いだされる規則性を重視すると記載あり。)
(1)「テストでよい点を取ればご褒美」と「宿題を終えたらご褒美」
どちらが効果的でしょう?
ご褒美が子供の学力にどのような因果効果を持つかについては、クラーク賞の受賞
者でもある、ハーバード大学のフライヤー教授が研究を行っており、シカゴ、ダラス、
ヒューストン、ニューヨーク、ワシントン DC の5都市で実験をしています。この【テ
ストでよい点を取ればご褒美】はアウトプット効果、【宿題を終えたらご褒美】をイ
ンプット効果としたところ、結論を言えば、学力テストの結果がよくなったのは、イ
ンプット効果の方となりました。分析すると、【インプット】にご褒美が与えられた
場合は、子供は何をすべきが明確(この場合は宿題を終える)なためということが判
明しました。また、ご褒美を与えることは、必ずしも、子供の【一生懸命勉強するの
が楽しい】という気持ちを失わせるわけではないという実験結果も出ています。ちな
みに、このご褒美は、すぐに得られるものであることがよくて、遠い先のことにその
ご褒美があっても、効果がないことも実証済みです。(すぐに得られるご褒美を設定
することが利益や満足を高める)
(2)子供は、ほめて育てるべきか?
ほめて育てるというのは、子供の自尊心を高めるような育児法らしく、自分に自信
を持ち、いろいろなことにチャレンジできる子になるということで、自尊心が高い子
供は、教員との関係が良好で学習意欲が高いという傾向がいわれています。それで、
カリフォルニア州では自尊心に関する大プロジェクトを始動させました。結果はとい
うと、自尊心が高まっても子供たちを社会的なリスクから遠ざけることができるとい
う有力な科学的根拠は示されませんでした。すなわち、ほめて育てて自尊心が高めれ
ば学力があがるわけではなくて、
「学力が高い」という【原因】が「自尊心が高い」
という【結果】をもたらしているのだと結論づけたわけです。すなわち、
「あなたは
やればできる」などといって、むやみやたらに子供をほめると、実力の伴わないナル
シストを育てることになりかねないというわけです。
(3)
「頭がいいね」と「よく頑張ったね」・・・どちらが効果的でしょうか?
コロンビア大学のミューラー教授らは【ほめ方】に関する実験を行いました。そ
れによると、子供の元々の能力(=頭の良さ)をほめると、子供たちは意欲を失い成
績が低下するということです。
【頭がよい】とほめられて2回目の難しめのテストを
受けたグループは【何かを学ぶこと】ではなく【よい成績をとること】にゴールを設
定し、よい点が取れないと成績について嘘をつく傾向があったそうです。なぜなら、
よい成績を取ると【自分には才能がある】と考えたように悪い成績を取ったときにも
「自分は才能がないからだ」と考える傾向があったことがわかっており、
【よく頑張
ったね】と努力をした内容をほめられた子供は、2回目も3回目のテストでも粘り強
く挑戦し、たとえ悪い成績を取っても、それは「
(能力の問題ではなく)努力が足り
ないせいだ」と考えたからでした。よって能力をほめることは子供のやる気を蝕むこ
とが判明。子供が努力した内容について賞賛することが効果的ということがわかりま
した・・・最後に【勉強しなさい】といってもエネルギーの無駄であることが示され
ています。効果を上げるのは、①勉強を横についてみている
②勉強する時間を決め
て守らせているということが示されています。お手軽なものにはあまり効果がなく、
がっかりした方もいるかと思いますが、すべてを親が抱え込む必要はありません。困
ったときは学校や塾、家庭教師や兄弟姉妹と、身近な人に頼ってよい・・・と本に記
載されていました。私もその通りだと思います。ご一緒にがんばりましょう!!