05/02/21(月) 「ホリエモンと需給」

2005 年 2 月 21 日(月)―2004 年 2 月 25 日(金)
総括 「ブッシュ訪欧」
需給「ドルはおなかいっぱい」(NZは別腹)
テクニカル 「スイス対円」
当局 「これしかないスーパー長期債(忘却債)」
ID為替「ホリエモンと需給」
横浜湘南便り 「すべては歴史の周回遅れに過ぎない」
ドル円 104-106.50
ユーロ円 137-140
FX湘南IG (FSIG) 代表 野村雅道
(事務所 田園、ベイサイド、伊豆稲取) 中京大学講師
日経インデックス(2000 年=100) 2 月 18 日東京引け 前回 2 月 16 日からの
変化 円 95.2 弱し ドル 90.4 若干弱し ユーロ 125.1 強し ドルインデックス IN
NYBOT 83.49 弱し CRB 290.66 日経平均ドルベース 2 月 18 日東京引け
110.45 IMM円投機筋 2 月 8 日-23693(前週比-9403)
1.(今週の予定)
21(月) 米仏首脳会談、
22(火) ユーロ圏経常収支、米消費者信頼感指数、
23(水) 日 1 月貿易統計、企業向けサービス価格指数、第三次産業活動指数、
独 IFO、米 CPI、米独首脳会談
24(木) 日 福間日銀委員講演、米 耐久財受注、セントルイス連銀総裁講演、
25(金) 日 CPI
(来週の予定)
28(月) 日 鉱工業生産速報、住宅着工、介入実績、ユーロ圏 欧州委員会景況
指数、米 個人所得、シカゴPM景況指数
1(火) 豪 RBA金融政策委員会 日 雇用統計、家計調査、ユーロ圏 失業率、
CPI、製造業PMI 米 建設支出、ISM製造業指数、シカゴ連銀&フィラデルフィ
ア総裁講演、
2(水) 豪 RBA政策金利発表 日 マネタリーベース、ユーロ圏PPI、GDP速報
3(木) 独 失業率、ECB理事会、米 ISM非製造業指数、
4(金) ユーロ圏 小売売上、米 雇用統計、製造業受注、ミシガン大消費者信頼
感指数確報、シカゴ連銀総裁講演
2.総括 「ブッシュ訪欧」
イラク国民議会選挙が日本からは考えられない投票率 60%となり、米国政策への
信頼からドルが強含んでいたが、それも引き続くイラクでのテロ、イランの核疑惑、シ
リア問題もあり、米国の戦費増加は避けられないようだ。
その中でブッシュ大統領の訪欧が今週あり、米国と欧州のハーモーニーが試され
る。中東情勢変わらずで円以外の通貨は対ドルで買われているが円は北朝鮮問題、
GDP悪化、政局の問題もありドルと同じく売られているようだ。どちらの動きがイニシ
アティブをつくかを見極めたい。
また米国はコアPPIが上昇した後のCPIも今週発表される。さらに金利が上昇す
るか注目だが、金利だけで相場が動かないことは長く高金利を続けていたポンドで
も経験していることであり、すでに我々はドルのポートフォリオの割合はかなり高い
のでさらに増やす必要もない。もちろん相場が上がれば古いドルロングも評価され
て嬉しいものだが。
さて中東やその他の情勢を見れば米国の財政赤字改善の前途も多難であるが、4
Qの日米欧のGDPを見れば米国貿易赤字の前途も同様に多難であろう。
2005 年は米国が 3.5%程度、日本が前年よりやや減速で 1.2% ユーロ圏がやや
伸びて 2%程度の見込みである。成長格差が縮小しないと貿易不均衡も改善せず、
ドルの趨勢的下落もとまらないのであろう。
3.需給
「ドルはおなかいっぱい」(NZは別腹)
金利差によるドル買いとはなっておらず欧州通貨、オセアニア通貨というより円以
外の通貨ではドルが下がり全体でもドルは弱含んでいる。私個人のみならず企業、
政府機関、洋の東西を問わず既にドルはポートフォリオにおいては「おなかいっぱ
い」なのである。もちろんドル高でコスト改善は嬉しいが新規に増やす必要はなく、
新規分はユーロやオセアニア通貨、また切り上げ期待の人民元や他の途上国へ向
かうのだろう。
ドル円上昇の伸び悩みはドルスイス、ユーロドル、NZドル、豪ドルなどの主要通
貨ではドルが下落しているからだろう。さらに 2 月特有の外債利金の円転も貢献し
ている。リパトリの円転開始は今週から徐々に起こってくるだろう。
対内株式投資では 2 月の 6 日から 12 日分が 678 億円の買越しとその買越し幅を
縮小した。ここ 2 年は年間 10 兆円買越し、すなわち週単位では平均 1923 億円な
のでそれと較べると小さい。ただもちろん週単位での浮き沈みもあり、またそれでも
まだ買越しには違いないが、数字はウォッチし続けたい。
昨秋原油価格高騰で円安を唱えた人もいたが相場は円高推移した。個別の材料
を追いつつも全体の需給バランスを考えなければならない。原油高騰でもまだまだ
貿易黒字、外人の日本株買い減少でもまだ買越しである。
また月末週なので輸出がやや仲値近辺で出やすくなる。
4 テクニカル
「スイス対円」
たった一本の長いヒゲが釘をさしている。2 月 10 日の上ヒゲの長いローソク足だ。
105 円後半に暫くとどまっているが、先週木、金のミニローソク足にもちょこっと上ヒ
ゲがついていて膠着を示している。
かたや相場を先行するといわれるスイスフランではドルスイスは 2 月前半よりほぼ
止まることなくドルが下落している。さらに先週金曜日は上ヒゲの長い陰線に終わり
ドル売り圧力は継続していると言えよう。ユーロドルもドルスイスほどではないが同様
だ。
今後はドルスイスが引っ張るのか、ドル円が引っ張るのかが焦点でありドルスイス
のチャートもフォローしていきたい。
ドル円ボリンジャーからは相場もそれほど荒っぽい動きをしておらずバンドの中を
秩序正しく動いている。
移動平均線では本日 21 日線が 90 日線を上抜く。これは 10 月 25 日以来だ。当
時 107 円であり、それ以降紆余曲折はあったが 101 円台まで下落した。昔はゴール
デンクロスと言って騒いだが、収益的に利用するには難しいようだ。もし今日逆にク
ロスするのが買いサインであったとしても 10 月 25 日の売りサインからは値幅が取れ
ていない。デイトレードや短期で利用するのには適さない 21 日と 90 日のクロスだ。
短期的には 5 日と 21 日のクロスや 21 日線やそれより短い平均線の向きに注目し
たほうが利にのるし反対売買のサインも出やすい。これらのチャートも今やオンライ
ントレーディングの会社で提供してくれるのは有り難い。
5.リスク 「長引くイラク、パレスチナ、日中問題」
北朝鮮暴発(北朝鮮開国?)、テロ激化東京へ、イラン、地震、ビンラディン現る、
日本物格上げ、米国物格下げ、貿易戦争(FTA)、米軍イラク撤退
6.当局 「これしかないスーパー長期債(忘却債)」
米国は 30 年債の新規発行を既に取りやめているが、日本は 10 年債が最長であっ
たのが今や 20、30 年債も発行されている。
フランスは 50 年債を発行するようだ。日本ほどの放漫な財政赤字はないが各国と
もに財政赤字の問題はある。どの国も公務員が増え続ける限り赤字は増えるのだろ
う。(国民全員が公務員になればどうだろう。)
やはり改善不可能な財政赤字の解決はスーパー長期債(忘却債?)を発行する
のが一番のようだ。昔はインフレや戦争で債務帳消しになることも期待できたが今
はそのメリットはない。しかしスーパー長期にすれば暫くは元本返済の負担はなくな
り金利負担だけとなる。
ただ最終的にはアルゼンチンのように金利負担もままならぬ状況にもなるが、その
時は投資家も世代が代わり「うらみつらみ」も薄まり、相続などもからみ債権債務関
係も忘れ去られているものがでるメリットがある。 増税するより、金利を少し上げたり、
勲章でもあげて 100 年債券や既に発行されている永久債券のセールスをして購入
してもらい誤魔かすのが最善ではないか。(それをせずして行財政改革したNZドル
の強さは当然だろう。NZ円高騰万歳)
7.ID為替
「ホリエモンと需給」
時の人「ホリエモン」だが、M&Aの話題では 1987 年にアカデミー賞を受賞した
マイケルダグラスやチャーリーシーンが演じた「ウォール街」を思い出す。株価操作、
インサイダー取引、会社乗っ取りとスリリングなマネーゲームが展開される中、その
渦中の若い証券マンと買収される会社側で解雇される実直な技術系サラリーマン
である父親との情愛が感動を呼んだ。ということで米国では既に 20 年近く前にこの
種の話は大衆にも整理されている。それを今日本が米国と同様の過程を踏もうとし
ている段階で論争はあるが米国同様(ディズニーがTV会社を買収しているように)
に将来はあまり話題にも上らなくなるのだろう。
為替ディーラーとして気になるのは来年から会社法改正で外資系資本が日本の
会社を「株式交換」で取得できるようになる。ホリエモンのように巨額の資金を調達
せずとも日本の会社を外資が取得できるようになる。その数が急速に増えれば、マ
スコミもホリエモンのように個別に取り上げる話題性はまったくなくなってしまう。
さてその時為替需給はどうなるのだろうか、株式交換なので外資が日本の株を取
得するが一方日本の会社は外資の株を取得する。外資は日本の会社を取得する
ので株は売らず為替も起きないだろうが、むしろそれを見越して日本株取得で円買
い株買いを行う第三者外資も出てくる。外資株を交換取得した日本の会社がそれ
を売れば円買いが起きる。
答えは来年以降に出るがいろいろ想像するのも面白い。ただ今日本で騒いでい
ることは米国ではある意味卒業していることだ。「歴史は繰り返す」とか「米国の追
従」という結論だがそれを北朝鮮や中国にも見た。詳細は「横浜湘南便り」の項で。
日経掲載原稿
http://www.nikkei-ad.com/kinyu/saizen/kawase/index.html
内需拡大−規制緩和−市場開放−小政府−財政均衡−自己責任−公明正大
50―超円高−100―円高−150−普通円−200―円安−250−超円安−
「世界一のデフレと物価高の共存が日本の弱点」「国を選ぶ時代」
FX湘南社是 「面白く正しく」
FSIG FX湘南投資グループ 代表 野村雅道 中京大学講師
(事務所 横浜田園、横浜ベイサイド、伊豆稲取)
「付録 *横浜湘南便り*」
「すべては歴史の周回遅れに過ぎない」
ベイオフィスに近い日本大通りに新聞博物館(旧横浜商工会館)がある。入ってみ
ると 5 階建ての吹き抜けで輪転機や報道用の自動車が並べられているハードの面、
新聞発祥からの政治による弾圧や統制を含め、歴史的な各紙紙面を掲示している
ソフト面、またビデオや映画を見せる部屋もあり充実している。何故東京ではなく横
浜にこのような立派な施設があることにも驚いた。(横浜が新聞発祥の地だからかー
横浜毎日新聞)
さて政府による日本の新聞への弾圧、言論統制、また第二次大戦の戦況不利を
報道させない紙面や、神宮球場で学徒出陣の一糸乱れぬ姿、婦女子の竹槍など
での軍事教練を見ていると現在の北朝鮮が二重写しになる。また昭和 30 年代の高
度成長時代の報道や当時のサラリーマンの月給が 1 万円とかを見るとまさに今の中
国のようだ。
前項に述べたように日本のM&Aが米国に 20 年遅れて大騒ぎになっているように、
北朝鮮は日本の戦時体制時代を今進み、中国は昭和 30、40 年代の日本の高度成
長時代を進んでいる。北朝鮮や中国の動きに驚きを感じるが日本が通ってきた道
である。一方ホリエモン騒ぎのようなものは既に米国では過去の遺物となっている。
この新聞博物館は歴史の勉強にもなり、見学は 1 日でも足りない気がする。ひとつ
コレクションとして欲しい新聞紙面があった。昭和 46 年 12 月 19 日の日経新聞 1 面
全面で、「1 ドル 360 円から 16.88%切り上げで 308 円に」という報道であった。ご一
緒させて頂いた新聞社の方も当時を思い出し、社内でも切り上げなのに何故 360
円から 308 円に下がるのかという疑問があったそうだ。
新聞博物館は欧州のレトロな建物の中に近代的な設備がある。また 1 階の「ラン
チョンアベニュー」、「カフェドラプレス」(仏料理)、「アルテ リーベ」(ドイツ料理、ク
ラッシック演奏あり)などのレストランも欧州を感じさせてくれる。(交通―みなとみら
い線 日本大通り駅真上)
http://www.pressnet.or.jp/newspark/