第5話 そろばんの効用 (昭和63年11月)

(3)昭和63年11月1日発行 鯖江商工会議所会報 月1回(1日
経営の散歩道
川中誓醐究綱川中清司
﹁人間工学﹂の力であった。努
力の科学性が時間を締めた。
さらに選手育成の仕方や、生
活保障のしくみについての各国
の差も見逃せをい。
経済で世界をリードする日本
▼水中で息をとめたまま四分三
対決の場で、不凄と焦りを越
えるゆとりが勝負を決める。
十秒、肺活量は四四〇〇比−−−
シ ン ク ロ ナ イ ズ ド ・ ス イ ミ ン グ 一回・一回、条件が違う。絶
対大丈夫と思えば、おごりと油
で銅メダルに輝いた 〃日本の水
中花〟小谷実可子。しかし三年
断を生じる。用心にすぎれば、
前には、胸に水がたまり闘病生
委締し活達を欠いてしまう。瞬
活を送っていた。
間に対応して発揮する全能力の
柔道・金メダルの斉藤仁選手
も、去年三月に右ひざの靭帯を
傷めるをど、一時は柔道を捨て
るまでに追いこまれていた。
そのほかにも、だめかと思わ
れた悪条件と闘い、それを克服
した五輪選手がいた。
集結の妙は、余程の日常訓練を
オ リ ン ピ ッ ク で 技 を 競 い 闘 う 積まをければ達し得をい。
と い う こ と は 、 そ れ 以 前 に 自 分 ▼金メダルの数を変えたのは、
選手の動きを映像やコンピュー
タで分析し、ムダを省いて運動
効率を高めるために活躍した
との厳しい闘いに克つことが絶
対関門をのだ。華やかを月桂冠
の陰に、地道を努力を積み重ね
る日々が、どんをに大切を道程
かを教えてくれた。
▼ ﹁人に勝つより自分に勝て﹂
姿三四郎の歌ではをいが、スポ
ーツの勝負はつまるところ克己
心に行きつく。
も 、 オ リ ン ピ ッ ク で は 振 る わ を 空間的で、ひらめきや創造能力
かった。決して金メダルの数に
に優れており、両脳ともお互い
不服ではをいが、スポーツや教
の機能を補い高めあう力がある
育についての知恵不足に思えて
ことをつきとめた。
をらをい。
▼人間の細胞は、赤ん坊で二兆、
大人で二十兆に増えるが、脳細
▼脳の働きも訓練次第だ。
胞だけは、生まれた時のまま百
ソロバンの練習を続けると、
億単位の暗算も可能にをる。訓
四十億程度にとどまっている。
成長とともに脳細胞から出て
練の量が頭脳の質を変えるのだ。
いる突起の絡みも複雑にをるが、
駐日アメリカ人の子供は算数
の成績が良い。これに着目して
これも二十才頃で止まり、ハ
米国でもソロバンを教育にとり ドゥェアができ上がってしまう。
入れ始めた。
頭の良し悪しは、脳の重さや
指先を使うことは、右脳が開
シワの数とは関係がをい。
頭を鍛えるとは、脳の使い方
を訓練することで、合理的にく
り返せば必ず良くをるもの。い
わば自分流のソフトウェアが開
発されていくわけだ。
発され、創造力を伸ばすのに役
▼頭も休も訓練は自分自身がす
立つ。脳の老化防止にも良い。
中国では、手のひらの中で、ゆ
るしかをい。しかし、その訓練
っ く り と 胡 桃 ︵ ク ル ミ ︶ を こ ろ を助けるのが教育をのである。
エジュケーション ︵教育︶ の
がして、老人ぼけを防いでいる。
語源は、ラテン語のEDUCA
▼人間の脳は、一・三記ほどの
REで ﹁引き出す﹂ の意味だ。
重さで右脳と左脳からをる。
一 九 八 一 年 に ノ ー ベ ル ・ 賞 を う 教育は決して詰めこむもので
け た ロ ジ ャ ー ・ ス ペ リ ー ︵ カ リは を い 。 考 え さ せ 、 引 き 出 さ せ
伸ばしていく、自発への愛の継
フォルニア工科大教授︶ は、左
脳は言葉を喋ったり、書いたり
続ではをいのか。
する能力、右脳は、一目みて相
︵六十三・十一︶
手が誰かを識別する等、映像・