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出0
荷台
は輸
拡出
大へ
基
調
リポート
ダメージカーの買い取り・販売・輸出の最大手、タウ(本社=さいたま市、
原田眞社長)
は、知名度の向上とともに車両の取扱量を拡大している。2008
年度(08年9月期)の海外向け出荷量は前年度比16.7%増の1万4000台を見
込む。仕向地は世界88カ国・地域に及ぶが、ロシア向けが最も多い。資源
インフレの波に乗り、資源国向けの出荷が拡大基調にあるという。
事業規模は順調に拡大
タウの創業は96年8月。翌97年6月に浦
和市(現さいたま市南区)
に資本金1000万
円で株式会社タウが設立された。ダメージ
カーの買い取り・販売事業は、リサイクル意
ダメージカーのストックヤード
識の高まりと歩調を合わせる格好で順調
に伸び、会社の規模も急速に拡大した。
ヤードの搬入はトラックを使用
年9月期の売上高は125億円、従業員数は
みだ。自社で配送、シッピングの手配を行
数を占め、ボート・ヨットが5.4%、パーツが
昨年9月末時点で321人に達する。
うことで輸出コストを低減しているのが特
4.3%。
船は主に、ROROサービスのないカリブ地
域や南米西岸向けなどの輸出で利用す
商品であるダメージカーの仕入れのた
る。船社起用については「向こう3カ月程
め、全国の自動車ディーラー、損害保険会
度の出荷計画をにらみながら、お付き合い
社、自動車リース・レンタカー会社、自動車
のある船社との話し合いを通じて起用キ
修理工場など、ダメージカーの集まりやすい
ャリアを決めている」
(石田裕執行役・物流
部長)
という。
徴。事業拡大に伴い、同社の取り扱う商
された。現在は北の札幌支店から南の鹿
品はダメージカー、中古車にとどまらず再利
専用サイトに常時400台
児島支店まで、全国に23の支店ネットワー
用可能なボート・ヨット、自動車パーツ、産
同社の主力事業で、ユニークなビジネス
ところから情報が入るよう、ネットワークを
クを整備。海外ではニュージーランドのオ
業機械などにも広がりを見せている。
モデルであるダメージカーの買い取り・販売
張り巡らせている。同社の認知度の高ま
販売エリア別の売上高(07年9月期)
を
事業の流れを見ていく。まず、事故や災害
りとともに、個人からの問い合わせも増加
ブリスベーン、ロシアのウラジオストク、イル
見ると、全体の32.3%を占めるロシア・CIS
で損傷したダメージカーの買い取り依頼を
している、という。
クーツクにオフィスを構えている。
地域が最大で、以下、日本(30.2%)
、中南
受けると、専門の営業スタッフが当該車両
商品(販売用中古車含む)の仕入れ先
米(15.3%)
、オセアニア
(10.3%)
、アジア地
の査定を実施、売買契約成立後に買い取
(09年9月期)
は、全体の29.5%を占める自
保有する。このうち川崎、名古屋、大阪、
ークランド、ウェリントン、豪州のシドニー、
関東からの出荷が5割
同社は買い取りしたダメージカーの保管
を目的に全国17カ所にモータープールを
域(5.9%)、欧州地域(5.4%)―と続く。
った車両を最寄りのストックヤードに移送
動車ディーラーが最多で、以下、中古車オ
福岡の4カ所は商品のストックだけでなく輸
同社のビジネスモデルのベースは“有効
日本以外では、資源価格の高騰で、国内
する。全国で買い取りされた車両の画像
ークション
(20.6%)、個人(12.8%)、自動
出機能を併せ持つ。日本側の主な積み地
資源の再利用”である。事故や故障で破
の購買力向上の著しい地域向けが伸びて
や詳細データを、同社が独自に開発したウ
車修理工場(10.9%)、中古車販売会社
は東京、横浜、川崎、名古屋、神戸、大
ェブサイトに掲載し、日本はもとより世界各
(9.6%)、損害保険会社(同)、リース会社
阪、苅田(福岡)の各港。ロシア向けで苫
国・地域から買い手を募る。同サイトには
(4.6%)
、自動車解体工場(2.3%)
。
小牧港を利用する場合もある。海外向け
理すれば再利用
が可能な車両を、
グラフ 売上高推移
売上高
(百万円)
同社が蓄積した
14,000
独自のノウハウに
12,000
基づき査定し、買
い取る。その後、
常時約400台の在庫を掲載、随時、更新を
行っている。
出荷は関東が全体の半分、残りが関西、
中部、九州からとなる。
欧州、中南米を中心に同社の販売マー
輸送コストの低減、環境問題への対応
するので、破損箇所、作動状況について、
ケットは拡大しており、現在は世界88カ国
という観点から、同社は物流効率化への
損傷を修理せず、現状維持したまま販売
10,000
海外向けは全体の7割
詳細かつ正確な情報を掲載することが必
の顧客と取引関係を持つ。海外顧客への
取り組みを積極化している。石田執行役は
自社で開発した
8,000
要、としている。修理技術を有する国内外
販売契約が成立した場合、タウが輸出通
「太平洋側の港だけでなく、日本海側の港
販売ウェブサイト
6,000
の自動車修理工場などが主要顧客で、特
関および世界各国・地域向けの船積み手
からも出荷できるような体制整備を進めた
に、ダメージカーを修理し、再利用する自
続きを実施する。
い」
と語る。商品のストックポイントから港
を通じて国内外
4,000
のバイヤーから入
札を受 け、落 札
者へ商品を配送
する、という仕組
CARGO NOVEMBER 2008
商品仕入れ、全国に情報網
99年には名古屋市に最初の支店が設立
損したものの、修
84
いる。
商品別では自動車が90.3%と圧倒的多
現在の資本金は2億円にまで増資され、07
有効資源の再利用
タウの本社が入るLAタワー
船積みのもよう
2,000
0
1997年 1998年 1999年 2000年 2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年
(9月期)
動車リサイクルの考え方が進む海外のマー
同社が取り扱うダメージカーのうち全体
までの陸送距離を短縮できれば、高コスト
ケットでは、人気のある日本車を割安な価
の7割を海外向けが占める。海外への商
の国内トラック利用の縮小、二酸化炭素排
格で購入できる、として入札件数は拡大基
品輸送では、全体の7割がRORO船、残り
出量の抑制などの効果が期待できる。
調で推移している。
3割がコンテナ船を利用している。コンテナ
(西 拓也)
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