収録 のデータ完全 社 5 1 1 部 本 C F 今、加盟すべき本部が分かる! フランチャイズ 勢力図一挙公開 不況をチャンスと捉え事業を起こすにはスピードが重要だ。そんな独立開業・新規事業の 際に浮かぶフランチャイズという選択肢は今、どういった状況になっているのだろうか。金 回りが鈍くなる経済環境の中でやはり変化が訪れている。新しい風はどこに吹くのか。こ の特集ではフランチャイズビジネスの最前線を追った。 介護………p.16 学習塾………p.19 スポーツスクール……p.20 美容・健康……p.21 その他サービス(無店舗系)……p.22 (店舗系) ……p.24 ラーメン……p.25 飲食店(レストラン系) ……p.26 カフェ・ファストフード……p.28 飲食店(居酒屋系)…p.29 持ち帰り・宅配……p.32 【小売り】 店舗系………p.34 リサイクル・レンタル……p.36 無店舗系………p.37 元気のない飲食業に対し 人気を集めるサービス業 今年三月に開催された日本経済 新聞社主催のフランチャイズショ ーに前年とは異なる変化が見てと れた。景気の影響か出展企業数も 心なし減少していたが、出展して いる企業の業種配分の変化が顕著 だった。前年まで出展企業の大半 が飲食業だったが、今年は飲食業 が減少し、その分サービス業が増 加していたのだ。 FC業界の全体像が見える同イ ベントにおけるこの変化は現在の 加盟希望者の経済環境を如実に表 わしている。つまり、初期投資金 額がどうしても高くなる飲食業よ りも設備投資の比較的小さいサー ビス業のほうが人気なのだ。 現在の経済環境においては、出 店における多額の初期投資金額を また、ケンタッキーフライドチ キンや牛角など七ブランド七三店 展開しているメガフランチャイジ 加盟店のメガ化が進行中 本部の労力減らすエリア制推進 金融機関から借り入れすることは 難しい状況にある。しかし、一方 で不況の影響により出店コストは 低くなり、有望な出店場所は増え ている。この状況をチャンスと捉 えてFCに新規加盟する方が初期 投資金額の低いサービス業に流れ る傾向が見て取れるのだ。 特に注目を集めているのが介護 事業だ。介護分野の中でも比較的 参入しやすい「デイサービス(通 所介護) 」の分野には多くのFC 本部が昨年あたりから登場してい る。 こ の 事 業 は 初 期 投 資 が 低 く、 ニーズが伸び続けているため注目 されているのだ。 加盟店 取材で見えた FCでチャンス掴む術 【フード】 Business Chance 2009.7 10 11 Business Chance 2009.7 【サービス】 牛 島田英樹社長 FCに加盟し、一業態成功する と誰もが多角化を検討する。しか し、意外と二業態目で失敗する加 盟店が多い。多角化成功のポイン トは何なのだろうか。 大興産業(東京都板橋区/グル ープ年商一一億円)の島田英樹社 長は、モスバーガー、牛角ほか三 業態一一店舗を展開している多角 事業多角化がもたらす リスク分散以外の効用 加盟店は 多角化すべきか ビスを排除することで、低価格 で数を売るというコンセプトに 将来性を感じた同氏は、二〇〇 六年に加盟を決めた。 「私の仕事はスタッフの働く環 境を整えることです。一年で三 割が辞めると言われる美容師の 世界で、離職率を下げる事が、 技術力とスピードアップに繋が り、結果売上に繋がるのです」 同社では美容師ならではの徒 弟制度のような上下関係はな い。三か月でカットができるよ うになり、研修という名のもと にサービス残業が課されること もない。 「 二店舗目をオープンした際 は、一〇人採用しましたが、二 年近く経った今でも誰一人辞め ていません」 舗展開。その後牛角にも加盟し店 舗数を拡大してきた。そんな同氏 が、重要視するのが「人材」だ。 「店長によって二~三割売上が変 わってきます。パッケージはあり ますが、例えば衛生のレベル等は 運営する人材によって大きく違い ます。飲食業は現場が人手不足な 大興産業 ーのモリフードサービス(香川県 観音寺市)森英治郎社長は、最近 の傾向についてこう語る。 「エリア制を敷くFC本部が増え てきています。全国に店舗を拡大 する場合、いちいち全加盟店と話 をするのは大変。立地と業態が合 っているかがFC成功のポイント ですので、地元に強く、かつFC の経験のある企業に声がかかるよ うになる。ますますフランチャイ ジーのメガ化が進むことになります」 ある程度規模が大きくなってき た本部は、新規の加盟店獲得より も強い企業に多くの出店を依頼す る方が確実性は高いと考えている ようだ。 それでは、新規にFC加盟する 方はどうしたらいいのか。勢いの ある本部を見抜き、その成長とと もに自社も拡大させていくという のが最善策だといえる。加盟店を 選ぶ際には現在と未来のマーケッ トを分析した選択が必要となって くる。 同氏はダイエー出身。一九九 六年、 「 ステーション」に加 盟し独立したものの、デジカメ や携帯の普及と共に業界が低迷 し業績が傾き出した。ちょうど その頃、イレブンカットの営業 マンが飛び込みでやってきたこ とをきっかけに、既存店を見学 することにした。 「 平日のお昼、しかも駅から 一五分も離れているにも関わら ず、一〇人くらいの行列が出来 ていました。驚いて数字を見せ てもらうと、当時五〇店舗弱あ った既存店の売上は全店前年対 比プラス。社長に会わせてほし いと申し出たのです」 一分でカウンセリングし一〇 分でカットする。 予約制もなく、 マッサージ等の余分な付加サー る加盟店が多い中、同社は人材育 成のために多角化を推し進めてい るのだという。島田社長はスカイ ラーク出身。ファミリーレストラ ン「ジョナサン」の創成期にメニ ュー開発・人材教育などを手がけ た。一九八二年にモスバーガーの 加盟店として独立し、都内に六店 森英治郎社長 倶楽部二十九 酒井 敏社長 今後流行る業態の 初期オーナー目指せ 変な思いをしました」 苦労の末、三年後には月商六 〇〇万円を売り上げ、八年後に は借金を返済。しかし、その直 後バブルが崩壊し、月商は四五 〇万円に再び下がってしまった。 「好立地を押さえるために、初 期のオーナーになろうと考えま した。そんな時これからFCを 始めようとする牛角の加盟店開 発でベンチャーリンクの方が来 られたのです」 業態の良さとファーストフー ドに比べて営業時間の短い点に も魅力を感じた。FC一号店と して浦安の駅前に出店。レイン ズインターナショナルの西山社 長と共にビラ配りするなど、本 部と一緒になって売上拡大のた め尽力した。初月の月商は約 九〇〇万円。半年後、牛角自体 がメディアで取り上げられるな ど知名度が増し、月商は一八 〇〇万円まで拡大した。その間 に津田沼駅前などの好立地を 次々と押さえていった同社は、 一年毎に新店舗を出店。モスか ら完全に撤退し、牛角他で店舗 数を拡大していった。 モリフードサービス イント 本部選びのポ 角FC一号加盟店として 成長してきた倶楽部二十 九(東京都文京区/年商一〇億 円)の酒井敏社長は本部選びに ついてこう語る。 「すでに流行っている本部に加 盟するのでは遅い。良い立地は 既に他社が出店しているからで す。資本力のある大手は別です が、そうではない場合、いかに 今後流行る業態や本部を先に見 つけられるかがポイントです」 同社は一九八八年、モスバー ガーへの加盟からスタート。後 発加盟であったため、苦戦を強 いられたと言う。 「合羽橋に出店しましたが、売 上は月商五〇〇万円に満たず、 アルバイトと私だけでお店をま わしました。 私は一日一六時間、 三年間休みなく働き、本当に大 化成功者だ。 「いかにスタッフのモチベーショ ンを上げるかが重要です。そこで 業態毎に会社を分け、頑張れば社 長になれる仕組みでチャンスとポ ジションを与えるというやり方を 採用しています」 「私 は美容師の資格もノウ ハウもありません。し かしだからこそ現場の店長に完 全に権限委譲でき、結果、人が 育ちます」 美容師未経験ながら、カット 一五〇〇円という低価格が売り の美容室イレブンカットを二店 舗展開するのが、信(神奈川県 相模原市/年商一億円)の近藤 恵一郎社長だ。 55 リスクヘッジのために多角化す 近藤恵一郎社長 権限委譲する事で 現場スタッフが育つ 信 Business Chance 2009.7 12 13 Business Chance 2009.7 イント 人材育成のポ 加盟店の見方 加盟店の見方 「中食」需要の増加に伴い、再び見直されてきた持ち帰り・宅配フードビジネス。 オペレーションがしっかりしており、年齢に関係なく開業できるのもポイントだ。 店舗系 ★ ☆ ☆ 大手チェーンが割り引き攻勢を仕掛ける中、販売系の中小店舗は厳しい 環境が続くだろう。デフレ時代にあったジャンルならチャンスがあるかも。 リサイクル・レンタル ★ ★ ★ 景気悪化で消費者の買い控えが進んでいる。こんな時流が追い風にな るのがリサイクル、レンタルビジネスだ。時流を読んで流れに乗ろう。 無店舗系 ★ ★ ☆ 現在、投資金額の低い無店舗系販売FCは比較的に人気のある業種だ。 しかし、売る商材が時流に乗っているかどうかの見極めが必要。 ★ ★ ☆ 若くから活躍するスポーツ選手の増加から英才教育の熱は高まってい る。集客法さえ確立できれば面白い業態だ。 美容・健康 ★ ★ ☆ 美容や健康に対するニーズは減少することがない。人材の雇用、育成 と集客さえコツが掴めればうまくいくだろう。 その他サービス(無店舗系) ★ ★ ★ 投資金額の低い無店舗系のサービス事業は注目度が高い。課題は営業 面だが着実に顧客が積み上がるストック型のビジネスが狙い目だろう。 その他サービス(店舗系) ★ ★ ☆ 店舗系サービス業の需要は業種によってまちまち。これから需要が伸びるニ ッチなマーケットを今から手掛けておくと上昇気流がつかめるかもしれない。 ラーメン ★ ★ ★ かつて脱サラ開業不動の1位と呼ばれたラーメン。今も尚、その勢いは顕在だ。利 益を確保しやすく、他店舗展開も望めるためだ。基本的に低投資での出店が可能。 飲食店 (レストラン系) ★ ★ ☆ ファミリーレストランは衰退しているも、専門性のある業態は好調。商 カフェ・ファストフード ★ ★ ☆ スイーツ・カフェブームや手軽に利用できるファストフード店はいつの時 代も堅調。 飲食店 (居酒屋系) ★ ★ ★ 競合ひしめく飲食業界。居酒屋に関して言えば、ことさら他社との差別化が難 しい。しかし一店舗目を軌道に乗せれば多角化しやすいのもこの業態の特徴。 Business Chance 2009.7 14 15 Business Chance 2009.7 のはどこも一緒。いかにモチベー ションを高めて頑張ってもらえる かが鍵なのです。事業規模を拡大 するのではなく、小さい企業の集 団を作りたいと考えています」 チャンスを与えなければ人は育 たない。同社では各業態の店舗数 は三店舗程度とし、一店舗の店長 を担わせつつ残りの店も統括させ る。現場を知る管理職を育て、社 長に抜擢している。 ★ ★ ★ 出店立地にこだわり 専門性を追求し成功持続 スポーツスクール 一 九 七 八 年 に 会 社 を 立 ち 上 げ、 商業施設で数店舗の靴屋を展開し ていた同社は、店舗で扱いのあっ た靴下の卸元であるタビオのFC へ一九八九年加盟した。 「全くFCを展開する予定はなか ったのですが、靴屋の一コーナー で靴下を扱ったところ、とてもよ く売れました。これは専門店とし て出店しても売れるのではないか と思い加盟したのです」 靴屋での実績を元に商業施設に 売り込むと、ニッチ業態がデベロ ッパーの興味を引き、国分寺駅ビ ルへの出店が決まった。初日の日 商六〇万円。その後はルーズソッ クスのブームに乗り、月商は一億 円まで拡大。売れ筋の商品が見つ からず伸び悩んだ時期もあった が、専門店でかつ駅ビルという出 店立地を確保してきたことで、事 業は拡大した。 串田社長は専門性の深さがこれ からの競争でも勝ち残っていくポ イントだと考えている。 不況になっても教育費は削られにくい。むしろ少子化によって1人当たり の教育費は増加傾向。競争が激化しているので出店エリア選別がポイント。 社員が愛着を持って 働けるのが独自業態 を一挙公開。一目でわかる本部一覧もあるのでこちらも役立ててほしい。 一方、業態を絞って経営するこ とを決めている加盟店もある。 「靴下屋」を始めとしたタビオブ ランド一〇店舗を展開するクク (東京都八王子市/年商六億五〇 〇〇万円)の串田明社長は「多業 態化は考えていない」という。 同社は八王子や国分寺の駅ビル 内の立地で靴下の販売に注力して きた。八王子東急店では一〇坪で 月商一億円を売り上げる。 ★ ★ ★ すぎて店長が次々と代わり、ア ルバイトもドンドン辞める状況 に陥ったのです。朝の五時まで 働かせてスタッフを酷使するの ですが、その割には利益が少な い。これでは社員が年をとった 時に困ると思いました」 社員がキャリアを重ねた時の 給与面を考えると、決して適正 な利益ではないと判断した同氏 は、牛角の一店舗を独自業態に 切り替えることにした。 試行錯誤の末、潰した業態も あった中、軌道に乗ったのが 二〇〇七年にスタートしたもつ 鍋店だった。 「大井町という立地でサラリー マンに対象を絞りました。こだ わりの酒を扱い専門性を打ち出 しました。FCでは例えばクレ ームなど、何か事が起こると本 部のせいにしてしまいがちで す。しかしそれでは社員が成長 しない。社員が愛着と誇りをも って働けるのが、独自業態の良 さだと思います」 「もつ電雷」 現在ではもつ鍋店 を 三 店 舗 展 開 中 だ。 月 商 は 五〇〇万~八〇〇万円程。高い 営業利益を確保している。 学習塾 田中正吾社長 牛角、土間土間などをFCで 展開する中、独自業態を開発し 事業を軌道に乗せたのが、アー クビルサービス(東京都渋谷区 /年商七億円) 田中正吾社長だ。 同社は一九八六年にビルメン テナンス事業からスタートした。 当時はスキマ産業として需要を 獲得したが、大手も参入しこれ 以上の拡大は見込めないと判断 した同氏は、二〇〇〇年牛角に 加盟し飲食事業に参入した。 池上線長原駅に出店すると同 時に行列ができるほどの繁盛ぶ り。二〇〇三年には二店舗目を 出店した。翌年には土間土間に も加盟。月商は一五〇〇万円に も及ぶ事も。 事業は順調だった。 しかし同氏はあるジレンマに苦 しみ出した。 「売上は上がりましたが、忙し 持ち帰り・宅配 串田 明社長 初期投資金額が低く、しかも需要が拡大している介護事業のFCは注 目株だ。本部も数多く登場しており、よく見比べる必要があるだろう。 クク ★ ★ ★ アークビルサービス フード■ FC本部の 注目度レポート サービス■ 品で勝負できるため人気。 介護 ポイント 独自業態展開の 業種別に 紹介 一番注目の業種はどれか? 9フランチャイ本部の状況から見えてきた業種別の注目度 小売り■ 加盟店の見方
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