【2016.11月号】No.447

月刊
第38巻第11号通巻447号2016年11月1日発行(毎月1回1日発行)1980年10月23日第3種郵便物認可
11
2016年
第32回企業広報賞
第32回「企業広報賞」
表彰式・パーティを開催
◆主催者あいさつ
(一財)
経済広報センター 会長 榊原定征
◆受賞の言葉
三菱商事(株) 代表取締役社長 垣内威彦
(株)三越伊勢丹ホールディングス 代表取締役社長執行役員 大西 洋
(株)りそなホールディングス 取締役兼代表執行役社長 東 和浩
447
November
キリン(株)
執行役員 CSV本部コーポレートコミュニケーション部長 藤原哲也
(株)ローソン
常務執行役員 コミュニケーション本部長兼CHO補佐 宮﨑 純
今 月 の 表 紙
(前列左から)久保田政一(経済広報センター 理事長)、
垣内威彦(三菱商事 代表取締役社長)、榊原定征(経済
広報センター 会長)、大西 洋(三越伊勢丹ホールディ
ングス 代表取締役社長執行役員)、菅 哲哉(りそな
ホールディングス 取締役兼代表執行役)
(後列左から)佐桑 徹
(経済広報センター 常務理事・
国内広報部長)
、藤原哲也(キリン 執行役員 CSV本
部コーポレートコミュニケーション部長)、宮﨑 純
(ローソン 常務執行役員 コミュニケーション本部長兼
CHO補佐)
、渡辺 良(経済広報センター 専務理事・
事務局長)
なお、当日は、りそなホールディングス 東 和浩・取
締役兼代表執行役社長に代わり、菅 哲哉・取締役兼
代表執行役がご出席されました
(敬称略)
『経済広報』では、裏表紙に関連する写真・イラストを表紙に
掲載しています。
11
月の動 き
国内
8日
9月の景気動向指数速報
(内閣府)
9日
9月の国際収支速報
(財務省)
10月の景気ウォッチャー調査
(内閣府)
14日
7~9月期のGDP
(国内総生産)
速報
(内閣府)
21日
10月の貿易統計
(財務省)
29日
10月の失業率
(総務省)
10月の有効求人倍率
(厚生労働省)
海外
1~2日
FOMC
(米連邦公開市場委員会)
(米FRB
(連邦準備制度理事会)
)
4日
9月の米貿易収支
(米商務省)
10月の米雇用統計
(米労働省)
7~ 18日
COP22(気候変動枠組み条約第22回締約国会議)
(モロッコ・マラケシュ)
8日
米大統領選挙
17 ~ 18日
APEC
(アジア太平洋経済協力)
閣僚会議
(ペルー・リマ)
第32回 企業広報賞
第32回
「企業広報賞」表彰式・パーティ
を開催
主催者あいさつ 榊原定征((一財)経済広報センター 会長)
2
2016年11月号目次
4
受賞の言葉 垣内威彦(三菱商事(株) 代表取締役社長)
大西 洋((株)三越伊勢丹ホールディングス 代表取締役社長執行役員)
東 和浩((株)りそなホールディングス 取締役兼代表執行役社長)
藤原哲也(キリン(株) 執行役員 CSV本部コーポレートコミュニケーション部長)
宮﨑 純((株)ローソン 常務執行役員 コミュニケーション本部長兼CHO補佐)
5
選考委員 選考所感
伊藤邦雄(一橋大学大学院 商学研究科特任教授 商学博士)
天野真志(読売新聞東京本社 経済部長)
小陳勇一(朝日新聞東京本社 経済部長)
佐々木かをり((株)イー・ウーマン 代表取締役社長)
髙橋由里(東洋経済新報社 『週刊東洋経済』編集長)
田中 博(ダイヤモンド社 『週刊ダイヤモンド』編集長)
塚田健太(毎日新聞東京本社 経済部長)
吉田ありさ(日本経済新聞東京本社 経済部長)
10
統合報告書は、いま 3
価値創造をストーリーで伝える
日本航空(株)
15
トップが考えるダイアローグ・マネジメントの新潮流④
日本企業のインターナル・コミュニケーション
進化が求められる広報の役割
16
柴山慎一(NRIみらい(株) 社長/事業構想大学院大学 客員教授)
企業広報研究
採用に効くコーポレートPR
~「ストーリー」
「人」
「制度」に注力を~
18
太田 滋(ビルコム(株) 代表取締役兼CEO)
調査から見る日本企業の広報力2016 vol.3
戦略構築力
主任研究員)
萬石隼斗(企業広報戦略研究所((株)電通パブリックリレーションズ内)
20
コーポレートメッセージ
手形・振込みに代わる新たな決済手段を提供する
(株)全銀電子債権ネットワーク
21
経済広報センター活動報告
ポケットサイズの英文国際比較統計集を発行
―Japan and the World 2016/17―
24
連載
経済広報センター NEWS
22
企業広報ニュース(広報トピックス/ Book)
25
第32回
「企業広報賞」
表彰式・パーティを開催
裏表紙
11月の動き
表紙裏
発行/一般財団法人経済広報センター 国内広報部
東京都千代田区大手町1-3-2 経団連会館 TEL:03-6741-0021
印刷/三葉株式会社 TEL:03-3294-4751
※本誌掲載の記事・写真・イラスト・図版の無断掲載を禁じます。
2016年11月号〔経済広報〕
1
第¦32¦回¦企¦業¦広¦報¦賞
第32回
「企業広報賞」
優れた広報を展開している企業と経営者ならびに広報実務者に贈る
「企業広報賞」の表彰式・パーティ
を、9月6日、経団連会館で開催した。経済広報センターを代表して、榊原定征会長があいさつし、受賞
者へ表彰状・トロフィーを贈呈した。出席者は約250人。
引き続き開催したパーティでは、選考委員の紹介、各賞の受賞者あいさつの後に、久保田政一理事長が
乾杯のあいさつを行い、受賞関係者、企業広報関係者、マスコミ関係者が歓談した。榊原会長のあいさつ
(4ページ参照)、各賞の受賞者あいさつ(5~9ページ)、選考委員の選考所感(10 ~ 14ページ)を掲載す
る。
企業広報大賞は三菱商事
榊原会長からトロフィーを贈呈される垣内威彦・三菱商事社長
2
〔経済広報〕2016年11月号
第¦32¦回¦企¦業¦広¦報¦賞
」 表彰式・パーティを開催
開¦催¦概¦要
Ⅰ 日時
2016年9月6日(火) 午後4時~5時30分
Ⅱ 場所
経団連会館4階 ダイアモンドルーム
Ⅲ 次第
■主催者あいさつ 経済広報センター 会長 榊原定征
■表彰状・トロフィー贈呈
■選考委員紹介
■受賞企業代表・受賞者ごあいさつ
選¦考¦基¦準
企業広報大賞
社会から期待され求められているものを見極め、それを経営に反映させるとともに、ステークホルダー
に対し企業活動の的確な情報を発信・伝達し、社会に貢献している企業が受賞対象となる。
具体的には以下の内容項目で意欲的に取り組み、その活動が社会的に認知されているかどうかを評価する。
•企業理念に裏打ちされたビジョンや企業メッセージを様々なツールで発信し、CSR
(企業の社会的責
任)などの経営課題にも積極的に取り組んでいる
•ステークホルダーとの対話を通じ社会のメッセージを多角的に受信し、経営に反映させている
•一つひとつの情報発信を積み重ね、ブランドを創るコミュニケーションを実践している など
企業広報経営者賞
経営トップ自らが広報の重要性を認識し、社内外の情報によく耳を傾け、経営環境や経営方針などにつ
いて、社会(マスコミ、投資家、消費者など)や従業員に語り、コミュニケーションを積極的に推進してい
る経営者が受賞対象となる。
企業広報功労・奨励賞
広報活動に携わり企業広報の発展に功労の大きかった実務者(個人・チーム)、あるいは奨励に値する独
創的な企業広報を実践している実務者(個人・チーム)
が受賞対象となる。
(注)各賞とも、過去5年間の受賞企業・受賞者は選考対象外。
2016年11月号〔経済広報〕
3
第¦32¦回¦企¦業¦広¦報¦賞
主催者あいさつ
榊 原 定 征(さかきばら・さだゆき)
一般財団法人経済広報センター 会長
第32回「企業広報賞」表彰式に多くの皆さまにご出席をいただき、誠にありがとうございます。
開会に当たり、一言ご挨拶を申し上げます。
日本経済は、今、デフレ脱却と経済再生を実現し、GDP
(国内総生産)600兆円経済への道筋
をつけるための正念場にございます。まずは、先に取りまとめた経済政策を、着実に実行に移し
ていくことが重要です。
GDP600兆円経済の実現には、成長戦略の推進が不可欠であります。特に、官民戦略プロジェ
クト10の推進、なかんずく、第4次産業革命、いわゆるSociety5.0の推進が重要なカギです。経
団連といたしましても、政府と連携して、その推進に積極的に取り組んでいきたいと考えており
ます。
経済広報センターにおきましては、こうした経団連の考えや行動につきまして、生活者を含め
様々な皆さまに知っていただくべく、広報活動を行っているところであります。
この
「企業広報賞」は、今年で32回目を迎えましたが、優れた企業広報を実践されている皆さま
の表彰を通じて、多くの企業が社会からより評価される広報を行うよう、行動を促すものでござ
います。
今回の企業広報大賞は、三菱商事株式会社が受賞されましたが、これは、一貫した逃げない広
報姿勢や、東日本大震災発生後、5年間継続して行われている支援活動が高く評価されたもので
す。
企業広報経営者賞の三越伊勢丹ホールディングスの大西社長は、百貨店業界を代表した積極的
なトップ広報が、また、りそなホールディングスの東社長は、ネガティブな情報を含めた説明責
任を積極的に果たす姿勢が評価されての受賞です。
企業広報功労・奨励賞は、キリンの藤原執行役員とローソンの宮﨑常務執行役員が受賞されま
したが、このお二人は、社会との対話を重視した10数年にわたる、広報部門での功績によるもの
です。
皆さまのご受賞を心よりお祝い申し上げますとともに、多くの経営者、広報実務者の方々がよ
り良い広報を行うことを祈念しまして、簡単ではございますが、私のご挨拶とさせていただきま
す。
4
〔経済広報〕2016年11月号
第¦32¦回¦企¦業¦広¦報¦賞
企業広報大賞
三菱商事株式会社
垣 内 威 彦(かきうち・たけひこ)
代表取締役社長
受¦賞¦の¦言¦葉
このたびは、非常に歴史ある、また権威ある企業広報大賞をいただき、ありがとうございまし
た。
私ども三菱商事では、変わらない価値観の軸として
「三綱領」という企業理念を掲げています。企
業は世のため人のためにあることを示す
“所期奉公”
、コンプライアンス、透明性のある態度、説明
責任を表す
“処事光明”
、グローバルな事業展開を指す
“立業貿易”の3つです。新入社員から役員に
至るまで、正々堂々と社会的責任を果たしていくというこの企業理念が社内に徹底されていること
が、受賞の理由と考えております。
また、継続的なCSR活動も評価いただけたことを心より嬉しく思います。三菱商事は、東日本
大震災発生直後から復興支援に取り組み、2012年には三菱商事復興支援財団を立ち上げ、5年半が
経過した今日においても活動を継続しております。これまで延べ4300人のグループ社員がボラン
ティアとして参加しました。被災により修学が困難となった大学生を対象とした奨学金も延べ4700
人に支給しました。このほかにも、現地の企業への投融資を通じて被災地の事業を支援しており、
その数は合計50件に上ります。2015年からは、福島の果樹農業の6次産業化を支援する
「ふくしま
ワイナリープロジェクト」
を始めています。
私は本年4月に社長に就任後、5月に中期経営計画を発表し、経済価値、環境価値、社会価値の
3つの価値を同時に実現していく方針を打ち出しました。今回の受賞を糧に、この3つの価値の実
現を目指し、今後とも広報活動のみならず社会に貢献できる事業活動を、
「三綱領」の下、三菱商事
グループ全体で進めていきたいと考えています。
このたびの受賞、誠にありがとうございました。
受¦賞¦理¦由
国内外のステークホルダーに対し、透明性、公開性、公正性、迅速性のある広報活動を実践している。
厳しい局面でも、経営方針や事業内容を正確に伝える
「逃げない広報姿勢」を一貫して実施した。また、東
日本大震災の復興支援として、
「三菱商事復興支援財団」
を設立し、被災から5年が経った今でも、支援活動
を継続するなどCSR活動への評価も高い。そのほか、ガバナンス・報酬委員会の設置や、質の高い統合
報告書の発行など、評価に値する広報活動を展開している。
2016年11月号〔経済広報〕
5
第¦32¦回¦企¦業¦広¦報¦賞
企
経
業
営
広
者
報
賞
大 西 洋(おおにし・ひろし)
株式会社三越伊勢丹ホールディングス
代表取締役社長執行役員
受¦賞¦の¦言¦葉
本日は、私には縁遠いと思える大変過分な賞をいただきまして、誠にありがとうございます。ま
た、本日この場にご来場の皆さまには日ごろより大変お世話になっておりまして、深くお礼申し上
げます。皆さまのお力添えもあり、このような名誉ある賞を受賞できたのだと思っております。
百貨店がこれからも生き残っていく上で最も重要なことは、お客さまに直接メッセージをお伝え
することだと考えています。そのため、経営トップができる限りお客さまの近くで、会社の考え方
を直接お伝えすることで、当社への理解をより深めていただけると思います。また、そのように社
外に向けて発信することは、社内の従業員にも同じメッセージを伝えることに繋がると考えていま
す。
しかしながら、社長自らが発信することが必ずしも全て良いとは考えておりません。組織として
の広報部門や、ホームページ・SNSなどの広報手段を使用して、会社としてのメッセージを明確
に伝えることも重要な場合もあると思います。
今回、このような賞をいただきましたのでこれを糧として、これからも皆さまのお力をお借りし
ながら、企業価値創造に努力してまいりたいと思います。
今後ともご指導のほどよろしくお願いいたします。
本日は誠にありがとうございました。
受¦賞¦理¦由
自社だけではなく、百貨店業界の発信源として、積極的なトップ広報を実施している。講演や取材にも
数多く応じ、現在推進中の戦略を経営者自らが率先して情報を発信している。また、従業員の働く環境を
改善し、従業員を大切にしているとの姿勢を明確にし、それを自らが発信することで、企業イメージの向
上に大きく貢献した。
6
〔経済広報〕2016年11月号
第¦32¦回¦企¦業¦広¦報¦賞
企
経
業
営
広
者
報
賞
東 和 浩(ひがし・かずひろ)
株式会社りそなホールディングス
取締役兼代表執行役社長
受¦賞¦の¦言¦葉
このような伝統ある素晴らしい賞をいただきまして、誠にありがとうございます。皆さまには日
ごろから大変お世話になっておりまして、この場を借りてあらためて感謝申し上げます。
りそなグループは2003年の公的資金注入以降、経営理念のひとつに「透明な経営」を掲げ、積極的
な情報発信と社会とのコミュニケーションを強く意識し、活動してまいりました。
おかげさまで、2015年6月に公的資金を完済することができ、これまで支えていただいた全ての
ステークホルダーの皆さまに感謝の気持ちをお伝えいたします。
りそなグループでは返済を機に、
「オムニチャネル戦略」を本格的にスタートいたしました。お客
さまに
「いつでも、どこでも」金融サービスを身近に感じていただき、そして便利にご利用いただく
ことを目指しております。
そして、その取り組みを広く社会に発信してきたことが評価されたと考えております。
現在、金融業界を取り巻く環境は大きく変化しております。今後、りそなグループは、お客さま
の期待を予測し、これを先回りした新サービスの実現に向けた取り組みをさらに加速させてまいり
ます。また、今回の受賞をきっかけに、我々のポリシーである
「開かれた広報活動」
「誠意ある広報
活動」
を通じて、しっかりとした
「りそな」
ブランドを確立してまいります。
受¦賞¦理¦由
2015年6月に公的資金の完済という、大きな転換点を迎えたが、歴代のトップがネガティブな情報も含
め、積極的な情報公開、説明責任を果たしてきた。その中でも、東社長は、
「リテールNo. 1」
を目指す経営
戦略を明確に打ち出し、休日・夜間のサービス提供や印鑑レスで口座開設ができる店舗の新設など、先進
的な
「りそな」独自のサービスと差別化戦略を進めるとともに、継続的に発信することで、社内外での理解
を飛躍的に高め、ブランドイメージの向上に繋げた。
2016年11月号〔経済広報〕
7
第¦32¦回¦企¦業¦広¦報¦賞
企 業 広 報
功 労・ 奨 励 賞
藤 原 哲 也(ふじわら・てつや)
キリン株式会社
執行役員 CSV本部
コーポレートコミュニケーション部長
受¦賞¦の¦言¦葉
本日は、大変名誉ある賞をいただきまして、誠にありがとうございます。
今回の受賞は、コーポレートコミュニケーション部のメンバーがよくやってくれたおかげと考え
ています。メンバーに感謝し、この受賞を一緒に喜びたいと思っております。
広報の仕事は現在3回目であり、通算15年ほど携わっています。その間、たくさんのメディアや
広報の方々と出会い、数多くのことをお教えいただきました。特に印象に残っているのは、会社が
厳しい時ほど広報の真価が問われるということでございます。厳しい時にこそ、メディアと真摯に
向き合い、誠実な対応を続けていく重要性を学びました。
しかし、これを広報部門単独で実現することは難しく、トップや社内関係部門の協力がなければ
実現できません。そのために、日ごろからメディアの方々の関心事や、彼らが会社の課題をどのよ
うに見ているのかといった、生の声を社内にフィードバックすることや、時にはトップへの提言、
解決のための広報シナリオ作成など、地道な広報活動をぶれずに一貫して続けてまいりました。幸
い弊社の社長は広報出身であり、我々の活動に理解があります。また、ビール会社でもあり、メ
ディアの方々と
(ビールを飲みながら本音の)
コミュニケーションがしやすい状況にあります。
今後も出会いとご縁を大切にして、コーポレートコミュニケーション部のメンバーと一緒に、地
道で泥臭い広報活動を続けていく所存でありますので、引き続きよろしくお願いいたします。
受¦賞¦理¦由
15年間にわたり企業広報とIR業務に携わり、2013年には、グループ各社の広報機能の統合を提言し、
窓口を一本化して機動的な広報活動ができる体制を実現した。歴代のトップが積極的にメディアや投資家
との対話を行ってきたのも、藤原氏を中心とした広報部門がトップをはじめ社内関係部門と広報・IR活
動に対する協力・支援体制を構築した貢献が大きい。また、業績が厳しい時もステークホルダーとの対話
を重視した広報姿勢への信頼も厚い。
8
〔経済広報〕2016年11月号
第¦32¦回¦企¦業¦広¦報¦賞
企 業 広 報
功 労・ 奨 励 賞
宮 﨑 純(みやざき・じゅん)
株式会社ローソン
常務執行役員 コミュニケーション本部長兼CHO補佐
受¦賞¦の¦言¦葉
今回は、メディアの皆さまから選出されての受賞ということで、広報冥利に尽きるとは、まさに
このことだと思っております。本日は、日ごろローソン広報が心がけていることがございますの
で、2つほどご紹介させていただきます。
1つは、メディアは第三者委員会のような存在であるということです。社内では、良い結果ばか
りを期待してしまいがちな中で、メディアの方々には企業の取り組みを客観的に評価してもらえる
からです。
思い起こすと恥ずかしい失敗談がございました。ある大手証券会社さんと組んで店舗で株取引が
できるサービスの発表会を行った際に、メディアの方々から「店舗で株取引なんて誰も行わないの
では」と指摘されましたが、その通りとなり、1年余りでサービスを停止しました。また、某企業
さんと契約して店内調理サービスの新商品を大々的に発表したのですが、メディアの方から「おい
しくない」
と批評を受け、その後、契約解除となってしまいました。
このようにメディアの方々から客観的に世間の常識を教えていただき、これを経営者、社内に伝
え、改善し、常識力を培っていくのも広報の役目でございます。
もう1つは、
「答える広報」
を心がけています。
震災対応、商品の廃棄問題など、答え難い話もありますが、社会と共に歩んでいる企業として、
全てに答えようと努めております。メディアの方々からは、困った時には
「ローソンの広報に聞け」
との声を多く聞き、有難い評価をいただいていると感謝しています。
今回は、ローソンの広報体制を評価していただいての表彰ですので、広報メンバーみんなでこの
受賞を喜びたいと思います。
本日は誠にありがとうございました。
受¦賞¦理¦由
広報業務に約18年間携わり、
「透明性」と「社会との対話」
を重視して、首尾一貫した対応をしてきた。変化
対応型企業として数々のイノベーションを発信し、コンビニ業界の社会的役割を訴え続けている。東日本
大震災の際には、発生直後で混乱している社内を説得し、メディア取材に対応することで、コンビニ業界
の社会的役割を世間に広く伝え、社会になくてはならないインフラであると広めた功績は大きい。
2016年11月号〔経済広報〕
9
第¦32¦回¦企¦業¦広¦報¦賞
選¦ 考¦ 委 ¦ 員 ¦選 ¦ 考¦ 所 ¦ 感
マスコミ・有識者・企業広報関係者などにより推薦された企業・経営者・広報担当者およびグループ
(候補数41)を対象として、第32回企業広報賞の選考を行った。事務局が選考に必要な情報を収集した上
で、マスコミ・有識者から成る選考委員会を7月12日、当センター会議室にて開催した。
選考委員会では、各委員にそれぞれの専門的見地から最終候補企業・候補者を推薦していただき、
「選考
基準」に基づいて選考が行われた。選考後の委員の所感は以下の通り。
チーム力と経営理念の総合力
(敬称略)
今回の選考過程でも、委員の間で活発かつ率直な意見交換と情報共有を
行うことができ、委員長としても達成感を味わっている。
企業広報大賞を受賞した三菱商事は堂々たる受賞である。何か突出した
個別の活動が評価されたというよりも、広報全般にわたる長年の活動がす
べて高い水準にあり、まさに総合的に評価された結果である。その背景に
は機動的な組織力に裏打ちされた広報のチーム力がある。そして、それを
支えているのが経営理念である。経営理念へのこだわりがなければチーム
と経営者は同期せず、チーム力がなければ経営理念は効性を生むことがで
い
と
う
く
に
お
伊 藤 邦 雄
一橋大学大学院
商学研究科特任教授
商学博士
きない。三菱商事の持続性ある広報力はまさに
「大賞」
に値する。
企業広報経営者賞を受賞した大西さんと東さんに心からお祝い申し上げ
たい。大西さんの百貨店業界に対する危機意識は凄まじく、それがご自身
の様々な場での発言や、頼まれれば断らない講演活動に繋がっている。評
者も大西さんと一緒に講演したこともあるが、経営者としてのその真摯な
取り組みと情熱に感銘を受けた。
東さんは、別の団体の表彰制度でインタビューさせていただいたことが
ある。主たるテーマはコーポレートガバナンスだったが、インタビュー中、
東さんから紡ぎ出される言葉に評者は何度も打たれた。謙虚さを備えなが
らも、その使命感と経営者としてのセンスが、発する言葉の説得力と重み
に繋がっているものと確信している。
企業広報功労・奨励賞を受賞した藤原さん、宮﨑さんの受賞を心から喜
びたい。両者に共通するのは、投資家やステークホルダーとの「対話」の精
神を持続してきた点である。
「対話」の場に経営トップに出てもらい、建設的
な対話を実現するお膳立てをするのが広報の役割である。両者は見事にそ
の仕事を実践してきた。
10
〔経済広報〕2016年11月号
第¦32¦回¦企¦業¦広¦報¦賞
(敬称略)
情報発信の切所を乗り越えて
企業が情報発信を充実する上で大切なのは、「継続」と「トップの意志」だ。
選考委員会に参加し、この思いをあらためて強くした。
三菱商事は、東日本大震災の被災地支援に地道に取り組み続けてきたこ
とが特に評価された。功労・奨励賞のローソン・宮﨑純氏は長年にわたっ
て広報の仕事に携わり、大震災の際にはきめ細かいメディア対応を行うよ
う、社内の説得に手腕を発揮した。
キリン・藤原哲也氏も、業績悪化時も社外との対話を重視する姿勢で信
頼を築いた。
積極果敢な広報やCSR(企業の社会的責任)には、往々にして社内から
あ
ま
の
ま
さ
し
異論が唱えられる。
「そんなに情報を出してメリットはあるのか」
「そこまで
天 野 真 志
熱心にCSRをしなくてはならないのか」
といった類いの声だ。
読売新聞東京本社 る切所である。
経済部長
これに惑わされず、成すべきことを成せるか。情報発信の真価が問われ
ここで重要になるのはトップの意志だ。良いことも悪いことも、ぶれず
に同じ姿勢で発信を続けられるか。経営者の胆力が試される。
りそなホールディングスの東和浩社長と三越伊勢丹ホールディングスの
大西洋社長は、逃げることなく、トップ自らが情報発信に前向きに挑み続
けている印象が強い。当然の受賞といえよう。
広報が映す企業の姿勢
昨年に続き2回目の選考委員を務めさせていただいたが、今年も学ぶこ
とが多かった。多くの新聞記者にとって、企業広報とは報道対応のことで
ある。具体的には、会見やインタビュー、個別取材を設定してもらい、記
事を書く際に細かな疑問に答えてもらう窓口だ。もちろん、そうした日常
の報道対応に限っても、それぞれの企業の社風や経営トップの個性が表れ
る。しかし企業広報とは、もっと幅広く、そこには、その企業の歴史から、
こ
じ
ん
ゆ う い ち
小 陳 勇 一
朝日新聞東京本社 経済部長
現代を生きる姿勢までが反映していることを、あらためて認識した。
大賞の三菱商事は、東日本大震災の復興支援を地道に続けている、企業
としての姿勢が、まさに評価のポイントになった。震災から5年がたち、
復興はどうしても風化しがちで、報道も減っていくだろう。それだけに、
被災地を支え続ける企業の活動には我々も目を向けなければならない。そ
んな思いも強くした、今年の選考だった。
2016年11月号〔経済広報〕
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第¦32¦回¦企¦業¦広¦報¦賞
(敬称略)
安定、一貫した広報姿勢の重要性
広報とは、その企業の人柄が映し出される活動である。ガバナンス強化
の中、求められる透明性を、いい時だけでなく、困難な時や、荒波を上下
しながら進む時にも安定して継続発信することの重要性を、メディアも消
費者も高く評価する時代となった。
また、広報は人である。お金を出して作り上げる広告と違い、記者など
周囲の人たちとどのような人間関係をつくり、どのように日々接している
のかが、その企業の評価に繋がる。斬新さや業績にとどまらず、人と人の
さ
さ
コミュニケーションの重要性、信頼を築く重要性が高まる時となっている
き
佐々木かをり
と思う。
今年の審査会では、それぞれの候補企業・候補者の継続した姿勢、透明
(株)イー・ウーマン 性を多様な視点から評価することとなった。大賞の三菱商事は、その一貫
代表取締役社長
継続した広報活動に高い評価が集まった。
日本の企業の透明、かつ分かりやすい広報活動が今後の日本経済発展に
大いに役立つことを期待している。
ガバナンスと危機対応
今年は選考委員の関心が「ガバナンス」と「困難な時期でも一貫した情報発
信をしているか」の2点に集約されていたように思う。三菱商事とりそな
ホールディングスの東さんは、まさにそこを評価されての受賞となった。
また、昨年は戦後70年を意識した議論がされたが、今年はりそなの公的
資金完済がひとつの時代の区切りとして捉えられた。キリンも上場来初の
最終赤字という厳しい局面で、小誌を含めた各メディアにトップの露出を
た か は し
ゆ
り
髙 橋 由 里
東洋経済新報社 『週刊東洋経済』編集長
惜しまなかった。
三越伊勢丹ホールディングスの大西さんは就任当初こそ「伊勢丹メンズ館
の立役者」というイメージだったが、現在は消費全体を解説するポジション
となられた。ローソンの宮﨑さんは前職である日本エアシステム時代から
存じ上げているが、一貫してフェアな広報マインドを感じる人だ。
12
〔経済広報〕2016年11月号
第¦32¦回¦企¦業¦広¦報¦賞
(敬称略)
逃げない姿勢を評価する
自分の中での今年の評価軸は、逃げない広報をしたかにある。世界経済
が一気に不透明化し、経営環境が様変わりする中で、前向きな姿勢を期待す
るのは酷というもの。もう一つの評価軸は、継続性を貫いているかだ。
三菱商事は減損処理をめぐるネガティブな情報もしっかりと開示。東日
本大震災後に立ち上げた百億円の基金についても、被災地支援を実直、か
つ継続的に実行してきた点は大いに評価したい。
りそなの東氏は、自らが先頭に立って、銀行の“常識”という壁を打ち破
るべく様々な施策を打ち出すとともに、対外的な情報発信にも務めた。公
た
田
な
か
ひろし
中 博
的資金完済までの長い年月を思うと、その取り組みがいかにブレなかった
かがうかがえる。三越伊勢丹の大西氏も業界のリーダーとして真正面から
発言される機会が多かったように感じる。
ダイヤモンド社 『週刊ダイヤモンド』編集長
キリンの藤原氏、ローソンの宮﨑氏は共に個性的な経営者のもとで長年、
変わらぬ姿勢を貫いてきた。
こうして今回の顔触れを見ると、いずれも賞に値する企業・人ばかりで
ある。
広報が担う
「革新」
と
「企業統治」
なかなか飛ばないアベノミクスの第三の矢、相次ぐ企業の不祥事――。
今回の審査では、日本企業の直面する「革新力」と「企業統治」という課題に、
広報がどう取り組んでいるのかに注目した。
創立以来初の最終赤字転落という厳しい局面にもかかわらず、三菱商事
は普段の迅速、透明な広報対応を変えなかった。東日本大震災後の支援活
動を地道ながら戦略的に継続。取材ではなく一ボランティアとして加わる
記者も増えている。
大西さんは、お客を引きつける商品開発や売り場改革を進めつつ、初売
つ
か
だ
け
ん
た
りの日を繰り下げるなど働く人の環境改善にも力を尽くしている。百貨店
塚 田 健 太
の魅力は、店に入る時、店内を歩く時のわくわく感。働く人の明るい表情
毎日新聞東京本社 時間や休日の枠を超えたサービスの提供で、お客に選ばれる銀行づくりを
経済部長
抜きではあり得ない。東さんは、公的資金の完済を果たすとともに、営業
指揮。お二人の進める働きやすい職場づくり、お客本位のサービス展開こ
そ、企業統治と革新力の原点ではないか。
藤原さん、宮﨑さんは、社内外に培った人脈と取材力、存在感で企業広
報の力を向上させてきた。トップの効果的な情報発信に欠かせない裏方だ。
2016年11月号〔経済広報〕
13
第¦32¦回¦企¦業¦広¦報¦賞
(敬称略)
広報力は誰のためか
初めて選考に携わり、資料を読みながら企業の広報力とは何か考えさせ
られた。トップの個性でメッセージを発信する企業もあれば、個人の顔は
浮かばないがブランド力を印象付ける企業もある。いずれも報道を通して
企業名が脳裏に刻み込まれる点で広告の機能も果たしており、単純に見事
な広報と表彰するのはためらう面も正直あった。記者にとっては逆風下で
もごまかさず、迅速に情報を開示する広報こそが重要だからだ。今回、大
よ
し
だ
吉 田 あ り さ
賞となった三菱商事は広報力と規律の両面で力を発揮していた。メディア
日本経済新聞東京本社 や自治体と連携し、社会的責任を果たそうとする全社的な構えが、今の日
経済部長
本企業が直面する課題を反映していた。経営者賞の大西洋三越伊勢丹ホー
ルディングス社長と東和浩りそなホールディングス社長の2人は、たとえ
別の企業のトップだとしても受賞したのでは、と思わせる人間力があった。
PR・IR・危機管理
12月号
定価:1300円
(税込)
編集・販売
株式会社宣伝会議
なぜ地方創生に
「広報力」
が必要なのか
[座談会]
「地域ブランド調査2016」
ついに発表
購読申込
茨城・群馬・佐賀「自治体の通信簿」
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インターネットからもお申し込みいただけます。
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14
[巻頭特集]民間との協業から訪日観光まで
〔経済広報〕2016年11月号
統合報告書は、いま 3
価値創造をストーリーで伝える
日本航空
(株)
航空業界では、IIRC(国際統合報告評議会)のガイドラインをベースとした統合報告書の作成が進ん
でいる。日本航空の統合報告書は、JALグループの視点を打ち出し、グループとしての価値創造につい
てメーンターゲットとしている投資家に伝えている。
『JAL REPORT』
の特徴
頭部分だけを読む投資家がいることも想定し、目次
で何を経営基盤としているのか分かる構成にしてい
日本航空は、2013年から『JAL REPORT』を発行
る。また、同グループのことをよく知らない読者に
している。同レポートは、それ以前に発行していた
向けては、写真や安全を支える現場の社員がエピ
『Annual Report』と『CSR報告書』がベースである。
ソードを語る
「VOiCE」
をはじめ、多くの社員を登場
同レポートの特徴は、安全や安心を支えるJAL
させることで、親近感が湧くような構成としている。
グループの取り組みを現場の各担当者が伝えること
『JAL REPORT』
の作成方法
で、
“JALらしさ”といったグループ全体のブラン
ド価値を発信していることだ。
同レポートの作成には、コミュニケーション本部
2015年度版までは、レポート全体で一体感のあ
と財務経理本部といった、レポートを所管する主管
るストーリーが十分に描けていなかった。また、グ
部門をはじめ、主要部門と関連部門の3つのグルー
ループとしての発信もより強化する必要があった。
プに分けて取り組んだ。主要部門は、安全推進本
そこで、2016年度版は、作成に当たり、社内やC
部、人財本部、経営企画本部などの同グループの事
SR
(企業の社会的責任)担当者、投資家などに幅広
業を総括する部門が中心だ。また、関連部門は、運
くヒアリングした上で、同レポートの在り方につい
航本部、客室本部、間接部門などの現場の担当者が
て再検討するところから始めた。
活躍する部門を中心とした幅広い顔ぶれで構成され
特に重視したのが、中長期的な成長の可能性を読
ている。
み手に感じてもらうストーリーづくりである。決算
3つのグループに分けて取り組む目的は、“JA
や有価証券報告書は、過去の情報に限定される。そ
Lグループとして”どのような価値をステークホル
のため、同レポートでは、本当に持続可能な成長が
ダーに伝えるのかを全体構成、個別のコンテンツで
実現できるのかといった、読み手に未来を感じさせ
仔細かつ効率的に検討するためだ。まずは、主管部
る内容で構成することを基本的な枠組みとした。
門と主要部門によるワーキンググループで、企画段
例えば、「JALグループの価値創造サイクル」で
階から全体のコンセプトを検討する。その後、関係
は、事業活動の基盤となるJALフィロソフィや部
する役員とも共有、議論しながら得られたコンセプ
門別採算制度の関係性を明確に示し、それに基づい
トから、関連部門は実際の作成を進める。役員や関
て行われる事業の取り組みや戦略の背景は、「CF
係者を巻き込んだ打ち合わせをすることで、より経
Oメッセージ」や担当役員の「Message」で語られる。
営や各部門の思いを伝えられる構成を目指した。
数字の裏に隠された思いを伝えることで、全ての取
また、
『JAL REPORT』とは別に、社外報として
り組みが将来の企業価値にどのように繋がっていく
年2回発行される
『明日の翼』
がある。同レポートと
のかをストーリー性を持って伝えている。
の違いは、対象となるステークホルダーと掲載する
読み手に深い理解を促すために、レポートの体裁
コンテンツの内容だ。
『JAL REPORT』の対象は全
も工夫している。表紙にはファーストクラスの写真
てのステークホルダーとしているが、
『明日の翼』
で
を使い、座席の2つの窓で財務とCSR・CSVを
は、行政、政治家、地方自治体といった有識者が中
表現し、財務情報と非財務情報の融合を視覚的に訴
心である。コンテンツは、社外の第三者との対話や
えている。表紙をめくると社長が出迎え、読み進
インタビューなどの非財務情報を中心に、客観的な
めると、客室乗務員が同グループの概要を紹介し、
評価を交えてグループの今の取り組みを伝えている。
データで財務状況や安全性などを示した後に、トップ
今後は、海外の投資家を意識し、さらにグローバ
メッセージで経営基盤の核心に触れるという流れだ。
ルな視点を取り入れた内容を検討していく考えだ。
さらに、ステークホルダーが統合報告書をどのよ
うに読んでいるのかという実態も意識している。冒
k
(文:国内広報部主任研究員 守谷ちあき)
2016年11月号〔経済広報〕
15
トップが考えるダイアローグ・マネジメントの新潮流④
日本企業のインターナル・コミュニケーション
進化が求められる広報の役割
柴 山 慎 一(しばやま・しんいち)
NRIみらい(株) 社長/事業構想大学院大学 客員教授
経営理念の浸透に、経営トップのリーダーシップ
社員全員PRパーソン時代に
求められるIC
が深く関わること(9月号を参照)、社員参加型の継
続的な仕組みが大切であること(10月号を参照)に
ついて、前号と前々号で確認した。バーナードが
一方、イントラネットの定着によって、組織内の
「経営の機能の第一は、コミュニケーションシステ
コミュニケーション構造は大きく変化しており、公
ムを発展させること」と提示したように、インター
式な組織ルートでの情報共有だけでなく、非公式な
ナル・コミュニケーション(以下、IC)における経
属人ルートでの情報共有の比重が高まっている。こ
営トップの役割は、その中核に位置づけられている
こにおいては、ヒエラルキー型からネットワーク型
ことは間違いない。今号では、中核となる経営トッ
へと、組織内での情報の流通構造に変化が見られ、
プの役割を受け、広報にはその役割の進化が求めら
個人の役割が大きくなっている。
れている、という現実について提示してみたい。
ICの進化はトップダウンと
ボトムアップの好循環による
ング・サービス)に代表されるソーシャルメディア
の台頭により、社員一人ひとりが当たり前のように
日常的に情報を発信しており、今や社員全員が「会
ICが有効に機能し、経営理念の浸透が進んでい
社のPRパーソン」になれる位置にいる。そんな中
る企業においては、貴重な経営資源である「トップ
で、会社が社内外に発信していることを正しく共有
の時間」というリソースを大量に投入し、「認知的文
し、会社に対するロイヤルティを高め、ICによっ
化」だけでなく「情緒的文化」までをも浸透させよう
て経営理念を自分ごと化することが求められてい
としている事例が確認された(9月号を参照)。ま
る。
た、途方もないくらいたくさんの社員の時間と労力
さらに、IC活動そのものにおいて、イントラ
が注入されることで経営理念が自分ごととなり、共
ネットやSNSを活用しているケースも増えてい
有から実践にまで繋がっている事例も確認された
る。旭硝子では、直接的な対話の補完としてウェブ
社内報を位置づけており、NTTデータでは、ボト
(10月号を参照)。
経営トップの深い関与によって多くの社員の参画
ムアップで作った社内SNSがICに活用されて
が促され、経営理念の浸透が進む。また、社員の参
いる。オムロンでは、グローバルで共有されたイン
画が広がれば、それをリードする経営トップの役割
は一層重要になっていく。このようなトップダウン
とボトムアップの好循環の“せめぎ合い”が成立する
ことでICは進化していく。
経営トップの関与
好循環
多くの社員の参画
16
また、最近のSNS
(ソーシャル・ネットワーキ
〔経済広報〕2016年11月号
I C の進化
■経営理念に共通して見られる言葉
今回ケーススタディした7社*の経営理念に幾
つかの共通している言葉が見られた。顧客に対
するものとしては、
「誠実」
「信頼」
という言葉が、
社員に対するものとしては、
「挑戦」
「革新」
「先見」
という言葉が多く使われていた。
(
)
*今回ケーススタディした7社
旭硝子、伊藤忠商事、NTTデータ、西武ホール
ディングス、大阪ガス、オムロン、ブラザー工業
■中核となる経営トップの役割の大きさ
今回ケーススタディした7社において、社長
(含む経験者)ヒアリングが実施できた複数社で、
その発言上での表現が常に「私」で始まっていた。
一方、それ以外では、
「彼(つまり社長)」で始まっ
ていた。
「私」を主語にして語ってくれたケースで
は、社長自身の自己完結性、当事者意識の強さ
や自分ごと感が前面に感じられ、その内容にも迫
力があった。まさに、
「ICは経営トップの仕事」
という事実がここでも確認できた。
念であるグループビジョンを実践する取り組みの表
彰イベントにおいて、参加した社員に対して「君た
ちは、これから職場に帰ってから、ぜひグループビ
ジョンの“宣教師”になってもらいたい」と述べてい
る。
NTTデータでは、部課長が受信者としてビジョ
ンを受け止めていた段階では他人ごとのようであっ
たが、発信者として部下にビジョンを説明する段階
になって初めて自分ごと化されたという。自分の言
葉で自社のビジョンを発信することを通じて、初め
トラネットに加えて、衛星テレビなども活用し、メ
て腹落ちし、自分ごと化することがここに確認され
ディアミックスでのICが機能している。
た。これこそがICの成果といえよう。
このような環境の変化の下、社員一人ひとりがP
経営理念を浸透させ、実践させていくプロセスで
Rパーソンになり得る立ち位置にいることから、従
は、広報部門に限らずICに対する良き理解者、い
来以上にICによる社員の一体感の醸成やエンゲー
わゆる
「アンバサダー」
を多く生み出す仕掛けも重要
ジメントの向上が求められている。
である。これは、ソーシャルメディア時代の社員全
広報の役割は進化していく
員PRパーソン化とも相まって、今後の社員に求め
られる役割のひとつとなっていくであろう。また、
ICは経営トップの仕事であるが故に、広報部門
グローバル化の進展、アウトソーシングの定着、さ
だけに閉じた仕事では成り立たない。企画部門、人
らにはダイバーシティの進展に伴い、ICの領域で
事部門、研修部門、情報システム部門などを横断し
捉えた対象者、すなわち内部者の境界線も拡張して
た横串の役割が求められている(9月号を参照)。広
きている。いわゆる
「うち」
とはどこまでかという捉
報部門のほかの仕事でも同じことがいえるが、特
え方も揺らいできている。
に、ICの領域から見た広報機能には、伝統的な広
このような変化の下、求められている「広報の機
報部門の枠組みを超えたものが求められている。
「社
能」に適合するよう、組織としての広報部門には、
内広報=社内報+イントラネット」というような狭
より一層の進化が期待されている。今回の7社の事
い役割設定では時代の変化に取り残されてしまう。
例研究からも、ICは経営トップの直属スタッフに
オムロンでは、グローバルで展開しているICイ
とって最も重要な仕事のひとつであることが確認で
ベントTOGA(10月号を参照)をコーポレートコ
きた。広報部門は、経営トップと共に、縦割りにな
ミュニケーション部、グローバル人事部、グローバ
りがちな本社の各部門間の横串機能を果たして、I
ル総務部、経営戦略部、CSR部などの合同体で推
Cの成果を高めていく必要がある。ここにおいて
進しており、伝統的な広報部門を超えた組織が、経
は、経営トップのリーダーシップをうまく引き出し
営トップ直轄のチームとして機能している。このよ
ながら、ICへのコミットメントを高めてもらうこ
うな経営トップに伴走する横串チームのリードの下
とが求められている。ICへの取り組みが真剣にな
で、
「企業理念の実践」が進められている。
ればなるほど、広報の役割はますます進化していく
広報部門は、社内に情報を伝達することから、経
はずである。
営トップに伴走し、経営理念に関わる情報を共有・
浸透させ、実践させる「プロセス」を展開していく方
本研究は、まだスタートしたばかりである。今後
向に進化していかなければならない。つまり、IC
もICを切り口にした広報の在るべき姿についての
を切り口にして、情報の流通プロセスやコミュニ
ワークショップなども計画している。これらの研究
ケーション構造の変革、会社の仕組みや構造の変
活動によって、ICに関わる施策や手法の開発な
革、さらにはこれらの前向きな変化を促す働き方の
ど、日本企業のICのレベルアップ、広報のレベル
改革や人事政策の改革などに主体的に関与していく
アップに寄与していきたいと考えている。ご関心の
ことも必要となっている。
ある企業には、ぜひ本研究にご参加、ご協力いただ
西武ホールディングスの後藤高志社長は、経営理
きたい。
k
2016年11月号〔経済広報〕
17
企業広報研究
採用に効くコーポレートPR
~「ストーリー」
「人」
「制度」
に注力を~
太 田 滋(おおた・しげる)
ビルコム
(株)
代表取締役兼CEO
新卒者に選ばれる企業になるために
会社が求めている人材の確保に向け、広報部門だ
からこそできることがあります。それが、
“人材採用
何に関心を持っているかは、新卒学生や転職希望
者が就職先企業を決めた理由から見ていきましょ
う。ここに、新卒学生や転職希望者の関心に応える
情報はどのようなものかが表れています。
を意識したコーポレートPR”です。具体的に何を
新卒学生の心に響く情報とは
すればいいのか、長年戦略PRを実践してきた経験
をもとにポイントを紹介していきましょう。
目指すべきは、
「選ばれる企業」になることです。
新卒学生にとっても転職希望者にとっても、今は売
た理由」
として上位に挙がるのは、
「社会貢献度が高
り手市場ですから、入社志望の企業数はそう多くは
い」
「職場の雰囲気が良い」
「仕事内容が魅力的」
「将来
ありません。企業へのエントリー数も減少傾向が見
性がある」
「福利厚生が充実している」
などの項目で
られます。そうした求職者の限られた選択肢に入り
す。そのため、企業や事業の社会貢献度、職場の雰
込むには、自社の採用サイトを訪れてもらう前の段
囲気などの情報を伝えることが求められます。
階から、企業として認知してもらったり、良いイ
メージを持ってもらうことが欠かせません。
情報の出し方にも注意を払ってください。例え
ば、社会貢献度や将来性のようなビジネスの魅力
そこで、採用サイトを訪れてもらう前段階のコ
は、事業内容が淡々と紹介されている記事からは伝
ミュニケーションが必要になります。活用するの
わりません。インタビュー記事として、社長にス
は、マスメディアや個人のSNS(ソーシャル・
トーリーの中で語ってもらうべきでしょう。職場の
ネットワーキング・サービス)など第三者のメディ
雰囲気や仕事内容なら、現場で活躍している社員の
アです。自社のことを、これらのメディアに取り上
インタビュー記事を通して伝えていくのが有効で
げてもらいシェアしてもらうことで、「ファンづく
す。福利厚生では、独自制度が重要になります。基
り」
を進めていくわけです。
本施策を総花的にそろえていてもメディアには取り
とは言え、採用を前提にしている以上、やみくも
にファンを増やそうとするのではなく、自社が求め
ている人材にファンになってもらうことが重要で
す。
“採用に効くファンづくり”の第一歩は、必要な
人材はどのような人で、何に関心を持っているかを
明確に意識することです。
広報部門の場合、多様なステークホルダーを見据
えて社会とコミュニケーションを取ります。普段
18
まず、新卒学生です。
「 キャリタス就活2017学生
モニター調査結果」
によれば、
「就職決定企業に決め
上げてもらえませんし、新卒学生の心にも響きませ
ん。
転職希望者の興味をそそる情報とは
次に転職希望者ではどうでしょう。転職サービス
「DODA
(デューダ)
」
の
「転職理由についての調査」
によれば、転職の際に重視することは「仕事内容」
「年収」
「労働時間・休日数」
をはじめ、
「やりがい」
「待
は、広くあまねくファンづくりに努めるのが仕事で
遇・福利厚生」「勤務地」などが上位に挙がります。
すから、求める人材のターゲティングには不慣れか
新卒学生の回答に比べると、かなり現実的です。労
もしれません。それを担当するのは、むしろ人事部
働時間や年収、勤務地の情報は、具体的な内容を明
門でしょう。双方が連携することによって、求める
確に伝えるほかないでしょう。希望の仕事内容であ
人材像を共有できるはずです。
る点、やりがいを感じられる点も決め手になってい
〔経済広報〕2016年11月号
企業広報研究
ることからすると、そうした希望がかなえられて、
る必要があります。挑戦心の強い人材を求めている
今、実際にどう感じているかを社員に語ってもらう
なら、社内で誰もがチャレンジしていけるような制
ことも、転職希望者の興味をそそる情報になりそう
度があると好都合です。社内制度として意識されて
です。
いなくても、実際には職場単位でなんらかの取り組
注力すべき3つのポイント
どのような人材にどのような情報を伝えればいい
みを実践していることもあります。まず情報を集
め、活用できそうな取り組みがあれば、その打ち出
し方に工夫を凝らすだけでも十分です。
忘れてならないのは、これらの
「ストーリー」
「人」
かを明確にしたら、次に情報の伝え方にも気を配る
必要があります。注力すべきポイントは3つ。
「ス
トーリー」
「人」
「制度」です。
「制度」
を、最終的にはメディアに取り上げてもらっ
たり、SNSでシェアしてもらったりしなければ意
「ストーリー」は、社会貢献度や将来性の伝え方と
味がないという点です。何よりまず、記事として取
して先ほども触れた点です。企業の考え方や文化
り上げてもらえるようにメディアに働き掛けていく
は、やはり社長の語るストーリーとして伝えるべき
ことが欠かせません。幸い、メディアには人を取り
でしょう。それは当然、求める人材像とも重なり合
上げる企画が数多くあります。そこで取り上げる人
う必要があります。挑戦心の強い人材を求めている
に関する情報も求めています。社員をPRパーソン
企業であれば、どれだけ挑戦的なビジネスを展開し
に仕立てる一方で、そうした企画の切り口を把握
てきたかというストーリーを語るのが有効です。
し、それに見合うPRパーソンの情報を常に発信し
「人」の見せ方にも工夫しましょう。就職みらい研
究所の
『就職白書2016』によれば、「企業を選ぶのに
ておくと、取り上げてもらえる可能性は確実に高ま
ります。
最も重視するのは?」という問いに対して「一緒に働
「ストーリー」
「人」
「制度」
を、記事型のコンテンツ
きたいと思える人がいるかどうか」と答える割合が、
としてオウンドメディアへ掲載するのも有効な手法
就職先企業を決める段階で、それ以前に比べ著しく
です。そのコンテンツを、求める人材像に興味を
増えるといいます。
「人」は重要な要素だけに、見せ
持ってもらえるような内容に仕上げられれば、採用
方、伝え方にはひとひねりが欠かせません。
期間外でも読者を呼び込むことが可能であり、企業
具体的には、社員をPRパーソンに仕立てるのも
のファンづくりを促進することができます。また、
一案です。例えば、子育てをしながら事業部長に昇
企業の想いや仕事内容の魅力を伝えるのに最適な動
格した女性社員を、「働くママ」としてメディアに取
画の活用も効果的です。
ワコールが運営する
「WACOAL BODY BOOK」
り上げてもらうように努めます。自社が求める人材
像に、メディアが取り上げやすいテーマを重ね合わ
というメディアでは、
「商品づくりの現場から」
と題
せるわけです。
して話題の商品の開発秘話を紹介、
「美の流儀」
では
「制度」は上手に活用すべきPRコンテンツです。
美に関心の高い方が興味を持つコンテンツをインタ
ただ独自性があって面白かったとしても、それだけ
ビュー記事として発信しています。単なる新商品の
ではメディアに底の浅さを見抜かれてしまいます。
発売情報ではなく、新商品の開発秘話を発信するこ
背景にある考え方や制度の効果などの実績も、併せ
とや、求める人材像が興味を持つ情報の発信によ
て発信していくことが大切です。
り、会社にとって身近なファンである社員が「個人
例えば、サイバーエージェントは女性社員が出
産・育児を経ても働き続けられる職場環境を目指
として」面白いと感じるコンテンツであれば、SN
Sでも自然と広がっていきます。
し、
「macalon(マカロン)パッケージ」と呼ぶ仕組み
最後に
を用意しています。その中の一つひとつの制度は、
ほかの会社にもありそうなものですが、会社の考え
広報部門は日ごろ、
「メディアが今、取り上げたく
方がよく伝わるようにパッケージ仕立てにしている
なる切り口」とはどのようなものかを肌で感じ取っ
点が工夫のポイントです。ネーミングにも、「ママ
ています。採用に向けたコーポレートPR活動に取
(mama)がサイバーエージェント(CA)で長く(long)
り組む中でその持ち味を発揮し、まずは多くのファ
働く」という想いが込められています。
ここでもやはり、求める人材像との一致に気を配
ンを獲得できるようになることを願っています。 k
2016年11月号〔経済広報〕
19
調査から見る日本企業の広報力2016
vol.3
戦略構築力
広報の“核”となる「戦略構築力」
社の経営課題・広報課題を洞察し、組織的に共有す
第3回となる今回は、「戦略構築力」について取り
る
「情報分析力」
の2つの能力が重要になる。それら
上げる。
「戦略構築力」とは、「経営課題に対応する広
を活用し、SWOT分析などで、自社の強みや弱み
報戦略の構築と、ステークホルダー別の目標管理、
を把握した上で、広報戦略を立案しなければならな
見直しを組織的に実行する能力」のことである。前
い。広報戦略の立案には、経営戦略の立案と同様の
号で取り上げた「情報収集力」が広報の土台であるの
アプローチが有効となるため、SWOT分析以外に
に対し、戦略構築力は広報の核といえる。昨年発
もPEST分析(注)のフレームワークを活用するの
刊した拙著『戦略思考の広報マネジメント』(日経B
もよい。様々なフレームワークを駆使し、自社の業
Pコンサルティング)で、広報とは経営だ、と述べ
界におけるポジショニングを明確にし、経営戦略と
させていただいたが、戦略構築力において研究者、
リンクして、どのようなメッセージを、どのような
メディア、広報実務家という専門家に重視された
ターゲットに発信するのか、つまり、誰に何を伝え
のは、1位
「広報戦略は、経営戦略とリンクしてい
るのかを明確にした広報活動を展開していくことが
る」
、2位「中・長期的広報戦略・広報計画を作成し
求められる。その上で、一度限りの広報活動に終わ
ている」と、主に経営にリンクする項目となった。
らせず、ステークホルダー別に適切な目標を設定し
すぐに効果が得られる広告・宣伝活動に比べ、効
て、定期的に達成状況を確認し、必要に応じて修正
果を得るのに時間がかかる広報活動では、経営にリ
していくことで継続的で戦略的な広報が実行できる
ンクした中・長期的な広報戦略が必要。組織内でな
のである。
いがしろにされがちな広報部門だが、実は経営戦略
広報責任者は、経営とリンクした戦略を持って、
と直結する非常に重要な機能なのだ。では、どうす
広報活動ができているだろうか。戦略のない広報
れば戦略構築力は高められるのだろうか。
は、一時的には効果を得られることがあったとして
重要度が高まる広報活動の戦略性
も、継続的に効果を出し続けることはできない。
「今
広報の戦略構築力を高めるためには、前号で取り
上げた「情報収集力」と、収集した情報に基づいて自
後強化したい活動」として、該当する取り組みが上
位に選ばれるなど注目が集まっている
「戦略構築力」
■図 広報担当者に聞いた、今後強化したい活動
(図参照)。企業活動や市
場環境が複雑化し広告・
宣伝活動の効果が得られ
にくくなる今こそ、戦略
的な広報の“核”となる
「戦
略構築力」がますます重
要になるだろう。
k
(注)
:PEST分析:Politics( 政治)
、
Economics(経済)、Society
(社会)、Technology
(技術)
という企業を取り巻く4つ
のマクロな外部環境を分析
するフレームワーク
(企業広報戦略研究所
(
(株)
電通パブリック
※東証一部・二部、東証マザーズ、ジャスダック、札証、名証、福証に株式上場している企業の広報担当者
に調査し、533社から有効回答を得た。
(広告・PR業他社は除く)
20
〔経済広報〕2016年11月号
リレーションズ内)
主任研究員 萬石隼斗)
C o r p o r a t e m e s s a g e
コーポレートメッセージ
手形・振込みに代わる
新たな決済手段を提供する
(株)
全銀電子債権ネットワーク
「でんさい」――(株)全銀電子債権ネットワーク(全国銀行協会の100%出資子会社)が提供する電子記録
債権の略称で、企業、特に中小企業の資金調達を円滑にするために、2013年にスタートした仕組みである。
この仕組みを支えているのが、同社(通称「でんさいネット」)である。
「でんさい」は、従来の債権が抱える課題
を克服した新しい決済手段であり、手形や振込みに代わる新たな決済手段として「でんさい」を提供するのが、
「でんさいネット」の社会的役割なのである。
このページでは、企業の「コーポレートメッ
セージ」や「コーポレートステートメント」など、
事業活動を行う上で大切にしている想いやストー
リーについて紹介します。
資金繰りを楽にする
「でんさい」
「でんさい」
を活用することで、従来の債権よりも
有効に資金を活用することができ、資金繰りを楽に
することができるのである。
「でんさい」は簡単に利用できる
資金繰りは、企業、特に中小企業にとって事業を
「でんさい」
は、取引金融機関に申し込めば、一定
行っていく上で最大の課題である。決済手段を「で
の確認
(審査)
を経て、利用できるようになる。
「でん
んさい」にすることによって、資金繰りを楽にする
さい」を取り扱う金融機関は、都銀、地銀、信託、
ことができる。
信用金庫、信用組合、農漁協系統金融機関、商工中
例えば、売掛金など、これまで資金繰りのために
利用が難しかった債権も、「でんさい」であれば、支
金など多岐にわたっており、普段利用している金融
機関から利用できるので、問い合わせてみよう。
払期日の前であっても、ほかの事業者への譲渡、金
「でんさい」
の利用方法は金融機関によって異なる
融機関への割引依頼などが可能になり、無駄なく有
が、インターネットバンキングを活用して行うこと
効に活用することができる。
がひとつの方法だ。ITはどうも苦手だという事業
同じような仕組みとして手形があるが、「でんさ
い」は、手形とは違って、金額を分割して譲渡した
り、割引したりすることができるし、支払期日にな
者には、書面による方法を提供している金融機関も
ある。
「でんさい」
は簡単に利用できるのである。
k
ると取引先金融機関の口座に自動的に入金されるの
で、支払期日当日から
資金を有効に活用する
ことができる。また、
手形のように保管の必
要はなく、紛失や盗難
の恐れはない、印紙税
もかからない、という
メリットもある。
(国内広報部主任研究員 平澤 徹)
2016年11月号〔経済広報〕
21
7月27日~9月27日
NEWS
7
/
28
「第116回事業企画委員
(委員長:深澤 徹 東レ
会」
1~5日の日程で、「日
本企業のイノベーション
常務取締役)を開催し、米国企業
~長寿企業の挑戦と企業理念~」
広報調査ミッションの派遣、中国
をテーマに、
「中国青年報・中国高
人大学生招聘プログラムの実施、
校伝媒聯盟所属大学生招聘プログ
上海スタディ・ミッションの派遣
ラム」を実施した。中国青年報社
の3件を検討し、了承された。ま
の曹
広報実務の実践的な演
た、第32回「企業広報賞」
の選考結
媒聯盟 執行秘書長ら8名が、鹿
習と他社の広報部員との
果、2016年度教員の民間企業研修
島建設、日本航空、ヤマトホール
交流を目的とした第1回「広報実
の実施、SNS( L I N E、Twitter)
ディングス、凸版印刷、三越伊勢
務 担 当 者 向 け 実 践 フ ォ ー ラ ム・
を活用した広報・PRに関する講
丹ホールディングスを訪問し、4
交流会」を開催した。講師はハー
演会の開催など6件を報告した。
日には、中国青年報記者による講
Keizai Koho Center News
7
/
27
嵐寛代表取締役。講演
「プレスリ
リースの書き方」
では、リリースの
体育部主任/中国高校伝
演会
「中国の若者の行動変化と中
バーコミュニケーションズの五十
7
/
29
「危機対応広報のための
準備と実際」をテーマに、
国市場の展望」を開催した。参加
者は90名。
三要素や、使いたい文章テクニッ
「企業広報講座(第3回大阪会場)
」
クなど、効果的なプレスリリース
を開催した。講師はウェーバー・
の作成方法について説明があっ
シャンドウィックの塩谷斉代表取
8
/
2
た。演習では、参加者はグループ
締役。塩谷氏は、危機対応の流れ
で「企業と生活者懇談会」を開催
に分かれ、各自が作成した見出し
を説明し、緊急時には速やかに緊
し、社会広聴会員9名が参加し
とリードを討議し、講師が講評し
急対策本部を設置することが重要
た。こまつの杜では、創業当時の
た。参加者は60名。
であると述べた。緊急対策本部は
建設機械を見学し、世界最大級の
事実関係を時系列に沿って一元的
930Eダンプトラックが海外から
上智大学で「企業人派遣
に管理し、謝罪会見では一貫した
小松市に運ばれてくる様子を3D
(テー
講 座 」を 実 施 し た。
スタンスを徹底するとともに、今
映像で視聴した後、実際に試乗し
マ:
「日本の産業とイノベーショ
後どのように責任を果たしていく
た。続いて、コマツ粟津工場でバ
ン~試験」、講師:蓬田 守弘 上
のかを明確に訴えることが重要で
イオマス発電や多品種小ロット生
智大学 経済学部教授)
あると主張した。参加者は28名。
産のラインを見学し、環境性能と
7
/
27
22
8
/
1
〔経済広報〕2016年11月号
コ マ ツ の こ ま つ の 杜、
粟津工場
(石川県小松市)
生産性を併せ持った先進的な取り
長。参加者は75名。
組みについて学んだ。
9
/
20
「第117回事業企画委員
会」(委員長:深澤 徹 東
じて地域の発展や社会の課題解決
9
/
15
ケーションプラザ、オム
識者・ジャーナリストなどとの交
に貢献する取り組み、女性の活躍
ロン京都太陽(京都府京都市)で
流事業に関する考え方について検
推進や
「コマツウェイ」を通じた人
「企業と生活者懇談会」を開催し、
討 し、 了 承 さ れ た。 ま た、2016
材育成について、活発な議論を通
生活者18名が参加した。コミュニ
年度企業人派遣講座(後期・秋学
じて理解を深めた。
ケーションプラザでは、映像や商
期)の内容、2016年度社会広聴活
品からオムロンの歴史を学び、社
動
「企業と生活者懇談会」
「生活者
会・生活・産業における課題を解
の 企 業 施 設 見 学 会 」の 上 半 期 開
決する最新技術を体験した。
催、第37回北米社会科教育関係
また、懇談では、事業活動を通
8
/
9
日本経済新聞に「企業広
報大賞は三菱商事」と題す
る
を掲載した。
「意見広告」
オムロンのコミュニ
レ常務取締役)を開催し、海外の
その後、創業30周年を迎えた日
者招聘プログラムの実施、外国
本初の福祉工場「オムロン京都太
ジャーナリストとの懇談会 FCCJ/
生活者の災害への備えや
陽」を訪問した。工場では、作業
KKC Roundtable“Japan Business
対応、企業に期待する災害
環境の改善や治工具・補助機器の
Update”の準備状況など6件を報
への対応などについて意識・実態
導入を進め、知恵を結集して、他
告した。
調査を行い、その結果を取りまと
にはない独創的なものづくりの方
め、
『災害への備えと対応に関する
法を生み出す様子を見学し、ダイ
意識・実態調査報告書』を発行し
バーシティへの取り組みなどにつ
9
/
26
た。
(詳細は、本誌9月号を参照)
いて理解を深めた。
派遣した。米国シアトルでスター
8
/
23
26日~ 10月1日の日程
で、
「米国企業広報調査」を
バックス、ボーイング、マイクロ
経 団 連 会 館 で「 第32回
9
/
『
企
業 広 報 賞 』表 彰 式・
6
9
/
15
「新聞記者の攻略法&中
ソフトなどを訪問し、グローバル
日新聞の関心事」をテーマ
企業のインターナルコミュニケー
パーティ」を開催し、受賞企業・
に「企業広報講座(第2回名古屋会
ションのトレンドや企業の具体的
受賞者のほか、会員企業や報道関
場)」を開催した。講師は、中日新
な取り組みを調査した。調査内容
係者など約250名が参加した。
(詳
聞社の林浩樹経済部長。林氏は、
は、今後、本誌に掲載し、詳細を
細は、本誌2ページを参照)
新聞記者の特性、中日新聞社経済
取りまとめた報告書を発行する。
部の体制、記者が考える良い広
9
/
8
日 本 経 済 新 聞 に「 経 営
報・悪い広報、経済部の担当面の
トップによる働き方改革
特徴、最近の関心事などを説明し
9
/
27
宣言」と題する
「意見広告」を掲載
た。また、
「広報部は、自社の組織
( テー
業人派遣講座」を実施した。
した。
や現場に詳しく、トップの考え方
マ:
「21世 紀 の 企 業 の 挑 戦 ~ ブ
や人間性についてもよく理解して
ロードバンド時代のビジネス戦略
9
/
9『如何に攻め、如何に守る
いることが望ましい。消費者やメ
~ガイダンス」
、講師:小澤 太郎
ディアを意識したスタンスを持っ
慶應義塾大学 総合政策学部教授)
か』
」をテーマに、
「企業広報講座
て対応ができると、記者からの安
(第3回東京会場)
」を開催した。
心感や信頼感へと繋がる」と述べ
「戦略的広報について
講師は、クレアブの土井正己社
た。参加者は20名。
慶應義塾大学総合政策
学部・環境情報学部で「企
k
(国内広報部 鈴木陽子)
2016年11月号〔経済広報〕
23
経済広報センター活動報告
ポケットサイズの英文国際比較統計集を発行
―Japan and the World 2016/17―
経済広報センターは10月3日、グローバルなビ
ジネス環境の理解に役立つ重要データを網羅し、わ
記参照)
。
が国と主要国とを比較した英文統計ポケットガイド
ポケットガイドでは、経済政策などに関して、昨
『Japan and the World 2016/17: A Pocket Guide in
今、注目を集めるデータも収録した。例えば、女
Figures』を発行した。当センターでは、これまでも
性の活躍推進に関連し、主要国の年齢・性別雇用
英文国際比較統計集を発行していたが、今回は、国
率を掲載した。これによると、2015年の25 ~ 54歳
際的な事業活動や各種調査業務などに、より一層活
の女性の雇用率は、日本が72.7%に対して、米国は
用いただけるよう、内容を刷新した。
70.3%となっている。また、近年、日本企業による
このポケットガイドでは、「経済・金融指標」「人
活発な対外M&A
(企業の合併・買収)
がメディアを
口・労働市場」など5分野全70項目について、日米
賑わせる中でも、金額ベースでは、米国企業の4
中英独韓などの主要国のデータを、原則として過去
割、中国企業
(除く香港)
の8割にとどまるという実
10年にわたり、カラーグラフで掲載した。加えて、
態も紹介している。
各国の具体的な数値を記したデータテーブルを併記
このポケットガイドは、定価1000円(税・送料
するとともに、経済事象についての多角的な理解を
別)で、全国の有名書店、政府刊行物センター、な
促す資料も必要に応じ掲載した。また、目次などに
らびにオンライン書店で近日販売。このほか、直販も
は、日本語訳を一部記載するなど、使い勝手にも配
行っており、3割引きの当センター会員価格(700
慮している。
円、税・送料別)も設定している
(お問い合わせは、
当センター国際広報部
(TEL:03-6741-0031)
、もし
例えば、名目国内総生産(GDP)は、2006年か
ら15年の上記6カ国のデータをドルベースでグラ
フと表で比較するとともに、わが国のGDPについ
■掲載主要項目
第1章 経済・金融指標
Economic and Financial Indicators
GDP関連(規模、成長率、構
成比等)
、国民総所得、鉱工業
生産指数、消費者物価指数、家
計最終消費支出
第2章 人口・労働市場
Population and Labor Markets
人口、出生率、失業率、年齢・
性別雇用率、労働生産性
第3章 貿易・投資
Trade and Investment
経常収支、貿易収支、対内外直
接投資関連、M&A関連
第4章 教育・人的交流
Education and People Exchange
出入国者数、各国留学生数、大
学ランキング
第5章 政府予算・税他
Government Budget, Tax and
Other Data
一般政府支出、財政収支、所得
税率、法人税率、消費税率、外
貨準備高
24
ては、円ベースでも10年分のデータを記載した(下
〔経済広報〕2016年11月号
■グラフ
くはホームページ
(http://www.kkc.or.jp/)
まで)
。 k
(文責:国際広報部主任研究員 別所達也)
企業広報ニュース
住友生命保険相互会社は、全国のビジネスパーソンを対象に実施したアンケート「ビジネス
広 報
パーソンと“ネットワーク”」の結果を発表した。このアンケートの目的はビジネスパーソンの
トピックス
“ネットワーク”をテーマに、その実態や意識を把握することにある。全国のビジネスパーソン
ビジネスパーソンは
社内の人脈を重視
(男性500名、女性500名)を対象に、20代および30代から男女各150名、40代および50代から
各100名の回答を得た。
調査結果から、最も大切にしているネットワークは、
「社内の人達」が39.0%で1位であり、
社内の人脈を重視していることが分かった。若年層ほど社内の人脈重視の傾向が強い。2位、
3位は「同じ趣味を持つ人達」(18.0%)
、
「SNSなどインターネットでのみ通じている人達」
(14.2%)と私的なネットワークが占めたが、
「社内の人脈」
の半分以下の割合であった。
また、「あなたが持っているネットワークはどれか」
の質問でも、同僚・上司・部下や他部門
など「社内の人達」とのネットワークが60.7%で1位であった。20年前の調査では1位は同じで、
2位は「社外の異業種の人達(同窓・同郷を含む)
」であったが、今回は
「同じ趣味を持つ人達」
「SNSなどインターネットでのみ通じている人達」
に次いで4位と急落している。
さらに、ネットワークの今後については、「今のままで十分」が61.4%と圧倒的な割合を占め
た。一方、20年前の調査で73.4%を占めた「拡大」または「新たに参加・開拓したい」層は今回
31.1%と大幅な減少を示し、“拡大・成長”よりも“今を守る”意識が強くなったと考えられる。
k
(国内広報部主任研究員 磯部 勤)
Book
『
できる
マーケ
Instagram
』
写真1枚で 欲
「しい を」 引き出す技術
の新法則
ティング
100
世 界 中 に 4 億 人 の ユ ー ザ ー を 抱 え るInstagramは、 画 像
や動画の非言語メディアによるグローバルなコミュニケー
ションの場である一方、広告媒体の側面を持つ新しいSNS
(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)だ。
同書は、FacebookやTwitterなどの従来のSNSとは異なる
文化を持つInstagramユーザーを理解し、SNSの中での位
置付けから効果的な写真の使い方、ユーザーとの繋がり方、
Instagram広告の使い方まで、事例を交えて「100の新法則」を
紹介している。
第1章では、Instagramユーザーの特性や価値観を踏まえた
マーケティング活動について解説している。中でも、「タレン
ト、モデルタイプ」 「テーマ特化タイプ」 「作家タイプ」 「写真家
タイプ」といった4タイプのインフルエンサーの特徴と影響
度合いを知った上で、行動に導くAISAS(認知→興味→ (株)オプト
(山田智恵、小川
検索→行動→共有)モデルを活用することが重要だという。
由衣、石井リナ)
、できるシ
第3章では、写真の投稿を通じたキャンペーンを事例に、 リーズ編集部 著、インプレス
ユーザーの認知効果や拡散効果を活用し、ユーザーを巻き込 2016年3月発行、
む方法を紹介している。キャンペーンの効果測定に基づき、 2000円
(税別)
ユーザーとのコミュニケーションの取り方を見直すことで、
好意的で活動的なユーザーとの繋がりを築くことが可能だという。
そのほか、指標に基づく効果測定方法や自社ブランドの認知・イメージの向上を確認す
る調査方法、Instagramの写真をほかのSNSや自社のホームページなどで活用する手法、
Instagram広告での成果の出し方などのノウハウが満載の一冊だ。
k
(国内広報部主任研究員 守谷ちあき)
2016年11月号〔経済広報〕
25
2016
11
第32回
「企業広報賞」
表彰式・パーティを開催
(一財)経済広報センター
お問い合わせ先
HP
(一財)経済広報センター 国内広報部
TEL:03-6741-0021
http://www.kkc.or.jp/plaza/award/
http://www.kkc.or.jp/
平成
昭和
年 月 日発行
(毎月 回 日発行)
第
年 月 日第 種郵便物認可
55 28
10 11
23 1
3
1
1
りそなホールディングス・東和浩 取締役兼代表執行役社長に代
わり、トロフィーを贈呈される菅哲哉 取締役兼代表執行役
38
巻第
トロフィーを贈呈される三越伊勢丹ホールディングス・大西洋
代表取締役社長執行役員
号通巻
11
彰式・パーティを9月6日、経団連会館で開催し
大賞」を受賞した三菱商事の垣内威彦社長は、変わ
た。
「企業広報賞」は優れた企業広報を実践している
らない価値観の軸として
「三綱領」
に触れ、新入社員
企業ならびに個人の表彰を通じ、企業広報の発展を
から役員に至るまで、社会的責任を果たしていくと
願って、1984年に創設された。創設当時は、受賞
いう企業理念が社内に浸透していると語り、東日本
により、企業内での広報担当のプレゼンスを高めて
大震災後から現在まで継続して行っている復興支援
もらう目的もあった。
活動を説明した。
「企業広報経営者賞」を受賞した三
表彰式は、当センターの榊原定征会長の挨拶の
越伊勢丹ホールディングスの大西洋社長は、百貨店
後、受賞者へ表彰状、トロフィーの贈呈が行われ
業界としてお客さまに直接メッセージを伝えること
た。
が重要であると強調した。また、りそなホールディ
引き続き開催したパーティには、昨年を大きく上
ングスの東和浩社長に代わり、菅哲哉取締役兼代表
回る250人の広報、マスコミ関係者などが出席。選
執行役が挨拶し、同社のポリシーである「開かれた
広報活動」
「誠意ある広報活動」
を通じて、
「りそな」
ブ
ランドを確立していくと述べた。キリンの藤原哲也
氏、ローソンの宮﨑純氏は、自身の今までの広報経
験で大事にしてきたこと、今後の広報活動への抱負
を語った。
本誌『経済広報』では、三菱商事の垣内威彦社長、
三越伊勢丹ホールディングスの大西洋社長、りそな
ホールディングスの東和浩社長へのインタビュー記
事を2017年1月号、2月号に掲載する。
表彰式後に会場を移して開催されたパーティの模様。受賞
者のスピーチと、出席された選考委員の紹介が行われた
発行:一般財団法人 経済広報センター
k
(国内広報部主任研究員 西田大哉)
Printed in Japan
447
発行人/渡辺 良 編集人/佐桑 徹 [ ISSN 0918–4600
]
東京都千代田区大手町一 三
(本体価格三〇〇円+税)
- 二
- 経団連会館 電話〇三 六
- 七四一 〇
- 〇 二 一 〒一〇〇 〇
- 〇〇四 ( 送料別、賛助会員の購読料は会費に含む)
考委員の紹介を行った後、受賞者が挨拶。
「企業広報
号
経済広報センターは、第32回「企業広報賞」の表