2013 年度早稲田大学国際教養学部 (英語) 解答解説

2013 年度早稲田大学国際教養学部 (英語) 解答解説
Ⅰ
解答
設問 (1) 1. Ⅰ
2. C
3. L
4. A
5. K
6. F
7. J
8. D
9. G
設問 (2) A, F, G, J
設問 (3) [1] C
[2] B
[3] E
[4] B
[5] B
[6] E
設問 (4) A
解説
数の数え方の歴史について書かれた文章を素材とする長文読解問題である。総評にも言及した通り、設問(1)
は、パラグラフ毎の論点・主旨を問う2011年度までの‘定番’問題の復活であり、複数年度にわたる過去問演
習を行った受験生には有利に働いたであろう。本問は9つのパラグラフ(以下、パラと略記、¶は段落記号)か
らなる長大な文章である。しかし、全体として平明な文体で書かれており、パラ毎の論旨も比較的つかみやす
い。全体としての難度は標準レベルであり、20~23分を目安に解答したい。
設問(1) 1.¶①の第1・2文より、最古の数字体系が生み出される数千年も前から存在していた tally marks
による数の数え方について論じているパラである。第1・2文にあるMain Ideaを受けて、第3文では2つの具
体的事例が説明されている。従って、Ⅰが正解となる。Main Idea (主論点):《抽象》→ Supporting Details (具
体例などのMain Ideaを支える事柄):《具体》の展開構造になっていることに注意したい。
2.¶②は、第1~3文に示された主論点が、第4文以降で具体化される。大きな数になると数えるのが困難に
なる tally marks による数え方が、ローマ帝国の数字体系において簡便化されたことが述べられている。よっ
て、C が正解となる。
3.¶③では、第6文の But の前後が《対比 / 二項対立》になっていることを読み取ることが必要。ここでは
ローマの数字体系では、足し算・引き算が比較的簡単であるのに対し、掛け算・割り算は困難を生じ実用的で
ないことが書かれている。よって対比・対照のwhileを用いて以上2点を明らかに示している L が正解となる。
4.¶④では、商業や科学の需要に十分に対応できないローマ式の限界を克服するため、より高度な知識と技能
を要する算盤やそろばんのような機器が導入されるに至った経緯が説明されている。従って、A が正解となる。
5.¶⑤の第1・2文がこのパラの主論点である。ここでは、今日我々が用いている数字体系は西暦700年までに
完成したインドの数字体系に起源をもつものであることが述べられている。よって K が正解となる。
6.¶⑥には、1~9 の後に導入されたゼロの概念と位取りに関する利点が述べられており、F がその通りの内容
になっている。
7.¶⑦では、0の発明以前の、バビロニア人の60に基礎を置く数字体系について論じられている。特に 最終文
の冒頭の But に注目できれば、ゼロの概念が存在しなかった彼らのシステムの限界に力点が置かれていること
がわかる。よって J が正解となる。
8.¶⑧は、ヒンドゥーの人々がゼロの概念に到達するまでを2つの段階(two stages)に分けて説明している [第
1文: Main Idea → 第2文以降: Supporting Details の展開]。 従って、その2つの段階の概略も的確に表
現されている D が正解となる。
9.¶⑨には、30歳という若さでゼロの大発見をした数学者 Brahmagupta の功績が詳しく書かれている。彼はそ
の著作の中でゼロという数字がもつ特性をまとめている。よって、G が正解となる。
設問(2)
不一致選択肢を4つ選び出す問題である。A は文末の twelve が、正しくは sixty であり、¶⑦に
矛盾。F は、drawn 以下が¶⑧第2文に矛盾。また、G とJ も、それぞれ¶①(第6文), ¶⑥の説明に矛盾し
ている。よって、解答は A, F, G, J となる。
設問(3) [1]は前文の twenty-nine distinct notches と、女性の受精(排卵)周期が月単位であることを考え
合わせれば C が正解となる。[2] は、ローマ数字が今なお有している特殊な機能に関する具体的説明箇所であ
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る。最終文の 1278 という数の表記の繁雑さについての言及をふまえれば、「印刷された本の最初の方のペー
ジに番号を付ける」という少ない文字数表記が可能な具体例の指摘がふさわしい。よって、B. early が正解と
なる。[3] は、直前の a commission fee (代理手数料) が、同一節内にみえる commerce / trade より商取引
に関するものだとわかるので、「売買・取引」の意味をもつ E の transaction が正解となる。[4] は、both
(
) and mental skills となっており、skills に対して、mental(頭の中で行う)と対比の論理関係に
なる manual(手を使って行う)が正解となる。また、[5] は、¶⑥の第2文以降に具体化されている内容が、
1~9 の後に導入された O (zero) というきわめて重要な役割を担うことになった数字の概念とその位取りに関
する利点なので、パラ第1文が 主論点となるためのふさわしい形容詞として、B の decisive (≒ very
important) しか考えられない。最後に、[6] は、‘ある数にゼロをかける’とゼロにしかならないのだから E
の zero が正解となる。
設問(4) あくまでも本文全体に関する表題 (title) 決定なので、パラグラフレベルの各論的な内容を表すもの
では不正解。全体を通じて論じられている数の表記法や数え方についての比較史を表現している A が正解とな
る。なお、D の The Invention of Zero(ゼロの発明)は最重要論点といえるものだが、それは比較史全体の
中で‘もっとも注目に値する’ものだが、文章全体における一つの具体例にすぎないので表題にはならない。
Ⅱ
解答
設問 (1) 1. B
2. A
3. D
4. A
5. D
設問 (2) 1. B
2. E
3. B
4. C
5. D
設問 (3) 1. B
2. C
3. E
4. A
5. E
6. C
6. B
解説
大問Ⅱに、論説文でなく物語文が採用されたことは、予想外のことであった。論説文では普通お目にかかる
ことのない高難度の英単語が散見されることもあり、読みにくいという印象を受けた者は多かったはずだ。「円
卓の騎士」(アーサー王物語)は、イギリスを中心にヨーロッパ、そして日本でも比較的よく知られた物語で
ある。因果関係が時系列で展開していく筋立てに慣れておくことの重要性を再認識してほしい。なお、物語文
という問題文の性格上、語数も昨年度比で 700 語近く増加している。併せて速読力も必要とされるゆえんであ
る。
設問 (1)
1. ¶1の第2文より、the great abbey (大修道院) は、the edge of a forest にあったことがわ
かるので B が不一致。 2. A のような二人の議論は本文中にないので不一致。3. ¶17 より、Joseph of
Arimathea は、自分の血で盾に十字架を描いたことがわかるので D の with the blood of Jesus Christ が不
一致。 4. ¶8の第4文に、the White Knight の槍が既に攻撃態勢に入っていたと読みとれるので、A の only
raises his weapon が不一致。 5. ¶22第1文より、Galahad の制止を待たずに Melyasは左側の道を選択し進
んで行ったことがわかるので、D の after 以下が不一致。 6. ¶24 より、Galahad が騎士を打ち負かしてお
り、C では勝敗が逆になってしまうので不一致。
設問 (2)
1. ¶8 の第1文 (I know well …)、及び¶9 の第1文 (Your master acted …) の2ヶ所を根拠と
して、King Bagdemagus が闘いに敗れた理由が B だと判断できる。 2. ¶15 の a sunbeam, ¶18 の a beam of
sunshine から、太陽光線にたとえられている人間は the White Knight なので、E が正解となる。 3. ¶25 よ
り、Melyas の敗因は、あえて左側の道を選んだプライドと金の王冠を手にしようという強欲ゆえである。よっ
て B が正解となる。 4. ¶26 の最終文にみえる‘you three Knights of the Round Table’に相当する Galahad,
Sir Percival, Sir Bors de Gannis の3名と、さらに¶1 に登場した King Bagdemagus と Sir Ywain も‘two
other Knights of the Round Table’と表現されているので合計5名である。よって C が正解となる。 5. ¶
26 より Galahad を the secret place へと導くのは、‘Sir Percival my brother’と呼ぶその当人、つまり D
の Sir Percival's sister(=兄にとっての妹)ということになる。
設問 (3) 1. 後続の together in the chapel に注目すれば、下線部 (1) の mass がキリスト教におけるミサ
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(Mass) であることが推測できる。heard mass ≒ attended Mass つまり礼拝に出たという意味になり、B が正
解となる。 2. 盾の由来(どこで作られ、現在に至っているのか)を説明しているくだりと読めるので、made /
manufactured の意味で使われている fashioned (< fashion ≒ make) だと考えられる。3. 下線部の前に for
(理由の for)がある。for の直前の a good example to other knights(他の騎士たちの良いお手本)とほぼ
同義の語句を選ばなければ for による因果関係が成立しないので E が正解となる。 4. 次文より、出くわし
た巡礼者が、2人に進むべき道の選択を迫っていることから、(4) は道が分岐している箇所であることがわか
る。よって A が正解となる。 5. 直後に of the finest white cloth standing empty とあるのだから、その
素材としての cloth(布地)に注目すれば、tent(テント/天幕)を選ぶことは難しくない。 6. room が space
(余地, 余裕)、recount が「~を<詳しく>話す」、つまり tell (of) 相当語なので B が正解となる。
Ⅲ
中心論点抽出型要約は、2011 年度までの大問Ⅲの出題形式と同様である。「少なくとも3点」の論点抽出を求
められている点に注意をして、「天下り」という特殊日本的慣習についての論説文を 130~170 字程度でまとめ
たい。解答目標時間は 15 分。20 分を超えることのない時間で要領よくまとめる事前の過去問演習が大切である。
解答例
「天下り」とは、日本の高級官僚が退職後に民間部門に再就職する、官民の利害が一致して生まれた慣習であ
る。1990 年代以降のいわゆる規制緩和による高級官僚の需要低下が、民間への天下り件数を著しく減少させた
ものの、その一方で、天下りにかかる縛りが弱い公共部門への天下りは相変わらずであり、国民の税金から多
額の退職金が支払われている現実が世論の批判にさらされている。
解説
以下の3点を main points として抽出できるかどうかがカギである。言い換えれば、この3点が簡潔明瞭に表
現されていればよいのであり、それ以上の些末な事象については記述の必要はないとさえいえる。
①「天下り」の定義, ②「天下り」件数の大幅な減少とその理由, ③「天下り」批判の現状 がそれである。
Ⅳ
解答例
I think the most likely cause of this decline is the increased competition for jobs among the college
students. Since the major Japanese companies have been hiring fewer newly graduated college
students, the competition has been getting tougher. Now so many students, who are worried about
their lives after graduation, have no choice but to spend a large part of their four years at college job
hunting. This commitment prevents them from spending long periods of time in foreign countries. In
addition, young people these days are not as fascinated by products and information from other
countries as they have been in the past. In today’s globalized world the foreign products and
information are much more accessible here in Japan. I guess this is why not many college students
have a desire to study abroad.
As a consequence, there will be fewer Japanese who have experience abroad, and fewer people in
foreign countries who have some knowledge of Japan. In my opinion this is not a desirable prospect for
Japan, which needs to compete efficiently with other countries in order to survive in the global
economy, and to cooperate with them in order to promote international friendship.
解説
昨年度と比較すると、特定の事柄についてその原因と結果を推測するという点で、書きづらかったと思われる。
こうした問題に対処するためには、日ごろから、ある事柄について考えられる原因や結果をいくつか挙げる練
習をする必要がある。また、限られた試験時間の中で答案をまとめるためには、その中で、最も英語で書き易
い候補を選択することも心がけておきたい。もちろん、論述式の問題に数多く当たり、自分の意見とその理由
を、明確に述べられるようにしておくことが基本である。
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