佐藤玲奈氏 スペシャルインタビュー

FGひろば160号
クリエイターズ・アイ
Web Special Version
イラストレーター
佐藤 玲奈氏
P R O F I L E 1983年、
福島県生まれ。女子美
術大学短期大学部造形学科を卒業後、
グラ
フィックデザイナーを経て2008年にイラスト
レーターとして独立。『自分らしく生きよう』
を
テーマに掲げ、動物たちが集まった色彩豊かな
イラストをメインに、世の中に夢や感動、癒しを
与えるべく、幅広い分野で活動中。依頼による
作品提供と並行し、
アプリの配信や絵本・漫画
の制作、雑貨の企画・製作・販売などにも力を
入れている。http://reina-sato.jimdo.com
絵を描けば、もっと自分らしく生きられる。
自分を取り戻せば、もっと人生は豊かになる。
苦しんでいる私に「不思議な力」が教えてくれた。
中でしたから、
インドア系ですね。
絵を描くのに夢中。でも進路のことでは
いつも思い悩んでいた学生時代
編 しかも、
早くも芸術系で
(笑)
。
佐藤 とにかく、暇さえあれば、絵ばかり描いていました。幼稚園
編 ご出身は福島県だそうですが、
福島のどちらですか?
でも小学校でも。自宅ではもちろんですが、気がつくと、授業中
佐藤 須賀川です。
にも描いていたりして
(笑)
。
編 須賀川!?円谷英二さんの出身地ですね。特撮の神様と言
編 では中学時代は、
当然、美術部に?
われた。
日本が世界に誇る、
映画監督の。
佐藤 はい。でも高校受験が近づいてくると、部活で絵なんか描
佐藤 よくご存じですね
(笑)
。
いている場合かと、進路のことで迷い始めたんです。悩んだ末
編 幼少時、
ゴジラとかウルトラマンに夢中になった世代なので
に、一般科目の勉強はあまり好きじゃないし、結局、美術系の科
目がある高校へ進学することにしました。
(笑)
。
そう言えば、同じ時期、
もう一人、須賀川出身の「円谷さ
ん」
が大活躍していました。
編 美大の付属高校ですか?
佐藤 円谷幸吉さんですね。
佐藤 いえ。当時、県内で初めて創立された、総合学科の高校
編 よくご存じで
(笑)
、
世代がぜんぜん違うのに。東京オリンピッ
で、普通科と違い大学のように授業が選べるんです。
コースが
クのマラソンで銅メダルを獲り、
そのあと過大な期待を背負い
調理系とか福祉系とか音楽系とか細かく分かれていて、
美術系
不運が続き、
悲しい亡くなり方をされました…。
を選んでおいて調理を選択してもいいし、
その逆でもいいし。好
佐藤 地元で円谷マラソンという大会があって、毎年、父と出場
きな学科を自由に組み合わせられるんですね。ある意味、遊び
していたんですよ。小学生ぐらいまで。マラソンと言っても、私が
に行っているような気楽な雰囲気で
(笑)
。
走ったのは2〜3キロ程度だったと思いますけど。
編 遊んでいるようでいても、
ちゃんと美術の基本は修得できた
編 やはり地元では冠の大会があるんですね。
出場していたとい
のでしょう?
うことは、
子供の頃は体育会系だったんですか?
佐藤 はい。絵画やデッサンはもちろん、
フォトショップとかイラ
佐藤 いやいや全然
(笑)
。父親が市役所勤めで大会を手伝っ
ストレーターとか、バージョンはぜんぜん低いんですが、映像関
たりしていたから、何となく一緒に走っていただけで。幼稚園の
係の動画も含め、Macによるデザイン技法も一通り習いました。
頃から絵を描いたり工作をしたり、折り紙を折ったりするのに夢
あと、
工芸とかもやったかな。
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FGひろば160号/CREATOR'S EYE 佐藤玲奈氏 ロング・インタビュー
編 そこまで来たら、
もう迷わず、高校卒業後は美大へ進んでク
編 ブルーナさんはブックデザインが中心でしたよね。
ある時期、
リエイティブの道を目指そうと。
父親の出版社で、年間にものすごい数の装丁をこなしていたそ
佐藤 それが、
進路について、
まだ迷っていたんです。
うです。同じグラフィックデザインでも、装丁は、読者に対する主
編 悩みの多い青春時代でしたね
(笑)
。
張というか、
ぱっと心を惹きつける計算されたデザインがものを
佐藤 これから先、
自分は何になったらいいんだろうって。
それこ
言うわけで、
そんな理論的な構築力が、
あのシンプルなイラスト
そ、
自分の周りに、絵で食べていこうなんて考える友人もいな
に生かされているような気がします。お姉さんも、
そうした部分を
かったし、職業として成り立つのかどうか、想像もつきませんでし
見ていたんでしょうかね。
たから。
佐藤 確かに、絵は感覚的に描けるけれど、
デザインは学校でし
編 迷ったけれども、
経歴を拝見すると、結果としては東京女子
か学べませんから、短大ではあえてデザインコースを選び、2年
美術大学の短大に進学したわけですから、今度こそ腰を据えて、
間、基本的な理論や技術を学びました。高校時代にも一通り
大好きな絵を勉強していく気持ちになったと。
やっていたので、
それほど特別なことではなかったんですが、
や
佐藤 いや、
絵画を学ぶ「美術コース」
ではなく、
私が専攻したの
はり絵を描くようにはいきません。つねにアイデアを絞り出すよ
は
「デザインコース」
だったんです。
うな感じで。結構、苦しかったです。
編 では卒業後は、
デザイナーとして就職を?
狭き門を突破しデザイナーとして就職。
やりがいはあるのに何かが違った
佐藤 はい。当時はすごい就職難だったんですが、私は運よく印
編 絵を諦めて、
デザイナーになろうと?
で、主にお寿司屋さんとかスーパーなどのチラシの DTPデザイ
佐藤 実は、姉からアドバイスがあったんです。二つ歳上で、
イラ
ンを担当しました。
ストとかデザインのことを割とよく知っていた姉なんですが、
ミッ
編 印刷現場では、
学校とは違う、実践的な技術を叩き込まれ
フィーで有名な絵本作家のディック・ブルーナさんは、画家を目
たのではないですか?短期間のうちに。
指しながら、
デザイナーもやっていたのだと。デザインができて絵
佐藤 そうですね。印刷物の色を見る目とか、文字の使い分けと
も描けた方が、
自分を拡げる意味でも、就職のときにも、
きっと
か、
グラフィックデザインの基本になる重要な部分のほとんどは、
役立つだろうと言うんですね。
その頃に身に付ついたものだと思います。
刷会社さんのグラフィックデザイン部門に入ることができ、
そこ
編 経歴を拝見すると、
その後、広告制作会社に移られていま
すが、
これはご自身の発想の幅を拡げるための転職ですか。
佐藤 ステップアップと言うより、
自分の方向性を探ると言いま
すか。印刷会社でもその広告会社でも、仕事のやりがいはあっ
たし、達成感も大きかったし、
いろいろな経験が自分の力になっ
ていることは実感していたんですが、心のどこかに「何かが違
う」
という思いが、
ずっとあったんですね。でもそれが何だかわか
らない。
クリエイティブ以外の職種に就くことはいまさら考えられ
ないけれど、
では、何か他に自分に向いている仕事があるんだ
ろうかと、毎日独りで悶々と悩んでいました。
どうも人生がうまく
いっていないなあと。
編 成長を遂げるための、
一大転機ですね。何か具体的な行動
は起こしたんですか?
「あなたの後ろに絵描きさんが見える」
スピリチュアルな体験で「自分」が目覚める
佐藤 あるとき、何となく、
スピリチュアル系のテレビ番組を見て
いて、当時すごい人気のあった…
編 オーラの何とか、
という?
佐藤 そうです
(笑)
。
その番組の中で、
スピリチュアルカウンセリ
ングというものの存在を初めて知って、
ふと
「私も受けてみよう
かな」
と思ったんですね。当たるか当たらないかは別にして、
そ
の頃は、本当にどうしていいのかわからない八方塞がりの状態
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FGひろば160号/CREATOR'S EYE 佐藤玲奈氏 ロング・インタビュー
だったので、
藁にもすがる気持ちで。
フリーのイラストレーターになった、
というのが、独立までの経緯
編 番組の出演者のところへ行って?
なんです。
佐藤 いえ、別の人です。
「こういう人がいるよ」
と知人が紹介し
てくれて。早速、
カウンセリングを受けに行きました。
編 カウンセリングというのは、
いわゆる
「霊視」
?
絵とともに、人の心理についても勉強。
「自分らしく」の道を歩み始める
佐藤 はい。
そういう話題でも、
大丈夫なんですか?
編 ご自分では、
そういう霊感の世界を信じられたのですか。
それ
編 構いませんよ。
危ない内容になったらカットしますから
(笑)
。
とも、
ある程度、
占い的なものと思われたのですか。
佐藤 初めに用紙にいろいろ記入して、職業欄には「デザイ
佐藤 そういう世界もあるんだなと思いました。私の場合、嵌まり
ナー」
と書いたんですが、私が席に着くなりカウンセラーの方が
すぎて、
その先生のスピリチュアルカウンセラー養成講座にま
いきなり
「ここに書かれている職業と、私が見えているものが違
で通ってしまいましたけど
(笑)。その先生曰く、
そもそも霊感と
う」
と言うんです。あなたの後ろには絵描きさんが見えますよと。
いうのは…。
あ、
なんかあまりにスピリチュアルすぎて、
どうなんで
これまでの人生がうまくいっていないのは、結局、大好きな絵を
しょう
(笑)
。
描いていないから、
ということらしいんですね。要するに、
自分の
編 いいですよ。
自分としては否定も肯定もしない立場ですし、
エネルギーを消費ばかりする生き方をしているのだと。一番好き
せっかくのリアルな体験の情報ですので
(笑)
。
なことをやっていけば、
本来の目的に向かってエネルギーを集中
佐藤 霊感というのは誰にでもあって、
それが高いか低いかの違
してスムーズに前進していける。人生が充実していく。
そう言わ
いだけらしいんですね。
れました。
編 霊感とか霊魂という呼び方が、
強すぎるんでしょうかね。
うさ
編 走りながら充電ができる、
というわけですね。
ん臭いと思われやすい。
まだ言語を持たなかった原始時代の
佐藤 確かに、学生の頃から
「いつか仕事が落ち着いたら絵を
人々は、遠く離れていてもお互いに精神感応みたいなもので
描いてみよう」
という思いはあったんです。
でも私、
絵は大好きだ
通信できたのではないかという説を唱えている学者もいます。
そ
けど、
自信がないからやらなかっただけで。描きたい気持ちをずっ
の能力は、言葉の発現によって退化してしまったけれど消滅し
と抑え込んできて。
それが「あっ、絵で行ってもいいんだ」
と思っ
たわけでなく、
いまも脳のどこかに残っていて、
それが第六感に
たら、急に気が楽になっちゃって。
なったりしているのだろう、
と言うんです。第六感を、
ひらめきとか
編 相手が霊能力者なのか心理学者なのかはともかく、
はっきり
霊感とかいう言葉に置き替えれば、
イマジネーションを働かせ絵
指摘してくれたということが大きかったんでしょうね。
を描いたり創造したりすることも、
ある意味、霊感の現われだと
佐藤 はい。心の中に潜んでいた気持ちを引き出して、背中を
言えませんか?
押してくれたと言うか。
「5年後には、何か賞を取っちゃうかもし
佐藤 それは言えますね。
もっと大きくとらえれば、
クリエイティ
れないよ」
とかも言われたんですけど、私もつい「ああ、賞も取っ
ブに限らず、何かの仕事で大きな結果を出している人も、霊感
ちゃうんだ。
もうやるしかないじゃない」みたいな
(笑)
。
それで、
カ
をうまく使えているのではないかと思います。
ウンセリングを受けた1年後に広告会社を辞めさせていただき、
編 昆虫や動物なんか、
人間から見たら超能力みたいなものを、
FGひろば160号/CREATOR'S EYE 佐藤玲奈氏 ロング・インタビュー
いくらでも持っているじゃないですか。蜂でも蟻でも、
クジラでも。
たんです、先生の話を聞いて。
それまでは
「自分らしく生きるのは
僕は全面的に霊視などを信じているわけではありませんが、
よく
いいこと」
なんて認識すらありませんでした。できるだけ自分を抑
「科学的でないから」
と完全否定する人がいますよね。あれも
えて社会に適応していかなければいけないと思い込んでいまし
よくないと思います。
たとえば催眠術だって、昔は悪魔の仕業み
たから。
しかも、
やりたいことが、絵なんていう、
あまり社会的なも
たいに恐れられていたわけです。いまでは、脳の作用として科学
のじゃなかったので、
よけいに自分を抑える傾向があったんだと
的な手法として、誰も心霊現象だなんて思わないでしょう?鍼治
思います。看護士さんとかなら、社会への貢献がわかりやすい
療もそうですね。昔は、
まやかしだと決めつけられていた。科学と
ですもんね。
スピリチュアルの境目なんてそんなものですよ。霊能力者も心
編 絵だって世の中の力になりますが、
いろんな影響の仕方が
理学者も、
呼び方が違うだけで、
実際には意外と近い存在なの
あって、社会貢献が間接的・抽象的ではありますね。
かもしれません。
「動物盛りだくさん」のイラストに
「自分らしさ」と「時代の手応え」
佐藤 心理学と言えば、私、小さい頃から心理学的なことにす
ごく興味があって、絵と心理学の中間みたいなものがあったら
いいなと、
いつも思っていたんです。だから広告会社を辞めたと
編 自分らしく、
の第一歩として、
いよいよイラストを描き始めるわ
き、一通り、世の中にある心理学的なものを勉強しようと、
スピ
けですが、能動的に
「好きなことをやる」
というのは、実は意外と
リチュアル系だけでなく心理学講座に通ったり、心理学の一種
難しいことですよね。決められたこと、与えられたことを受動的に
みたいなものなんですけどNLPという手法を学んだり、絵を描く
やる方が、
楽なこともあります。
のと並行して取り組んでいました。
佐藤 そうなんです。考えてみたら、
もう7年ぐらい絵から遠ざ
編 カウンセリングをきっかけに、
絵だけでなく、子供の頃の夢を
かっていたので、
いざ、何を描いてもいい状況になってみると、
もう一つ思い出し、実行に移したわけですね。
あらためて自分の
何を描いたらいいのかわからない。風景でも人物でも建物で
原点に立ち戻ったと言うか。
も動物でも、何でもいいのだけれど、迷ってしまって、
なかなか
佐藤「自分らしくなること」
が人生を豊かにすることなんだと感じ
自分で決めることができません。
そこで、試しに、
デザインフェス
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FGひろば160号/CREATOR'S EYE 佐藤玲奈氏 ロング・インタビュー
タというアートのイベントに、一通り描いて出展してみたんです
よ、
ポストカードにして。そしたら、唯一売れたのが「動物盛りだ
くさん」のイラストだったんです。ああ動物って需要があるんだ
なと大きな手応えを感じて。よし、
まずはこれでいってみようと
決めました。
編 同じ動物でも、
佐藤さんのタッチや色づかいは独特ですよ
ね。一目見たら忘れられない。あの淡く優しくカラフルなトーンは、
いつ頃からのものなんでしょうか。
佐藤 テイストとか雰囲気は、小学校4年生ぐらいから変わって
いないかもしれない
(笑)
。実際に、
自分のものとして意識して描
いたのは高校生ぐらいからでしょうか。
「宝島 MOOK おしゃれ年賀状 2014」
(宝島社)
編 幼い頃からの、
まさに「自分らしさ」
で勝負していったと。限
定的な自作のポストカードから、
自身のイラストが、
もっと多くの
人々の目に触れる媒体へ広がっていくきっかけは何かあったの
ですか?
佐藤 その後すぐ
『おしゃれ年賀状』
というイラスト集に採用され
たことが、一つの契機になったかもしれません。
編 大勢のイラストレーターが一人何点かオリジナル作品を提
供し、
ユーザーが好きなものを印刷して使用できる、便利なサン
プル集ですよね。
佐藤 はい。いくつかの出版社が同じ形態のムックを出して
いますが、私がお世話になっている宝島社の『おしゃれ年賀
「ラスカ平塚」
状』
は、同系列の年賀状ムックの中で、
ここ何年も連続で
「人
気№1」
を獲得していて、嬉しいことに、私の作品はユーザー
アンケートで2014年は一位だったそうです。
編 それはすごい!
クライアントよりも、
まずはユーザーの心に届く
かどうかが勝負ですからね。一般のユーザーだけでなく、制作会
社の人などが見て、
お仕事の連絡が来たりすることはないので
すか?
佐藤 あります。いくつかは、
実際にお仕事をいただけました。
編 しかし、
年賀状やポストカードではなく、
受注した仕事となると、
好きなように描けないことも多いのではないですか?いろいろ要
望を出されて。
佐藤 ですから、
ある程度、
自由に描かせてもらえるようならお受
けする、
というようにしています。
編 それはすごい。著名なイラストレーターでなければ、
なかなか
できないことですよね。
しかし、
フリーになったのは、好きなことを
やるため。収入最優先で、
自分を抑えて何でも受けていたら、
イ
ラストを仕事にした意味がない。
佐藤 ありがたいことに、
こちらに任せてほしいとお願いしても、
いろいろなお仕事をいただけています。
編 作品を拝見したら、
身近な物では書籍の挿絵やフリーペー
パーの表紙、CDジャケットから、大きな物ではイベントの巨大
なディスプレイまで、着々と佐藤さんワールドが広がっています
よね。某大手自動車メーカーの、2014年版のカレンダーにも
採用されています。第65回全国カレンダー展
(日本印刷産業
「drop」
(ボイスエージェンシー)
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FGひろば160号/CREATOR'S EYE 佐藤玲奈氏 ロング・インタビュー
連合会)
で入選をしているので、FGひろばの読者の中には実
際の刷り上がりをご覧になった方がいらっしゃるかもしれません。
佐藤さんの独特な水彩の色づかいは、印刷で正確に再現する
のはかなり難しいと思います。入稿は、
原画渡しなんでしょうか。
佐藤 いや、
ほとんどが自分でスキャンして、印刷されたときにベ
ストの色合いになるように、
パソコンで色味を調整してからデー
タで送っています。
編 色調整したイメージと実際の印刷の仕上がりは、
だいたい
一致するもんなんですか?
佐藤 はい。
こういじれば、印刷ではこれぐらいに出るだろうとい
うのは感覚的にわかりますね。短期間とは言え、印刷会社さん
でデザイナーとして集中的に仕事をさせていただいたことが、
い
まになって、
いろいろ生きていると思います。
見る人の心に元気を与え続けたい。
漫画やエッセイも新たな表現領域に
編 生きていると言えば、
佐藤さんの描く動物たちは皆、
メルヘン
タッチなのに表情はとても生き生きしています。悩みがない世界
と言いますか。
これはやはり、
ご本人の心理状態のよさがそのま
ま表われているということなんでしょうね。
佐藤 それはあると思います。デザイナー時代も、
もちろん集中し
て全力で仕事に取り組んでいましたが、
いまは、集中と言うより
頭が空っぽになって、心の中からどんどん流れ出てくるような感
覚でイラストを描くことができるんですね。
編 それはスピリチュアルによる気づきとして
「自分らしさ」
を貫い
ているということと、
もう一つ、
しっかり心理系を学んでいるという
のも大きいのではないですか?
佐藤 はい。心理系を勉強していない頃は、学生時代も、
つね
に何かに悩んでいて、
いつも一人で苦しんでいました。でもいま
は、疑問があれば徹底的に調べ、
自分に答えてあげて、好きな
こと、
やりたいことに向かって前進し行動しているから、心地よ
い状態が長く維持できているんだと思います。
編 その佐藤さん自身の心地よい状態に、
絵を見る人の心が共
鳴し、
自分も心地よい状態になるんでしょうね。焼き芋の芯まで
ホカホカにする遠赤外線みたいなもので
(笑)。単にかわいい、
優しいだけのイラストでは、読者アンケートで1位には選ばれな
いでしょう。
佐藤 独立してから、
おかげさまで、一歩ずつですが確実に成長
の階段を昇れていると思います。
これからも
「自分らしく生きる」
をテーマに、
スピリチュアルなものや心理学的な要素を融合さ
せながら、皆さんに元気を与えられるようなイラストを描き続け、
すでに取り組んでいる漫画やエッセイなど新しい分野にも、
どん
どん挑戦していきたいですね。
編 ご活躍を期待しています。本日は貴重な霊感体験も含め
(笑)
、
いろいろお話しいただき、
ありがとうございました。
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