姿消した作物が多様な用途で再注目 免許交付にも厳しい道の対応に疑問

〝農と食〟
北の大地から
「産業用大麻」の可能性(前編)
連載第 117 回
種子の更新は認められず
理不尽な栽培条件に憤りも
北見市郊外の丘に広がる農業生産
法人
「㈲香遊生活」(舟山秀太郎社長)
のハーブ農園。北海道内で唯一の産
坪。猫の額ほど
業用大麻の栽培ほ場は、その一角に
あった。面積は約
の広さにすぎない。
高さ3メートル近いフェンスが設
江戸時代後期には繊維作物として北海道
(蝦夷
地)でも栽培されていた大麻草。明治時代に生
産・ 加 工 の 隆 盛 期 を 迎 え た が、 そ の 後 は 亜 麻
にとって代わられ、戦後になると
「大麻取締法」
の 施 行 や 化 学 繊 維 の 普 及 で 姿 を 消 す。 だ が
年 代 以 降、 欧 米 で 産 業 用 大 麻
( ヘ ン プ )の 生 産
が 盛 ん に な り、 食 品 や 工 業 製 品、 バ イ オ 資 源
と し て の 有 用 性 が 注 目 さ れ て い る。 国 内 で 唯
一、 大 規 模 栽 培 が で き る 条 件 に 恵 ま れ た 本 道
に と っ て も、 多 く の 可 能 性 を 秘 め た 作 物 と い
え る だ ろ う。 生 産 の 歴 史 を た ど り な が ら、 新
分 野 に 挑 戦 す る 人 た ち に 話 を 聞 き、 産 業 用 大
麻の現状をリポートする。
「これでは広大な畑で産業用大麻を
しい光景に映る。
と栽培できないのだ。なんとも物々
こうした〝盗難防止措置〟を講じない
付 す る 道 庁 か ら の 指 導 が あ る の で、
播種できない。理不尽な話である。
家 採 種 し た も の は 保 存 す る だ け で、
る「研究者免許」と、農家が取得する
学や警察、麻薬捜査官などが取得す
栽培には知事が交付する大麻取扱
者免許が必要になる。免許には、大
用に使うことは認められている。
成熟した茎や種子を伝統工芸や産業
大麻草の花穂と葉、未熟な茎の利用。
「大麻取締法」で禁止されているのは
と、 社 長 の 舟 山 さ ん( 1950 年、
北見市生まれ)が訴える。
る。伊勢神宮の神札を大麻と呼ぶ由
辛子の一味に「麻の実」が使われてい
価値が高い。身近なものでは七味唐
譲り受けた種子を少しずつ蒔く。自
の更新を認めなくなった。やむなく、
舟山さんはまず、種子を増やした。
だが、4年ほど経つと、道側は種子
分の含有量はゼロに近い。
ろ 』。 幻 覚 な ど を 引 き 起 こ す 薬 理 成
品 種 は 栃 木 県 が 育 成 し た『 と ち ぎ し
得 し、 翌 年 か ら 試 験 栽 培 を 始 め た。
「栽培者免許」がある。
栽培できない。栽培免許のあり方が
「産業用大麻は2万5千種類もの製
来になった植物でもあり、神道との
置され、鍵もかかる。栽培免許を交
変わらないと、農業生産として成り
品ができる作物。手持ちの種子があ
深い関わりを持つ。
「香遊生活」は2005年に後者を取
立ちません。規制を緩和し、検査体
るうちに、なんとしても栽培の門戸
作物の総称としても使われる。同じ
道内でも栽培が盛んだったアマ科の
「麻」の文字を使う植物には、かつて
年、「北海道チャレンジパートナー特
亜麻、イラクサ科の苧麻などがある
ちょま
区」のなかで、同市の「産業用大麻栽
が、植物学的には全く別のものとさ
ま
培 特 区 」を 認 定 し て い る。 に も 係 わ
れる(次頁の表を参照)。
あ
らず、多様な活用策の基礎になる試
こうぞ
本 列 島 に 渡 来 し、 昔 は 三 草( 麻、 藍、
木綿または紅花)四木(桑、茶、楮、漆)
のひとつに数えられ、江戸時代から
昭和初期までは重要な作物として位
戦後、日本人の生活様式が西洋化
するなかで、麻の需要の8割を占め
置づけられていた。
特徴をみておこう。
が激減し、生産農家は他の作物の栽
培へと転換。1948年に施行され
許 更 新 に 手 間 が か か る こ と も あ り、
ある麻の一種。別名はヘンプ。草丈
ルにも生長する。
あった作付面積は、2005年には
年 に 全 国 で 4049 ヘ ク タ ー ル
茎などから繊維が得られ、実は食
用になり、油も採取できるなど利用
た「大麻取締法」による1年ごとの免
ていた下駄の鼻緒と畳の縦糸の需要
中央アジア原産とされる雌雄異株
のアサ科の一年草で、世界で 数種
産 業 用 大 麻 の 可 能 性 を 探 る 前 に、
「大麻草」や「大麻」と呼ばれる植物の
縄文時代に渡来した植物
衣、食、油などに利用できる
を摘むことになってしまう。
で臨む──これでは新たな産業の芽
験的な栽培にも道庁がきびしい規制
まれた(後述)。これを受けて道は
北見市では産業クラスター活動の
なかから産業用大麻の取り組みが生
たいまそう
制を整えていくことが大事です」
が開いてほしい」(舟山さん)
◀盗難防止のため鍵をかけることも求められ
る。規制が過剰ではないか
日本では、麻といえば古来から大
麻草のことを指すが、広義では繊維
「㈲香遊生活」
(北見市)のハーブ園の一角にある産業用大麻のほ場。免許を交付する道庁が種子の更新を認めず、面積は 60 坪ほどにすぎない。
道は北見市を「産業大麻栽培特区」に認定しているのだが…
60
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ルポライター
北の大地から
▲高さ 2.7 m以上の柵で囲うことが道が示す栽
培条件。これでは農家に普及するのは難しい。
先進県の栃木にはこうした規制はない
赤星栄志『ヘンプ読本』(築地書館)
に よ る と、 大 麻 草 は 縄 文 時 代 に 日
08
2012. 12 .
90
が高いものは数カ月で3〜4メート
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滝川 康治
姿消した作物が多様な用途で再注目
免許交付にも厳しい道の対応に疑問
“農と食”
“農と食”
どの用途で使われる程度という。
古典芸能の楽器、横綱の化粧回しな
は、神社の鈴縄やしめ縄、弓道の弦、
9ヘクタールにまで激減した。今で
になってきた。日本では、医療用大
の国を除く世界中で規制薬物の対象
させたものが「マリファナ」で、一部
もたらす。薬用型の葉や花穂を乾燥
り)計ニ生長し」(『蝦夷日誌』)と、
紋別市)。麻作七八尺(2メートル余
おしへ」(『地北寓談』)、「モンヘツ(現
「 蝦 夷 地。 女 に は 麻 を う え て 紡 績 を
大 麻 草 の 品 種 は 薬 用 型 と 中 間 型、
繊維型の3つに分けられ、その違い
麻の利用も禁止されている。
名 付 け 親・ 松 浦 武 四 郎 の 日 記 に は、
世紀後半には繊維作物として利用さ
オ ー ル )と い う ふ た つ の 化 合 物 の 割
ンナビノール)
とCBD
(カンナビジ
頭の
「香遊生活」が栽培しているのは、
「ヘンプ」と呼んで区別している。冒
維利用を目的に品種改良した麻を
ている旨の記述も。山本氏の著書に
地でアイヌの人たちが大麻を栽培し
洋側から千島列島にかけての東蝦夷
道南の上ノ国や今金をはじめ、太平
れていた。幕末の探検家で北海道の
一 方、 繊 維 型 は T H C 含 有 量 が
0・ %未満のもので、欧米では繊
合で決まる。薬用型の葉や花穂には
こちらの品種である。
ヘク
カ所が登場する。衣料
付けることができない。店頭で販売
として扱われ、製品に「麻マーク」を
ミ ー)だ け で、 ヘ ン プ は 指 定 外 繊 維
い る の は、 亜 麻( リ ネ ン )と 苧 麻( ラ
1875(明治8)年には札幌に製網
明治時代になると、開拓使が屯田
兵などの収入源として栽培を奨励し、
されてきたわけだ。
などの原材料として、古くから利用
株式会社
「製麻工業の発端は大麻」(『帝国製麻
9ヘクタールでピークに達した。
年史』)だったが、亜麻が
)年には160
される「麻の服」は、亜麻や苧麻の繊
所が建設され、大麻を原料にした漁
伸。1896(明治
維で作られている。
なった。1887(明治
29
アイヌの人々も栽培の記述
亜麻導入や法施行で姿消す
)年に北海
網の加工が地元で行なわれるように
本の亜麻生産は明治初期、ロシアな
導入されたことで状況が変わる。日
50
はTHC
(デルタ9テトラヒドロカ
THCが多く含まれ、人間が摂取す
年に
は、明治以前の大麻栽培に関連する
ると陶酔感や幻覚などの薬理作用を
地名として
25
なお現在は、家庭用品品質表示法
に基づいて「麻」の表示が認められて
治 時 代、 亜 麻 や 大 麻 の 収 穫
(一部は
製 麻 作 業 も )と 近 隣 地 域 で の サ ケ・
ニシン漁を組み合わせた移動労働も
盛んだった
(
『北海道農業発展史』
)
。
繊維作物の生産は、北海道の産業発
展に大きく貢献した。
明治末期〜昭和期の大麻生産に関
わる統計数値は見つからなかったが、
軍需物資などの原料として栽培され
ていた。道立衛生研究所研究員の藤
本啓さん
( 薬 学 博 士 )執 筆 の
「北海道
と 大 麻 」に よ る と、 物 資 不 足 の 第 二
)
年に道
次世界大戦中に種子の斡旋や栽培が
奨励され、1941
(昭和
号)
。わ
が発行した栽培技術資料も残ってい
るという
(
『しゃりばり』
第
ヘクタール、
たしが暮らす上川管内でも、193
9年に
タールが作付けされたとの記録が残
る
(
『北海道上川農業試験場百年史』
)
。
年代後半まで
「大麻取締法」
の施行
戦後になると
もあって、細々と栽培される作物に
なったようだ。「昭和
訓子府町などで栽培されていた、と
聞く。麻袋やロープなどの原料に使
われていたのではないか」(前出の舟
い歳月が流れた。
一方、毎年夏になると野生大麻の
※
「麻の総合利用研究センター」
HP
(www.hemp-revo.net/report/)
より
山 本 正 氏 の 労 作『 近 世 蝦 夷 地 農 作
物 年 表 』( 北 海 道 大 学 図 書 刊 行 会 )な
北海道における大麻栽培の歴史を
少し調べてみた。
同 社 の 設 立 時 に 114 ヘ ク タ ー ル
で の 大 麻 作 付 け 推 移 が 載 っ て い る。
道 立 総 合 経 済 研 究 所 編『 北 海 道 農
業 発 達 史 』に は、 明 治 年 代 初 め ま
け面積が増えていく。
「( ド イ ツ の )メ ル セ デ ス ベ ン ツ 社 が
なっていく。石狩管内当別町では明
と 亜 麻 の 二 本 柱 」か ら 亜 麻 が 主 流 に
が 分 か り、 北 海 道 の 製 麻 業 は「 大 麻
一方、大麻は繊維が粗く硬いため
近代的な紡績機にかけにくいこと
適していた。
どからの輸入種子を使い、北海道で
ど3部作によると、大麻栽培に関す
あったものが3年後には約7倍に急
たり、住宅用のグラスウールに代わ
道製麻会社が設立されると、道庁が
る記述の始まりは1700年代にま
と、舟山さんが振り返る。
本業は建設業で「舟山組」の3代目。
子 ど も の こ ろ か ら「 北 見 の ハ ッ カ は
る素材として活用されていた。フラ
始まった。冷涼な気候風土が生育に
でさかのぼる。
世 界 一 」と 思 い、 い つ か 自 分 の 手 で
ンスでは育種技術が進んでおり、研
%を占め、
至るのか、はっきりしない。
どんな過程をへて野生化して現在に
北 海 道 で は い つ 品 種 改 良 が な さ れ、
に変わった、と解説している。だが、
遺伝的に優勢なTHC含有の大麻草
た大麻草がTHCを含んでいたため、
正時代に品種改良の目的で導入され
される。前出『ヘンプ読本』では、大
成分はわずかしか含まれなかったと
もともと日本に入ってきた大麻は
繊維型で、向精神作用があるTHC
日付け『朝日新聞』道内版)。
量 も 全 道 の 7 割 強 を 占 め る( 7 月
最大だった。同管内の野生大麻押収
見保健所管内の5市町で
道の抜き取り総量は161万本。北
駆除のニュースが流れる。昨年の全
年前に社
究所に種子を集め、THC成分の少
欧州の視察で有用性に自信
北見で工業製品を作る夢も
復活させたいと願った。
研 究 会 オ ホ ー ツ ク 』の 活 動 の な か で、
連商品の展示・販売の両輪で事業を
野を開拓し、各種ハーブの栽培と関
には農業法人として分離独立。新分
たい、と思いましたね」
そうした管理システムを創っていき
日本は技術的に追いつける、我々も
な い 大 麻 の 品 質 管 理 を や っ て い た。
内にハーブ事業部を立ち上げ、
お金をかけて捨てているものに価
続けてきた。
年前に設立した『産業クラスター
値があるのでは──と考えたんです。
現在、プロジェクトの会員は 人
ほど。建設業者や北見工大などの研
「
そこで、足下を見直すと大麻があっ
年、舟山さんは麻を合法的に活
用 し て い く た め、 同 研 究 会 に「 麻 プ
究者、地元の金融機関や道開発局北
万本も抜
ロ ジ ェ ク ト 」を 立 ち 上 げ た。 翌 年 に
た。( 野 生 大 麻 を )毎 年 何
き取らなければならないほど営々と
ド イ ツ、
う植物と分かってきました」
産業用大麻の活用状況を視察する。
年 に は フ ラ ン ス を 訪 れ、
した生命力があり、地政学的にも合
車体の吸音断熱材に大麻繊維を使っ
年
栽培奨励に乗りだし、ふたたび作付
20
見農業事務所のメンバーなどで、事
務局は市産業振興課に置く。地道な
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大麻で作られた神事用の大幣を前に舟山秀太郎さん
1937 年発行の『帝国製麻株式会社 30 年史』には「創立当初は道産
大麻を盛んに使用した」との記述も。写真は明治時代の札幌工場
おおぬさ
21
主な麻の種類と用途
18
97
30
30
21
29
44
06
02
16
33
44
10
40
20
15
23
山さん)
。本格栽培が姿を消して長
北の大地から
“農と食”
【農業分野】
の有効性は次のようなものだ。
「麻プロジェクト」
が描く産業用大麻
積み重ねてきた。
シンポジウムなどによる啓発活動を
北海道の域際収支を増やすことにも
材などの工業製品に加工していくと、
案しています。住宅用の建材や断熱
〝第5の作物〟として産業用大麻を提
経済は大きな打撃を受ける。我々は
協 定 )に 参 加 し た ら、 地 域 の 農 業 や
「今後、日本がTPP(環太平洋連携
を込め、こう言葉を続けた。
建 設 業 者 の 舟 山 さ ん は「 北 見 で は
工 業 製 品 の 開 発 に 特 化 し た い 」と 力
の世話人代表
ンプネット)」
ク( 北 海 道 ヘ
進ネットワー
用大麻普及促
「北海道産業
に発足した
と話すの
は、今年2月
せていきたい
①畑作3品
(小麦、ビート、ジャガ
つ な が る。( 産 業 用 大 麻 の )畑 の 近 く
を務める菊地
研究・調査を続ける一方、講演会や
イモ)
の次の作物になり得る
②根が深く、土壌改良剤としての効
に工場を造り、地域の自立を果たし
治 己 さ ん(
まれ)だ。
業用大麻の栽培試験を実施したとこ
わ り、『 な な つ ぼ し 』や『 ゆ め ぴ り か 』
強く、農薬もいらないので有機農業
輪作体系に組み入れると、葉を緑
肥として土壌改良ができる。病気に
ろ、余分な窒素分をたくさん吸収す
ることが明らかになったという。
品種を育成した経歴の持ち主。
など
した。現役時代は道産米の育種に携
昨年、北海道立総合研究機構上川
農業試験場の場長を最後に定年退職
年、岩手県生
ですね」
果が期待できる
③農薬や化学肥料を必要とせず、耕
ていきたいですね」
「 道 産 米 は か つ て〝猫 ま た ぎ 〟と 敬 遠
〝日本一マイナーな作物〟の
普及へネットワークを創る
る。規制緩和を求める日々が続く。
夢は広がるが、行く手には行政が
示すきびしい栽培条件が立ちはだか
作放棄地などの保全に役立つ
④大規模機械化農業にも向く
⑤収穫はコントラクター
(作業受託
方式を活用できる
組織)
【工業分野】
①2万5千種類の製品ができるので、
植物由来の素材による脱石油社会
の構築につながる
②大半が稲藁かビニール紐で代用さ
産業用大麻を栽培し、油を搾り、発
燃料として有効です。地域のなかで
ハウス症候群などを解消できる
④セルロースを使ったプラスチック
と民族の伝統を守れる
③各種建材や内装材の開発でシック
摂取していましたね。中国の辺境地
「 そ こ で は、 麻 の 実 や 油 を た く さ ん
れる巴馬も訪れた。
菊地さんは昨年、中国を視察する
機会があり、世界一の長寿村といわ
応援し、メジャーな作物へと転換さ
に懸けたい。栽培農家が増えるよう
余生は日本一マイナーな大麻の普及
稲の試験研究をしてきました。でも、
これまで日本一恵まれた環境の下で
ク ラ ス の 産 地 に な っ た。 わ た し は、
るグループが誕生し
栽培や普及を推進す
のほか十勝と上川に
する。すでに、北見
での取り組みを重視
悩んでいた。そこで、北見農試が産
すぎによる硝酸態窒素の汚染問題で
のころ北見地方は、化学肥料のやり
ホ ー ツ ク 」の メ ン バ ー と 出 会 う。 そ
に 訪 れ た「 産 業 ク ラ ス タ ー 研 究 会 オ
年から2年間にわたり北見農試
の作物研究部長を務めたとき、視察
でいる。
量は稲の5倍もあります。そこから
高く、1ヘクタール当たりの乾物重
バイオマス資源としても有力だ。
「大麻草の乾物生産能力はきわめて
可能性があることが分かった。
調べてみると、産業用大麻に多くの
農業と加工業を組み合わせた新たな
に向く。繊維製品の原料になるので、
電し、廃熱をハウスの熱源に使う─
帯では、繊維を採る麻の栽培が奨励
た。「 栽 培 者 免 許 」の
有機農業の支援にも熱心に取り組ん
─電気と燃料、熱の3つを供給でき
されている。抗菌性があるので靴下
取得をめざす人も増
され、『おいしい米の育種ができるの
る。 地 域 の 資 源 を 活 用 し、 エ ネ ル
や軍服などの原料になり、余った繊
えつつある。
ン、携帯電話などの新素材として
も期待できる
トンほどの油が搾れるのでバイオ
年かけ
ギーを自給していく農業の可能性も
維はアパレルメーカーを通じて世界
「地域でまとまって
クトを主宰した。1カ月かけて道内
か?』と 言 わ れ た け れ ど、
あるわけです」(菊地さん)
に輸出しています」
る。地元自治体が賛
(菊地さん)。道内外で少しずつ関心
バーマ
さんは、地域レベル
にも理解が広がります。十勝や旭川
興味を持つ人が増えると、一般農家
後の課題などを紹介し、産業用大麻
次号では、道内各地で新分野を追
求する人たちの声や行政の対応、今
いくと公の目標にな
ビ ジ ネ ス モ デ ル も 創 出 で き る ……。
昨年夏、使用済みの麻の油を燃料
に
「ヘンプカー」
を走らせるプロジェ
と 振 り 返 る。 手 応 え を 感 じ る 旅
だったようだ。
同してくれると、道や国も対応しや
が高まり、栽培や普及をめざすネッ
て新品種が登場し、北海道はトップ
を一周し、産業用大麻に対する理解
「 北 海 道 の 産 業 用 大 麻 に は、 伝 統 的
すくなるでしょう。有機農業に向い
の中小企業家同友会のなかで麻に対
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れている神社のしめ縄や鈴縄の素
材に活用することで、日本の文化
を求めるイベントを実施。栽培や普
な工芸用から大規模栽培まで、幅広
トワークが広がっている。
する関心が深まっている。加工や流
の可能性を探る。 (つづく)
■農業生産法人「㈲香遊生活」
℡.0157・66・1201
http://www.koyu-seikatu.co.jp/
■北海道ヘンプネット
23
に加工することで、家電やパソコ
及を求める2千人余りの署名を集め、
た作物なので、有機農家のなかから
通、消費などの分野でも興味を持っ
北見市柏木
─3
てもらえると、幅広い動きになるで
しょう」
.0157・66・1202
今 年、 日 本 麻 振 興 会( 大 森 由 久 代
表 )が 発 足 し、 フ ォ ー ラ ム や 伝 統 芸
旭川市永山7条
菊地
能の実演、麻製品の展示などのイベ
治己方
17
.0166・46・5645
丁目3─
ントが行なわれた。「山梨や千葉など
活や活用策を模索する動きがある」
℡.090・4874・0354
と、今後の展開に期待を寄せる。
14
舟山さんが集めたヘンプ製品の一部。食用油や化粧品、箸、
ビール、建材…と幅広い
「香遊生活」
は道内で唯一、
「栽培者免許」
を取得。
免許申請者は少しずつ増えている
02
の関東圏、秋田や青森でも栽培の復
℻
℻
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50
く や れ る 強 み が あ る 」と 捉 え る 菊 地
「余生を日本一マイナーな産業用大麻の普及に懸けたい」と
話す菊地治己さん
10
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高橋はるみ知事に提出している。
北の大地から