病院の言葉を分かりやすく ~患者・家族に優しい表現を~ 【事典編】 出典 「病院の言葉を分かりやすく - 工夫の提案」 国立国語研究所「病院の言葉」委員会[編著] 編纂 熊本大学医学部附属病院 医療の質管理センター 平成23年4月1日 はじめに 私たちが普段何気なく病院の中で使っている言葉は,患者さんや家族にとってはとて も分かりにくい専門用語です。言葉そのものは簡単でも,日常生活で使う場合と意味が 異なるものもあります。 医師が一生懸命説明しても,後になって「そのような説明は聞いていない」 「聞いた内 容と違う」などの問題が起きることがあります。あるいは, 「何か分からないことがあり ますか?」と尋ねても, 「はあ(何を言われたかが分からず,何を聞けばよいかもわから ない)」といった場面もあります。 そのようなギャップを埋めるため,使いやすい用語集を検討してきました。正にこの 目的に合う, 『 病院の言葉を分かりやすく - 工夫の提案』,国立国語研究所「病院の言葉」 委員会編著が公表・出版されています。 今回,国立国語研究所の許諾を得て,同書で示されている用語と説明(本紙では白抜 き記号言 ,説 ,詳 ,ポ,注で表示)を,アイウエオ順に並べ替え,さらに本院独自の説 明を加えたもの(説 で表示)を事典編として編纂しました。 全病棟に配布済みの『病院の言葉を分かりやすく- 工夫の提案』と合わせて活用し, 患者と家族に優しい表現を心がけてください。同書では,用語についての幅広い説明や, わかり易い「患者・家族と医師の問答例」,理解を助ける図表もあります。なお,挿絵・ コラムが省かれた内容の『「病院の言葉」を分かりやすくする提案(最終報告)』が国立 国語研究所のホームページにて,Web 参照あるいは pdf で利用できます。 事典編の編纂に当たり,院内の次の方々にご協力をいただきました(敬称略)。大屋夏 生,川口辰哉,黒田豊子,齋藤秀之,坂本隆吏,佐々木治一郎,城川康博,高森啓史, 橋田昌弘,稗田君子,本田由美,増田未散,丸山雅人,右田香魚子,本島寛之。厚くお 礼申し上げます。 平成23年 4 月 1 日 熊本大学医学部附属病院 医療の質管理センター センター長 副センター長 荒木 菊池 栄一 健 凡例 言 『病院の言葉を分かりやすく』に示された,「まずこれだけは」を示します。言い換え あるいは補足した方がよい言葉です。 説 同じく, 「少し詳しく」あるいは「患者はここが知りたい」 「説明」 「こんな誤解がある」 「不安を和らげる」を示します。少し詳しく説明する内容です。 詳 同じく, 「時間をかけてじっくりと」を示します。必要に応じ詳しく説明する内容です。 ポ 注 10 同じく,「言葉遣いのポイント」の説明を示します。 同じく,「ここに注意」あるいは脚注の説明を示します。 数字は,『病院の言葉を分かりやすく』での用語の見出し番号です。なお関連用語とし てあげられている場合も,掲載場所の用語の見出し番号を示しています。 説 本院独自の説明を示します。矢印(→)がある場合は,そこに示す『病院の言葉を分か りやすく』の用語説明を参考にしたことを示します。 MRSA 1型糖尿病 40 注 からだの中でインスリン 説 からだの中の断面を写す検査です。エック ス線による情報をコンピューターで再現し画 像にします。→MRI 説 からだの輪切りの画像ですが,立体画像に も合成できます。横になっているとエックス 線を出す機械がからだのまわりを回って撮影 し,コンピューター処理で断層画像にします。 CT は,Computed(コンピューテッド:コ ンピューターによる)Tomography(トモグ ラフィー:断層撮影法)の略で,訳語は『コ ンピューター断層撮影』です。→MRI が作られなくなったために起きるもの。説 か らだの中でインスリンを作る膵臓のβ細胞が 壊されて,インスリンが作られなくなったた めに起きる糖尿病。日本では,成人の糖尿病 患者の5%以下と推定されています。→糖尿 病 2型糖尿病 40 説 生活習慣病の一つです。説 遺伝的素因と不適切な生活習慣(過食,運動 不足,ストレス,飲酒など)によって,イン スリンの作用不足が生じ,糖尿病を発症した イービーエム もの。2型糖尿病には,分泌されるインスリ E B M 2 Evidence Based Medicine ンの低下を主体とするもの(インスリン分泌 説 病気にかかった人に実際に使って効果が 不全)と,インスリン量の低下は軽度である 確かめられている医療です。 がインスリン作用の低下(インスリン抵抗性) アイシー I C 49 説 Informed Consent の略。 を主体とするものがあり,患者によって異な Informed(説明)と Consent(同意)のこ っています。日本では成人の糖尿病患者のう と。→インフォームドコンセント ち約90%以上を占めます。→糖尿病 エーディーエル A D L 11 Activities of Daily Living エムアールアイ M R I 56 言 特別な機械を使って,からだ の中の詳しい画像をとる検査。 説 からだの中の断面を写す検査です。磁気を 利用して,からだの中から必要な情報を拾い 出し,コンピューターを使って画像にします。 詳 からだを輪切りにしたような画像が得ら れる検査です。磁気を発生させた場に横たわ ってもらい,からだの中から信号を拾い出し ます。その必要な情報をコンピューターで処 理すると,からだの中を輪切りにした画像を はじめ,いろいろな断面での鮮明な画像が得 られます。MRIは,Magnetic(マグネティ ック:磁気) Resonance(レゾナンス:共 鳴) Imaging(イメージング:画像)の略で, 訳語は『磁気共鳴画像』です。 言 日常生活に最低限必要な基本的動作。日常 基本動作。日常生活動作 説 寝起きや移動,トイレや入浴,食事,着替 えといった,日常生活に必要な最低限の動作 のことで,高齢化や障害の程度をはかる指標 とされます。 詳 日常生活を送るのに最低限必要な,日常的 な動作のことです。例えば,寝起きや移動, トイレや入浴,食事,着替えなどです。Aは アクティビティー(activity)で動作,DLは デイリーリビング(daily living)で日常生活の 意味,直訳すれば, 『日常生活のいろいろな動 作』です。高齢者や障害者の身体能力や障害 の程度をはかる重要な指標となっています。 エムアールエスエー 介護保険制度では,これらの動作一つ一つを, M R S A 13 Methicillin-resistant 『できる・できない』で調査し,その結果で, Staphylococcus Aureus (MRSA 感染症) その人に必要な介護レベルを決めています。 言 発症した場合,通常細菌を退治するために シーオービーディー 使われる薬が効かなくなる細菌の一種。 C O P D 12 Chronic Obstructive 説 発症した場合は通常細菌を退治するため Pulmonary Disease に使われる薬が効かなくなる細菌の一種です。 言 慢性の呼吸困難症。 健康な人には害のない程度の細菌で,身の回 説 肺の空気の通り道が狭くなって,うまく呼 りのどこにでもいる菌です。からだの弱った 吸できなくなってしまう病気です。長年にわ 人に病気を起こします。 たる喫煙などにより,肺や気管支の空気の通 詳 日本語で言うと, 『メチシリン耐性黄色(お り道が狭くなった状態です。 へいそく うしょく)ブドウ球菌』という細菌です。こ 詳 専門的な日本語訳は『慢性閉塞 性肺疾患』 の菌を退治するためのメチシリンと言う抗生 です。慢性は,症状はあまりひどくないけれ 剤(抗菌薬)が効かなくなった,黄色ブドウ ど,治りにくく長引いていること,閉塞性と 球菌のことです。この菌は,人の鼻の中など いうのは,肺の空気の通り道が狭くなってい どこにでもいて,消毒剤への抵抗性が強いの るということです。長年にわたる喫煙などで, で,身の回りから消し去ることがとても困難 肺や気管支が詰まった状態になり,空気の出 です。健康な人には何の害もないのですが, し入れがうまくいかず,普通に呼吸ができな 病気などで抵抗力の弱った人のからだに入る くなり,息切れなどが起こります。 と,通常細菌を退治する薬が効かないために シーティー C T 56 説 特別な機械を使って,からだの中 病気が重くなることがあります。現代の医療 の詳しい画像をとる検査。→MRI で抗生剤を使い過ぎたことによって出現した 1 PET 細菌です。MRSAの感染が病院内で広がら ないようにする手立てを,病院は講じていま す。 ペ ッ ト PET 57 言 薬剤を体内に注射してから,特別 という言葉を使わないでその内容を説き,必 要に応じて,「悪性腫瘍」「がん」などと説明 を加えていくことが考えられる。 あくせい しゅよう 悪性 腫瘍 29 言 細胞が異常に増えてかたま な機械を使ってからだの中の詳しい画像をと りになったもののうち,すぐに治療が必要な る検査。 もの。 説 薬剤を体内に注射し,薬剤ががん細胞に集 説 腫瘍(しゅよう)のうち,大きくなってま まるところを写す検査です。特別な機械を使 わりに広がったり,違う臓器に移ったりして, って撮影します。がんの有無や位置を詳しく 命に危険が及ぶ可能性のあるもののことです。 調べることができます。 詳 腫瘍(しゅよう)のうち,大きくなってま 詳 ブドウ糖に似せた薬剤を体内に注射し,薬 わりに広がったり,違う臓器に移ったりして, 剤ががん細胞に集まるところを写す検査です。 命に危険が及ぶ可能性のあるもののことです。 厳密には,皮膚や粘膜からできるものを『が がん細胞は,通常の細胞よりも多くのブドウ ん』,骨や筋肉,神経からできるものを『肉腫 糖を摂取します。その特性を利用して,薬剤 (にくしゅ)』と言います。 が多く集まる位置を詳しく見ることで,がん の検査を詳しく行うことができます。PET アナフィラキシーショック 47 説 特定の とは,Positron(ポジトロン:陽電子) 物質がからだの中に入ることによって全身に Emission(エミッション:放出)Tomography 過剰なアレルギー反応が起こり,短時間で急 (トモグラフィー:断層撮影法)の略で,訳 激に血液の循環がうまくいかなくなり,生命 語は『陽電子放出断層撮影法』です。 に危険が及ぶ状態になることです。スズメバ 注 PET検査でからだに受ける放射線の量 チに刺された場合や,特定の薬剤を注射され は,胃のエックス線検査の半分程度であり, た場合などに起こります。 検査時に注射する薬剤は一日以内に放射能は アレルギー 16 注 外から入ってきたものを なくなり,薬剤そのものもほとんど体外に出 敵と見なして排除することにより起こる炎症。 てしまうので,副作用の心配はない。 36 説 通常は,からだを守る働きをする抗体 キューオーエル が,からだに不利益な働きを起こす場合がア Q O L 53 Quality Of Life レルギーである。例えば花粉症の場合, 「本来 言 その人がこれでいいと思えるような生活 有害ではない花粉を『敵』だと過剰反応して, の質,その人がこれでいいと思えるような生 抗体が作用して,鼻水や涙で外に追い出そう 活の質を維持しようとする考え方。 としているのです」などと説明することが, 説 不快に感じることを最大限に軽減し,でき 考えられる。 るだけその人がこれでいいと思えるような生 安楽死 38 説 末期患者の苦痛を除去し,死期 活が送れるようにすることを目指した,医療 を早めることを目的としている。 の考え方のことです。 詳 病気や加齢によって,生活に制約ができた 医薬品副作用被害救済制度 説 決められた 方法で薬を使ったにも関わらず副作用が現れ, り,苦痛を伴ったり,その人らしく生活する ことができなくなってしまうことがあります。 健康被害が生じた場合に医療費等が支給され る制度。説 病院・診療所で投薬された薬や薬 また,手術や抗がん剤など治療が原因となっ 局で購入した薬を指示通り使用したにも関わ て,それまで通りの生活ができなくなる場合 らず副作用による健康被害が生じた場合に医 もあります。患者さんの人生観や価値観を尊 療費,年金等の給付を行い被害者の救済を図 重し,その人がこれでいいと思えるような生 る制度です。 活をできるだけ維持することに配慮した医療 へいそく が,求められています。QOLを決めるのは イレウス 1 ileus 言 腸閉塞 。腸の通過障害。 患者本人で,それを助けるのは医療者です。 説 腸の一部が詰まって,食べたものやガスが QOLのもとになった言葉は,クオリティー 通らなくなっている状態です。 オブライフ(quality of life)で,直訳すれば 詳 腸の管の中が塞(ふさ)がったり狭くなっ 『生活の質』です。自分でこれでいいと納得 たりすると,食べたものやガスがつっかえて できる生活の質ということです」。 通らなくなります。また,腸の運動がにぶっ あくせい 悪性 29 説 「悪性」という言葉には,かなり 強い響きがあり,患者に大きな不安を与える おそれがある。 「悪性」という言葉をいきなり 使わない配慮は,患者の不安を軽くし,医師 の説明に耳を傾けさせ,治療への意欲をはぐ くむ効果が期待できる場合もある。まず「腫 瘍(しゅよう)」という言い方から始め, 「 悪性」 2 ても,やはりスムーズに動かなくなります。 おなかが痛くなってふくらみ,食べ物を吐き, 便やガスが出なくなることもあります。こう いう状態を『腸閉塞(へいそく)』と言います。 院外処方 説 病院で外来受診した患者が保険 薬局で薬を受け取る仕組み。説 患者は,受診 した医療機関で院外処方せんを受け取り,保 うつ病 険薬局へ持参します。薬局の薬剤師は,処方 内容や他の薬との飲み合わせなどを確認した 後,調剤した薬を患者に渡します。院外処方 せんの有効期限は,発行日を含めて4日間で す(日曜・祭日も含まれます)。 インシュリン 14 インスリン参照。 注 日本糖尿病学会などでは「インスリン」に 統一しており,現在は「インスリン」を使う ことが一般的である。一方,「インシュリン」 は以前によく使われた語形であり,現在でも 「インシュリン」の語形になじみのある人も 多い。 インスリン 14 insulin 言 膵臓(すいぞう) で作られ,血糖を低下させるホルモン。 説 膵臓(すいぞう)で作られるホルモンで, 血液中のブドウ糖をエネルギーとして利用す る際に必要です。この量が足りなくなったり, 働きが低下したりすると,糖尿病になります。 詳 胃の後ろ側にある膵臓(すいぞう)で作ら れるホルモンで,血液中のブドウ糖を細胞に 取り入れ,エネルギーを生み出す働きを促進 します。血糖値を低下させるので,糖尿病の 治療にも用いられます。治療に用いるインス リンは,飲むものではなく注射をします。 院内感染 13 説 病院の中で,患者がもともと かかっていた病気とは別の病気に感染するこ とです。抵抗力の落ちている入院患者に感染 することは,重大な結果を招くことになりか ねません。最近は,MRSAのような,細菌 を退治するために通常使われる薬が効かなく なる菌が出現したことから,病院は院内感染 が広がらないように,様々な手立てを講じて います。 インフォームドコンセント 49 informed consent 言 納得診療,説明と同意,納得で きる医療を患者自身が選択すること。 説 治療法などについて,医師から十分な説明 を受けた上で,患者が正しく理解し納得して, 同意することです。 詳 治療法などについて,医師から十分な説明 を受けた上で,患者が正しく理解し納得して, 同意することです。医師は平易な言葉で患者 の理解を確かめながら説明します。患者は納 得できる治療法を選択し,同意します。医師 が治療法を決めるのではなく,かといって患 者にすべてを決めてもらうのではなく,とも に考える医療です。医師の説明を理解し納得 して,治療法に同意できる場合,同意書を出 してもらうことになります。 説 いつでも質問したり,実施前であれば取り 消すことができます。 インフルエンザ 15 説 インフルエンザウイ ルスによって起こる,呼吸器の感染症です。 今ではあまり聞かなくなりましたが, 『流行性 感冒』(略して『流感』)と言われるように, 短い期間に大流行するのが特徴です。普通の 風邪とは違って,のどが痛み,高熱が出て, 筋肉痛や全身のだるさなど激しい症状が出ま す。悪化すると,さらに肺炎や中耳炎や脳炎 などを起こすこともあります。抗生剤はウイ ルスに効きませんから,インフルエンザの場 合も抗生剤は処方しません。 ウイルス 15 virus 言 細菌よりも小さく,電子顕微鏡でないと見 えない病原体。 説 細菌よりも小さく,電子顕微鏡でないと見 えない病原体です。抗生剤(抗菌薬)が効き ません。 詳 病原体の一種で,細菌よりずっと小さく, 電子顕微鏡でやっと見えるくらいです。細菌 は自分で増えることができますが,ウイルス はほかの生物の中で増えて病気を引き起こし ます。細菌には抗生剤(抗菌薬)が効きます が,ウイルスには効果がありません。 説 ウイルスの退治は,人のからだに備わる免 疫力で行います。 けつ うっ血 30 言 血液の流れが悪くなり,とどこ おってしまうこと。 説 からだのある部分に,静脈の血が異常に多 くたまった状態のことです。血液の流れが妨 げられたり,心臓の働きが弱ったりしたとき に起こります。指に輪ゴムを強く巻くと,血 の流れが悪くなって,紫色になる様子を思い 浮かべてください。あれもうっ血している状 態です。 詳 からだのある部分に,静脈の血が異常に多 くたまった状態のことです。静脈は血液を心 臓に戻す道です。静脈が圧迫されたり詰まっ たりして,血液の流れが妨げられたり,心臓 のポンプとしての働きが弱ったりすることが 原因で起こります。漢字で書くと『鬱血』で, 『鬱(うつ)』は『ふさぐ』『ふさがる』とい う意味です。 『憂鬱(ゆううつ)』 『鬱憤(うっ ぷん)』などに使われるときは気持ちがふさぐ 意味ですが,『鬱血(うっけつ)』の場合は血 管がふさがるということです うっ血性心不全 30 説 心臓の病気の症状と して現れる病気です。心臓のポンプ機能が弱 くなり,からだが必要とする血液の量を心臓 が送り出せなくなります。肺にうっ血が起き て,呼吸困難になったり胸水(きょうすい) がたまったりするタイプのものと,肺以外の 静脈にうっ血が起きてむくみなどが現れるタ イプのものとがあります。 びょう うつ 病 31 言 極端に内向的になり,これま で興味があったことにも意欲を示さなくなる 心の病気。 説 極端に内向的になり,何事にも意欲を示さ 3 エビデンス なくなる心の病気です。ストレスを抱えるだ 延命処置 38 説 生物的な死の到来を延ばす れでもがなる可能性がある病気の一つです。 ための医療行為のことです。 健康な人でも落ち込むことがありますが,こ 注 治療効果がないことや,必ずしも救命でき れが極端になって本人は非常に苦しく,治療 るわけではないことを説明するようにしたい。 おうしょく が必要な状態です。 詳 病気の状態としては,憂うつになり,食欲 黄 色 ブドウ球菌 13 注 ヒトの皮膚や消化 管にいる細菌で,肺炎,腸炎などの感染症や もなく口数も少なく,外に出たがらないとい うようなふさいだ状態が非常に強く現れます。 おう食中毒を引き起こす。 患者本人の意志ではどうにもならなく,日常 黄 だん 32 言 肝臓や血液の異常でからだが 生活にも支障が出ますし,場合によると,自 黄色くなること 殺を図ることもあるという点では注意が必要 説 肝臓や血液の異常のために,皮膚や白目の な病気です。原因はストレスや,薬の影響, 部分が黄色くなることです。肝臓で作られる 人生の節目における環境の変化などが,脳の 胆汁(たんじゅう)が血管の中に流れ込んだ 中の神経の伝達に悪い影響を与えたものと考 り,血液が壊れたりすることによって起こり えられます。治療は,薬による方法と環境の ます。 改善などとを,総合的に行う必要があります。 詳 肝臓や血液の異常のために,皮膚や白目の 慢性化したり,再発しないような注意も払い 部分が黄色くなることです。肝臓の病気の場 ながら治療する必要があります。 合と,血液の病気の場合があります。肝臓の エビデンス 2 evidence 言 証拠。この治療 場合,肝炎や肝硬変などの病気や,肝臓につ 法がよいと言える証拠。 ながる管の異常で,通常は血管に入らない胆 説 この治療法がよいと言える証拠です。薬や 汁(たんじゅう)が,血液中に流れ込むこと 治療方法,検査方法など,医療の内容全般に によって起こります。血液の場合,赤血球が ついて,それがよいと判断できる証拠のこと 一度にたくさん破壊されることによって起こ です。 ります。どちらの場合も,血液の中のビリル 詳 この治療法がよいと言える証拠です。医療 ビンという物質が増加して,これが皮膚や粘 の分野では,たくさんの患者に実際に使って 膜にたまることで,黄色くなるのです。 試す調査研究をして,薬や治療方法がどれぐ お薬手帳 説 病院や保険薬局で調剤された薬 らい効き目があるかを確かめています。その の記録(薬歴)を記載した手帳。説 お薬手帳は, 調査研究によって,薬や治療方法,検査方法 医師が処方した薬の名前や飲む量,回数など などがよいと判断できる証拠のことです。 の履歴(薬歴)を残すための手帳です。この えんげ 記録によって,医師・歯科医師や薬剤師がど 嚥下 4 説 飲み込むことです。 『 嚥下障害』は, のような薬をどの程度の期間使っているかが 飲食物をうまく飲み込むことができないこと 確認できます。保険薬局で無料でもらうこと を言います。 えんしょう ができます。 炎 症 16 (感染による場合を例に)言 からだ か い ご りょうようがたいりょう し せ つ 介護 療 養 型 医療 施設 説 介護保険が適用さ を守るために,からだの一部が熱を持ち,赤 れる療養病床等がある病院・診療所で,老人 くはれたり痛んだりすること。 病院と呼ばれることが多い。カテーテルを装 説 からだに侵入して悪さをする細菌やウイ 着している等の常時医療管理が必要で病状が ルスと,からだを病気から守る働きをする白 安定期にある要介護者の施設。今後廃止予定。 血球が戦うと,赤くなったり熱を持ったりす か い ご りょうようがたろうじん ほ け ん し せ つ る『炎症』が起きます。細菌やウイルスが白 介護 療 養 型 老人 保健 施設 説 新型老健。介 血球にやっつけられると,膿(うみ)になっ 護療養型医療施設と介護老人保健施設の中間 て出てきます。 の性格を持つ。医療管理が必要な要介護者の 詳 からだが,何かの有害な刺激を受けたとき 施設。 か い ご ろうじん ふ く し し せ つ に,これを取り除こうとして防御する反応が 介護 老人 福祉 施設 説 特別養護老人ホーム 起こります。普通は,その反応の起きている のことであり,特養と呼ばれることが多い。 場所は熱を持ち,はれ上がり,赤みがさし, 常時介護が必要で家庭での生活が困難な要介 痛みを感じます。これを『炎症』と言います。 護者の施設。 『肺炎』『皮膚炎』など,『○○炎』という病 か い ご ろうじん ほ け ん し せ つ 名がたくさんありますが,これらはその部分 介護 老人 保健 施設 17 言 病状が安定した高 が炎症を起こしている病気です。例えば,肺 齢者が介護や医療を受ける施設。老健(ろう 炎は,肺に入ってきた細菌やウイルスに抵抗 けん)施設。老健。 するために炎症を起こす病気です。アレルギ 説 病院での入院治療は終わったけれど,自宅 ーの場合も,外から入ってくる物質に反応し での生活に戻るにはまだ支障のある人が,リ て炎症を起こします。 ハビリをしながら,介護や医療を受けられる 4 寛解 病気となってしまいます。全身病としてのが 施設です。 んを治すということからすると,化学療法は 詳 病状が安定しており,入院して治療を受け 効果的な治療法です。 る必要はない高齢者が,リハビリを中心に医 療や看護・介護を受けることのできる施設で 確定診断 7 説 何の病気であるかをはっきり す。高齢者の自立を支援し,家庭への復帰を と決める診断のことです。例えば,がんの場 目指します。費用は,介護保険の給付と自己 合,画像検査などで病気が疑われた場所につ 負担とでまかなわれます。自宅で生活ができ いて,その組織を取って顕微鏡などで調べま るようになるまでの間,一時的に入ることが す。この診断で,がんかどうかを最終的に判 できます。 断します。病気を確定することで,治療の方 針を決め,実際に治療に進むことができるよ ガイドライン 51 guideline 言 診療指針,標 うになります。 準治療,標準的な診療の目安。 説 組織を調べ,病理診断をします。この病理 説 病気になった人に対する治療の実績や,学 診断でがんかどうかを最終判断します。 会での研究をふまえて作られた診療の目安で がっぺいしょう す。 合 併 症 46 言 ある病気が原因となって起こ 詳 治療に関して適切な判断を下せるように, る別の病気。 病気になった人に対する治療の実績や,学会 説 手術や検査などの合併症は併発症(へいは での研究をふまえて作られた診療の目安です。 つしょう)を参照。 最新の治療法を含め多くの情報から有効性, 説 ある病気が原因となって起こる別の病気 安全性などを整理して,診療の指針を示して です。例えば,糖尿病の場合,動脈硬化や脳 あります。 梗塞(こうそく)などの病気が起こることが かいよう 潰瘍 18 言 病気のため,からだの一部が深い あります。 ところまで傷ついた状態。ただれ。 詳 ある病気が原因となって起こる別の病気 説 病気のために,粘膜や皮膚の表面が炎症を です。例えば,糖尿病は血液中のブドウ糖の 濃さが必要以上に高くなる病気ですが,この 起こしてくずれ,できた傷が深くえぐれたよ 病気のために血管が弱ってきます。血管が弱 うになった状態です。 ると,動脈硬化が起き,さらに脳梗塞(こう 詳 『潰(かい)』は『くずれる』こと, 『瘍(よ そく)などの病気が起こることがあります。 う)』は『からだの傷やできもの』のことで, 『潰瘍(かいよう)』は『からだの一部がくず がん 29 説 腫瘍(しゅよう)のうち,皮膚や れてできた傷』という意味です。同じように 粘膜の細胞からできたもので,大きくなって してできた傷でも浅い場合は『糜爛(びらん)』 まわりに広がったり,違う臓器に移ったりし と言います。 て,命に危険が及ぶ可能性のあるもののこと か が く りょうほう です。癌腫(がんしゅ)とも言います。がん 化学 療 法 33 言 薬を使う,がんの治療法。 は悪性腫瘍の総称として用いられることもあ 説 がんの治療の方法には,外科療法,放射線 ります。→腫瘍 療法,化学療法の三種類があります。外科療 肝炎 34 説 肝臓に炎症が起こる病気です。ウ 法は手術で,放射線療法は放射線で,患部を イルスによるものと,アルコールによるもの 直接治療します。化学療法というのは,薬を とがあります。ウイルスによるものは,A型, 使う治療法です。注射や内服によって,から B型,C型など,感染の仕方や治療法に違い だの中に薬を入れ,がんが増えるのを抑えた があります。アルコールによるものはお酒の り,がんを破壊したりします。この方法だけ 飲み過ぎで,肝臓に負担をかけ過ぎたことが で治療をすることもありますが,ほかの治療 原因です。 法と組み合わせる場合もあります。 かんかい 詳 薬剤を使って,がんを治療することを『化 寛解 3 言 症状が落ち着いて安定した状態。 学療法』と言います。がん細胞が増えるのを 説 症状が一時的に軽くなったり,消えたりし 抑えたり,がん細胞を破壊したりします。手 た状態です。このまま治る可能性もあります。 術でがんを切り取る前後や,放射線をあてて 場合によっては再発するかもしれません。 がん細胞が分裂するのを防ぐ治療などと組み 詳 病気の症状が一時的に軽くなったり,消え 合わせて用いることもあります。化学療法は, たりした状態です。このまま再発しないで, 注射や内服によって薬が血液中に入り,全身 完全に治る可能性もあります。しかし,場合 の隅々まで運ばれて体内に潜むがん細胞を攻 によっては再発する可能性もまだあるかもし 撃し,破壊します。全身のどこにがん細胞が れません。再発しないようによく様子を見て あってもそれを破壊する力を持っているので, いただく必要があります。ですから,定期的 全身的な治療に効果があります。がんの初期 に検査を受けたり,薬を飲んだりしてくださ にはからだの一部にあった悪い細胞のかたま い。 りが,次第に全身に広がっていき,全身的な 5 肝硬変 かん こうへん 肝 硬変 34 言 肝臓が硬くなり働きが悪くな る状態。 説 肝臓が硬くなり,縮んでコブだらけになっ て,本来の働きができなくなった状態です。 ウイルスやアルコールなどによる肝炎が原因 で,肝臓の中の血液循環がうまくいかなくな ります。長い間自覚症状がないこともありま すが,肝臓の病気の中では比較的重い症状を 見せます。また,肝硬変から肝がんに移行す ることがあります。 詳 『肝硬変』の『肝』は『肝臓』, 『硬変』は 『硬く変わること』。『肝硬変』は『肝臓が硬 くなる病気』です。肝臓の細胞が壊れること で,肝臓が硬くなり,縮んでゴツゴツとした コブだらけになります。ウイルスやアルコー ルなどが原因で,肝臓の中の血液循環がうま くいかなくなります。自覚症状がないままゆ っくりと進行する病気です。食欲不振,下痢 などで始まり,腹水(ふくすい),黄だん,む くみ,出血,食道静脈瘤(りゅう)破裂,意 識障害などの症状が現れることがあります。 これまでかかったことのある病気や手術など の診療の記録。 説 これまでかかった病気の記録のことです。 現在の病気の診断や治療法の選択に重要な手 掛かりとなります。『既往症』とも言います。 詳 これまでかかった病気の履歴のことです。 大きな病気だけでなく,薬の副作用,アレル ギー,交通事故,出産経験,健康状態なども 含まれます。今かかっている病気の診断に役 に立ちますし,患者さんの体質を確認し,治 療法の向き不向きを判断するための重要な手 掛かりにもなります。 狭心症 41 説 動脈硬化などにより,心臓の筋 肉に酸素やエネルギー源を送る血管の血のめ ぐりが悪くなり,胸のあたりにしめつけられ るような痛みが起こる病気です。 ぐうはつしょう 偶 発 症 46 注 偶然に起こった症状,つまり原 因がない症状という意味に受け取られてしま う。手術や検査などの合併症の場合の意味す なわち「併発症」の原因は手術や検査である ので, 「偶発症」という言葉は,使わない方が かんし よい。 鉗子 7 注 はさみのような形をした,物をつま クリティカルパス 52 クリニカルパス参照 む道具。 かん ふ ぜ ん 注「クリティカル」(critical)は「ぎりぎりの」, 肝 不全 23 説 肝臓の働きが悪くなって,肝臓 「パス」(path)は「通り道」の意味で,工業 で分解されて捨てられるはずの物質が,血液 製品などの製造過程において「最短の道」を の中に残ったままになることです。 意味する言葉であった。医療に取り入れられ かんわ た際も,効率化を目指すものだったが,現在 緩和 ケア 54 言 痛みや苦しみを和らげる医 の「クリティカルパス」は,効率化だけでな 療,病気に伴う痛みや苦しみを和らげること く,もっと多様な目的を持っている。由来に を優先する医療。 こだわらず,病院での役割を中心に理解して 説 痛みや苦しみを和らげることを優先して もらえるように,説明することが大切である。 行う医療です。からだの苦痛や心の苦悩など クリニカルパス 52 clinical path 言 退院ま を軽くすることが主な目的です。患者さんや での道筋を示した表。診療内容をスケジュー その家族の希望や価値観に配慮して,穏やか ル化し,分かりやすく記したもの。 な日常が送れるようにします。 説 患者さんの,退院までの診療内容や治療の 詳 痛みや苦しみを和らげることを優先する 進み方を計画表の形にまとめたものです。 (現 医療です。痛みや吐き気,呼吸困難などの症 物を渡して,見方を説明して)今後の予定や 状を改善させたり,不安などを軽くしたりす 注意点などが書いてありますので,よく見て るケアを行います。WHO(世界保健機関) おいてください。私たちもこれと同じような では,痛みの強さに応じて,早い段階から積 ものを見ながら診療を進めていきますが,何 極的に痛みを取り除くことを勧めています。 か疑問があったり,ここに書かれているのと 緩和ケアは,医師と看護師だけで行うのでは 違うことがあれば,すぐに知らせてください。 なく,薬剤師,栄養士,理学療法士,作業療 詳 患者さんの,診療内容や治療の進み方を計 法士のほか,ときには宗教家なども交えたチ 画表の形にまとめたものです。入院から退院 ームで協力して行います。薬剤師は痛みを和 までの間,いつどんな検査や治療を行うかが, らげる薬の使い方,栄養士は食べやすい調理 スケジュール表にまとめられています。また, 法,理学療法士は痛みを生じない姿勢やから 食事や入浴,薬の飲み方の注意点なども記さ だの動かし方,作業療法士は生活環境作りの れています。私たち医療者のチームも,患者 相談などを担います。趣味や嗜好(しこう) さん一人一人の病状や診療の予定について, を同じくするボランティアの協力を得ること これと同じようなものを見て情報を共有する もあります。 きおうしょう ようにしています。私たちがよい医療を行う 既往症 35 既往歴を参照。 ために大事なものですし,患者さんもこれを きおうれき 既往歴 35 言 病歴,これまでにかかった病気, 見ることで,治療のゴールまでの段階が分か 6 誤嚥 と間違えて,攻撃するようになったために起 きる病気の一種です。皮膚・血管・関節など に激しい炎症を起こします。 者の場合を例に) 言 認知症患者が専門スタ 詳 からだの中で敵から自分を守ってくれて ッフの援助を受けて共同生活をする家。 いる物質が,何らかの原因によって,自分の 説 認知症の高齢者が少人数のグループ単位 からだのある部分を敵だと間違えて,攻撃す で共同生活を送る住居です。専門のスタッフ るようになったために起きる,免疫の異常に が一緒にいて洗濯や食事などの援助をしてく よる病気です。全身の皮膚・血管・関節など れます。 で炎症が起きますが,特に,関節で起きたも 詳 認知症のお年寄りが少人数のグループ単 のを,関節リウマチと言います。『膠』(にか 位で共同生活を送る住居です。部屋は個室, わ)は木工品などに使われる接着剤の意味で, 居間や台所は共同で,洗濯や食事の準備など 『膠原(こうげん)』とは,にかわのもとにな はスタッフとともに行い,認知症が進むのを る,からだの中にある物質,コラーゲンのこ 抑えることができます。施設ではなく一般住 とです。皮膚と筋肉,細胞と血管などをつな 居に近い家庭的な雰囲気があります。家にい ぐ結合組織にコラーゲンが多く含まれている る感じで生活できるので,不安を軽くするこ と言われています。 とができます 説 要介護1以上であることが必要な一方で, 高脂血症 41 脂質異常症参照. 抗生剤 13 説 細菌を退治する化学物質(抗生 著しい精神症状や行動異常のある人は入れま 物質)から作られた薬です。 『抗菌薬』とも言 せん。介護保険法での正式名称は, 「認知症対 います。細菌による感染症の治療に用いられ 応型共同生活介護」。 ます。抗生剤は細菌には効きますが,ウイル ケアハウス 19 説 認知症でない人の老人ホ スには効きません。したがって,風邪などウ ームの一つ。 イルスが原因となっている病気には,抗生剤 ケアホーム 19 説 障害者用の施設。 を使うことはありません。 外科療法 33 説 手術による治療方法。→化学 こうそく 梗塞 41 注 つかえてふさがること。 療法 こうたい 結合組織 20 説 からだの中で細胞同士を結 抗体 36 言 細菌やウイルスと戦い,からだを び付けたり,細胞に栄養を送り込んだりする 守ってくれる,人間のからだの中で作られる 組織です。全身にゆきわたっており,関節や 物質。 皮膚,血管に多くあります。 説 からだに入ってくる細菌やウイルスに抵 血栓 41 説 血管をふさいでしまう血のかたま 抗して,毒を出さないようにしたり,感染す りです。この血のかたまりが,心臓の血管を るのを防いだりする物質です。 ふさぐと心筋梗塞,脳の血管をふさぐと脳梗 詳 人のからだには,細菌やウイルスなどが入 塞になります。 ってくると,これに抵抗してからだを守ろう 血糖 40 説 血液に含まれるブドウ糖のことで とする働きがあります。このときに働く物質 す。この量を測る検査で『血糖値』が高いと, のことを『抗体』と言います。細菌やウイル 高血糖と判定され,糖尿病と診断されます。 スが悪い働きをしないようにするタンパク質 原因療法 25 説 病気そのものや,その原因を の一種です。 治す。 説 体を守ってくれる防衛軍ですが,アレルギ 検査併発症 46 併発症を参照。 ーの場合は,この抗体が過剰反応し反乱軍と げんじゃく なって体に攻撃をしかけます。 減 弱 5 注 「弱まる」の意。 後発医薬品 (ジェネリック医薬品) 説 特許 抗がん剤 33 説 がん細胞を退治し,増えない が切れた薬を,他の製薬メーカーなどが製造 ようにする薬です。抗がん剤は,がんに効く あるいは販売供給する薬。説 新薬は,最初に 薬ですが,不快な症状が出ることもあります 開発・発売される薬で,開発メーカーは特許 ので,主治医とよく相談して,使うかどうか 期間中,独占的に製造・販売することができ を決める必要があります。 ます。その特許期間が満了した後に,厚生労 こうげん 抗原 36 ポ「からだに攻撃をしかける敵」など 働省の承認のもとに発売される薬が後発(ジ のたとえを用いることができる。 ェネリック)医薬品です。開発期間が短くコ こう げんびょう ストも抑えられるため,新薬よりも低価格に 膠 原 病 20 言 自分のからだのある部分を敵 設定されています。 と間違えて,激しい反応を全身に起こしてし ごいん まう病気。 誤飲 4 説 飲食物ではない異物を飲み込んで 説 からだの中で敵から自分を守ってくれて しまうこと。 ごえん いる物質が,自分のからだのある部分を敵だ 誤嚥 4 言 食物などが気管に入ってしまうこ ります。 グループホーム 19 group home(認知症患 7 誤嚥性肺炎 と。 説 食べたり飲んだりしようとしたときに,飲 食物が食道ではなく気管に入ってしまうこと です。 詳 食べたり飲んだりしようとしたときに,飲 食物が誤って食道ではなく気管に入ってしま うことです。飲食物を飲み込む力が弱かった り,飲み込む神経の働きが悪かったりすると 起こりやすいのです。飲食物が気管に入ると 激しくむせるのは,それを押し出そうとする からです。飲食物だけでなく唾液(だえき) が気管に入る場合もあります。口から肺に細 菌が入ることで病気を引き起こすきっかけに もなります。 ポ「誤嚥の危険が大きい」は「食べた物が気 管に入ってしまう危険が大きい」,「誤嚥しや すい食べ物」は「間違って気管に入ってしま いやすい食べ物」などのように言い換えると 分かりやすい。 ごえん 誤嚥 性肺炎 4 説 飲食物や唾液が食道ではな 自己注射 14 説 患者が自分で注射を打つこ と,または家族に打ってもらうことです。決 められた時間に決められた量を注射するため に,医師の指導のもと,自宅などでインスリ ンを注射します。 自己免疫疾患 20 説 通常はからだの外から 入ってくる異物を排除する働きをする免疫で すが,誤って自分のからだのある部分を敵だ と思って攻撃してしまう病気です。皮膚,血 管,関節などに炎症を起こす場合が多く,炎 症が全身に及ぶ場合の代表的なものが膠原病 です。 脂質異常症(高脂血症) 41 説 血液の中の 脂肪が,異常な値を示す状態のことです。 『脂 質』とは脂肪のことです。血液検査によって, LDLコレステロール(悪玉),HDLコレス テロール(善玉),中性脂肪などの数値を総合 して判定します。この症状になると,動脈硬 化を進行させ,心筋梗塞や脳梗塞を引き起こ す危険性が高くなります。 しじゅうそう く気管に入ってしまったときに,口の中にあ 死の四重奏 28 説 肥満,高血圧,脂質異常症 った細菌が気管や肺に流れ込んで起きる肺炎 (高脂血症),糖尿病の四つは,一つ一つが重 のことです。 くなくても,複合することで,心筋梗塞(し 呼吸不全 23 説 呼吸がうまくいかなくなり, んきんこうそく)や脳梗塞(のうこうそく) 血液の中に酸素が送り込めなくなることです。 など死をもたらす危険な病気につながります。 こそくてき 姑息的 療法 25 説 病気の原因を取り除くの しゅうがくてき 集 学 的 治療 33 説 がんの治療の際に,手術 ではなく,痛みなどの症状を和らげる治療法 (外科療法),薬を使う治療(化学療法),放 です。『姑息的治療』『姑息治療』などとも言 射線を使う医療(放射線療法)などを組み合 います。『対症療法』と同じ意味です。注 患 わせて行うことです。 者には悪い意味に解釈される危険があるので, じゅうけつ 充 血 30 説 「充血」はある部分の動脈を流れ 患者には使わない方が良い言葉である。 る血が異常に増えることであるのに対して, こんじ 根治 療法 25 説 病気を,その原因を取り除く 「うっ血」は静脈の血が流れなくなってたま ことによって,根本から治すことを目指した ることである。 治療法です。 『原因療法』とほぼ同じ意味です。 じゅうとく 重 篤 5 言 病状が非常に重いこと。 細菌 15 説 自分で増えることができ,抗生剤 ポ 「重篤な症状」「重篤な副作用」などと言 (抗菌剤)が効きます。 いたい場合は, 「非常に重く,生命に危険が及 さいぼう 細胞 6 説 生き物のからだを作っている一番 ぶ症状」 「とても重い副作用」などと言い換え, 「症状の重篤化を防ぐ」は「症状がひどく悪 小さい単位です。 くなるのを防ぐ」などと言い換えると分かり 細胞診 7 細胞診断を参照。 やすい。 細胞診断 7 説 病気が疑われた部分から取っ 注 命の危険があることを伝えたい場合は, た細胞を,顕微鏡などで調べ,何の病気であ 「重篤(じゅうとく)」という言葉を使うのは るかを診断することです。 『病理診断』の一つ 避けその旨をはっきりと伝えた方がよい。 です。例えば,痰(たん)に含まれる細胞を 手術併発症 46 併発症を参照 取って顕微鏡で調べることで,肺のがんかど うかを診断することができます。 出血性ショック 47 説 大量に出血すること で,からだの中の血液の量が足りなくなり, サイレントキラー 28 説 自覚症状がないま 生命に危険が及ぶ状態になることです。 まに,ひそかに病気が進行し,心筋梗塞や脳 しゅよう 梗塞など,死をもたらす危険な病気につなが 腫瘍 21 言 細胞が異常に増えてかたまりにな ります。 ったもの。 座薬 説 肛門や直腸,膣に挿入し,体温で溶か 説 細胞がルールを無視して異常に増えて塊 しながら粘膜から吸収させる薬。 (かたまり)になったものです。特に治療を ジェネリック医薬品 後発医薬品参照。 する必要がない良性腫瘍(りょうせいしゅよ 8 ステロイド う)と,すぐに治療が必要な悪性腫瘍(あくせ いしゅよう)があります。 詳 細胞が異常に増えてかたまりになったも のです。悪性のものは,周囲を壊しながら広 がったり(浸潤),離れたところに飛び移った り(転移)します。悪性の場合は治療が必要 なので,まずは詳しく検査しましょう。良性 ならその場所にとどまっているだけなので, 放っておいても大丈夫です。 注 脳にできる腫瘍(脳腫瘍)などの場合,良 性であっても手術が必要なこともある。 しゅよう 腫瘍 マーカー 22 言 がんがあるかどうかの 詳 血液の循環がうまくいかなくなって,脳や 臓器などが酸素不足におちいり,生命にかか わる大変に危険な状態です。緊急に治療する 必要があります。血圧が下がる,顔面が真っ 白になる,脈が弱くなる,意識がうすれるな どの症状が現れます。 注 日常語「ショック」は,単にびっくりした 状態,急に衝撃を受けた状態という意味であ り,患者やその家族は,「ショック」「ショッ ク状態」と聞いても,この日常語の意味で受 け取ってしまいがちである。 こうそく 心筋梗塞 41 説 動脈硬化により,心臓の血管 目安になる検査の値。 の血のめぐりが悪くなったり,狭心症が進行 したりして,ついには血が流れなくなり,心 説 がんがあるかどうかの目安になる検査の 臓の筋肉が破壊されてしまう状態です。 値です。がんがあると,健康なときには見ら しんじゅん れない物質が血の中に現れます。その物質が 浸 潤 6 (がんの場合を例に) あるかないか,増えているかいないかで,が 言 がんがまわりに広がっていくこと。 んがあるかどうかの目安になるわけです。数 説 がんがまわりに広がっていくことです。水 値が高いときには,別の検査に進む目安とな が少しずつしみ込んでいくように,次第にが ります。 ん細胞が周囲に入り込み,拡大していきます。 詳 がん細胞の表面には,正常の細胞では見当 詳 がんがまわりに広がっていくことです。 たらない物質があり,はがれて血液の中に流 『浸』はしみること, 『潤』はうるおって水気 れ込みます。血液を調べてそれが見つかれば, を帯びることで, 『浸潤』は,水が少しずつし がんにかかっていることが分かるわけです。 み込んでいくように,次第にがん細胞が周囲 がんの種類によってその物質は異なっており, の組織を壊しながら入り込み,拡大していく それぞれの目安となる値が決められています。 ことです。 このような,がんであるかどうかを見る目印 しんじゅん えい となる物質やその値のことを『腫瘍(しゅよ 浸 潤 影 6 説 エックス線検査(レントゲン検 う)マーカー』と言います。しかし,その値 査)の結果,肺にぼんやりと広がっていく様 は個人の状態にも左右されますので,高い低 子の影が写っています。肺炎などが疑われま いだけでははっきりしたことは言えません。 すので,精密検査が必要です。 したがって,数値の解釈は患者さんが自分だ 心不全 23 説 心臓の働きが悪くなり,心臓か けで行うのではなく,医師の説明を受けて判 ら血液が送り出せなくなることです。 じん ふ ぜ ん 断することが大事です。 じょくそう 腎 不全 23 言 腎臓(じんぞう)の働きが大幅 褥 瘡 説 床(とこ)ずれともいう。長い時間、 に低下した状態。 同じ場所を圧迫されることで,圧力を受けた 説 腎臓(じんぞう)の働きが悪くなり,から 皮膚の血液の流れが悪くなり,深いところま だの中の捨てなければならないものや余分な で傷ついた状態。 水分が,血液の中にたまってしまう状態です。 りゅう 詳 『腎不全(じんふぜん)』の『腎』は『腎 食道静脈 瘤 破裂 34 説 食道の静脈がコブ 臓』のこと, 『不全』は『正常に働かなくなっ のようにふくらんで,破裂することです。こ た状態』のことです。 『腎不全』というのは『腎 れが起きると大量に血を吐き,救急治療が必 臓が正常に働かなくなった病気の状態』のこ 要です。原因の多くが肝硬変で,肝臓で流れ とで,病気の名前にもなっています。からだ にくくなった血が食道の静脈にたまってコブ の中をめぐってきた血液の中の要らないもの のようになるのです。 や余分な水分は,腎臓の働きで尿として捨て 植物状態 43 説 脳幹が働いており,生命の維 られます。腎不全になると,捨てなければな 持はでき,適切な医療を行えば十数年も生存 らないものが血液中に残ったままになり,か できる。一方脳死は,脳幹が働いておらず, らだと心の両面に悪影響が出てきます。 10 日程度で死亡する見通しである。 ショック 47 shock 言 血圧が下がり,生命の ステロイド 24 steroid 言 炎症を抑えたり,免疫の働きを弱めたりす 危険がある状態。 る薬で,もとは人間のからだの中で作られる 説 血液の循環がうまくいかず,細胞に酸素が ホルモン。 行きにくくなった状態です。生命の危険があ 説 炎症を抑えたり,免疫の働きを弱めたりす るので,緊急に治療が必要です。 る薬です。腎臓(じんぞう)の上の方にある 9 生検 副腎皮質(ふくじんひしつ)というところで できるホルモンの成分をもとに作られていま す。適切に使わないとからだに影響が出ます ので,必ず指示通りに使ってください。しか し,適切に使い,反応に注意していれば,心 配はいりません。 詳 炎症をしずめたり,免疫の働きを弱めたり する薬です。腎臓(じんぞう)の上の方にあ る副腎皮質(ふくじんひしつ)というところ で作られたホルモンのうち,糖質コルチコイ ドという成分を合成した薬です。適切に使わ ないとからだに影響が出ますので,必ず指示 通りに使ってください。ステロイドには,飲 み薬,注射,塗り薬,吸入剤などがあります。 飲み薬や注射は,専門の医師の処方によって 使います。塗り薬は,塗り過ぎるとよくない ので医師の指導に必ず従ってください。吸入 剤は副作用が極めて少ないので安心です。 せいけん 生検 7 言 患部の一部を切り取って,顕微鏡な 院の医師の意見を参考にして判断することで す。したがって,セカンドオピニオンを聞き たいときは,主治医にはっきりと申し出なけ ればなりません。 注 例えば,手術のインフォームドコンセント (説明と同意)の際などに,主治医から, 「も し,この説明を聞いて迷ったりしたときは, 別の病院の先生に,本当にこの治療法でよい かどうか相談していただいても結構です。検 査の資料などはすべてお貸しいたします」と, セカンドオピニオンの希望も受け入れる用意 があることを話せば,より親切である。 赤血球 48 説 血液の中にあって,酸素を全身 に運ぶ働きをしています。赤血球の中にある ヘモグロビンという物質に酸素を結び付ける ことで,運んでいます。血液中の成分のうち とても多くの部分を占めています。 先進医療 説 国が定める高度の医療技術を用 いた療養のこと。患者が希望し,医師がその 必要性と合理性を認めた場合に行われます。 先進医療に係る費用は全額自己(患者)負担 です。 どで調べる検査。 説 患部の一部をメスや針などで取って,顕微 鏡などで調べる検査です。病気を正確に診断 そく することができます。この検査の結果によっ ぜん息 37 言 気管支などの空気の通り道が て,診断をはっきり決めます。 炎症などによって狭くなる病気。 詳 患部の組織の一部を,麻酔をしてからメス 説 気管支などの空気の通り道が炎症などに や針などで切り取って,顕微鏡などで調べる よって狭くなる病気です。夜中や明け方に, 検査です。この検査によって,病気を正確に ひゅうひゅう,ぜいぜいと笛が鳴るような呼 診断することができます。例えば,がんの診 吸の音とともに,発作的に激しくせき込みま 断の場合,まず,画像検査や内視鏡検査を行 す。 って,病気がどこにあり,どんな様子かを推 詳 気管支などの空気の通り道が炎症などに 定します。その結果,がんである疑いが強く よって狭くなる病気です。夜中や明け方に, 出れば,患部の一部を切り取る検査をし,そ ひゅうひゅう,ぜいぜいと笛が鳴るような呼 の場所や状態を推定します。この検査によっ 吸の音とともに,発作的に激しくせき込みま て,診断を確定し,治療に進みます。 す。 『喘息(ぜんそく)』の『喘(ぜん)』は『は 注 『生体検査』を略した言葉で,生きたから あはあとあえぐ』こと,『息』は『息をする』 だを検査するという意味です。 こと。『喘息』というのは,『あえぎながら息 説 患部の一部を切り取って調べ,病理診断を をすること』を言います。 めい します。この結果によって診断を確定し(確 ぜん鳴 37 説 呼吸をするときに出る,『ひゅ 定診断といいます),治療に進みます。 うひゅう』『ぜいぜい』という音のことです。 セカンドオピニオン 50 second opinion 気管や気管支が狭くなることが原因で,呼吸 「主治医にお任せ」ではなく,別の専門家の が困難になる兆候でもあるので,注意が必要 意見を積極的に聞き,治療法は自分で納得し です。 て決めることが大切であることを,理解して 注 一般にはなじみがないので,患者に対して もらいましょう。 言 別の医師の意見,主治 は使わない方がよく,「ひゅうひゅう」「ぜい 医以外の医師に意見を聞くこと,第二診断。 ぜい」など具体的な音で表すと分かりやすい。 説 今かかっている病気や,その治療法につい もう せん妄 8 言 話す言葉やふるまいに一時的に て理解を深め十分に納得するため,他の病院 の専門医の意見を聞いて参考にすることです。 混乱が見られる状態。 説 病気や入院による環境の変化などで脳が 治療を受けるかどうかを判断するための患者 側の一つの手段です。 うまく働かなくなり,興奮して,話す言葉や ふるまいに一時的に混乱が見られる状態です。 詳 現在かかっている医師とは別の医師の意 詳 病気や入院による環境の変化などで脳が 見のことです。具体的には『勧められた手術 が妥当なものか,ほかに治療法がないか』な うまく働かなくなり,興奮して,話す言葉や ど,診断や治療方針について主治医以外の病 ふるまいに一時的に混乱が見られる状態です。 10 治験 人の区別が付かなかったり,ないものが見え たり,ない音が聞こえたりすることがありま す。また,ぼんやりしているかと思うと急に 感情を高ぶらせることもあります。 ポ 一時的な強い寝ぼけのようなもの。 ぞう あく 増 悪 3 説 病状がますます悪くなることです。 一時的に良くなった状態からまた悪くなるこ とを『再発』『再燃』と言いますが,『増悪』 はもともと悪かった状態がもっと悪くなるこ とです。 ぞくはつしょう 続 発 症 46 注 「続発」は「交通事故が続発す る」のように同じ悪いものが続いて起こる意 味があり, 「続発症」は「同じ病気が度々起こ る」と取られやすい。 説 手術や検査に引き続いて起こる病気の意 味では併発症(へいはつしょう)がふさわし い。 組織 6 注 同じ形や働きを持つ細胞が集まっ てひとまとまりになっている部分。神経組織, 脂肪組織などがある。 組織診断 7 説 病気が疑われた部分から取っ た組織を,顕微鏡などで調べ,何の病気であ るかを診断することです。 『病理診断』の一つ です。例えば,患部の一部を針などで切り取 って顕微鏡で調べることで,がんかどうかを 診断することができます。 そんげんし 尊厳死 38 言 患者が自らの意思で,延命処置 を行うだけの医療をあえて受けずに死を迎え ること。 説 医師が,患者さんの人間としての尊厳を最 大限に受け止め,場合によっては,ただ延命 を図るだけの処置を差し控え,安らかに人生 を終える選択を与えることです。何よりも, 患者さんの希望を尊重します。 詳 患者さんが,過剰な延命処置を拒否し安ら かな死を望むことを,あらかじめ意思表示し ておき,人間としての尊厳を保ちつつ死を迎 えることです。この言葉は,医療技術の進歩 が,一面で苦痛を伴う延命治療を受ける患者 を生み出していることへの反省から生まれた 考え方です。 ターミナルケア 54 説 人生の最後の大切な ときを,本人の希望に添って過ごすための支 えになることを目指して行われる医療や介護 です。痛みを和らげる『緩和ケア』も含まれ ます。注 最後を迎えるときまでを穏やかに過 ごすための医療。 たいしょうりょうほう 対 症 療 法 25 言 病気の原因を取り除くの ではなく,病気によって起きている症状を和 らげたり,なくしたりする治療法。 説 病気によって起きている,痛み,発熱,せ きなどの症状を和らげたりなくしたりする治 療法です。一時的に病気を和らげるものです ので,病気そのものや,その原因を治す『原 因療法』とは違います。 詳 病気によって起きている,痛み,発熱,せ きなどの症状を和らげたりなくしたりする治 療法です。病気そのものや,その原因を治す 『原因療法』とは違います。例えばがん治療 の場合,苦痛となる症状を和らげることで, 日々の生活を快適にすることができ,充実し た時間を過ごすことに役立ちます。 『対症療法』 と『原因療法』とが同時に行われることも多 いです。 たいせい 耐性 9 言 抵抗性。細菌やウイルスが薬に対し て抵抗力を持つようになり,薬が効かなくな ること。 説 同じ薬を繰り返し使うことによって,細菌 やウイルス,がん細胞などが,その薬に耐え る(抵抗する)力を持つことです。その結果, これまでは効いていた薬が効かなくなってき ます。この場合は,量を増やしたり,別の薬 に切り替えたりする必要があります。 詳 これまでは効いていた薬を使っても,細菌 やウイルス,がん細胞などの増殖を抑えるこ とができなくなったとき, 『耐性ができた』 『耐 性を獲得した』などと言います。万能薬のよ うに使われていた抗生剤(抗菌薬)が効かな い『耐性菌』が生まれたのも,抗生剤の使い 方を誤ったために菌が耐性を獲得したのが原 因です。がん細胞も,性質が変化して耐性を 獲得し,薬の効果が見られなくなるときがあ ります。 耐性ウイルス 9 説 退治する薬が効きにくく なったウイルスのことです。例えばインフル エンザを治すために作られた薬オセルタミビ ル(商品名『タミフル』)が効きにくくなった, インフルエンザウイルスなどがあります。 耐性菌 9 説 退治する薬が効きにくくなった 細菌のことです。細菌による感染症に対して, 抗生剤を使い過ぎたため,細菌が抵抗力を持 って,抗生剤が効きにくくなったものです。 『MRSA』と呼ばれる『メチシリン耐性黄 色(おうしょく)ブドウ球菌』は,耐性菌の 一種です。 たんのう 胆嚢 ポリープ 説 胆嚢(たんのう)の粘膜が 隆起した病変。 たんじゅう 胆 汁 32 注 肝臓で作られ,胆嚢(たんのう) で蓄えられる。脂肪などの消化を助ける働き をしている。 ち けん 治 験 39 言 新薬の開発のための人での試験。 説 新しい薬を開発するために,人での効果や 安全性を調べる試験のことです。動物実験な どで効果や安全性が確かめられたものについ て,人での試験に進みます。 詳 新しい薬を開発するために,人での治療の 11 痴呆 効果や安全性を調べる試験のことです。製薬 会社が開発する新しい薬は,厚生労働省の承 認が必要です。この承認を受けるために行わ れるのが『治験(ちけん)』です。動物実験な どで効果や安全性が確かめられたものについ . て,人での試験に進みます。『治験』は,『治 . 療の試験 』という意味です。 ちほう 痴呆 8 注 「認知症」は従来「痴呆(ちほう)」 たりと,様々な病気の元になります。 説 甘いものの取り過ぎで起きる病気という のは誤解です。 注 糖尿病による合併症は,動脈硬化などの血 管の病気,手足の感覚低下や自律神経障害, 視力の低下,腎臓(じんぞう)の機能低下な どです。糖尿病を治療せずに放っておくと, これらが悪化して,手足の先がくさってしま ったり,失明したり,腎不全になって透析を 受けなければならなくなることもあります。 また,脳梗塞(こうそく)や心筋梗塞にもか かりやすくなります。タバコを吸っていると その危険性がさらに高くなります。 と呼ばれていたが,厚生労働省は, 「痴呆」は 侮蔑(ぶべつ)的な意味が含まれ,早期発見・ 早期診断などの取り組みの支障となっている という理由で,平成 16 年に「認知症」に改 どうみゃく こ う か めるべきという報告書を出した。現在では, 医学用語としても行政用語としても「認知症」 動 脈 硬化 41 言 動脈の血管の壁が硬く,厚 くなって,弾力を失った状態。 に統一され,一般にもこの言葉が使われてい 説 動脈の血管が,年齢とともに老化して,弾 る。認知症より痴呆と言った方が分かりやす 力性を失って硬くなった状態です。血管の内 い面もあるが,その際は,こうした名称変更 側に様々な物質がこびりついて狭くなり,血 のいきさつも合わせて説明しておきたい。 ち ゆ 液の流れが悪くなります。 治癒 3 説 完全に治ること。 詳 動脈の血管が,年齢とともに老化して,弾 ちょうねんてん 力性を失って硬くなった状態です。血管の内 腸 捻 転 1 説 腸がねじれて腸の血のめぐりが 側に,悪玉コレステロールといわれる脂肪や 悪くなる病気です。放っておくと腸がくさっ カルシウムがこびりついて,血管が狭くなり, てしまう怖い病気です。緊急手術が必要です。 ちょうへいそく 厚く硬くなった状態です。この状態が続くと, 腸 閉塞 1 言 腸の通過障害。 狭心症や心筋梗塞(こうそく),脳梗塞という 説 腸の一部が詰まって,食べたものやガスが 危険な病気を引き起こすことがあります。原 通らなくなっている状態です。 因は,喫煙,運動不足などの生活習慣による 詳 腸の管の中が塞(ふさ)がったり狭くなっ もののほか,高血圧や脂質異常症などです。 たりすると,食べたものやガスがつっかえて ドクターショッピング 50 説 自分にとって 通らなくなります。また,腸の運動がにぶっ 都合のいい診断と治療法にたどり着くまで, ても,やはりスムーズに動かなくなります。 次々と医師を変えること。それが自分にとっ おなかが痛くなってふくらみ,食べ物を吐き, て最善の医療とは限らないこともあります。 便やガスが出なくなることもあります。 →セカンドオピニオン 鉄欠乏性貧血 48 説 血液中の鉄が不足する 鳥インフルエンザ 15 説 人で流行している ことによって起きる。説 鉄分が不足していな インフルエンザウイルスとは違うものです。 い人が食事やサプリメントで過剰摂取を続け しかし,このウイルスが突然変異を起こして ると肝臓障害などを起こすおそれもあります。 人に感染する可能性は十分あります。そうな てんい ると爆発的に大規模な感染になることが予想 転移 6 ポ からだの離れた部分にがんが飛び されています。 火して広がること。 とうにょうびょう 糖 尿 病 40 言 高血糖が慢性的に続く病気, とんぷく 頓服 26 言 症状が出たときに薬を飲むこと。 説 食後など決まった時間ではなく,発作時や 高血糖症。 症状のひどいときなどに薬を飲むことです。 説 血液の中には,からだに必要なエネルギー 詳 一日一回とか毎食後とか,決められたとき 源であるブドウ糖があります。ブドウ糖がか に薬を飲むのではなく,症状が出て必要にな らだで処理できない濃度になるのが糖尿病で ったときに薬を飲むことです。 『頓服(とんぷ す。治療せずにいるとほかの重大な病気にな く)薬』と言うのは,そのようにして飲む薬 ります。 のことです。 詳 からだに必要なブドウ糖を血液は運びま ポ 「頓(とん)」は「一度」という意味。 すが,ブドウ糖の濃さが必要以上に高くなる にくしゅ 病気です。膵臓(すいぞう)が出すインスリ 肉腫 29 説 腫瘍(しゅよう)のうち,骨や筋 ンというホルモンが作られなかったり,量や 肉や神経の細胞からでたもののうち,大きく 働きが不十分だったりするために起こります。 なってまわりに広がったり,違う臓器に移っ 自覚症状はありませんが,そのままにしてお たりして,命に危険が及ぶ可能性のあるもの くと,血管が弱って詰まって破れたり,目が のことです。肉腫には比較的おとなしい良性 見えなくなったり,腎臓(じんぞう)も弱っ 12 敗血症 のものと,急速に大きくなる悪性のものがあ ります。→腫瘍 日射病 42 注 直射日光に当たって起きるも ので,「熱中症」の原因による分類。 尿糖 40 説 尿の中に含まれているブドウ糖の ことです。健康な人は普通,尿にブドウ糖は 含まれませんが,血糖値の高い状態の人は血 液中のブドウ糖が,尿の中に出てくるのです。 血糖値が高いかどうかを知る目安として,こ の尿糖の検査をします。まれに,血糖値が高 くなくても腎臓(じんぞう)の不具合で尿に ブドウ糖が出る人がいますが,これは腎性糖 尿といって,本当の糖尿病ではありません。 認知症 8 説 ものを考えたり,覚えたりする力 を認知能力と言います。その認知能力が下が る病気が認知症です。脳の血管が詰まったり 出血したりして起きる場合と,脳が縮んで働 きが鈍くなるアルツハイマー病によって起き る場合があります。高齢者に多い病気で,進 行すると治療が難しいので,早く発見して予 防したり進行を遅らせたりすることが大切で す 認知症対応型共同生活介護 19 注 「グルー プホーム」は,認知症患者が共同生活をする 「家」のことを指すのが一般的であるが,そ うした家での「サービス」を指す場合もある。 このサービスを指す介護保険法での正式名称 は,「認知症対応型共同生活介護」である。 熱射病 42 注 「熱中症」の症状の重いもの。 ねっちゅうしょう 熱 中 症 42 言 高温・高熱にさらされるため 見込めない状態です。心臓は動いていても, 脳幹と呼ばれる脳の中枢が働かなくなった状 態で,多くの場合 10 日ほどで心臓も止まっ て死亡に至ります。 詳 脳の機能が失われてしまった状態で,今後 回復が見込めない状態です。心臓は動いてい ても,脳幹と呼ばれる脳の中枢が働かなくな った状態で,10 日ほどで心臓も止まって死亡 に至ります。法やガイドラインで決められた 要件を満たした,複数の医師による脳死判定 で決められます。 脳死を人の死 43 注 臓器移植法では臓器を 移植する場合に限って「脳死を人の死」とし て,脳死判定後,移植の処置が始まる。この 時期が遅れるほど,移植には不利な状況とな るため,あらかじめそのような意思のある患 者の場合は家族にも診断後の手順を説明して おく必要がある。またその際には,移植コー ディネーターが,家族への支援も行う。 のう しゅよう 脳 腫瘍 21 注 脳にできる腫瘍(しゅよう)。 良性であっても手術が必要なこともある。 脳貧血 48 説 気持ちが悪くなって立ちくら みを起こして倒れる。 ノロウイルス 15 説 腹痛や下痢・嘔吐(おう と)などの症状を起こすウイルスの一種です。 人のからだの中で増える性質を持っているた め,感染している人の糞便(ふんべん)や吐 いた物に大量に含まれています。このため, 手や器物などを通して食品にくっつき,その 食品を食べた人に感染し流行します。したが って,よく手を洗うなどして予防することが 非常に大切です。また,ウイルスを含む食品 による食中毒が原因のこともありますので, よく火を通してから食べることが予防に効果 があります。ノロウイルスに効く薬は現在の ところありません。強い症状は一日から二日 程度で治まりますが,その後もからだの中に ウイルスが残っていることが多いので,感染 を広げないよう注意が必要です。 に起こる,命にかかわることもある病気。 説 高温や高熱に長時間さらされたために,体 温調整がうまくいかなくなって,急に高熱が 出たり,意識不明におちいったりする病気で す。 詳 高温や高熱に長時間さらされたために,体 温調整がうまくいかなくなって,急に高熱が 出たり,意識不明におちいったりする病気で す。『熱中』の『中』は,『的中』の『中』と はいきしゅ 同じで, 『あたる』という意味。 『熱中』とは, 肺気腫 12 説 肺にあって空気の出し入れを 『熱に中(あた)る』ことです。 している,ぶどうの房のようにたくさん重な 注 「日射病」は,直射日光に当たって起きる っている肺胞の病気です。その肺胞と肺胞の もので,「熱中症」の原因による分類であり, 境目がなくなってつながってしまうことで, 「熱射病」は, 「熱中症」の症状の重いもので, 空気の出し入れがうまくできなくなる病気を 程度の違いによる分類。 『肺気腫』と言います。 ネフローゼ症候群 3 ポ 腎臓(じんぞう)の はいけつしょう 敗 血 症 27 言 血液に細菌が入って全身に回 働きが悪くなり血液中のタンパク質が尿とし り,重い症状になった病気。 て出てしまう病気 説 血液に細菌が入って全身に回り,からだの のう こうそく 脳 梗塞 41 説 脳の血管が詰まり血液が流れ 抵抗力が負けて重い症状に陥った病気です。 高熱や頭痛などを起こし,そのままにしてお なくなり,脳の細胞が破壊されてしまう状態 くと命にかかわります。 です。 のうし 詳 からだの一部に細菌がはびこり,そこから 脳死 43 言 脳の機能が失われてしまった状態。 血液中に絶え間なく菌による毒が流れ込みま 説 脳の機能が失われてしまって,今後回復が 13 白血球 す。その毒が全身に回って,からだの抵抗力 が負けて,肺や腎臓(じんぞう)などの大事 な臓器がおかされる病気です。治療が遅れる と命にかかわるので,抗菌剤などを使い,早 めに治療します。 白血球 16 説 血液の中にあって,からだを病 気から守る働きをしています。からだの中に 入ってくる細菌やウイルスと戦います。 病診連携 55 説 病院(病)と診療所(診)が お互いに連携して医療を提供すること。患者 の日常的な健康管理,治療(内服薬の処方) を診療所の医師(かかりつけ医)が担当し, 精密検査や専門治療(手術,放射線,抗がん 剤治療等)を拠点病院が担当します。 病理 7 説 病理検査の略。 病理検査 7 説 患部の一部を切り取った組織 や細胞などを,顕微鏡などで調べる検査のこ とです。 『病理』と略して使われることもあり ます。 『生検』と同じような意味で用いられま すが, 『生検』が,組織を切り取るところを主 に指すのに対して, 『病理検査』は顕微鏡で調 べるところを主に指します。病理検査の結果 による診断を『病理診断』と言います。 病理診断 7 説 病理検査の結果による診断。 病理医 説 病理診断を行う専門医のこと。 ひ よ り み 日和見 感染 13 説 からだの抵抗力が落ちて, ふだんは害のないような弱い細菌やウイルス などによって感染してしまうことです。 びらん 糜爛 18 説 病気のために,粘膜や皮膚の表面 が炎症を起こしてくずれ,できた傷が浅い場 合です。→潰瘍(かいよう) ひん かい 頻 回 5 注 頻繁(ひんぱん)の意。 ひんけつ 貧血 48 言 血液の中の赤血球や,その中の色 どのことが考えられます。原因によって,治 療法も異なりますので,医師の診断をきちん と受ける必要があります。気持ちが悪くなっ て立ちくらみを起こして倒れることを『貧血』 と言う場合がありますが,ここで言う貧血と は別の病気です。 ビリルビン 32 注 赤血球の中にあるヘモグ ロビンから作られる黄色い色素で,黄だんの 原因になる物質。 ひん かい 頻回 5 注 「頻繁(ひんぱん)」の意。 ふくさよう 副作用 44 言 病気を治すために使った薬に よる,望んでいない作用。 説 どんな薬にも目的に合った働きと目的に 合っていない働きとがあります。例えば風邪 薬を飲むと,風邪の症状を抑える反面,眠く なることがありますが,眠くなるのは,副作 用です。副作用には害のあるものもあれば, 害のないものもあります。もし有害な反応が 出てしまった場合は,すぐに電話などで連絡 してください。 詳 薬による,病気の治療に役立たない働きや, 有害な反応のことを広く「副作用」と呼んで います。副作用は,薬がもたらす光に対する 影の部分と言えます。副作用には害のあるも のもあれば,害のないものもあります。害の あるものの場合は,特に丁寧に説明しますの で,よく聞いてください。どんなにいい薬に も副作用はあります。からだに害を与えるも のを『有害事象』と言うことがあります。 ポ 薬を処方する際にはいつも,「どんな薬に も必ず副作用が出ることがあります。副作用 が出るかどうかは処方する医師でも完全に予 測することはできません。もし薬を飲んで具 合の悪いことがあったら,薬を飲むのをやめ て,すぐに電話で連絡してください」と話し ておくことが大切である。 素が減っている病気。ポ 血液が薄くなってい ます。赤血球が少なくなっています。 ふくすい 腹水 34 説 おなかの内臓と内臓のすきまにあ 説 血液の中の赤血球や,その中の色素が減っ る液体のことで,その液体が増えてたまる症 た状態を言います。その色素のことを『ヘモ 状のことも言います。この液体は本来,内臓 グロビン』と言います。赤血球やヘモグロビ の動きをなめらかにする働きをしているので ンは,全身に酸素を運ぶ働きをしているので, すが,内臓の病気によってこの液体が増えす 不足すると酸素が足りない状態になり,めま ぎると,ぽっこりとおなかがふくらみます。 いや息切れなどの症状が現れます。気持ちが 例えば,肝硬変によって血液中に水分を保つ 悪くなって立ちくらみを起こして倒れること 働きが弱くなることで,血管から水分が染み を『貧血』と言う場合がありますが,ここで 出し,腹水が増加します。 言う貧血とは別の病気です。 ふくはんのう 詳 血液中の赤血球や,赤血球に含まれる色素 副反応 44 説 ワクチンの予防接種によって であるヘモグロビンが減り,異常な色素にな 起こる,望んでいない反応です。薬の副作用 って,全身の細胞に酸素を運ぶ働きに異常が と同じことが,ワクチンについて起こる場合 起きることを『貧血』と言います。酸素を運 『副反応』と言います。どんなワクチンにも ぶ力が足りなくなると,疲れやすくなり,動 副反応があり,からだにとって害のあるもの 悸(どうき)・息切れ,めまい,頭痛などの症 もあれば,害のないものもあります。 ふぜん 状が起こります。貧血の原因には,赤血球を 作ることができない,赤血球が壊されている, 不全 23 説 働きが十分でないというだけでな く,からだの大事な働きができなくなること 知らないうちにどこからか出血している,な 14 メタボリックシンドローム で,危険な状態になる場合に使われる言葉で す。 プライマリーケア 55 primary care (総合 的に診る医療)言 ふだんから近くにいて,ど んな病気でもすぐに診てくれ,いつでも相談 に乗ってくれる医師による医療。 説 あなたの近所にいて,何でも気さくに診て くれ,いつでも相談に乗ってくれる医師によ る医療のことです。特定の病気だけを診る専 門医療とは違って,患者を一人の人間として, 総合的に診療する医療のことです。緊急の事 態が起こったり専門的な医療が必要になった りしたときは,最適の専門医に進んで紹介し てくれるので,安心です。 詳 急にからだの調子が悪くなった緊急の場 合の対応から,健康診断の結果についての相 談までを行う医療のことです。プライマリー ケアを行う医師は,そのための専門的なトレ ーニングを受けており,患者さんの抱える 様々な問題にいつでも幅広く対処できる能力 を身につけている『何でも診る専門医』です。 必要なときは最適の専門医に紹介します。在 宅診療や地域の保健・予防など,住民の健康 を守る役目も担っています。 プライマリーナーシング 55 説 ある特定 の患者の看護ケアを,入院から退院まで一人 の受持ち看護師が継続して責任を持つ「主治 看護師制」のこと。 へいはつしょう 併 発 症 46 言 手術や検査などの後,それらが もとになって起こることがある病気。 説 手術や検査などの後,それらがもとになっ て起こることがある病気です。例えば,消化 器の手術の後に腸が詰まって腸閉塞(へいそ く,イレウス)が起こることがあります。 詳 手術や検査などの後,それらがもとになっ て起こることがある病気です。例えば,消化 器の手術をすると,腸の働きがにぶって腸が スムーズに動かなくなる場合があります。そ のために腸が詰まって腸閉塞(へいそく)が 起こることがあります。これは必ず起こるわ けではありませんが,どんな手術でも起こる 可能性があります。 ほうしゃ せんりょうほう 放射 線 療 法 33 説 放射線を病巣にあて,が ん細胞を死滅させ腫瘍(しゅよう)を縮小さ せる治療方法。 詳 放射線をあててがん細胞が分裂するのを 防ぐ治療です。 説 放射線で細胞分裂を止め,細胞を死滅させ ることにより,腫瘍(しゅよう)を治療しま す。手術とは違い,放射線療法では体を切ら ずに腫瘍を治療することが可能です。また, 体への負担が少ないので,高齢の方,手術が 受けられない方でも治療が可能です。 ほきんしゃ 保菌者 説 菌を体内に持っていますが,症状 がない人のことです。 ホスピス 54 説 痛みや苦しみを和らげ,人生 の最後の大切なときを安らかに過ごせるよう に世話をする専用施設です。 ポリープ 45 polyp 言 胃や腸の内側にでき る,いぼやきのこのような形のできもの。 説 胃や腸の内側にできる,いぼやきのこのよ うな形のできもののことです。良性のものと 悪性のものとがありますが,悪性のものに変 化するおそれがあると診断された場合は,手 術や薬で取り去ります。 詳 胃や腸の内側にできる,いぼやきのこのよ うな形のできもののことです。良性のものと 悪性のものとがありますが,悪性のものに変 化するおそれがあると診断された場合は,手 術や薬で取り去ります。最近は,小さなポリ ープのうちに,内視鏡で簡単に取り去る方法 もあります。ポリープは内臓にできることが 多いですが,声帯や鼻の奥の粘膜や皮膚にで きる場合もあります。 慢性気管支炎 12 説 のどの炎症がひどくな り,気管支の粘膜にまで炎症が広がった状態 が,長期間続く病気です。呼吸困難やせき, 痰(たん)などの症状が,三か月以上続く場 合を『慢性気管支炎』と言います。 まんせい じん ふ ぜ ん 慢性 腎 不全 23 説 腎臓の働きが徐々に悪く なって,腎不全の状態になったもののことで す。治りにくく長引くことを『慢性』と言い ます。少しずつ腎臓の働きが低下するのが『慢 性腎不全』です。 ミス 46 注 手術や検査の際のミスによって別 の病気になってしまった場合を, 「合併症」 「併 発症」 「偶発症」などの言葉で表現してはなら ない。この場合は, 「手術や検査の際に,○○ ○○のミスが起こり,これが原因で△△△症 になりました」などとはっきり伝えるべきで ある。 メタボリックシンドローム 28 metabolic syndrome 言 内 臓 に 脂 肪 が た ま る こ と に よ り,様々な病気を引き起こす状態。内臓脂肪症 候群。代謝症候群。 説 内臓に脂肪がたまることにより,様々な病 気が引き起こされる状態です。引き起こされる 危険がある病気は,高血圧,脂質異常症(高脂 血症),糖尿病などです。また,心筋梗塞(しん きんこうそく)や脳梗塞(のうこうそく)のお それもあります。 詳 生活習慣病の代表格に肥満,高血圧,脂質 異常症(高脂血症),糖尿病があります。これら の病気は,特に内臓に脂肪がたまることで,代 謝の働きが正常でなくなることが原因であると されています。この内臓の脂肪や代謝の異常に 15 免疫 より様々な病気が引き起こされる状態を『メタ 予後が良い 10 ポ これから病気が良くなる ボリックシンドローム』と言います。メタボリ 可能性が高い。 ッ ク ( metabolic ) は 代 謝 , シ ン ド ロ ー ム 予後が悪い 10 ポ これから病気が悪くなる (syndrome)は症候群のことで, 『 代謝症候群』 可能性が高い と訳されます。 『内臓脂肪症候群』と訳される場 余命 10 説 あとどれぐらい生きられるか。→ 合もあります。肥満,高血圧,脂質異常症(高 予後(よご) 脂血症),糖尿病の一つ一つの症状は軽くても, 臨床試験 39 説 新しい薬や治療法などの有 複合すると心筋梗塞(しんきんこうそく)や脳 効性や安全性を調べるために,人間を対象と 梗塞(のうこうそく)の危険が急激に大きくな して行われる試験研究のことです。この臨床 ることから注目されています。 試験のうち,新薬の開発を目的として行われ 説 内臓脂肪は皮下脂肪とは別の働きをしてい るものを『治験(ちけん)』と言います。 ることが分かってきています。一見やせて見え る人でも内臓脂肪が多く蓄積している場合があ 私のカルテ 説 熊本県がん診療連携パス(連 携パス)のこと。地域のかかりつけ医と専門 ります。 医が,患者の診療経過を共有できる診療計画 免疫 20 説 ある病気に一度かかると,二度目 表のことです。これを活用して,かかりつけ は軽く済んだり,かからなくなったりするこ 医と専門医が協力して患者の診療を行います。 とです。生物が自分のからだにとって害にな 説 「連携パス」を利用することで,診察の待 るものを識別して攻撃して排除する働きです。 ち時間の短縮や通院時間の短縮など患者の負 めんえき はんのう 免疫 反応 36 ポ 人のからだには,自分のから 担の軽減にもなります。さらに,患者自身が だにないものを見分ける力が備わっていて, 診療計画や病気を理解でき,かかりつけ医の それを認識したら, 『抗体』を作り出して排除 もとで,手厚い診療を受けることができるよ します。この働きを『免疫反応』と呼びます」。 うになります。拠点病院のコーディネーター が渡します。現在,胃がん,大腸がん,肺が 有害事象 44 説 体に害を与えるもの。 ん,乳がん,肝がんが対象です。 ゆるやかな殺人者 28 サイレントキラー参 照 よ ご 予後 10 言 見通し。今後の病状についての医 学的な見通し。 説 今後の病状についての医学的な見通しの ことです。病気の進行具合,治療の効果,生 存できる確率など,すべてを含めた見通しで す。これから病気が良くなる可能性が高いか, 悪くなる可能性が高いかの見通しを指す場合 もあります。 詳 今後の病状についての医学的な見通しの ことです。治療を行った後に,病状がどのよ うな経過をたどるのかを予測し,見通しを立 てます。その判断材料には数々のものがあり ますので,必ずこうなるというものではなく ある確かさを数値として表すことしかできま せん。 16 (補足) 原典は次から入手できます ① 書籍:「病院の言葉を分かりやすく 工夫の提案」 勁草書房 ② WEB: 国立国語研究所ホームページ http://www.ninjal.ac.jp/byoin/ ③ PDF ファイル: 国立国語研究所ホームページ http://www.ninjal.ac.jp/byoin/ 付録 (付録) 平易な表現への置き換え例 本院の診療録や同意書案から抜粋したものです。 事例 番号 原文 (明朝,ゴシック,10ポイント) 平易な表現例 (丸ゴシック体,12ポイント) 1 呼吸を助けたり,薬を入れたり,不要な体液を くだるい きかんないそうかん 気管内挿管チューブ,点滴ルート, 身体の外に出すための 管 類 (気管内挿管 チュー 各種ドレーン類に触れたり抜いて てんてき ふ ブ, 点 滴 ルート,各種ドレーン類)に触 れたり しまう危険性がある 抜いてしまう危険性があります 2 失見当識状態や認知機能低下で, 時間や場所がわからない しつけんとうしき 3 抑制帯(体幹・上肢・下肢)の使 用 時間や場所がわからない状態( 失 見 当 識 状態や にんちきのう 認知 機能 低下) おび よくせいたい 手足や身体の動きを押さえる 帯 ( 抑 制 帯 )の使 用 かん ふ ぜ ん 4 肝不全に至ることが 肝 不全 (肝臓の機能が極端に低下して意識障害 おうだん や黄 疸 ,出血などを起こす)に至ることが けいひてき 当科で行っている経皮的 RFA は 当 科 で 行 っ て い る 開 腹 し な い 治 療 法 ( 経皮的 RFA)は 6 穿刺処置を受ける場合に 7 留置針で血管を確保し点滴を開始 します 体外から針を刺す処置( 穿 刺 処置)を受ける場 合に 何度も血管に針を抜き差ししないで済むよう 8 焼灼にかかる時間は 9 対極板熱傷 5 せん し 10 超音波ガイド下に腫瘤を穿刺しエ タノールを注入します 12 血小板の低下が強い場合,プロト ロンビン時間の延長が強い場合, すなわち出血が止まりにくい場合 は実施が困難です。 ステントを挿入 13 スネアにてポリープを把持し 15 専門用語(解説) 11 りゅうちしん に,特別な針( 留 置 針 )を静脈に挿入して固定 し,点滴を開始します。 しょうしゃく 焼いて壊死( 焼 灼 )にかかる時間は 治療のための電気を通すための金属板(電極) が発熱することによるやけど 超音波画像を見ながら,臓器の一部にある塊(か たまり)の位置を確認し,そこへ針を刺してエ タノール(アルコールの一種)を注入します。 出血が止まりにくい場合(血小板の低下が強い 場合,プロトロンビン時間の延長が強い場合) は実施が困難です。 金属製の網目状の筒(ステント)を挿入 特別な金属製の輪でポリープ(いぼのようなも の)の根元をつかみ できるだけ平易な表現を先に示し,必要であれ ば専門用語をカッコ書きで示す。 17 索引 索引 数字・欧文 1型糖尿病 ...................1 2型糖尿病 ...................1 A D L .............................1 C O P D........................1 C T ..................................1 E B M .............................1 IC..................................1 M R I ...............................1 M R S A .......................1 PET .................................2 Q O L .............................2 あ 悪性..................................2 悪性腫瘍 ........................2 アナフィラキシーシ ョック .....................2 アレルギー ...................2 安楽死 .............................2 医薬品副作用被害救 済制度 .....................2 イレウス ........................2 院外処方 ........................2 インシュリン...............3 インスリン ...................3 院内感染 ........................3 インフォームドコン セント .....................3 インフルエンザ ..........3 ウイルス ........................3 うっ血 .............................3 うっ血性心不全 ..........3 うつ病 .............................3 エビデンス ...................4 嚥下..................................4 炎症..................................4 延命処置 ........................4 黄色ブドウ球菌 ..........4 横だん .............................4 お薬手帳 ........................4 か 介護療養型医療施設 4 介護療養型老人保健 施設 ..........................4 介護老人福祉施設 .....4 介護老人保健施設 .....4 ガイドライン...............5 潰瘍..................................5 化学療法 ........................5 確定診断 ........................5 合併症 .............................5 がん..................................5 肝炎..................................5 18 寛解 ................................. 5 肝硬変 ............................ 6 鉗子 ................................. 6 肝不全 ............................ 6 緩和ケア ....................... 6 既往症 ............................ 6 既往歴 ............................ 6 狭心症 ............................ 6 偶発症 ............................ 6 クリティカルパス .... 6 クリニカルパス ......... 6 グループホーム ......... 7 ケアハウス................... 7 ケアホーム................... 7 外科療法 ....................... 7 結合組織 ....................... 7 血栓 ................................. 7 血糖 ................................. 7 原因療法 ....................... 7 検査併発症................... 7 減弱 ................................. 7 抗がん剤 ....................... 7 抗原 ................................. 7 膠原病 ............................ 7 高脂血症 ....................... 7 抗生剤 ............................ 7 梗塞 ................................. 7 抗体 ................................. 7 後発医薬品................... 7 誤飲 ................................. 7 誤嚥 ................................. 7 誤嚥性肺炎................... 8 呼吸不全 ....................... 8 姑息的療法................... 8 根治療法 ....................... 8 さ 細菌 ................................. 8 細胞 ................................. 8 細胞診 ............................ 8 細胞診断 ....................... 8 サイレントキラー .... 8 座薬 ................................. 8 ジェネリック医薬品 8 自己注射 ....................... 8 自己免疫疾患 .............. 8 脂質異常症(高脂血症)8 死の四重奏................... 8 集学的治療................... 8 充血 ................................. 8 重篤 ................................. 8 手術併発症................... 8 出血性ショック ......... 8 腫瘍 ................................. 8 腫瘍マーカー .............. 9 褥瘡 ................................. 9 食道静脈瘤破裂 ......... 9 植物状態........................ 9 ショック........................ 9 心筋梗塞........................ 9 浸潤 ................................. 9 浸潤影 ............................ 9 心不全 ............................ 9 腎不全 ............................ 9 ステロイド ................... 9 生検 ............................. 10 セカンドオピニオン10 赤血球 ........................ 10 先進医療.................... 10 ぜん息 ........................ 10 せん妄 ........................ 10 増悪 ............................. 11 続発症 ........................ 11 組織 ............................. 11 組織診断.................... 11 尊厳死 ........................ 11 た ターミナルケア ..... 11 対症療法.................... 11 耐性 ............................. 11 耐性ウイルス .......... 11 耐性菌 ........................ 11 胆嚢ポリープ .......... 11 胆汁 ............................. 11 治験 ............................. 11 痴呆 ............................. 12 治癒 ............................. 12 腸捻転 ........................ 12 腸閉塞 ........................ 12 鉄欠乏症貧血 .......... 12 転移 ............................. 12 糖尿病 ........................ 12 動脈硬化.................... 12 ドクターショッピン グ .......................... 12 鳥インフルエンザ. 12 頓服 ............................. 12 な 肉腫 ............................. 12 日射病 ........................ 13 尿糖 ............................. 13 認知症 ........................ 13 認知症対応型共同生 活介護 ................. 13 熱射病 ........................ 13 熱中症 ........................ 13 ネフローゼ症候群. 13 脳梗塞 ........................ 13 脳死 ............................. 13 脳死を人の死 .......... 13 脳腫瘍 ......................... 13 脳貧血 ......................... 13 ノロウイルス .......... 13 は 肺気腫 ......................... 13 敗血症 ......................... 13 白血球 ......................... 14 病診連携 .................... 14 病理.............................. 14 病理検査 .................... 14 病理診断 .................... 14 病理医 ......................... 14 日和見感染 ............... 14 糜爛.............................. 14 頻回.............................. 14 貧血.............................. 14 ビリルビン ............... 14 頻回.............................. 14 副作用 ......................... 14 腹水.............................. 14 副反応 ......................... 14 不全.............................. 14 プライマリーケア . 15 プライマリーナーシ ング ...................... 15 併発症 ......................... 15 放射線療法 ............... 15 保菌者 ......................... 15 ホスピス .................... 15 ポリープ .................... 15 ま 慢性気管支炎 .......... 15 慢性腎不全 ............... 15 ミス.............................. 15 メタボリックシンド ローム ................. 15 免疫.............................. 16 免疫反応 .................... 16 や 有害事象 .................... 16 ゆるやかな殺人者 . 16 予後.............................. 16 予後が良い ............... 16 予後が悪い ............... 16 余命.............................. 16 ら 臨床試験 .................... 16 わ 私のカルテ .............. 16
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