ごはんとみそ汁を上手に作ることができるようになろう!

第 5 学年
家庭科学習活動案
ごはんとみそ汁を上手に作ることができるようになろう!
1.目標
○ ごはんとみそ汁に関心をもち、その調理を通して身につけた知識や技能を生かして、家庭で実践しよ
うとする。【関心・意欲・態度】
○ ごはんとみそ汁の作り方を考えたり、自分なりに工夫したりする。【創意工夫】
○ 衛生、安全に気をつけ、ごはんとみそ汁を手順よく作ることができる。【技能】
○ ごはんとみそ汁の作り方が分かる。
【知識・理解】
2.題材設定の理由
本学級は、男子15名、女子17名、計32名の学級である。多くの子が家庭科を好きであり、家庭科
の学習に意欲的に取り組んできている。1学期には、自分の家庭生活を見つめることから始まり、自分が
できる家庭の仕事について考え、サラダ作り、ソーイング、洗濯などに挑戦し、楽しく学習を進めてきた。
「○○にチャレンジ!」と称して、学校で学習したことを家庭で実践できるようにと、それぞれの家庭に
合った方法でチャレンジカードにも取り組んでいる。家族からの感想を見ると、チャレンジを重ねるたび
に子どもたちの手つきがよくなっていく様子がうかがえる。家族から感想をもらい、喜んでもらうことが、
子どもたちにとってまた次のチャレンジへの自信や意欲につながっているようである。本学級のほとんど
の子が、料理をすることが好きであり、「夏休みチャレンジ!」でも料理に挑戦した子が多かった。また
毎日の家庭生活においても料理の手伝いをする子が多い。「ごはん」と「みそ汁」に関しては、大半の子
がごはんを炊いた経験はあるが、みそ汁を作った経験はない。経験がある子の中でも家族と一緒に作り、
作業の一部だけを経験している子、野外炊飯での経験がある子などがいる。また全員が5月の江津研修の
炊飯活動で火おこしをしてはがまでごはんを炊いた経験があるので、ごはん炊きに関してはおよその一連
の手順は知っている。
ごはんとみそ汁は日本の典型的、伝統的な食事の1つである。米は、日本の風土に合った作物であり、
エネルギーのもととなるでんぷんを含み、調理によりふっくらとおいしいごはんに変化する。味が淡白で
様々な副食と合わせやすいので、昔から主食として親しまれている。また、みそは、蒸した大豆にこうじ
と塩を加えて作られる食品であり、良質のたんぱく質を含み、味もよいため、昔から調味料として使われ
ている。みそ汁にすると、実によって様々な味が楽しめるばかりでなく、いろいろな食品を食べられ、栄
養的にも優れている。地域の特色や季節感も楽しめる。
本題材は、内容(5)「簡単な調理」から構成し、日本の伝統的な食事であるごはんとみそ汁を学習す
ることによって、洗う、切る、ゆでる、味をつけるなどの毎日の家庭生活で行う調理の基礎的な知識と技
能が身に付けられる題材である。1学期に野菜をゆでてサラダ作りをする簡単な調理を経験しているので、
この時期にこの題材を学習することは調理の基礎的な知識と技能を高める上で大変効果的である。そして
今後、身に付けた力を生かして6年生での栄養のバランスを考えた1食分の食事作りにつなげ、学習を深
化させていく。また、ごはんとみそ汁の作り方を調べる活動によって、家庭での工夫やこつも学んだり、
チャレンジカードによって家庭でも作ったりし、家族との関わりを深めることができ、家庭での実践にも
つないでいくことのできる題材であると考える。
指導にあたっては、「ごはんとみそ汁を上手に作ることができるようになろう!」というめあてを持っ
て学習を進めていけるようにする。ここで「上手に作ることができるようになる」というのは、一つ一つ
の調理操作の必要性を理解した上で手順通りに作ることができるということに合わせ、この学習の終わり
には、好みや献立など目的に合わせて作ることができる応用力がついていることを意味する。ごはんやみ
そ汁に限らず、洗い方、切り方、水加減、火加減などを、材料や献立、好みによって調節していくことは、
家庭生活のなかのあらゆる調理に共通するものであり、他の調理にも応用できる家庭での実践力につなが
ると考える。
導入では、毎日何気なく食べている「ごはん」を見つめ直すことができるように、炊きたてのごはんを
食べて、ごはんについて話し合う場を設けたい。ごはんをじっくりと味わうことによって、ごはんのおい
しさを体感したり、自分の生活の中でのごはんについても考えたりすることができ、自分でもごはんを炊
けるようになりたいという意欲につながると考える。次に、子どもたちが調べてきたことを発表し合い、
学び合う場も設けたい。子どもたちと話し合いながら、手順を確認していく中で、米の洗い方、水加減、
浸水などの炊飯の基礎的な知識と技能になる部分については、なぜ、何のために、それぞれの調理操作が
必要なのかを問いかけていく。そして子どもたちが調べてきた方法や時間、分量などに違いがあることか
ら子どもたちの課題を引き出していきたい。その課題を解決するために、試し実習を行う。試し実習をす
ることによって、炊飯の際に気をつけるポイント(洗い方、水加減、浸水時間)を五感をつかって実感す
ることができ、ごはんを炊くためには、方法や時間、分量を加減すればよいことが分かる。その後、みそ
汁についても同様に扱い、最後にごはんとみそ汁を同時に作る手順を考えた調理実習を行う。
本時では、課題別グループに分かれて、実験的な要素を加えた試し実習を行う。米からごはんへの変化
が観察できるように、ガラス鍋で実習する。米の洗い方、水の量、浸水時間の違いによって炊き上がりが
どうなるかを一つだけ条件を変えた鍋と比べて確かめていく。ごはんを上手に炊くためには、火加減が重
要であるが、ここでは、火加減はどの鍋も同じようにするという条件を出す。その理由としては、素材を
むだにしないことに加え、火加減の難しさもあるが、家庭で実践する際には、電気炊飯器をセットすると
ころまでがほとんどであると考えるからである。加熱することが必要であるということだけはきちんとお
さえたい。米からごはんに変化していく様子を観察できるように、水の量、動き、あぶく、米の動き、色、
ふくらみなどの観察のポイントをあげておき、ワークシートに気づいたことを書けるようにしておく。試
食の際には、固さや粘りなどを比べ、炊き上がりの様子を発表し合う。そして、ごはんを炊くときには、
洗い方、水の量、浸水時間の加減に気をつけるとよいことが分かり、今度ごはんを炊く時には洗い方、水
の量、浸水時間などの加減が自分でできるようにしていきたい。
また、題材を通して子どもたち一人一人によりよい支援をしていくために、実習の際には、安全面や効
率面を考えて、スクールヘルパーと共に支援していく。この学習の終わりには、チャレンジカードにより、
家庭でも実践する。家族に喜んでもらったことや、工夫したことなどを互いに共有できるようなチャレン
ジ発表会も行い、作る楽しさや食べる喜びを味わわせたい。
そして、この家庭科の学習で身に付けたことを実際の生活の中で生かし、実践することにより、子ども
たち一人一人に自分の家庭生活をよりよくしていこうとする意欲が生まれてくると考える。
3.題材構想図
ものとの主体的なかかわり
「ごはんとみそ汁を上手に作ることができるようになろう!」(全 10 時間)
主な学習内容[―]と家庭での取り組み[…]
子どもの意識
主な支援◇と評価◆
島根大会重点より
キーワード
日常のごはん
家の人が炊いたごはんを何気なく食べている。
毎日食べているご
①ごはんを見つめてみよう
(1時間)
・ごはんを味わおう。
ごはんのよさ
・私たちの生活の中でのごはんについて話し合おう。
への気づき
・ごはんの炊き方を考えよう。
◇
何気なく食べているごはんを見
はんのよさがわか
つめ直すことができるように、炊
ったぞ。
きたてのごはんを準備する。
◇
意欲的に学習を進められるよう
に、ごはんが私たちの生活に密接
早くごはんを炊
ごはんの炊き方を調べよう
ごはんを炊く
・家の人に聞く
手順(知識)
・本、インターネット
に関わっていることを話し合う場
いてみたいな
を設ける。
◆
米やごはんの炊き方について関
心をもっている。
等
②ごはんを上手に炊けるようになろう
(4時間)
◇
基本的な 炊き方が分かるよう
ごはんを炊く
・調べたことを発表し合おう。
に、調べたことを発表し合う中で、
知識・技能
・炊き上がりがどうなるか○○で炊いてみよう。
一連の手順を確認する。
◇
課題を意識して試し実習ができ
次は自分の好
るように、課題追求の方法や役割
みで炊けそう
分担を確認したり、掲示を工夫し
だぞ
たりする。
ごはんによく合うみそ汁の作り方を
◆
調べよう。
ごはんの炊き方(米の洗い方・水
加減・浸水時間・加熱の必要性)が
・家の人に聞く
・本、インターネット
みそ汁の作り方
(知識・技能)
分かっている。
等
③みそ汁を上手に作ることができるようになろう
(2時間)
・調べたことを発表し合おう。
◇
上手な作り方が
調理の基礎基本を身に付けられ
分かったぞ
るように、課題設定を工夫する。
◆
・みそ汁作りで気をつけることをまとめよう。
みそ汁の作り方を考えたり、実
の選び方や切り方を工夫したりし
ている。
手順と時間
配分(技能)
④ごはんとみそ汁を作ろう(2.5 時間)
・手順を工夫して調理計画を立てよう。
・ごはんとみそ汁を作ろう。
家族にも食べ
おいしい
ごはん
◆
ごはんとみそ汁の作業手順を工
夫して調理計画を立てている。
たいな
◆
ごはんとみそ汁を作ることがで
作ってみよう
きる。
・チャレンジカード
⑤チャレンジ発表会(0.5 時間)
創意工夫の
ように、スクールヘルパーと共に
支援していく。
家でも作ってみ
家でもごはんとみそ汁を
一人一人に合った支援ができる
させたいな
好みの炊き
方(創意工夫)
◇
・家でチャレンジしたことを発表し合おう。
家族が喜んで
くれたよ
◇
意欲的に取り組めるように、学
級便りなどで学習の様子を伝え家
庭にも協力をお願いする。
広がり
家庭でごはんやみそ汁を作ったり、
みそ汁の実を
手伝ったりする。
工夫したよ
◇
今後の家庭での実践にもつなが
るように、互いの実践を認め合う
雰囲気をつくる。
4.実際の様子
《ごはんを見つめてみよう》
導入では、炊きたてのごはんを味わい、感想を出し合った。甘さ、粘り、におい、など、五感を使った
感想が多かった。ごはんだけでこんなにおいしいということに驚きをもった様子だった。
そして、ごはんは毎日様々な料理と合わせて食卓に登場し、ごはんが生活に密着していることに改めて
気づいた。ごはんが炊けることは、自立へつながるため、上手にごはんを炊くことができるようになろう
と意欲をもって学習を進められた。
《ごはんを上手に炊けるようになろう》
なべでごはんを炊くことを知らせ、ごはんの炊き方を家庭で調べてきて話し合った。その際、おおまか
な手順は一致したが、洗い方、水の量、浸水時間については、家庭によって様々であったことから、実験
実習を行うことにした。
洗い方
水の量
浸水時間
たくさんまぜない
1倍
0分
・変なにおいがした
・ぽろぽろしていたけどお
・少しかたくてしんがある
・ちょっとかたい
いしかった
30 分
・いつも家で食べているご
・ふつうのごはん
・見た目はちょうどよかった
水が透明になるまで
1.5 倍
・白い
・少しべとべとしていた
60 分
・つやがある
・おかゆみたいだったけど
・味がわからない
・少し味がうすい
おいしかった
はんと同じでおいしそう
・水分がまだ残っている
※条件を変えたごはんを味わうことによって、次に炊くごはんを自分の好みの条件で炊くことができた。
☆こんなごはんが炊きたい!
『栄養たっぷりで、やわらかくておいしいごはん』
☆そのために・・・
少し白い汁を残して洗う・水量 1.2 倍・浸水 30 分
【児童のワークシートより】
《みそ汁を上手に作ることができるようになろう》
ごはんによく合うみそ汁の作り方を家庭で取材してきた。手順を確認した後、実の切り方と実を入れる
タイミングを考えて試し実習を1人1実習で行った。実は、葉物(ネギ、白菜)と根菜類(大根、じゃが
いも)の中から一つずつ選択するように限定した。限定することによって、実を入れるのに適したタイミ
ングを学習しやすいと考えた。
《ごはんとみそ汁を作ろう》
これまでの学習を生かして、各自が思い思いの条件でごはんとみそ汁を作った。実験実習を生かした調
理ができた。
ごはんの炊き方の実験実習を行ったことによって、ごはんを炊くための基礎的な技能が身に付いただけ
でなく、自分の好みによって、洗い方・水の量・浸水時間を自分で加減することができるようになった。
この力が、家庭への実践へつながると考える。その後家庭において、家族のために食事を作ったり手伝い
をしたりすることが増えたということを、子どもたちは、言ってきている。
ごはんのたき方を調べよう!
(
)
○米:200ml(160g)をなべでたくためには・・・
手順
①
●調べてみた感想・・・
それをする理由・時間・分量
などくわしく!
洗う
条件
洗う
条件
水の量
条件
水の量
条件
浸水
条件
浸水
※気づいたこと
条件
※気づいたこと
)
(
ごはんを上手にたけるようになろう!
でたいてみよう。
強火
強火
[
[
分]
分]
中火
中火
[
[
分]
分]
弱火
弱火
[
[
分]
分]
むらし
むらし
[ 分]
[ 分]
できあがり 見(た目・味など
できあがり 見(た目・味など
)
)
ごはんを上手にたけるようになろう!
(
)
☆こんなごはんがたきたいな
☆そのために・・・
洗い方は?
水の量は?
浸水時間は?
●今日の学習をふりかえって感じたこと、考えたことを書きましょう。
●自己評価
①自分のめあてにそって進んで実習できたか。
◎
○
△
②安全に気をつけて実習できたか。
◎
○
△
③次は何をすればいいのか考えながらできたか。
◎
○
△
★ごはんとみそ汁を上手に作ることができるようになろう!
∼みそ汁とごはんを作ろう∼
みそ汁の実
(
みそ汁の実の切り方
)
みそ汁の実を入れるタイミング
●時間配分
時間
み
そ
汁
ご
●自己評価
① 時間配分を考えて計画することができましたか。(
◎ ○
△
② 実を入れるタイミングを考えて計画することができましたか。(
)
◎ ○
△
)
は
ん