双陵 - 札幌清田高等学校

平成 26 年度 清田高校生徒会誌「双陵」原稿
生徒会誌「双陵」に寄せて
~「花子とアン」をめぐって~
「双陵」は、清田高校が開校し、生徒会誌が刊行された折に名づけられた名
称です。この由来については、平成 25 年度の巻頭言で、少し紹介を致しました。
生徒会誌には、クラス紹介の記事が掲載されています。これを読むと、各ク
ラスの日常の一コマを通して、そのクラスの個性、雰囲気が伝わり、とても楽
しく読むことができます。そこには、担任の先生の素顔が垣間見え、友達同士
の人間模様も写しだされているように思います。先生は、学校案内の中に、清
田高校には、「友情・思い出・涙・出会いがここにはあります。」という一節を
入れました。この生徒会誌が、生徒たちの生き生きとした、日常の活動を伝わ
るような企画、編集を工夫し、それが先輩たちから後輩に受け継がれ、また、
保護者の皆さん方にも読んでいただき、親子で会話が弾むといいなあと思って
います。
さて、今年、NHKの朝ドラで「花子とアン」は放映され、大きな反響を呼
びました。吉高由里子さんの演じる花子の決め台詞、
「ごきげんよう」や“Good
morning”は、とても強く印象に残りました。
時代はかわっても、学校には、先生がいて、クラスには友だち、仲間がいる。
人として時にはぶつかりながらも、互いにお互いを認め、成長していく。そし
て、教師がそれを見守り、生徒の良い所を見つけ、自信を持たせて、励まして
いく。学校の不易の部分はこれからも大切にしたいものです。
今、ここで思い返すと、「赤毛のアン」との縁がいろいろとあった年でした。
この 8 月には、全国学校図書館研究大会が山梨県甲府市で開催され、それに参
加する機会がありました。ご存知のように、村岡花子さんの故郷です。地元は、
「花子とアン」で全国的なブームとなっていました。
同じく 8 月には、福井県越前市を主会場に、全国高等学校PTA連合大会(福
井大会)が開催されました。この時に、全体会講演の講師として招かれたのは、
脳科学者として著名な茂木健一郎氏でした。茂木先生は、中学生の折に、
「赤毛
のアン」を読んで、読書感想文コンクールに応募して、見事上位入賞を果たし、
カナダ旅行に招待されるということもあったようです。
11 月は、全国普通科高等学校長会があり、高知市に出張しました。地元の高
知新聞を広げると、
『「花子の信念は「子に本を」」という見出しが目に飛び込ん
できました。赤毛のアン」の翻訳者、村岡花子さんの孫で作家の村岡恵理さん
が、高知市の県立文学館での講演会で講演を行い、それを紹介していました。
平成 26 年度 清田高校生徒会誌「双陵」原稿
花子は、10 歳で東洋英和女学校に、給費生として入学し、英語教育を受けた。
恵理さんは、
「花子の才能を伸ばしてやりたいと考えた親の思いが、彼女の生涯
を決めた」と述べています。これも、時代が移り変っても、いつも変わらない
ものだと思います。
最後に、ブラックバーン校長先生が、
(ドラマの)修和女学校の卒業式で、卒
業生に語りかける感動的なシーンです。英語とその日本語訳を紹介し、本校を
巣立っていく卒業生の皆さんに、エールを送りたいと思います。
My girls. Grow old along with me.
The best is yet to be.
If some decades later, you look back on your time with us here, and you
feel that these were the happiest days of your life, then I must say your
education will have been a failure.
Life must improve as it takes its course. Your youth you spend is preparation,
because the best things are never in the past, but in the future.
I hope that you pursue life, and hold onto your hope and your dream until
the very end of the journey.
私の愛する生徒たちよ。我と共に老いよ。最上なるものは、なおあとに来た
り。
今から何十年後に、あなたがたがこの学校生活を思い出して、あの時代が一番
幸せだった、楽しかったと心の底から感じるならば、私はこの学校の教育が失
敗だったと言わなければなりません。
人生は進歩です。若い時代は準備の時であり、最上のものは、過去にあるので
はなく、将来にあります。
旅路の最後まで希望と理想を持ち続け、進んでいくものでありますように。
特に、最後の一節が素晴らしい言葉だと感じています。
「人生は進歩です。若
い時代は準備の時であり、最上のものは、過去にあるのではなく、将来にあり
ます。旅路の最後まで希望と理想を持ち続け、進んでいくものでありますよう
に。」この言葉を噛みしめ、心に刻んで欲しいと思います。清田高校の皆さんの
人生に幸多かれと、祈念して、双陵の巻頭言にかえたいと思います。