県も試験・研究拠点となる「アグリビジネス センター」の整備を進めている。 れない発展軌道に乗せ、その積み 重ねの先に、先進的なフードビジ ネスの集積地を生み出そうという のが、構想の目指すところだ。 県はこれに① 次産業化・農 商工連携による地域内生産物等 協議会発足から 年半が過ぎ、 会員数は580以上に増加。それ くを促している。 テーマを設定。それぞれの進ちょ 強化・推進体制の構築―の四つの 首都圏への販路拡大④人材育成の 等の集積③アジアとの貿易拡大・ 等を活かす企業・研究開発機関 の高付加価値化②地域内生産物 6 めている。昨年 月、熊本県八代 ぞれの取り 組みが、実を結 び始 1 市内のホテルで開催された「ネッ トワーク促進交流会」には会員約 人以上の会員を集めて発足した。 る事業者など地域内外から350 農商工連携による地域内生産物 援 策の活用など「 レー構想やこれと関連した県の支 215人が参加。ここでフードバ 県が進める「くまもと県南フード 等の高付加価値化」に関する事 次産 業 化・ バレー構想」の推進母体だ。会員 例が発表された。 ばんぺいゆ 6 井包材(同)と「晩白柚ペースト 会議所やメルシャン八代工場、藤 究会制度」を利用して、八代商工 ート工房オレンジ会 (八代市) は、「研 か ん きつ それぞれのビジネスを、産業分野 くまもと県南フードバレー推進 協議会は一昨年 月、食に関連す 会員増で広がる裾野 続々と関連の取り組み 地域へ発展させようとする取り組みだ。県 南各地では商品開発や企業進出が見られ、 や地域といった旧来の枠にとらわ 7 11 熊本県が新しいタイプの地域振興プロ ジェクトとしてスタートさせた「くまもと県 南フードバレー構想」が、地域を活性化させ ている。地域経済の担い手のイノベーション を促し、県南をフードビジネスのベンチャー 地元特産の柑橘類・晩白柚を生 産する農家の女性グループ、デザ Ⓒ2010熊本県くまもん 試験・研究の拠点 〝アグリビジネスセンター〟 整備へ Food Valley 活性化する地域の 「フードビジネス」 Zaikai Kyushu / FEB.2015 135 SCENE.2 South Kumamoto SCENE.2 本県氷川町)は、色や形の異なる 開発に取り組んだ事例を報告した。 ほかにも興味深い商品開発事例 が紹介された。 ミヤザキファーム (熊 打ち出すという気概を持つこと自 蓄積しながら、明確な目標を公に に継続的に取り組んでノウハウを 1500万円の取り引きをを目指 同会はそれ以前に、晩白柚の果 皮からエキスを抽出し、ペースト トマトを詰め合わせたカラフルでし 体、大きな前進と言える。 待されている。 化した業務用のカクテルベースを ゃれた「宝石とまと」を紹介。ト 活用研究会」を発足させ、新商品 開発。市内の飲食店に売り込み、 マトのかわいらしい形状を生かし、 小型で使いやすいパッケージを開 同会はこれを一般にも売り出そ うと、研究会の助成金を使って、 ューになりつつある。 今やこれらは八代の夜の名物メニ まいもんプロデューサー」を利用し ットを使った商品開発システム「う ティと電通が提供するインターネ 豚(熊本県あさぎり町)は、ニフ に特化した畜産業を営む球磨の黒 がユニークだ。また「六白黒豚」 これを使ったカクテルが開発され、 そのまま贈り物にするという発想 上げたことで、事業の裾野が広が れた。地元に加工グループを立ち 出し、軌道に乗せた事例が報告さ った焼き芋を加工食品として売り 市場で、規格外のサツマイモを使 岡市)に設けられたくまもと産直 ーパーマーケットの西鉄ストア(福 (八代市)と共同でモスファーム が地元の農業生産法人うえなか るモスフードサービス(東京都) 前にも、 「モスバーガー」を展開す を建設し、操業を始めた。それ以 市)が熊本県芦北町に製造工場 製造するアクアピア(大阪府柏原 ッケージアイス(かち割り氷)を 相次いでいる。今年度は 月にパ 「 地 域 内 生 産 物 等 を 活 かす 企 業・研 究開 発機関 等の集積」と 月、 インドネシアへ ハラール牛肉初出荷 発。それまでは業務用ということ て、国内で製造されていなかった豚 っているという。 ッケージはデザインを施した注ぎ 商品化した事例を発表した。 件で 広告 6 関連する企業誘致や農業参入も で透明のビニール袋に入れ、 ・ トロの生ハム「グアンチャーレ」を 口付きの720㌘入り。使い勝手 また、農産品の加工販売やレス トラン経営の福田農場ワイナリー 回は名 刺100枚、成 立 10 の良い商品となり、販路拡大が期 ( 熊 本 県 水 俣 市)は、東 京で開 件 も 商 談が ち 件が商談に進展、その中で 34 継続している」と成果発表。 「次 10 13 件が成立し、残る 3 登壇した担当者は、昨年はバイ ヤーなど 人と名刺交換でき、う を探ったという。 しながら、より効果的な取り組み 協議会が主催する勉強会に参加 ックスジャパン」への出展に際し、 催される大型食品見本市「フーデ 「くまもと県南フードバレーネットワーク促進交流会」 でくまもと 県南フードバレー推進協議会の小野泰輔会長が状況を報告 136 Zaikai Kyushu / FEB.2015 したい」と力強く宣言した。出展 店以上を開拓していた。各店で 販路開拓面では、食品加工の瀬 崎商店(熊本県多良木町)が、ス ㌔単位で販売していたが、新パ 12 1 60 5 South Kumamoto Food Valley 「農林水産業の基盤生かし 〝フードバレーの象徴〟 を」 八代商工会議所 会頭 松木 喜一 氏 県南地区の経済基盤は第一次産業であり、地域の明 暗はその活性化次第だ。熊本県は大分県を GDP で上 回っているものの、県民所得では逆に遅れを取ってい る。加えて県南には〝北高南低〟といわれる熊本県特 有の経済格差が横たわっている。 そこに県から「フードバレー」という新たな振興策 がもたらされた。これにより地域を活性化させること でフードビジネスの集積地を生み出すという方向性が 示されたわけだが、これをどう捉え、何をすべきか、 いまひとつ分かりにくいという声も聞かれる。 そもそも地域では、農林水産業から生み出される産 品の収益性を高めることが古くからの課題であったし、 フードバレー以前からその意味での商品開発も進めら れていた。そこが分かりにくさを助長しているとも言 コンサルタント (福岡県太宰府市) 補償業務、堆肥製造販売の新和 ー向けのトマトなどを生産。用地 熊本(同)を設立し、モスバーガ ける環境だ。九州には全開連の組 に照らせば、より安心していただ べることを禁じているイスラム法 の工場であることから、豚肉を食 工場の稼働率を上げて、雇用の増 合が六つあるので、これをベース また運送業の南九州センコー(水 大にもつなげていきたい」と同社 も、あさぎり町と相良村で薬草と 俣市)は、水俣市で茶の栽培に乗 の羽田昭二社長。その展開は、県 スイートコーンの生産を開始した。 にハラールの処理加工実績を高め、 り出している。 南をイスラム圏への牛肉輸出拠点 に発展させる可能性を秘めている。 11 これら集積は、フードビジネス における県南の拠点性を高めるも のだが、中でも、牛肉処理・加工 国際的な拠点という意味では、 昨年 月、あさぎり町に進出し たファーム・アライアンス・マネジ のゼンカイミート(熊本県錦町) の展開に注目が集まっている。 メント(東京都)の事業展開も興 味深い。同社は閉鎖された中学校 同社は国 内でもいち早く、イ スラム教に照らして合法な食品に 与えられるハラール認証の取得ノ ウハウを確立した。当初、観光な どで日本を訪れるイスラム教徒に 向けたハラールビーフを出荷して Zaikai Kyushu / FEB.2015 7 月、インドネシア 137 いたが、 年 広告 に輸出するためのハラール認証を、 国内の企業で初めて取得した。そ 12 の後、インドネシアの認証団体の 査察などを経て、昨年 月、上部 団体の全国開拓農業組合連合会 (全開連、東京都)と共同で、全 1 国で初めてインドネシアへの牛肉 ㌧ほどを出荷する 輸出をスタートさせた。当面、 カ月あたり 計画だという。 「うちは牛肉専門 40 12 える。これを解消するためには、フードバレーの象徴 となるような地域共通の新たな商品を生み出す必要が あるのではないか。個々の商品を開発することも大事 だが、まずそれが先決という見方もある。 そういう中で、この地域の特徴である〝重点港湾〟 の八代港を活用してフードバレーが生んだ商品や農産 物を海外へ流通させるための航路開発に力を入れたい。 現在、釜山航路が週 3 便運航されているが、新たに台 湾航路などを開発できればと考えている。現在、冷凍 コンテナ向け電源供給装置や大型ガントリークレーン などの増設が計画されており、港湾機能は確実に高ま り存在感を増す。それに海外の食の需要をにらみなが ら航路を開発することで、八代港が発展し、地域の活 性化につながるものと考える。 SCENE.2 基準で、非営利団体フードプラス 国際的な適正農業規範(GAP) グローバルGAPは、農・畜・ 水産物を審査できる食品安全の 果選別及び出荷事業を開始した。 グローバルGAP対応の農産物選 の校舎の一部を使って、国際認証 展開するというのが目指す姿。そ を組み、システムを共有して事業 空会社連合のようにアライアンス 規模を持つ農業生産者同士が、航 松 本武社長は「ある程 度の生産 大につなげるのが狙いだ。同社の に集中してもらい、生産規模の拡 重い負担となる青 果 物の選果選 な投資が求められ、農家にとって られている。同社の事業は、高額 る上で注目される認証になると見 今後、グローバルビジネスを進め る方針だという。 産物の輸出展開を積極的に進め 現在、国内のスーパーなどへ向 けた対応が主だが、今後は国産農 ルGAPだ」と力を込める。 (本部・ドイツ)が運営している。 の共通言語になるのが、グローバ 別及び出荷機能をアウトソーシン 年度 リビジネスセンター」を開設する プ拠点として「フードバレーアグ フードビジネス創出のワンストッ 水産や食品加工の研究開発、また の攻略にどう動くかが、活性化の れるように、近い将来、海外市場 マネジメントの進出からも読み取 意味では、ファーム・アライアンス・ かという命題を伴うものだ。その 内の完成を予定している。これま ードバレー構想における「アジア 要素になるだろう。これは、フー 月着工、 でなかったフードビジネスの拠点 との貿易拡大・首都圏への販路拡 計画だ。今年 が県南に誕生することになり、イ 大」に相当するテーマだ。 県南にはその物流拠点としての 可能性を秘めた熊本最大の重要 港湾・八代港(八代市)がある。 同港は国が重点的に投資すること を決めた重要港湾の一つで、 ・ 万㌧クラスの貨物船も接岸でき 5 も期待される。 県 「八代港は輸出拠点」 市は 〝フードバレー課〟 これら生産及び開 発 面での取 り組みは、販路をいかに開拓する るのが強みだ。現在、釜山航路が 5 一方で熊本県は、県い業研究所 (八代市)の敷地内に、農・畜・ 上中 智晴氏 「モスブランドを最大限生 かし、 地域活力につなげる」 モスバーガーを展開するモスフードサービス(東京) と合弁会社を設立し、トマトを生産している。くまも と県南フードバレー構想では 6 次産業化の取り組みや 販路の拡大、人材育成の強化など、当社が考える今後 の農業のあり方と共通する部分が多い。 現在、福島県を中心にスーパーマーケット 197 店 舗を展開するヨークベニマルの PB 商品「三ツ星野菜」 向けのトマトを生産して販売している。この売り上げ がとても好調だ。食品流通において、県外での広い販 売網を確保することで、地域ブランドの付加価値化に もつながる。今後は FC でのモスバーガー運営も考え ている。精魂込めてつくった産物が、消費者の口に入 るまで見届けたい。モスブランドを最大限に生かし、 地域活力につながるような仕組みを生み出していく。 広告 15 ンキュベーション施設としての役割 9 グで請け負うもの。農家には生産 モスファーム熊本 社長 138 Zaikai Kyushu / FEB.2015 週 便運行されている。また昨年 台湾や中国などを対象に国際航 させることが盛り込まれた。今後、 は一昨年に続いて、海外からの大 路の開 拓を図りながら、 年に 型クルーズ船が寄港するなど、物 万4834個( フィートコン の将来像が記されているが、その 物流のゲートウェイ」にするなど を「九州中央に位置する南九州の ン」を策定した。これには、同港 港湾管理者である県は昨年 月「八代港ポートセールスビジョ ての役割も果たしている。 出促進の重要なアイテムであるこ いかもしれないが、県南からの輸 け木材のような大量の荷物ではな の輸出拡大に貢献している中国向 る。農水産物や食品は、今、同港 まで増やすことを目標に掲げてい テナ換算)だったコンテナ貨物の 「フードバレーは 二度とないチャンス」 3 取扱量を、 年に 万8000個 中に「フードバレー構想における とは間違いない。 流だけでなくにぎわいの拠点とし 13 農林水産品等の海上輸送拠点」 20 や「中九州地域の畜産業を支える 本戦略構想」をまとめ、翌 月、 農林水産部内にフードバレー推進 えば、八代港から物が出なければ、 輸出につなげていきたい。逆に言 しながら、いずれは八代港からの 課を新設した。加えて、 次産業 査部会の 部会も設けられた。 化部会、輸出促進部会、適地調 き締める。市としては、メードイ プロジェクトは失敗だ」と気を引 一昨年 月に就任した中村博生 市長は、地域の農家の所得倍増を 入促進を見据えた物産展の企画 の産業団地形成や、食品などの輸 域ブランドづくり②食の拠点づく り③アジア・全国への販路づくり ④フードバレーやつしろを推進す る体制づくり─を掲げた。 く、民間からのボトムアップを行 広がりを見せるフードバレー構 想。行政からのトップダウンでな 生産量日本一のトマトで メニューや食品を開発 ンジャパンの食品輸出拠点として 目指し、営農支援策としてのフー に取り組む考えもあるという。 1 に位置付け。基本構想では、①地 1 1 一方、八代市はこれに先立つ昨 年 月「フードバレーやつしろ基 山本 雅子 氏 9 18 2 八代市を拠点に県南をフードビジネスの集積地にし ようという「くまもと県南フードバレー構想」は、地 域活性化の二度とないチャンスだと受け止めている。 行政が旗を揚げてくれたのだから、事業のプロである 私たちがそれに向かって突き進むべきだ。 私は熊本県内で居酒屋などを営んでいるが、数年前 から生産高日本一の八代のトマトを使った商品開発に 取り組んでいる。すでに「八代産トマトと阿蘇あか牛 のカレー」などを商品化し、フーデックスに出品する などして販路開拓を図っているが、新たに未成熟の青 トマトを使った「青摘みトマトのピクルス」を開発中 だ。外食産業などのピクルス市場の開拓が図れるので はないかと期待している。八代をトマト生産だけでな く、開発でも日本一にできればと夢を描いている。 広告 4 6 ドバレー推進を〝 丁目 番地〟 3 推進課は「一朝一夕にはいかな いが、 次化や農 商工連携を促 Zaikai Kyushu / FEB.2015 139 漱石 社長 Food Valley 9 6 3 飼料輸入・供給拠点」として発展 South Kumamoto SCENE.2 次産業化や農商工連携 いうキーワードを、自らの取り組 かれる。しかし、フードバレーと のか、分かりにくいという声が聞 けに、今なお何がフードバレーな う取り組みだ。 トマトなどを有効活用しようとい の農産物流通に向かない規格外の があちこちで芽吹いている。既存 にした みと重ね合わせ、自らの言葉で語 中華料理店・蒲公英(八代市) の「トマトラーメン」はその代表格。 政が支援するタイプの取り組みだ り始めた会員が、着実に増えてき 熊本の郷土料理である太平 燕と トマトがコラボした同・八代飯店 た ん ぽ ぽ ている。 (同)の「トマピーエン」も負け タイピーエン 例えば、八代特産のトマト。八 代のトマトは冬に収穫する冬トマ トが生産の 割ほどを占めている。 ず劣らず有名だ。障害者の就労 本一の地域だ。JAグループが共 八代はこの冬トマトの生産量で日 トを原料に「はちべえトマトパン」 州福祉会(同)は、はちべえトマ 支援活動に取り組む社団法人九 また小ぶりで糖度が高い「塩トマ いくつもある。 は減農薬栽培が自慢のブランドだ。 を開発した。ほかにも開発事例が ト」も、生産量は少ないが、特産 産物などの輸出にもつながるヒス 輝かせる。これが八代港からの農 創出できるのではないか」と瞳を 目を向ければ、もっと付加価値を 収集しているが、そんな物語にも うだ。今、当時を知る人から情報 ら、生産が広がった歴史があるよ トの生産拠点と位置付けたことか マトは戦後、国が八代を輸出トマ 市)の山本雅子社長は「八代のト ー」を 商 品 化した、漱 石( 八 代 組み合わせた「熊本のと馬とカレ み、八代のトマトと阿蘇の赤牛を 地域で飲食 店を営む傍ら、ト マト関 連商品の開 発にも取り 組 品の一つに名を連ねている。 これを背景に、トマトをテーマ ゼンカイミートは国内で初めて、 インドネシアへのハラールビーフ 出荷を開始した 140 Zaikai Kyushu / FEB.2015 6 同出荷している「はちべえトマト」 8 広告 トリーであることは、言うまでも どをテーマにした 講座が開講し 位。九州・沖 縄で 位の鹿児 オランダが世界有数の農業輸 出国となったのは、食の分野で企 島県の 法人を大きく引き離し たが、これを550人が受講。今 業や研究機関の集積を図り、トマ なかろう。 ていることが分かった。県が 年 も人材育成への取り組みが続いて 北東の高冷地にある山都町と、温 その一つの事例が、前に述べたモ スファーム熊本だ。同社は熊本県 が奏功したと見られる。 気運を盛り上げる追い風にもなり の動きは、フードビジネスの発展 は異なるかもしれないが、農水省 ており、オランダとは発展の仕方 い。県南のフードバレーは、川下 トの高効率栽培などを生み出した 暖な平野に位置する八代市に両 そうだ。これと呼応して、大手に 度に相談窓口を「担い手・企業参 方にトマト栽培拠点を設置し、寒 フードバレーに負うところが大き の農地賃借の規制が取り払われ 暖の差を利用して、モスバーガー しかやれなかったような食品開発 入支援課」に一本化したことなど 月までに全国で に切れ目なくトマトを出荷できる や流通戦略に地域が取り組める 成も大切な課題だ。 県も「人材育 成の強化・推 進 体制の構築」を掲げて「くまもと 農業アカデミー県南校」を運営し 年 て以降、 月の県南校 ているが、ここで学ぶ農家などが 増えている。一昨年 「誰もに平等なチャンス、 個 性を生かした参画組織に」 14 や食品加工など川下が中心である のに対して、品種開発や栽培技術 など川上分野に重点を置く。今年 レーへの期待は膨らむばかりだ。 からのイノベーションを眼目にし 1576法人が農業参入したが、 生産体制を実現した。トマトは毎 の意味では、中長期的な人材の育 うち熊本県で農業参入した法人 ようなことになれば―。フードバ てきそうだ。 農林水産省は昨年 月、オラ ンダのフードバレーを参考に、日 バレープロジェクトが 次産業化 すことを決めた。地域別のフード 本版フードバレーの構築に乗り出 9 6 農 林 水 産 省の ま とめによる と、 年の農地法改正で一般企業 開設特別講座を皮切りに、栽培 月にかけて収穫が 月から 年 月から は 法人に上り、長野県と並んで 落ち込むが、同社は ㌶の畑から途切れず 11 県南に限らず視野を広げると、 企業誘致のセールスポイントが出 トマトを収穫できるという。 月まで約 5 技術や農業経営、6次産業化な 地域を知ろうとしてこそ、こんな いる。 2 地域に誇りを持ち、その発展を 願う気持ちがありながら、もっと 5 度中に具体的な方向性を決める 広告 11 発想が芽生えるのではないか。そ 09 12 農業参入で人気の熊本 フードバレーに追い風 36 2 09 67 くまもと県南フードバレー構想の中で私が考える協 議会のあり方は、資本力がある事業者だけが結果を出 す組織であってはならないということ。重要なのは協 議会全体の底上げだ。われわれ民間が主体となり、こ の構想には誰しもにチャンスがあるということを喚起 する必要があるだろう。 協議会メンバーで一つの PB 商品をつくるのも良い。 例えば、近年機能性食品素材として注目を集めている 「植物発酵エキス」というものがある。これは原料とな る野菜や果物などの素材の種類数が多ければ多いほど、 エキスの価値を高める。この場合は協議会の生産者が 原料供給者として平等に参画できるかもしれない。 何が正しいかは分からないが、協議会ではメンバー の個性を生かした、コンテンツづくりが大切だ。 9 方針だという。 Zaikai Kyushu / FEB.2015 141 福田 豊樹氏 Food Valley 福田農場ワイナリー 社長 8 6 South Kumamoto
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