お客さまインタビュー:澁谷工業株式会社

ABBジャパンの今をお伝えするニュースレター
No.4
お客さまインタビュー:澁谷工業株式会社
世界最高速のロボットを日本の食品業界へ
「機械屋とかロボット屋とかいう垣根を越え、最先端の技術を持つ者たちが協力してエンドユーザー
さんにご満足いただける付加価値の高い製品を作りこんでゆく・・・これからはそういう時代だと思い
ます」と語るのは澁谷工業(株)RP システム本部ロボットシステム技術部長の山本久司さんです。
日本を代表する食品産業用機械・装置のメーカーでありインテグレーターである同社は、その優れ
たエンジニアリング力によって、ABB のパラレルリンク型産業用ロボット「フレックスピッカー」を
数多くの生産ラインに導入してきました。そこで、今回は澁谷工業の皆さんをお訪ねして、ABB と
のパートナーシップについてお話をうかがいました。
産業用ロボットと聞くと、自動車工場で溶接の火
とのお付き合いが始まりました。私たちの使命は、
花を散らしたり、大型プレス機に部品を出し入れ
他社には絶対にできない澁谷工業ならではの付加
したりというにぎやかな光景を思い浮かべがちで
価値を盛り込んだシステムを作って、お客さまに
すが、この「フレックスピッカー」が働く場所は全
満足していただくということ。最先端のロボット
然違います。完璧なまでの清潔さが求められる食
を採り入れるだけでなく、その制御ソフトウエア
このほかにも、PTP 錠剤シートの重ね合わせ、コン
品や医薬品の分野がその活躍の場。毎分 150 回
にまで踏み込んで工夫を凝らしながらシステムを
ベア上をランダムに流れてくる容器の整列、
「おか
という世界最速レベルのサイクルタイムと位置繰
作っています」と山本さんは力を込めます。
き」の生地を焼き釜用のコンベアに並べる作業・・・と
RP システム本部ロボットシステム技術部長の山本久司
さん(左)と同ソフト技術課の米田健二さん。後ろは「フ
レックスピッカー」がセットされた同社のシステムです
いったフレックスピッカー +「ビジョン・トラッキン
り返し精度 0.1mm という高精度に加えて、生産
ライン上のコンベアを視覚認識して追従する「ビ
同社ならではの付加価値でエンドユーザーさんを
グ」の特性が生きるアプリケーションに活用いた
ジョン・トラッキング」が可能なことから、従来の
うならせた一例を、アイスクリームの選別・箱詰
だいています。その実例を山本さんは、
日本ロボッ
産業用ロボットでは不可能だった作業を実現し、
めシステムに見ることができます。コンベア上を
オートメーションの世界に新しい分野を切り拓き
流れてくるアイスクリームを選別して箱詰めする
ました。
というそのシステム
を納めた工場は、大
ト工業会の技術誌『ロボット』の 2003 年 3 月号
(151 号)に発表されました。
従来の産業用ロボットでは不可能だった作業を実現し、
オートメー
澁谷工業のロボットシステム技術陣がフレックス
都市近郊にあってと
ピッカーに注目したのは、まさにその「ビジョン・
ても狭いことから、
トラッキング」にありました。
「パラレル型が紹
最小のスペースで最
介されたときから、私たちの食品の分野でいろ
高の効率を要求されました。そのために同社が考
最後に、山本さんに ABB へのご要望をうかがい
いろなことができるはず・・・と注目していました。
えたのが、複数のロボットが協調して均一な作業
ました。
「産業用ロボットのリーダーとして歴史に
そして、1999 年に外国で行われた展示会でフ
をするアルゴリズムを覚えさせることでした。コ
残るような素晴らしいものを作って欲しいという
レックスピッカーに出合ったのです」と山本さん。
ンベアの上流側のロボットが、中流・下流のロボッ
思いがあります。そのためは各業種でトップレベ
トのために適量を取り残して同量の作業をさせる
ルのノウハウを持つメーカーさんたちと『一緒にや
ことで、それぞれが最高の
りましょう』と積極的にタイアップされたらいい
効率を発揮できるのです。
のではないかと思います」
。ABB は、マーケット
さ ら に、 箱 の 底 面 に 並 べ
とアプリケーションを知り尽くした澁谷工業の皆
終わるとロボットが中敷の
さんの手によって、日本のエンドユーザーさんに
厚 紙 を 載 せ、 再 び 2 段 目
より多くの価値をお届けすることができました。
を並べるようになっていま
まさにそういったタイアップが見事に成功した事
す。普通は中敷を入れる専
例と言えるでしょう。
「そこで ABB ジャパンの皆さんを通じて、ABB
フレックスピッカー IRB340SA とは?
フレックスピッカーはクモの足のようなアームの付け根にモーターが付
き、
それらが並行して動く「パラレルリンク型」です。可動軸が人間の腕、
肩、肘、手首、指のように直列になる一般の「シリアルリンク型」ロボッ
トよりも可搬重量は少なくなりますが、高速・高精度という特長があり
ます。SA タイプは水洗いが可能なので、食品や医薬品分野に最適です。
制御ソフト「True Move」
「Quick Move」によって高い位置制度と軌
跡精度を実現し、さらに「Pick Master」によって高レベルなビジョン・
トラッキングを可能にしました。
ションの世界に新しい分野を切り拓きました。
用機を使うところですが、
それをロボットにやらせる
ことでさらにスペースを節
約できました。
●澁谷工業のロボットシステムについてのお問い合わせは
プラント営業統轄本部
Tel:076-262-1202 Fax:076-223-1795
No.4
テクニカルセンターが変りました
よりフレンドリーに、より確実に
ABB テクニカルセンターは 2003 年春から、お
センターで開発して世界の自動車メーカー
客さまによりご利用いただきやすいようにレイア
でご愛用いただいているカートリッジベ
ウトを変更しました。また、全世界の ABB へ塗
ル(塗装機)をはじめとする ABB の塗装
装機器とそのパーツを供給する拠点として納期管
機と関連製品を展示し、簡単なショールム
理体制を強化し、確実なパーツ供給をお約束して
としてご覧いただけるようになっています。
います。
ご来場の際に、エントランス右手の内線電話か
ら担当者にご連絡いただくのは以前と変りません
テクニカルセンターの「変化」がいちばんよく
が、新たにお客さま用のバッジをご着用いただく
ま し た。 ベ ン ダ ー 各 社 の 協 力 と、 適 正 在 庫 の
分かるのはエントランスホールのレセプション
ことになりました。ご協力をよろしくお願い申し
確保、配送時のトラッキングシステム(日本内
エリアです。以前は左手のドアからオフィスの
上げます。
外とも)の確立などによって新体制を施行し
一部をお通りいただいていましたが、現在は右手
た 2003 年 4 月 以 来、 納 期 遅 れ ゼ ロ を 実 現 し
の廊下からミーティングルームやペイントラボへ
ま た、 テクニカルセンターで 製 造 し、 全 世 界
ています(交通機関の原因によるものを除く)
。
とスムーズにご案内できるようになりました。エ
の ABB に供給している製品とスペアパーツの
装い新たに頑張るテクニカルセンターを、ぜひ一
ントランスから廊下に沿っては、このテクニカル
納期管理をより一層徹底する新体制を構築し
度お訪ねください。
IndustrialIT デモセンターがオープン
「アスペクト・オブジェクト」技術を手軽な PC 感覚で
前号の ABB at work in Japan でもお伝えした
のコントローラー AC800M をセットしたキャビ
IndustrialIT デモンストレーションコーナーが、東
ネット、スイッチギア制御用の INSUM、ライブ
京渋谷の ABB 株式会社本社オフィスにオープン
カメラなどが設置されています。
しました。ABB グループが推進する次世代の産
業用システムを、使い慣れた Windows PC 感覚
ワークステーションを立ち上げると、最初の画面
(左下)に、IndustrialIT のイメージ映像(画面上で
でご体験いただけます。
は「IndustrialIT 導入」
)
、IndustrialIT のプレゼンテー
IndustrialIT デモンストレーションコーナー
デモセンターには現在、IndustrialIT 製品スイート
ション(同「特徴の提示」
)
、ボイラープロセスとパ
のひとつでプロセス制御のオペレーション用イン
ルパー(パルプ製造)の2種類のプロセス制御の
しょう。ずらりと出てくるメニューがその機器の
ターフェイスである「OperateIT」をインストー
シミュレーション(同「システム実証」
)
、デモセ
スペックやマニュアル、補修履歴・・・といったさま
ルした汎用 PC のワークステーション、IndustrialIT
ンターにあるシステムの説明(同「デモルームに
ざまな情報です。例えばその機器がおかしな動き
ついて」
)といったリンクボタンが出てきます。こ
を見せたとき、従来なら何種類かの書類ファイル
れらを一通り見ただけでも Industrial について多
をめくって付き合わせる必要がありましたが、こ
角的、概念的に理解することができます。
の「アスペクト・オブジェクト」テクノロジーに
IT
よってたちどころに情報を照会できるのです。
加えて、プロセス制御のシミュレーション画面で
ワークステーションの最初の画面
は、
「アスペクト・オブジェクト」テクノロジーの
もちろん画面上だけでなく、さまざまな ABB 製
実際を見ることができます。シミュレーションを
品を接続してデモンストレーション運転を行って
スタートさせると、プロセスの進行に沿って表示
いるので、より具体的に IndustrialIT を実感いただ
されているグラフのバーや数値、機器を表すアイ
けます。この機会にぜひご覧ください。見学のお
コンなどが刻々と変化してゆきます。ここで画面
申し込みや、問い合わせはプロセスインダストリー
上の機器(オブジェクト)を右クリックしてみま
部(Tel:03-5784-6261)まで。
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