第3節 被害者の自立に向けての支援のとりくみ Ⅰ自立に向けての支援の充実 1 被害者の生活基盤の確立に向けた支援の充実 被害者が自立して安心して生活できる基盤を整えるために、住宅の確保等について法 制度等の弾力的運用を図ります。具体的にはDV被害者支援マニュアルを更新しながら、 被害者の実情にあわせた効果的な支援策を充実します。 具体的施策と施策の内容 ○住民票の異動なしで手続きができるなど、各種法制度等を弾力的に運用し、被害者の実 情に即した支援を行います。 ○自立支援に向けて関連する各課が「DV被害者支援対応マニュアル」を共有し、被害者 の実情に合わせた適切な支援を行います。 ・住民基本台帳事務における支援措置(住民票、戸籍附票の写しの閲覧・交付制限) ・住民票の異動をしない場合における弾力的運用 生活保護、国民健康保険の資格認定、児童扶養手当・子ども手当の認定、各種医療 費助成、被害者の子どもの幼稚園・保育所の入園・入所など ・市営住宅の入所要件や保証人における弾力的な運用、優先入居の実施 ・被害者の子どもについて、学校、幼稚園において転校にあたっての配慮、就学援助を 実施 ・保育所・放課後児童クラブ等の保育料・利用料の算定について、弾力的に運用 ○男女共同参画センターでチャレンジセミナー*を開催し、再就職や起業の際のサポート をします。 ○ハローワーク松江・マザーズコーナー*などの関係機関と連携し、就職への情報提供を 行います。 ◇平成 29 年度までに、企業に対し、被害者支援の必要性と雇用促進の働きかけの実施を 取り組みます。 2 相談窓口と一体化した自立支援 住宅の確保や子どもへの支援制度について、被害者が求めている情報を的確に提供でき るよう、相談窓口と一体となった体制を充実します。 *男女共同参画センターで行うチャレンジセミナー 女性が、再就職、起業などさまざまな分野にチャレンジし参画することを支援するため、セミナーを実施しています。 *ハローワーク松江・マザーズコーナー 子育てしながら就職を希望される方を支援する専門のハローワーク。キッズコーナー・授乳スペース等を設置。 - 17 - 具体的施策と施策の内容 ○DV相談から自立支援まで関わることのできる総合的な窓口を設置し、長期的に対応し ます。 ○被害者のケースに応じて、専門相談(法律相談、カウンセリング)を行います。 ○被害者が市の窓口で様々な手続きを行う際に、できるだけ一つの窓口で手続きが完了す るよう、関係課からの職員派遣と窓口職員の同行支援を実施します。 ○子どもを同伴する被害者については、子育て関係施設の制度などの情報提供を実施しま す。 3 子どもへの支援の充実 被害者が同伴する子どもへの支援に関しては、専門家による心理的ケアと医療的な対応 を充実します。 具体的施策と施策の内容 ○DVにまきこまれた子どもの早期発見と心のケアを行います。 ○学校での子どもの安全の確保、スクールカウンセラーによる心理的ケア、スクールソー シャルワーカー等の専門家と学校が連携して子どもの支援をします(再掲)。 ◇学校や幼稚園、保育所、児童クラブ等で子どもへの適切な対応のため、学校等における 対応マニュアルの作成をめざします。 ◇実際に被害にあった子どもに対する医療的な対応を医師会、医療機関が連携して実施す ることをめざします。 4 外国人や障がいのある被害者への支援の充実 外国人や障がいのある被害者への対応は、通常の配慮の上にさらにさまざまな対応が必 要であり、ニーズに合った支援を充実させていきます。 具体的施策と施策の内容 ○外国人や障がいのある被害者への相談を充実します(再掲)。 ◇平成 29 年度までに、通訳ボランティアによる相談や行政窓口への同行の実施など、支援 の充実にとりくみます。 ◇平成 29 年度までに、障がいのある被害者を支援する民間ボランティアの育成講座の実施 をめざします。 - 18 - Ⅱ 各種団体との連携 1 民間シェルターへの支援と連携 被害者の一時保護や自立支援に取り組む民間シェルターの役割は非常に大きいため、積 極的に支援し、連携を強化します。 (現在、市内に民間シェルターを運営している団体はありません。) 2 関係機関との連携 現在、島根県配偶者暴力相談支援センターや母子生活支援施設、島根県中央児童相談所、 警察との連携を図り被害者の支援を行なっています。 今後も被害者の発見や自立支援を効果的に行うため関係機関との連携を図ります。 具体的施策と施策の内容 ◇平成 29 年度までに、被害者支援ボランティア養成講座修了者によるボランティア組織へ の育成・支援に取り組みます。 ◇平成 29 年度までに、被害の当事者や仲間による自助グループの組織化・支援に取り組み ます。 3 関係会議等への参加と情報共有 現在、「松江圏域女性に対する暴力対策関係機関連絡会」、「島根県男女共同参画相談機 関連絡会議」、 「松江市要保護児童対策協議会」等に参加して関係機関相互の連携を強化し ています。 本市におけるDV対策のネットワークを強化するため、DVの防止や支援に関わる関係 者で構成する関係会議に積極的に参加し、情報を共有します。 具体的施策と施策の内容 ◇DVに関する関係機関や民間団体、地域で被害者支援にかかわっている関係者等で構成 する関係会議に積極的に参加するとともに、松江市男女共同参画庁内連絡会議ドメスティ ック・バイオレンス等被害者支援連絡部会で、情報を共有します。 - 19 - Ⅲ 配偶者暴力相談支援センターとの連携 被害者の一時保護については、都道府県の婦人保護施設等の適切な施設で行うことに なっています。また、被害者が保護命令を裁判所に申し立てる場合は、警察や配偶者暴力 相談支援センターに相談又は援助、若しくは保護を求めた事実を書面で提出することにな っています。島根県配偶者暴力相談支援センターでは、専門職員が配置され、相談や一時 保護を広域的に対応しています。 現在の県の相談件数や一時保護件数は、被害者の対応に直ちに支障をきたすものではな いと考えており、市は、被害者を県の配偶者暴力相談支援センターに迅速かつ安全に移送 し、被害者が必要に応じて速やかに保護命令制度等を活用できるように情報提供などの支 援を行うとともに、市民に最も身近な市行政の機能を活かし、相談や自立に向けた生活 支援の充実を図ります。 具体的施策と施策の内容 ◇平成 29 年度までに、本市での必要性の検証を踏まえたうえで、緊急一時保護*実施につ いて取り組みます。 *一時保護 都道府県の配偶者暴力相談支援センターが、加害者から逃れた被害者や同伴する家族を一時的に保護します。 《DV 防止法第 3 条第 3 項第 3 号に規定する一時保護》⇒資料編 7 ページを参照 *緊急一時保護 婦人相談所の一保護所が離れているなどの場合に、緊急に保護を求めてきた被害者を一時保護が行われるまでの間にかくまったり、 避難場所を提供することをいいます。 ≪DV防止法第 3 条第 3 項に規定する、緊急時における安全の確保≫⇒資料編 7 ページを参照 - 20 -
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