生産管理論配布資料 生産の定義 生産の概念 目標:価値の創造 需要の3要素:Q・C・D ◎生産:生産要素である素材などの低い価値の経済財を投入し て、より高い価値の財に変換する行為または活動 品質:Quality ●生産の目的:価値の創造であり、原材料などの生産対象を投入 して、人(生産主体)が使用する機械(生産手段)を用いて 付加価値の高い製品・サービスを経済財として作り出す 活動である ●経済財:人間生活に有用なものであり、有形の製品もしくは無 形のサービスのことを示す。希少性(人間の欲望を十分 に満たせるだけの量がない)と経済性(入手に費用がか かる)を持ち、繰り返して同一なものを提供できる。 原価:Cost 製品(有形) 材料 Material 生産対象 工場 加工:production 変換過程 投入:Input 生産要素の投入 工程の3要素:人・設備・材料 サービス(無形) 産出:Output 投入:Input 人 Man 生産主体 生産方法 Method 機械設備 Machine 生産手段 情報 Information 経営の4基本活動 企業の至上命題 納期:Delivery 基本 活動 利益の増加と維持 – 企業の利益創出活動(基本的な考え方) ①収入を大きくし,支出を小さくする ②財務調達・生産・販売の循環の回転を早くする 財務 活動 株式募集 内 社債募集 容 借入金 – 企画・開発→生産→販売→サービスのプロセス 合理化 調達活動 生産活動 販売活動 土地,建物の調達 需要に応じ 機械,設備の調達 て配分 原材料の調達 製 品 エネルギーの調達 またはサービス 労働力の調達 サービスの調達 (通信,輸送など) ( 価 値) その他の調達 ( 原 価) (技術提携特許等) 事業戦略の立案,方針の決定 生産管理の使命 利益 収入 支出 -) 利益 利益の用途 配分 内部蓄積 顧 客 従業 員 資 本 関連企業 地域社会 国民経済 参考文献:村松林太郎著「新版生産管理の基礎」 、国本書房、1989年、P.1表1-1より引用 – 生産活動のプロセスの経済的・合理的運用 生産管理の概要 生産管理の課題 需要の3要素(QCD) 品質(Quality) 高品質 原価(Cost) 安く 納期(Delivery) 早く 生産管理 生 受注 産 生産の3要素(3M) 労働力(Man) 設備(Machine) 原材料(Material) 受注計画 販売計画 何を,いつ,どのくらい生産し,それをどの ように管理すれば生産活動を円滑にかつ 最も経済的に運営できるか? 出 – 生産管理に関するすべての問題を解決してくれる「決 め手」になるものはない. – 企業によって,生産品目,生産形態あるいは生産規 模など経済的に運営する上での重点の置き方が異な ると生産管理の方法も異なってくる. 荷 設計 → 調達 → 作業 設計管理 外注管理 基本的な原則は存在する 工程管理 資材・購買管理 品質管理 設備管理 1 生産管理論配布資料 生産管理の定義 生産管理の新しい役割 ◎生産管理の定義:需要の3要素(品質・コスト・納期)を満 足する製品・サービスを供給するために、生産の要素 (人・設備・材料・情報)を合理的に運用することである。 狭義:目的とする製品とその数量を期日(納期D)通り に,目標とする性能(Q)とコスト(C)の中で達 成することが出来るように,各部門に指令を出 し,物の流れと作業をコントロールすることで ある. 実体経済(経済の基本) 金融 経済 ●実体経済の発展:経済活動の規模の拡大,継続的な実行 生産管理(狭義)は製造現場における生産効率の達成で奇与 ●社会の変化とITの進歩→生産管理の役割が大きく変貌 →生産管理(広義)への発展 ①生産管理のオープン化 広義:生産管理は,市場の物的・時間的要求ならびに 社会の要請を効果的かつ経済的に満たすように, 資源を調達し,製品に変換し,製品とこれに関 するサービスを顧客に提供するプロセスの構築 およびその運用を意味し,場合によってはその 目的のために利用できる技術の体系をいう. ②生産管理のグローバル化 ③組織間強調の重要性の増大 ④経済との関係の深まり 生産システム 生産システム:原材料,生産設備,労働力等の生産要素から 構成されていて,これら生産要素を組み合わせながら, 生産の目的を達成するために,インプットをアウトプッ トに変換し,あたかも生物のように活動する仕組 1)生産システムの特徴活動 生産システムの仕組み 時間 原材料 労働力 変換過程 生産設備 2)2つのシステムの統合により構成 形 の効用 所有 産出物(アウトプット) 品質 数量(納期) -管理システム→「情報」が対象 場所 サービス (検出) -他の諸活動と関連を持ち,お互いに作用しながら活動している 投入物(インプット) (フィードバック) -生産要素(原材料・生産設備・労働力)から構成されている -一般に投入物(インプット)を産出物(アウトプット)に変換する活動 製品 原価 評価 -製造システム→「物」,「サービス」が対象 企業における生産活動 生産システムの構成 経営計画 製品開発 製品企画 利益計画 販売計画 量・納期 生産計画 設計情報 管 理 情 報 シ ス テ ム 負荷計画 日程計画 生産情報 生産管理情報 作業計画 資材計画 情 報 の 流 れ 納 期 情 報 調 達 情 報 進 度 情 報 納 期 情 報 ①アウトプット -製品あるいはサービスとしてのアウトプットを先ず決定 する -アウトプットを決めるための調査 顧客の要求,需要の見通し等 製品仕様 技 術 情 報 シ ス テ ム 情 報 の 流 れ 製品設計 作業設計 冶工具設計 工程設計 受注情報 図 面 情 報 改 善 情 報 原価情報 品質情報 製造システム 資材 作業指示 製品 物流 部品加工 組立 検査 実績情報 出荷 物の流れ 効率情報 実績処理システム 品質管理 Q 原価管理 C 工程管理 D 販売・保守 サービス ②インプット -アウトプットを生み出すために必要な資源 材料,建物,生産設備,労働力 -特徴による分類 変動要素:一度の生産活動で消耗するもの (エネルギー,材料) 固定要素:反復して利用できるもの (生産設備,労働力) 2 生産管理論配布資料 企業における生産活動 生産活動評価のための評価指標 ◆変換過程 -インプットをアウトプットに変換する行為が生産活動 -変換過程=生産活動は一連の作業に細分される -効率(efficiency)η=生産性:投入したインプットに対し て,どれだけ有効なアウトプットが算出されたかを測る 尺度 アウトプット インプット 生産性= 生産物の量 投入資源の量 ◆生産性:効率と同義であるが生産諸資源の有効利用の尺度 生産物の量 ( 指標の内容 算出の仕方 労働生産性 算出された生産性を投入された労働量との比 率で見たもので,工数あたりの生産量を言う 生産量/投入工数 or生産量/投入人員数 作業能率 投入工数あたりの効率を意味し,与えられた 時間内での作業者の貢献度を示す 資本生産性 資本の有効利用を示す尺度で,投下資本当り の生産量で表す 生産設備の有効利用の度合いを示す指標で, 設備能力に対する生産量の比率 出来高工数/投入工数 or標準工数/実績工数 生産量/投下資本 or生産量/有形固定資産 生産量/設備実稼働時間 or生産量/機械台数 実際(計画)生産量 /標準生産能力 設備生産性 操業度 一定期間内での工場生産設備の利用程度を示 す指標で,標準生産能力に対する実際(計画) 生産量の比率 稼働率 特定の 設備あるいは 職場の機械や 個人,グ ループが平均してどの程度稼動しているかを 示す指標 設備実際稼働時間 /設備稼働可能時間 歩留率 実際使用量 /原材料使用量 使用原材料/生産量 原材料生産性 原材料の有効消費の割合で,製品に実際に使 用された量に対する原材料使用量を表す 生産量単位当りに換算した原材料使用料を表 す。 原材料1単位あたりの生産量 不良率 加工または組立総数に対する不良個数 不良数量/生産量 直行率 加工または組み立てラインに乗せられた品目 のうち、初工程から最終工程まで通過した数 の割合 完成数/投入数 X100% -企業が利益を得て,維持発展するためには,経済的な意 味での効率が1を上回るような生産活動が不可欠 生産性= 指標 X100% 原単位 生産量/原材料使用量 方向 よ い よ い よ い よ い よ い よ い よ い よ い よ い よ い よ い 人,原材料,機械・設備,方法・技術, ) エネルギー,土地・建物,資金,時間 出典:藤山修巳著「演習生産管理の基礎」、同友館、1987年、P8~9表1を一部加筆 生産システムの適応性 -生産システムは人工システムであり,判断や意思決定などの 人的要素を含み,あたかも生き物のように活動する開放シス テムである -外部環境:生産システムに影響を与える要因 ●競合企業の動向,市場動向,経済動向,政治動向,国際 動向等 生産システムの柔軟性に対する現状認識 市場環境の変化 ●選択範囲の拡大の要求:製品の多様化,製品の構成 部品の種類増大,製造工程における作業の複雑化 ●競争の激化,短い製品ライフサイクル:短納期,低 コスト化への対応 -生産システムは,突発的で予知しがたい外乱に対して,これ を吸収し得る柔軟性を持ち備えておかなければならない -適応性:外部環境の変化に対処して,自らを最適な状態に維 持し,存続すること -生産システムは適応性を持つことで環境変化をいち早く読み とり,新製品や新技術の導入により生産システムの構造その ものを最も有利なように意図的に変えることも可能 →動物システムとは異なる 生産システムの柔軟性とは ●柔軟性(Flexibility)とは,「1つの状態から他の 状態に経済的に適応できる能力」のこと. -ラテン語の“flebilis”から由来 ●柔軟性の高い生産システムとは,環境の変化に 対して,早い製品開発,早い納期達成,多様な 製品の増大に対処可能,広範囲に変化する顧客 要求に基づく需要量を効果的に生産できるしく みのこと. ※生産システムの中に柔軟性を追求することは生 産形態の変更が必須 生産システムへの要求 ●柔軟性を柱としたフレキシブル生産システムの構築 ●製造環境に適した柔軟性を選択する必要性 生産活動と他の活動との関係 ●販売と生産システム – 将来の需要予測についての情報:適正な生産活動の確保,インプッ トの適切な確保に利用 – 受注情報の提供:生産品目・生産量の決定 – 製品に対する顧客の反応と新製品のアイデアの提供:市場の製品に 対する情報・CS情報の入力情報 ●調達と生産システム – 調達先・納入時期の決定:要求される性能・品質を持ち,要求され た期日,要求された量を調達 – 新材料・新技術の発見:生産システムに導入する可能性の検討 ●財務と生産システム – 予算:生産計画は資金面からチェックされる – 生産活動と販売活動の調整:財務はコストと価格の兼ね合いから ●人事と生産システム – 人の採用と労務:パート人員で調整 ,質の高い人員の採用と教育訓練 3
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