フランスのワイン

フランスのワイン
歴史
気候
風土
人類が最も古くから栽培してきた植物のひとつであるぶどうは、メソポタミアからエ
ジプト人、フェニキア人、ギリシャ人、ローマ人の手を経て、ガリアすなわち現在のフラ
ンスのマルセイユにもたらされる。紀元 1 世紀にはローヌ河流域、2 世紀にはブルゴー
ニュ、ボルドーへ、そして 3 世紀にはロワール 4 世紀にはシャンパーニュへと広がって
いって。やがてキリスト教の布教とともに、ミサ用のワイン需要が広まり、特にベネデ
ィクト派の修道士たちの働きで、ワインは急速にフランス中にしれわたっていった。 12
世紀にはイギリスや北欧そしてドイツへも輸出されるようになる。18 世紀にはガラス
瓶とコルクの利用法が発見され、ますますワインの流通が拡大されていった。
18 世紀後半になると、ボルドーやブルゴーニュで貴族や豪商、教会等が大ぶどう園
1789 年のフラン
を開いて、品質の優れたワインの製造に積極的に取り組むようになり、
ス革命により一時その勢いは停滞したが、19 世紀にはいると、産業革命によって経済
が大きく発展し、再びワイン生産は隆盛に向かうことになる。
19 世紀後半に 3 度にわたるぶどうの病禍に見舞われる。1855 年∼1856 年のウドン
コ病 1863 ∼19 世紀末にかけてアメリカ大陸から侵入したフィロキセラによる被害、
1878 年∼1880 年のベド病で、ウドンコ病には硫黄が、ベド病にはボルドー液がよく効
くことがわかり、退治することが出来たが、フィロキセラは根本的に効くものはなく、
19 世紀末になって、フィロキセラに耐性を持つアメリカ産の台木にフランス本来のぶ
どう樹を接木することにより、やっと解決することが出来た。
フィロキセラを克服してから、フランスのワインは回復するが、第一次世界大戦と世
界的な不景気で以前の勢いはなく、1930 年代には、悪天候続きとさらに深刻な世界的
不景気で業界は沈滞し、劣製ワインの過剰生産、偽物ワインや不正取引が横行したため、
虚偽ワインの規制と市場の安定を図るために 1935 年にフランス政府は原産地統制名称
(A.O.C)法を制定した。この制定によってフランスは名実ともに世界の良質ワインの
名産地としての地位を確固たるものにした。第二次世界大戦後は世界経済の拡大ととも
にフランスワインの輸出も旺盛で、貿易収支上でも大きく貢献している。
フランスは北緯 42∼51 度、西経 5∼8 度間に位置して、緯度的には、日本の北海道
から樺太に及ぶ位置で、かなり北国と思われがちだが、地中海や北西部からの暖流の影
響を受けるため、気候は全体的に温暖かつ多様で 4 つに大別される。北部のシャンパー
ニュ、ブルゴーニュ、ロワール河上流域は、大陸性気候、西部の大西洋沿岸地域のボル
ドー、コニャック、ロワール河下流は、海洋性気候、南部の地中海沿岸、コルシカ島は
地中海性気候
東部のヴォージュ山麓、ジュラ、アルプス山系などは、高山性気候である。