平成26年10月2日 板橋区立桜川小学校 No7 クーベルタン男爵の言葉から - 運動会に期待すること - 校長 樋 口 晋 自己を知る 自己を律する 自己に打ち克つ これがアスリートの義務であり、最も大切なことである。 さわやかな秋晴れの日々が続く季節となりました。2日後にひかえた運動会も、きっと素晴らしいお天気 の下で開催できることと期待しています。子どもたちはこの日のために、一生懸命練習や準備に取り組んで きました。走ることが好きな子どももいれば嫌いな子どももいることでしょう。踊ることが得意な子どもも いれば苦手な子どももいることでしょう。いずれにしろ、今から子どもたちはワクワク、ドキドキしている ことでしょう。私たち教職員は、この運動会は子どもたちを心身共に大きく成長させる絶好の機会だと思っ ています。ご家庭でも、何とぞご支援・ご協力の程よろしくお願いいたします。 さて、 「オリンピックで重要なことは、勝つことではなく参加することである。ちょうど、人生で最も重 要なのが勝つことではなく、努力することであるように」という有名な言葉があります。これは、「近代オ リンピックの父」と言われたクーベルタン男爵が自らの演説の中で、当時のペンシルベニア大主教が語った 言葉を引用したことにより、広く知られるようになった言葉です。では、この言葉を「運動会」に置き換え て考えてみたときに、子どもたちは単に「参加する」だけでいいのでしょうか。もちろん、そうではありま せん。 「重要なこと=努力すること」と汲み取れるように、努力してきた成果を存分に発揮していくことが、 勝敗の結果以上に重要であるのだと考えます。子どもたちには、終わった後に「あのとき、ああしておけば よかった」「こうしようと思えばできたのに、そうしなかった」といった悔いは残してほしくありません。 アトランタオリンピックのマラソン選手 有森裕子さんがゴール後に「自分で自分をほめてあげたい」と語 った言葉は有名ですが、子どもたちにも、結果はもとより、それ以上に自分自身やチームとしての努力を誇 れるようであってほしいと願っています。 そして、さらに私は子どもたちに期待したいことがあります。それは、当たり前といえば当たり前ですが、 各自がベストを尽くすことです。クーベルタン男爵の演説にある「参加する」という言葉は、英語では「take part」と表します。しかしながら、この言葉には「責任を果たす」という別の意味があるのです。子どもた ち一人一人がベストを尽くしていく中で、それぞれに自分の責任を果たしていってほしいと思います。この ことは何もリレーや組み体操だけに限ったことではありません。どの学年のどの競技・演技でも、またどの 係のどの仕事においてでも、ベストを尽くし自分の責任を果たしていくことこそが、一人一人の成長につな がり、生きていく上での自信や誇りにつながっていくのだと思います。 この演説の中で、クーベルタン男爵はさらに冒頭にあるような言葉を語ったとも言われています。この言 葉は、アスリートに向けて発せられたものですが、私は「アスリート」の部分を「子どもたち一人一人」に 置き換えて考えてみたいと思います。子どもたちには、 「自己を知る 自己を律する 自己に打ち克つ」という 言葉は難しいかもしれませんが、自分のできないことや 苦手なことに対して、計画的に取り組み、怠けたいとい う気持ちに打ち克つことができるようになってほしいと 願っています。何もこのことは運動会に限ったことでは ありませんが、 「自分を知らず、自分に甘え、自分の怠惰 心に負けてしまう」子どもたちにはなってほしくありま せん。大変厳しいことですが、自分自身を磨き、鍛錬す る精進の心に期待しています。学校教育が子どもたちに とって、そういった場でありたいと強く思います。 9/29 組み体操の練習に励む6年生
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