元気な赤ちゃんを育み、安産に向かうために∼ お

∼元気な赤ちゃんを育み、安産に向かうために∼
あなたの命はあなたのパパ、ママから頂いたも
の。パパ、ママの命はおばあちゃん達から頂い
たもの・・・。このように考えるとあなたの命
はずっとずっと昔の先祖様たちからの贈り物で
す。そして、今あなたは新しい命を宿しました。
あなたの命を与えてくれたみんなに感謝し、新
しい命を自分らしく温かくはぐくんで(HUG く
んで!)いきましょう。
神秘の確立でこの世に命を受けた赤ちゃんと、その命を育むあなた。
10ヵ月間という短い妊娠期間を前向きに、これからのお産や育児を夢描いて過ごしましょう。
当院では、お母さんと赤ちゃんがお産の主役になるようにお手伝いします。そして、母乳育児を
通してお産後も引き続きお母さんと赤ちゃんが絆を深め、健やかに育児ができるようにお手伝い
します。
当院は、WHO(世界保健機構)とユニセフ(国連児童基金)から「赤ちゃんにやさしい病院」
の認定を受けています。
お名前
様
1
妊娠前期の過ごし方
1、妊娠カレンダー
この時期の特徴
月数
妊娠成立∼
※生理が止まる
※つわりが始まる
∼4 ヶ月
5∼6 ヶ月
※流産などが起こりやすい
※精神的に不安定な時期
※赤ちゃんの身体にいろいろ
な部分ができる重要な時期
検査内容・妊婦検診
・超音波検査
・骨密度:500 円(希望者)
(妊娠の確定診断
・初期の血液検査
胎児心拍動の確認) (血液型、貧血、梅毒、血糖、
B 型肝炎、C型肝炎、間接
クームス、)
:島根県の母子手帳の場合、
母子手帳内の無料券を使用
できる。
HIV:3000 円
風疹:3000 円
パパの精子と、ママ 身長:約 15 ㎝
の卵子が出会い、結 体重:100∼120g
ばれる
手足もバタバタ
そして、お母さんの
お腹の中で、小さな
命が芽生え始める
お腹の赤ちゃんの様子
・男女の区別がはっきりする
・骨や筋肉も発達し手足をよく
動かす
・皮膚に産毛は生え始める
※胎盤ができあがり、比較的安定
した時期
※胎動を感じるようになる
※お腹が目立ち始める
・6 ヶ月まで:月に 1 回
(健診料 5000 円)
・クラミジア抗原検査
(検査料 2000 円)
身長:25 ㎝
体重:250∼300g
羊水の中で水中トレーニング!
・指しゃぶりを始める
・おしっこができる
・産毛や爪が生え始める
・目・鼻・口が完成し顔が整う
・胎盤が完成する
・体は胎脂という脂に覆われ始める
・羊水の中で浮かびながら手足を活
発に動かす
・頭髪・眉毛・まつ毛が生える
お乳の変化
・お乳がジンジンと重たい感じがする
・乳首が黒ずむ
・お乳がにじむ
・乳首のまわりが痒い、カサカサする
・お乳が張る
・母親教室―前期の過ごし方
2
9 ヶ月
7∼8 ヶ月
10 ヶ月∼
※貧血、早産、妊娠高血圧症侯群など起こりやすい時期
※胎児の発育が著名な時期
※子宮の圧迫で不快症状が現れやすい
※出産に対する不安、心配のある時期
・8 ヶ月から:2 週間に 1 回
・貧血チェック
・後期の血液検査
・早産のチェック
無料券:血液一般
(経膣超音波検査)
(HTLV−1、検査料 3000 円)
・逆子チェック
・おりもの検査
・GBS(1500 円)
・10 ヶ月から:毎週
・NST(赤ちゃんが元気かどう
かの確認とお腹の張りをみる
検査)
・必要時内診
・乳管開通チェック
身長:40 ㎝
体重:1500∼1800g
ヨッコラショっと逆立ちするよ
身長:45 ㎝
身長:50 ㎝
体重:2000∼2500g
体重:約 3000g
産毛よ バイバイ!
トンネルの向こうに行きたいなぁ
・頭髪や爪も伸びる
・完全に成熟し、いつ産まれて
・味覚・聴覚が発達
・明るい・暗いが分かる
・皮下脂肪がつき、しわが減っ
てくる
・筋肉や神経の発達も著しくな
り、お腹を強く蹴る
・肺ができる
・皮膚は薄くてシワシワ、
全身は産毛でフサフサ
・まぶたが上下に分かれ、鼻の
穴も開通する
・皮膚も厚くなり、ピンク色に
・全身の産毛、特に顔やお腹の
産毛はなくなる
も大丈夫
・母親から免疫をもらいながら、
出産の時を待つ
男の子:お腹にあった睾丸が下
がって陰嚢内に収まる
女の子:大陰唇が盛り上がり、
左右が密着
・お乳が大きくなって授乳の準備!
・なるべくブラジャーは着けず、着けても締め付けないものにましょう。
お乳が体の動きにあわせユサユサすると、自然にマッサージ効果があります。
・産後のお乳のために脂肪を蓄える時期。
・お乳が出るか、乳首や乳輪は柔らかいかをチェックしましょう。
・母親教室―後期・産後の過ごし方
・妊婦体操
3
2、お腹の赤ちゃんの事を知ろう
お腹の中の赤ちゃんは、こんなに凄いところがあるよ。
昼夜の区別をママの脳を通じているよ
お母さんが見たり感じたりする外の光の明るさや暗さをヘ
ソの緒を通して脳で感じます。 体内時計(夜が更けてくる
と眠くなるなどの生き物としての生活リズム)にそった生
活をしましょう。夜更かししていると赤ちゃんも夜型にな
るかも!?
耳で外の音やママの声を聞いているよ
赤ちゃんは外からの音をお母さんのお腹や皮膚、脂肪、そ
れに子宮内の羊水を通して聞き取っています。
お母さんの声は耳だけじゃなく、骨や皮膚などお母さんの
体を通してひとつの振動となり伝わります。
お母さんや家族の優しい語りかけや、明るい会話が聞こえ
音を聞き分けるよ。
ると赤ちゃんは喜んでいます。
肌で感じているよ
皮膚は第二の脳と呼ばれています。皮膚を通しいろんな
ことを感じ、その刺激は脳を発達させます。
赤ちゃんは温かい羊水に優しく包まれ育っていきます。
この感覚は抱っこと同じです。赤ちゃんはお腹の中でも
お母さんに抱っこされずっと一緒にいるから、生まれた
赤ちゃんは抱っこが大好き。スキンシップが大好き。
皮膚感覚で特に発達しているのは、指感覚、唇感覚、性器
感覚だよ。お腹の中で指しゃぶりをするのも、このためだ
ろうね。
4
食べて味わっているよ
空腹感、満腹感をお腹じゃなくて脳で感じます。きち
んと一日三回食事を摂ってくれると赤ちゃんは幸せ
です。お腹の中で赤ちゃんは、お母さんの食べている
ものがわかるそうです。妊娠中大好きでよく食べてい
たものが、生まれてきた赤ちゃんも大好きだったり、
逆に食べていないものは、あまり好まないという事も
あるそうです。
6 ヶ月くらいから、指しゃぶりや、羊水を飲んでおっ
ぱいを飲む練習をしています。
胎盤を通してママの栄養をもらっているよ
赤ちゃんはこの胎盤を通し、臍の緒でお母さんと繋
がり酸素や栄養をもらって大きくなります。
ワイは、胎盤や!!!
せやから、この子の生命を守るためママからお願い
されとる。ちゅ∼わけやねん。
まあふたりの仲介人や!任務をまっとうする!
ママの栄養を赤ちゃんに取り込んで、いらないものを処理する役目
があるんや!
5
3、赤ちゃんが育ついい環境(体)をつくろう
1)体と心の基本は、食事から・・・
きちんと食べて自分の体をつくりましょう。そうすれば、お腹の中の赤ちゃんも丈夫に元気に育
ちます。まずは正しい食生活からスタートしましょう。
これらはビタミンやミネラル分が少なく、多くの子供の生活習慣病(心疾患、動脈硬化、高血
圧など)の原因になり、産後の乳汁の性質に影響するとわれています。
現代の食生活
今から40年ほど前の頃の一般的な生活をご存じですか? あなたが幼い頃、あるいはあなたのお
母さんがあなたの年頃の時の事ついて聞いたことはありますか?
時代の影響を受けて、日本は目まぐるしく変化しています。
土のついた野菜、手作りの保存食、
もっとゆとりをもって楽しみながら食事をする・・・そういった一昔前ならごく当たり前のこ
とが今では難しくなっています。遅くまで寝ているために朝食も一人で食べる子供が多く、外
で遊ぶことも少ないので食欲や空腹感をもつて食事を楽しみに食べる、ということも少なくな
りました。また、農地は以前より減り、見た目に綺麗で形が良く、保存可能でかつ手軽に食べ
られる物を好むようになりました。
こうして、私たちの食生活に変化が起きています。
加工食品の普及
添加物の取りすぎ
清涼飲料水の普及
糖分の取りすぎ
食事の洋風化
動物性脂質の取りすぎ
これらはビタミンやミネラル分が少なく、多くの子供の生活習慣病(心疾患、動脈硬化、高血圧
など)の原因になり、産後の乳汁の性質に影響するとわれています。
*伝統的な和食がお勧めです
農産物や植物と同じで人間もその風土によって心も体も育ちます。日本人には日本の気候や風
土に適した伝統食の和食が体に合います。
しかも、ローカロリーです。
魚介類を中心とした伝統的な和食が理想・・
6
*その季節に取れる旬のものを食べましょう
旬の野菜はビタミン C が豊富。昔からの食事には旬を大切にし
たものが多いです。旬の物を食べたくなるのは自然なこと。ト
マト、きゅうりなどは夏だからこそおいしいし、冬にはにんじ
ん、ゴボウ、里芋などの根菜は体を温める効果があります。
日本は世界一豊かな国と言われるように何でも手に入る生活をしています。食に関しても、あま
りに食べ物に恵まれ美味しいものばかりを食べ過ぎてしまいがちです。それだけに、少し粗食を
心掛けるぐらいが調度よいのです!!
ニュース特急便
∼みんなのおなじみの顔、あの 2 大食品の隠された秘密!!∼
卵、牛乳はアレルギー体質を作る食品とも言われています。取りすぎに注意しましょう。
妊娠したからといって、
牛乳を普段あまり飲まないのに無理して飲む必要はありませんよ。
2)体の冷えに気をつけよう
身体が冷えると血液の流れが悪くなり、ホルモンの分泌も抑制されます。よくお腹が張って早産
になりやすくなります。ということは、お腹の中の赤ちゃんの環境もよくないという事です。
また、お産直前になっても産道の熟化ができず難産になることがあります。
身体を中と外から温める生活をしましょう。
《中》
・穀物(米、芋類)を食べる
・生野菜、果物は控えめに
・生物は避ける。
(お刺し身など)
・冷たいものは食べない(アイス、ジュースなど)
《外》
・おへそが隠れるくらいの大きなショーツをはく
・5 ヶ月に入ったら腹帯をしめる
・三陰交にお灸する(安産のツボに生姜を使ったお灸を)
・長めの靴下をはく
・天塩入りのお湯で足浴する
・ウォーキングなどで身体を動かす
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3)体力をつけよう
妊娠中あまり身体を動かさず楽な状態でいると、心臓などはそれに必要なだけの働きしかしなく
なります。それでは長時間に及ぶお産の途中で疲れてしまいます。お母さんが疲れると微弱陣痛
になりやすく、また産後の育児もうまくスタートできなくなります。
身体をよく動かすことの利点は以下のようなことがあげられます。
・エネルギーを消費する
・体温の上昇による血液循環の改善
・外に出ることで気分転換になり、カルシウムの吸収もよい
・肩こり・腰痛・便秘などの軽減
・お産に耐えうる体力をつける
・お産の時に使う筋肉の鍛練
・産後の母体の早期回復
4)お乳の変化を知ろう
赤ちゃんに母乳を飲ませるために、お母さんのお乳は妊娠中より準備を始めています。
妊娠 5 ヶ月頃より乳汁が出始める方もいます。
人によって様々ですが、妊娠中に 2 カップぐらい乳房が大きくなることもあります。
(妊娠カレンダー参照)
5)タバコ・アルコール・夫婦生活について
・タバコ中のニコチンは血流障害を起こしやすく、胎盤や臍帯の血流が途絶えて早産・死産・低
出生体重児の確率が高いのでやめましょう。吸っている人のそばに居ても影響を受けます。
・アルコールは控えましょう。
・夫婦生活は特に制限はありません。早産傾向のある人は控えましょう。
4、妊娠中特に気をつけたいこと
1)妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)
お母さんの体に負担が多くなる妊娠後期におこりやすいです。症状は蛋白尿・高血圧などで、重症にな
ると異常出産の確率が高く、お母さん赤ちゃんともに生命の危険にさらされることもあります。
妊娠高血圧症候群は、出てから治すのではなく、妊娠と分かった時から気をつけましょう。
急激な体重増加や塩分の取りすぎに注意しましょう。(P11 参照)
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体重管理は、健康のバロメーター
太り過ぎは妊娠高血圧症候群や糖尿病の原因となるばかりでなく、軟産道にも皮下脂肪がつくの
で難産になりやすく、微弱陣痛や弛緩性出血の原因にもなります。また、甘いものを取りすぎる
と、大きな赤ちゃんになりやすく、生後に乳児湿疹が多く出る傾向にあります。
あなたの理想体重増加は
+
kg までです。
赤ちゃんの体重・・・・・・3kg
胎盤、羊水・・・・・・・・1kg
お母さんの皮下脂肪・・・・4kg
血液増加
※最近ダイエットブームですが、妊娠中に無理な
ダイエットは必要ありません。
2)妊娠貧血
妊娠中の貧血は、ほとんどが胎児に鉄を取られることや血液中の水分増加が原因で、病気がなくても貧
血が起こります。まず妊娠初期から鉄分を多く含む食品を意識して食べるようにしましょう。
治療については院長がお話します。(P11 参照)
3)切迫流産、早産
∼以下のような時は受診して下さい。
・横になっても下腹部が持続的に痛む
・一日に何回もお腹がはる
・2∼3 分以上お腹のはりが続く
・少量でも出血がある
・破水したようだ
・胎動を感じない
妊婦健診を受けましょう
妊婦健診は赤ちゃんの様子を知るためだけでなく、お母さんのからだの異常を早期に
発見・予防する上でもとても重要です。
・・・・妊娠経過表参照・・・・
・無料券の表紙と中身に名前・住所を記入しておきましょう。
・無料券を使える回数は、市町村によって異なります。
5、妊娠中の不快症状
1)つわり
症状は、妊娠 12 週∼16 週までに自然によくなります。
2)便秘・痔
妊娠中は、ホルモンの影響で腸の動きが鈍くなり便秘になりやすいです。また、大きくなる子宮によって腸
が圧迫されることも原因だと言われています。
また便秘は、排便時の痛み、出血、脱肛という症状の痔の原因にもなります。
適度な運動、食物繊維の多い食べ物、毎日トイレへ行く習慣をつけるなどしてみましょう。薬が必要なとき
は相談して下さい。
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3)腰痛
大きくなる子宮によりお腹が出てくること、お母さんの体重が増えてくることにより体
のバランスを保つため、背中や腰が曲がり、姿勢が変化していきます。
特に、胸から腰にかけて負担が強くかかり腰痛がみられます。
まずは、日々の姿勢を気をつけましょう。(足を組む、横座りなど)
シムス位
あぐらを組む
4)おりもの
妊娠すると少し粘りのある乳白色のおりものが増えていきます。しかし、おりものが増える原因になる菌の
なかには、早産を誘発したり、出産の時に赤ちゃんに移って欲しくない菌があります。(9 ヶ月頃におりもの
のチェックあり) おりものの量、痒み、におい、色など気になる時は、お知らせ下さい。
5)その他
妊娠線、むくみ、こむら返り、動悸・息切れ、尿漏れ・頻尿、静脈瘤、体の痒み などの症状があります。
6、母乳とむし歯
むし歯は「う蝕」と呼ばれる病気です。細菌の作り出す酸によって溶かされていく病気です。
乳幼児に発生するむし歯の原因となる細菌はミュータスンス菌類で、もともと生まれた赤ちゃんの口の中に
は存在しません。主にお母さんから感染することがわかってきており、お母さんが口の中をどれだけきれいに
出来るかということが大事になります。妊娠 5 ヶ月過ぎから歯科受診し治療をしておきましょう。
母乳を続けるとむし歯になるということは誤解です。2∼3 歳までの長期にわたり母乳を与えられていた乳幼
児に多発性のむし歯が発症すると報告されたことから、母乳をむし歯の原因と考える傾向にありました。まだ
そのように考えられている専門家もいますが、むし歯がどうして出来るかを理解していれば、 母乳=むし歯
ということではないことがわかります。
離乳食が始まったら水分補給は水かお茶にします。砂糖、ジュースや乳酸飲料、
スポーツ飲料は出来るだけ与えないようにします。いつも甘いものを食べていると
口の中はむし歯ができやすい環境になります。前歯が生えてきたら、ガーゼか歯
ブラシを使って最低でも一日一回はしっかりと歯の表面を拭くようにしましょう。
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7、食事に関する資料
1)妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)の時の食事
・塩分を控える
・良質のたんぱく質を取る
・カルシウムを多めにとる:カルシウムは血圧を下げる効果がある。
・低カロリーの食事を心がける:間食を控え、おかず中心の食事にし、脂肪は植物性の物を
摂取する。
*良質のたんぱく質
卵、牛乳、ヨーグルト、チーズなどの乳製品。
大豆、豆腐などの加工品、魚など。
肉類では脂肪分の少ない赤身の肉、鶏のささ身など
※安静:無理せず充分な睡眠にも心がけましょう。
2)貧血の時の食事
貧血の原因は主に、鉄分が不足するためにおきます。
また、血液の元に必要な酵素は葉酸やビタミンB12 を必要とします。ビタミンCも同時にとると、
鉄分の吸収を高めます。特に、妊娠すると貧血になりやすいため、普段から心がけて取るように
しましょう。
*鉄の多い食材
肝臓、小松菜、のり、ほうれん草、ひじき、大豆、卵、ごま、干しワカメ、豆腐、納豆、煮干し、
切り干し大根、あさり、しじみ、ちりめんじゃこ
3)カルシウムについて
近年、妊娠中にとるカルシウム量も、妊娠前と同じで良いといわれています。
妊娠中のカルシウムが不足しても、赤ちゃんの歯や骨の形成に影響する事は少ないですが、お母
さんの腰痛や高血圧になりやすくなります。
*カルシウムの多い食事
わかさぎ
木綿豆腐
いわし丸干し
小松菜
チーズ
ひじき
枝豆
あさり
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ほうれん草
ししゃも
8、産科医療補償制度と出産一時金の事前申請について
1)産科医療保障制度とは
平成 21 年 1 月より、
「産科医療補償制度」が発足しました。
お産の場面では、赤ちゃんが健康で、元気に生まれてくるために、医師や助産師などが大変な努力
をしていますが、それでも予期せぬできごとが起こってしまうことがあります。
この制度は、赤ちゃんがお産に関連して重度の脳性まひを発症した場合に、速やかに補償を受ける
ことができることに加え、その原因を分析することなどによって、安心して産科医療を受けられる
環境整備を目指すものです。
この制度に加入している施設では、妊娠中に全ての妊婦の皆様に、この制度の対象となることを示
す「登録証」を交付します。妊婦の皆様には、登録証への必要事項の記入などのご協力をお願いし
ます。
2)出産一時金の事前申請
出産一時金は、出産をしてから2年以内に申請し、受けられます。しかし、申請してその場で給付
金がもらえるケースを除き、2週間から2ヶ月間も給付されるまで時間がかかります。
そのため出産一時金の事前申請という方法があります。
出産一時金の事前申請は、出産の時、保険組合が直接医療機関に医療費を払ってくれるもので、こ
の事前申請を利用した人は、差額が生じた場合だけ、その分の支払いをします。
この制度のメリットは、保険が利かない出産において、高額な医療費をやりくりする負担が少なく
なり、出産後のさまざまな手続き上の負担が大きく減ります。
もちろん出産一時金として頂ける 38 万円からその部分を精算してくれるので、出産にかかった費
用を費用が少ない場合は、被保険者がその差額を受けとることができます。
この事前申請は出産のおおよそ1ヶ月前に行う必要があります。
その申請の仕方は、あらかじめ出産前に被保険者の加入する健康保険組合(社会保険の場合)もしく
は各市長村の窓口(国民健康保険の場合)で請求用の書類をもらいます。
出産が予定される医療機関を含む、出産一時金の事前申請用紙を提出し、記入してもらいます。
出産費用
支給金
産科補償
出産費用
制度分
(産科補
償制度分)
出産一時金
この部分を事前申請することが出来ます。
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実際の負担
妊娠後期の過ごし方
∼そろそろお産の用意を始めましょう。∼
からだ
もの
こころ
1、「こころ」の準備
お腹も大きくなり、胎動もよく感じられるようになりましたね。出産の日も日一日と近くなってき
ました。「陣痛ってどんなだろう、赤ちゃんは元気で生まれてきてくれるかしら。
」と不安と期待で
いっぱいなのではないでしょうか。
女性のからだには、妊娠・出産という神秘的な力が自然に備わっています。自分の力と赤ちゃんの
生まれてくる力を信じて出産に望みましょう。
お産は、「生ませてもらおう、誰かが何とかしてくれる。」ではなく、
「わたしが生むんだ。」という
前向きな気持ちが大切!!あなたが置かれた状況の中でベストを尽くして自分の納得のいくお産、
満足のできるお産をして欲しいと願っています。
二人を取り巻く人々みんなの祝福をたくさん受けて、新しい生命をしっかり受け止めて下さい。
当院では、
「WHO1985 年 出産科学技術についての勧告」に基づき、赤ちゃんとお母さんにやさし
い自然な出産をお手伝いさせていただきます。
2、「からだ」の準備
1)後期に気をつける事
妊娠貧血
分娩後の出血の原因にもなりやすいため食生活に気をつけ、妊娠後期には治療を受ける必要が
あります。
妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)
母体ヘの負担が日増しに多くなる妊娠後期に起こりやすいです。赤ちゃんとお母さん二人分の
老廃物を処理しきれず腎臓に負担がかかります。症状は蛋白尿、高血圧です。
・太りすぎない。
(カロリーの取り過ぎで、老廃物を大量生産しない)
・塩分を控える。
(腎臓の負担を少なくする)
太り過ぎ
妊娠高血圧症候群、糖尿病、難産の原因になります。
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2)お産を楽にするために
妊婦体操∼体力づくり、産道が柔らかくなる
妊娠 5 ヶ月以上の妊婦さんが対象
日時・・外来でお知らせします。
妊婦健診時に診察室で予約
※動きやすい服装で来て下さい。
ウォーキング∼体力づくり、産道が柔らかくなる
32 週以降は、出来れば1日1時間は、ウォー
キングをしましょう。
リラックスの練習
体力の消耗を少なくする、筋肉が弛緩し産道の伸びが良くなる
胎児に酸素が行きやすい。
*全身リラックス
リラックスした状態を体で覚える為には
一旦全身に力を入れ.それから逆に力を抜
いてみて下さい。リラックスした感じがよ
く分かります。
*タッチリラックス
陣痛が強くなってくると、全身に力が入り
がちです。夢中になっていて自分では気が
つかないこともよくあります。介助者や夫
に「ここの力を抜いて」と手で触れられた
ら、すぐにそこの部分の力が抜けるよう
に、普段から夫と十分練習しておきましょ
3、授乳がスムーズにいくために
母乳は出産後すぐに母乳が出るという訳ではなく、あかちゃんが一生懸命におっぱいを吸う、そ
の努力により、母乳が初めてよく出るようになります。
母乳を飲ませる努力と母乳を飲む努力、この2つの努力の強烈なふれあい、すなわち、生まれてき
たヒトという名の動物の子どもは授乳によって初めて人間の心に赤ちゃんに入ってきます。と、同
時に、
この相互作用こそが赤ちゃんの心に人の心を吹き込み、
お母さん自身に母性愛を芽生えさせ、
お母さんは女性から母親へと本当のお母さんになっていくのです。
生まれてくる赤ちゃんにスムーズにおっぱいを飲ませてあげられるようにお母さんも妊娠中から自
分のおっぱいをよく知っておき、手入れをしておきましょう。乳頭・乳輪の手入れをすることで、
乳管を開通させ、乳頭・乳輪も柔軟になり、赤ちゃんも飲みやすくなります。また、皮膚も丈夫に
なり、亀裂を予防し、乳頭刺激によって、オキシトシン(子宮を収縮するホルモン)が分泌され、自
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然な陣痛がやってきます。
たとえ、どんな乳輪乳頭の形・大きさであっても、お母さんと赤ちゃんの両方の努力で母乳育児は
できますので、あきらめずに楽しい母乳育児をめざしましょう!!
時期 : 10 ヶ月に入ってから
回数 : 1 日数回、
1 回 3 分間
※切迫傾向のある方、張り止めの薬を飲んでいる方はやめましょう。
※痛みを感じるようであればやめてください。
※自分がやってみて気持ちがいいと感じる程度にマッサージをして
みてください。
3、「もの」の準備
入院時に持参して頂く物
衣類
日用品
□パジャマ
□産褥ショーツ
□靴下
□授乳用ブラジャー
□バスタオル
□タオル
□はし
□スリッパ
□湯飲み
□靴入れ用ビニール袋
□洗面用具
その他
□母子手帳
□入院誓約書(外来で未提出の方)
□母親教室の冊子
※お産セットは、入院時にみなさんにお渡しします。
内容は、Lナプキン・Mナプキン・Sナプキン 清浄綿1箱
それ以外で必要であればご自分で用意してください。
※母子手帳別冊の先天代謝異検査用紙に住所を記入しておいて下さい。
※退院時の赤ちゃんの衣類は、準備しておいて退院時に家族に持参してもらい
ましょう。
(入院中はすべて当院のものを使用します。)
※出生届の用紙は、当院で用意します。
スリング(抱っこ紐)
首の座らない新生児から使用できる抱っこ紐があります。
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4、いいお産をしましょう
1)お産の前触れ
お産が始まる前に(特に初産の場合)
「もーすぐだよ∼」という事を知らせるいくつかの症状があら
われます。
胎動がやや少なめになる。
(赤ち
ゃんの頭が下がって動きにくく
なるためですが、1 日中まったく
動かないというわけではありま
せん。)
胃の圧迫感がなくなり呼吸が
楽になる。(赤ちゃんが少し下
がってきた証拠)
ゼリー状のどろっとしたおりも
のが増えてくる。そのおりもの
に色(茶∼赤)がつけばいわゆ
る「おしるし」です。
尿がますます近くなる。ももの付
け根や膀胱の辺りがつっぱった
り、足がつりやすくなる。
不規則にお腹が張る(前駆陣痛といいます)
その痛みは生理痛のように感じる人、腰の痛
みを感じる人とさまざまですが、しばらくす
ると遠のいていきます。お腹の張りで夜中に
目を覚ましたりすることもあります。
このように、お産が近づいた徴候があれば、
「いよいよだな∼」と心づもりをお願いします。
2)入院の時期
陣痛が始まる
規則的な子宮収縮が、10 分おき、または、1時間に6回になった時を「陣痛開始」としています。
初産婦さんは 10 分おきくらいになったらまず電話連絡して下さい。経産婦さんは早く進む事が
多いので、15 分おき位になったら、一度電話して下さい。
破水がなければ、シャワーや入浴は OK。
破水したとき
赤ちゃんを包んでいる薄い膜(卵膜)が破れて羊水が出てくることをいいます。破水は自分の意
志に関係なく、生ぬるいお湯のようなものが流れ出る感じで、尿を漏らしたと思う人もいます。
この時は、清潔なナプキンを多めに当て、すぐに、電話連絡をお願いします。破水の場合は、必
ず入院になります。感染予防のために、シャワー、入浴はしないこと、これだけは気をつけて下
さい。
出血が多いとき
生理以上に出血が多いとき、血液の塊がでたり、サラサラとした出血が続くときも連絡を!
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3)入院の連絡方法
お産の場合は日曜、祝日問わず、24 時間受付ています。
まず、電話で直接ご本人がお話しください。
お名前
分娩予定日
これまでのお産の回数
陣痛が始まった時間
陣痛の間隔
出血や破水の有無
当院までの所要時間
※家族の方が不在の時の、交通手段(タクシーなど)相談しておきましょう。
※当院の電話番号は、家族も分かるようにしておきましょう。
※診療時間外は、玄関に向かって左側の夜間入り口よりお入りください。
インターホンでお応えし、ご案内します。
電話番号・・・0853−72−7470
4)入院したら・・・
・分娩室(LDR)又はお部屋に入っていただきます。
・母子手帳をお預かりします。
・分娩監視装置(赤ちゃんの心拍を聞く機械)をつけます。通常、40 分くらいで一度はずします。
・体温や血圧を測ります。
・内診を受けていただきます。
5、母乳育児につながる自然分娩とカンガルーケア
1)当院の分娩(自然分娩・フリースタイル)
今までは、
「生まれるときは仰向けで生む」という考えが主流でした。それは、介助者に都合のよ
い体位であったのです。赤ちゃんを産むときに、仰向けになると、赤ちゃんの生まれようとする
力を不利にしているといわれています。産婦さんは、自由に動けるようになると、楽な姿勢を求
めて、座ったり、立ったり、横になったり、四つんばいになったりします。自然と自分と赤ちゃ
んに合う姿勢をとっています。 人によって楽な姿勢は様々。実際の出産の時になってみないと
わかりません。それは、赤ちゃんがきっと教えてくれます。 当院では、不必要な医療行為(浣
腸、剃毛、導尿、会陰切開など)を行わずなるべく自然の力に逆らわないように、一番楽な姿勢
で出産に望まれるようお手伝いしたいと思います。
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2)お産までの過ごし方
立ったり座ったり、
動いたり・・・
枕やクッションを使って楽な姿勢で
過ごしましょう。
眠たい時もは、身体を休めましょう。
特別な呼吸法は、しなくていいですよ。
無理なく自然に呼吸しましょう。
破水していな
ければお風呂
にも入れます
よ!
出来るだけ、食事や水分を摂りましょう。
お産が進むにつれて、陣痛の間隔が短く
なり、一回の痛みが強く長くなります。
出産が近づくと、便意を感じ始め、痛み
とともに自然にいきみが入るかもしれませ
ん。無理にいきまず流れに任せましょう。
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赤ちゃんが生まれたら、裸のままお母さんのお腹の上
に来ます。すぐにさすって下さい。落ち着いたら、へ
その緒を切ります。
3)カンガルーケア
生まれたばかりの赤ちゃんをへその緒がついたまま自分の手で受け止めてあげましょう。そのまま
お母さんの胸で約 2 時間スキンシップを楽しみましょう。これを、カンガルーケアといいます。こ
の分娩直後のカンガルーケアを観察してみると、母と子が出会い、その絆を深めていく様子がお母
さんと赤ちゃんの言動や行動から時間の経過とともに見受けられます。
出生直後のカンガルーケアの様子
お母さんは胸の上に横たわった赤ちゃんの背中に優しく手をあて、そのうちさすり始めます。
お互いが見つめあうことも時々みられます。
赤ちゃんは少しずつ活発になり、お母さんの胸の上で体をずりずりと動かし始めます。
そして、自分の手をなめたりしながら、ゆっくりとお母さんのお乳に向かって動いていきます。お
母さんはその動きを助けるかのように声をかけたり手をさしのべたりします。
赤ちゃんは、お母さんのお乳にたどり着き、何度も何度も繰り返しお乳をとらえようとします。そ
してようやく口の中にとらえると、元気よく顎を動かしお乳を吸います。最初はなめるだけの時も
ありますが、赤ちゃんが自分の力でお乳を吸い始めることを経験し、赤ちゃんの生命力の強さを実
感します。
カンガルーケアの効果
・赤ちゃんの体温が保たれる。
・赤ちゃんの呼吸が安定しやすい。
・赤ちゃんとお母さんの間に愛着が形成される。
・お母さんの気持ちが安定する。
・自然にお乳を吸わせようという気持ちになる。
・健康な人の肌についている、常在菌が赤ちゃんの肌につくことで
他の悪い菌が赤ちゃんに感染するのを防ぐ。
どんな場合でもできるの?
赤ちゃんの呼吸が安定していればできますが、医師の判断により、
場合によっては、すぐにできないこともあります。
「あの時間がとても幸せな時間でした。」と言われる方が多いです。赤ちゃんの体温を一番、直に感
じられるこの貴重な体験を、ぜひみなさも経験してみられませんか?
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6、入院の経過
赤ちゃん
お母さん
当日
はじめての計測
採血(貧血)
1 日目
足型取り
外陰部チェック、 シャワー開始
アルバム写真撮影
2 日目
ビタミンK2 内服
3 日目
4 日目
5 日目
採血(貧血、炎症の検査)黄疸検査、
沐浴説明
先天代謝異常検査、聴覚検査(希望者)
退院説明、退院診察
ビタミンK2 内服
沐浴実施
院長の許可で退院
※分娩直後の写真を希望の方に差し上げています。
※足型は1ヶ月健診時にお渡しします
※聴覚検査希望の方は入院時までにお知らせ下さい。検査料金は 3000 円です。
※赤ちゃんの血液型は検査しません。
※生後∼3・4 日は、胎外生活の適応に必要な胎脂を取り除かないことと、赤ちゃんは汗をかきに
くいことなどから沐浴はしていません。
入院期間
初産婦・・・6 日間
経産婦・・・6 日間
※退院時間は午後 1 時∼3 時の間でお願い致します。
面会時間
午後 3 時∼8 時
分娩時の付添
分娩時の付添いは 2 人までです。
面会時間以外、分娩時に付き添っていた方以外は面会出来ません。
分娩後、2時間まで付き添いはよいですが、その後は面会時間を守ってください。
付添宿泊
家族が宿泊される場合は、宿泊 2000 円です。
翌日の 9 時までとなっています。希望される方はお申し出下さい。
電話について
病室の電話は院内専用です。
携帯電話の使用は可能です。
外部からのとりつぎは出来ませんので御了承下さい。
分娩費
総額で 45∼47 万円(産科医療保障制度保険金を含む)です。
(退院の日にお持ち下さい。
)
日曜日、木曜日、祝日の退院の方は退院の前日支払いとなります。
その他
全館禁煙になっております。御協力をお願い致します。
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産褥期の過ごし方
出産後 1 ヶ月間のことを産褥期といいます。
出産にむけて準備された子宮が、妊娠前の状態にもどるのは、6∼8 週です。
それにともなうホルモンの変化で、乳腺も発育して乳汁分泌もさかんになります。
この時期は、肉体的にも精神的にも、母親としての初めての試練の時です。母体を早く回復させるため
に、十分な休養と精神的安定が必要です。
1、産後のお母さんの身体の変化
出産後のお母さんの体は、子育てむきに変化します。
・妊娠により、体内時計がかわり短時間熟睡型になります。
・赤ちゃんがお母さんの乳首を吸うとプロラクチンとオキシトシンというホルモンが分泌されます。
プロラクチン
おっぱいの出を良くし、
母性を育てます。
夜間は日中と比較して
1.5 倍∼2 倍になります。
おっぱいは夜の方が多
く作られるのです。
オキシトシン
子宮収縮を促し、乳腺
組織を取り囲む筋肉
を収縮させて、乳汁を
送り出します。
産後に受診が必要なときは?
・悪露の量が生理の多い日位ある、または塊が出るとき
・乳腺炎みたい(痛い・赤い・硬いしこり・発熱 38.5℃以上)
・膀胱炎
・風邪
※他院に受診の際は、授乳期間中であることを言って薬を処方してもらいましょう。
※授乳期間中の薬の服用は、当院へご相談下さい。
骨盤底トレーニング
① 肛門・膣・尿道をキュッと締める(1 回 12∼14 秒)
注:お腹、足、腰に力が入らないように!
② 残りの 46∼48 秒は体の力を抜いてリラックスする
③ 上記の①②を 10 回繰り返す
※イスに座った状態で行っても良いです。
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2、赤ちゃんについて
1)赤ちゃんの体の特徴
【体温】
・熱は 36.5∼37.5℃。
・赤ちゃんは体温の調節が上手でないた
めに授乳や激しく泣いた後は発熱しや
すいです。
・室温が異常に高い、低いという時も体
温は変化しやすいので暖めすぎ、冷や
しすぎに注意しましょう。換気も忘れ
ずに!
【体重】
・母乳の成分で生後 2 週目頃より
体重がグーンと増えはじめま
す。その頃赤ちゃんはよく泣き、
おっぱいを欲しがります。
・赤ちゃんの体重の増え方は、個
人差があります。
【黄疸】
・一般に赤ちゃんの黄疸は生
後 1∼2 週までには自然に消
退します。母乳栄養の場合、
黄疸症状が長引くことがあ
りますが、問題ありません。
こちらも適時診察していき
ます。
【おへそ】
・1 週間くらいでとれます。
退院時に消毒をお渡ししま
すので沐浴後1日1回、乾燥
するまでつけて下さい。
【胎脂】
・胎脂は出生後も赤ちゃんを守ってく
れます。
胎脂は、赤ちゃんを感染か寒さ等から
守ったり、保湿クリームのように肌を
保護したり、湿疹を減らす等の、出産
直後のバリア機能を高めてくれます。
入院中は更衣と汚れた部分のみの体拭
きを行い、胎脂をできるだけ取り除か
ず、そのままにしておきます。
【排泄】
・尿…授乳の毎。
・便…1 日 4∼5 回が、次第に 1 回となってきま
す。
*便秘∼機嫌が良ければ 1 日出なくても、様子を
みて下さい。 2∼3 日出ない、または機嫌が悪
く、飲みが悪い、おなかが張っている、吐く、な
どの症状があれば綿棒で刺激してみて下さい。
*下痢∼コンニャク湿布をしてみましょう。
【作り方】板こんにゃくを3等分に切って、沸
騰したお湯で茹でる。 タオルに巻いて服
の上からお腹の上に置く。やけどに注意!
・心配な時は受診してください。
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2)お風呂の入れ方
目的(1)汚れをおとす
(2)全身を観察できる
(3)循環をよくする
沐浴を開始する時期
新陳代謝が活発になる生後1週間から開始します。
お部屋の温度
24∼26℃(寒くないようにしてあげましょう)
時間
午前 10 時∼午後 3 時が好ましいです。
お湯の温度
38∼40℃くらい(腕の内側をお湯につけて確認して下さい)
洗う順番
顔(目-額-頬-顎-鼻)→頭→くび→体→腕→手→背中→おしり→おちんちん
曲げているところは、よく洗って下さい。
用意するもの
ベビーバス、ベビー石けん、バスタオル、ガーゼ、洗面器、
上がり湯、ベビー服、肌着(枚数は、季節に合わせて下さい)
オムツ、カバー、くし、綿棒、くず入れ、消毒
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3、退院後の生活
1)1ヶ月健診までの過ごし方
*入院中と同じような生活
・出産後 14 日以内に出生届を出しましょう。
・赤ちゃんに合わせた生活をしましょう。
退院後∼2 週目
・赤ちゃんの体重測定に来院しましょう。(退院後1週目、2週目
または、必要時にみていきます。)
(
月
日
曜日
時∼)
∼来院時、母子手帳・オムツ・着替えあるといいよ∼
*床上げ準備
・少しずつ家事をスタート。家事は手抜きを覚えましょう
3 週目
・疲れたら横になって休みましょう。
・赤ちゃんが寝ているときには、一緒に寝ましょう。
*母児とも 1 ヶ月健診
(
月
日
曜日
時∼)
∼来院時、母子手帳・オムツ・着替えあるといいよ∼
4 週目
・診察し、先生の許可後、普通の生活に戻しましょう。
(入浴・外出・車の運転・夫婦生活など)
2)避妊について
母乳を与えている間、月経の開始が遅れる事があり、妊娠する可能性は
低くなりますが、有効な避妊方法ではありません。
その他の避妊方法としては、コンドーム・子宮内避妊器具(避妊リング)・
ピルなどがあります。
3)赤ちゃんの体重測定
生後 2 ヶ月・3 ヶ月・6 ヶ月・12 ヶ月に希望で体重測定をしています。
母乳育児について、子育て、離乳食、搾乳指導、卒乳の相談などしています。
4)吉野産婦人科医院ホームページ
*病院への質問は下記で受け付けています。
ホームページアドレス :
e-mail
http://www.yclinic.jp/
: [email protected] (院長)
*助産師・看護師への質問は下記で受け付けています。
育児に関する心配事、気になる事があれば下記へどうぞ(^0^)/
e-mail
: [email protected](助産師・看護師)
24
4、母乳育児を楽しみましょう!
∼抱いて、語りかけて、そして、おっぱい∼
サルやカンガルー等の哺乳動物はかたときも子供を離さず自分の体にくっつけて子供は好きなだ
け乳首に吸い付いています。私たち人間の赤ちゃんも同じ。抱っこされ、おっぱいを飲むことで安
心し、信頼関係を築いていくのです。人間の赤ちゃんは、お母さんの子宮に抱っこされて、10 ヶ月
間お母さんと同じように過ごしてきました。お腹の中にいるときと同じような状態で、赤ちゃんを
育てる事が大切です。
ママの声って素敵だね
お腹のなかに
たくさんお話してね
離さないでね
ひとりじゃ怖いんだ
いるみたい
ママのお顔も良く
見えるんだ
ママのおっぱい
笑ってる顔が一番
やわらかくて
大好き!
気持ちいいなあ
おいしいなあ!
あったかいね
ママのおっぱい。
最高だよ!
し・あ・わ・せ!
ママといれば、どんな時も
大丈夫! 安心!安心!
※ご家族へのお願い
家族のサポートがあると、とても助かります。
お母さんと赤ちゃんがいつもくっついている幸せな時間が十分にとれるよう、
お手伝いをよろしくお願いします。
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5、母乳育児のすばらしいのはどんなところ??
母乳育児はお母さん赤ちゃんにとって、そして、その家族、社会にとって
たくさんのいいところがあります。
お母さんにとって
赤ちゃんにとって
☆赤ちゃんの求めがよく分かり一体感
☆赤ちゃんの理想的な食事
が高まる
☆肌と肌の触れ合いで満たされる
☆いい気持ち
☆お母さんとの親密感、安感が高まる
☆赤ちゃんをなだめる最高の手段
☆十分な栄養、栄養不足や過剰がない
☆女性としての力に気づく
☆オーダーメイドの免疫で健康
☆いつでもすぐ飲ませられる
☆脳神経の発達によい
☆衛生的、安心、経済的、簡単
☆味に変化があり味覚を発達
☆子宮や体重が元に戻りやすい
☆乳児突然死症候群の危険性をへらす
☆乳がん、卵巣癌、骨粗しょう症
にかかりにくい
☆自然な避妊効果がある
☆顎や歯並び言葉の発達を促進
社会にとって
家族にとって
☆環境保護
☆幸せな母子の姿が家族皆を和ませる
☆保険費用、医療費の節約
☆兄弟への自然な性教育になる
そして、母乳育児は世界的な活動で再び広まってきています。
WHO、ユニセフが医療機関に向けて
『母乳育児を成功させるための 10 カ条』を発表し、
世界中でその努力がされています。
当院でも母乳育児のお手伝いをさせていただいています。
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6、入院中の母乳育児
1)赤ちゃんはお弁当と水筒を持って生まれてきます。
母乳は赤ちゃんに沢山吸ってもらうほど良く出るようになります。
充分に母乳が出だすのは、出産後 2∼3 日後からですが、それまでの間は濃い免疫の沢山含まれてい
る初乳が分泌しますので、赤ちゃんに沢山吸ってもらいましょう。母乳が充分に出るようになるまで、
赤ちゃんは頻回に吸いますが、赤ちゃんは分泌が充分になるまでの間の蓄え(お弁当と水筒)を持っ
て生まれてくるので大丈夫です。
2)生まれてすぐから赤ちゃんに沢山吸って貰うとお乳は早くから良く出ます。
生後当日∼1 日目は赤ちゃんが、よく眠っていても出来るだけサインを見つけて吸ってもらうとそ
の後の母乳が出やすくなります。
<赤ちゃんが母乳をほしがっているサイン>
・おっぱいを吸うように口を動かす。
・おっぱいを吸うような音を立てる
・手を口に持ってくる
・すばやく目を動かす
・クーとかハーとかいうような柔らかい声を出す。
・むずがる。
3)適切な授乳
適切な授乳の姿勢で、赤ちゃん飲んでもらうと、赤ちゃんは沢山の新鮮な母乳を飲むことが出来、
お母さんも乳首が切れたり、お乳にしこりが出来たりといったトラブルを予防できます。
ポイント
・赤ちゃんがお母さん側に十分引き寄せられて対面している。
・赤ちゃんの体は、頭と身体とが一直線となり、ねじれていない。
・赤ちゃんが、お乳に対して真正面から吸っている。
・赤ちゃんが大きな口をあけた時に乳輪までしっかり含み、下顎がお乳に触れている。
抱き方
お母さんのお乳の形や、乳首の形によって抱き方を変えると、赤ちゃんが飲みやすくなります。色々
な抱き方があります。
※いずれの場合も赤ちゃんの顔と乳房が正面から向かい合うように飲ませましょう。きちんと赤ち
ゃんが吸ってくれている時は、乳首が簡単に離れません。
真横抱き
脇抱き(フットボール抱き)
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立て抱き
添え乳
7、お乳のトラブル
1)赤ちゃんが好きなおっぱいトラブルを起こしやすいおっぱい
おっぱいは、血液から作られています。
おっぱいのトラブルとおっぱいの質は関係が深いので気をつけましょう。
おっぱいの色
おっぱいの性質
大好きなおっぱい
トラブルをおこしやすいおっぱい
透明かかった白
クリーム色、黄色
さらっとしている
どろどろしている
絞ると水玉になる
絞ると玉にならない
苦い、渋い
赤ちゃんの飲み方
正しいリズム
眠りのみ、文句言って飲む、むせる、
(クチュクチュ吸って、
体をくねらせる、うなる、いきむ、
待って吸ってゴックン) かみつく
赤ちゃんの体の変化
皮膚きれい、ご機嫌良い、 オムツかぶれ、湿疹、目やに、鼻水、咳、
2)お乳のトラブルと手当て
乳首が痛い時の対処法
・痛みのない適切な抱き方と含ませ方(p27 参照)で授乳することで傷みなく授乳でき、乳首の
傷や痛みの悪化を防ぐことが出来ます。
・痛みの強い時は、飲み始めは吸う力が強いので、痛くない方の乳房から授乳してみましょう。
・乳首に傷がある場合は、ランシノーや紫雲膏を授乳後に塗布すると傷が早く治ります。
・ユキノシタの葉を熱湯ですすいで、葉の裏面の薄い皮を取り除き、葉に油をつけて傷に貼ると、
出血が止まり痛みが軽減し傷が早く治ります。
お乳がはっている時の対処法
・授乳の時間は決めないで、赤ちゃんが満足して離すまで、片方をしっかり飲ませてから、もう
一方の授乳に移りましょう。
(片方で寝てしまい反対側がはって来たら、少しだけ母乳を出し
ておきます。絞りすぎるとはりやすくなるので注意しましょう。
)
・適切な痛みのない授乳姿勢で飲ませましょう。
・お乳のはっている部分に、キャベツや里芋湿布などをし、お乳の熱をとり、はりを和らげます。
・脂っぽいもの、甘いもの(果物も)、乳製品などを控え、食べすぎに注意しましょう。
水分は暴飲されなければ、極端に控える必要はないです。
・ごぼう種を食べると、乳管の開きが良くなるのではりがおさまりやすくなります。
おっぱいが出すぎる時の対処法
おっぱいが出すぎる場合は、一度受診しましょう。
<出過ぎの症状>
・1 ヶ月を過ぎても、おっぱいが張りすぎている
・ポタポタしたたり落ちる
・赤ちゃんのお腹がカエルのように大きく膨れている、頻繁な下痢・嘔吐
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・赤ちゃんの体重が増えすぎる
・おっぱいのトラブルが多い
・お母さんが疲れやすい、眩暈、体重減少、尿量減少、口渇、脱毛がある
8、母乳を続けるコツ
1)1・3・6 ヶ月頃におっぱいが足りないと勘違いすることがあります
この月齢の頃は赤ちゃんが急激に成長しようとします。そのためエネルギー補給を沢山しようと
赤ちゃんがよく泣き、何度もお乳を欲しがることがあります。おっぱいが足りないと感違いし、
ミルクを足したくなるのもこの時期が多いです。この頻回授乳は、赤ちゃんに大切ですし母乳が不
足しているわけではないので欲しがるだけ吸わせてあげましょう。長い期間は続きませんので、少
し頑張ってみましょう。心配なときは、来院してください。
<1 ヶ月頃>
おっぱいを作るホルモンのプロラクチンが
減り、乳房の張りが軽くなってきます。その
ため、張らないからと分泌不足を感じやすく
なります。赤ちゃんもぐっと大きくなろうと
します。
出生
1 ヶ月
<6 ヶ月頃>
3 ヶ月と同様、寝返りをしたり体を支
えるためのエネルギーが必要です。
3 ヶ月
6 ヶ月
<3ヶ月頃>
首をすわらせるための筋肉がつくため、エ
ネルギーを必要とし、赤ちゃんはおっぱい
をたくさん欲しがります。
2)母乳とむし歯について(p10 参照)
9、離乳食開始時期について
個人差がありますが、目安として大人の食べている状況に興味を示す頃を選びましょう。
ほぼ 6 ヶ月を目安とされると良いです。
赤ちゃんのための離乳食をわざわざつくる必要はありません。
詳しくは日本母乳の会発行の
参考になります。
29
離乳食
が
11、おっぱいにさよならする時
世界に1つだけの食べ物のおっぱいから心のオアシスへ(体の栄養から心の栄養へ)
おっぱい大好きっ子から、「もういらないよ」って自分から卒業するまで、たっぷりと心ゆくまで楽しみ
ましょう。
1)断乳と卒乳
断乳とは
赤ちゃんの意向に関係なくお母さんの状況でおっぱいをやめることです。
卒乳とは
自然な形でおっぱいを終わることです。赤ちゃんは、自分で自然にお乳か
らはなれて行きます。
心行くまで、飲ませてあげてください。
2)おっぱいをやめた後のお母さんのケア
おっぱいを中止すると再びお乳がカンカンに張り、乳腺炎などのトラブルが起きることがあります。
圧抜きや里芋湿布などの手当てを行いましょう。当院に受診しましょう。
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11、母乳育児の妨げになるもの Q&A
間違った知識について
Q:あまった母乳は搾った方がいい?
A:搾れば搾るほどおっぱいは作られていきます。張り過ぎているお母さんにとっては悪循環に
なります。
Q:母子手帳の平均体重曲線に入っていないと異常ですか?
A:専門の先生と相談しながら経過をみましょう。
Q:赤ちゃんが泣くのは、おっぱいが足りないの?
A:赤ちゃんが泣くのは、様々な理由があります。胎外生活に慣れ、これから大きくなるぞ!とい
う頃には、
「おっぱい欲しい」って催促することもあるでしょう。
お腹いっぱいすぎても、お腹が痛くて、泣くこともあります。お腹の中で、ずっと一緒だった
お母さんと『離れた』というだけで不安だったりします。
3時間毎の授乳と仕事両立
Q:仕事を始めるけどおっぱいは続けられるの?
A:母乳育児はミルクか母乳かというような栄養の話だけではありません。ママが仕事で赤ちゃん
と離れている分、家に帰ってから赤ちゃんとのスキンシップとして母乳育児をおおいに楽しん
で下さい。
周囲からの一言
Q:
『乳が張らんがねぇー』
『乳が出るかねぇー』
、『ミルクやらんと!!』と自分とは違った意見を
言われるのですが・・・
A:母乳育児をしているお母さんは、何気ない一言で傷つきやすいですよね。母乳育児は周囲の
温かい見守りによって、楽しくそして長く続けることが出来ます。ご家族にも、母親教室に一
緒に出席していただいたり、日本母乳の会の本を読んでいただいたりしながら、協力を得まし
ょう。
ミルク会社の戦略
Q:ミルクを無料でもらったのであげてみようかしら?
A:ミルクを足すことで、赤ちゃんは満たされてしまい、今まで飲んでいただけの母乳を飲まなく
なったりします。お乳も、飲んでもらえないことで、パンパンにはったり、それがもとで乳腺
炎を招くこともあります。ミルクをあげてみたくなったら、あげる前に一度お電話下さい。
詳しくは 母乳育児Q&A を参考になさってください
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MEMO
吉野産婦人科医院
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