米国では電子書籍がなぜ人気? - 情報教材販売支援 ウリゾウ

米国では電子書籍がなぜ人気? オールスターで市場争奪戦 インターネット-小池... 1/4 ページ
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更新:2009年9月10日 13:39
小池良次の
小池良次の米国事情
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がなぜ人気? オールスターで
オールスターで市場争
市場争奪戦
米グーグルが進める絶版書などの書籍検索・閲覧サービス「ブックサーチ」を巡る訴訟の和
解案に対し、米ネット通販最大手のアマゾン・ドット・コムは9月初め、ニューヨーク連邦地裁に
異議を申し立てた。米国では「eBook(電子書籍)」の人気上昇を背景に、いよいよアマゾンや
グーグル、ソニーなど大手を巻き込んだ覇権競争が始まった。(在米ITジャーナリスト 小池良
次)
米国のeBook市場は、2006年にソニーが発売した電子書籍端末「PRS-500」あたりを皮切り
に立ち上がり、07年11月のアマゾンの端末「Kindle」登場で本格的に成長し始めた。
市場規模の正確なデータは見あたらないが、出版物の電子版販売、端末、パソコン用アプリ アマゾンの電子書籍端末「Kindle」
ケーション、「iPhone」や「BlackBerry」などの携帯電話用アプリなどを合わせて年間7500万ドル
から1億ドル程度と推計されている。端末の販売台数は、累計でソニーが40万台以上、アマゾンが50万台以上(Citigroup
推計、09年初め)といわれている。
最近ではタイトルも充実してきた。アマゾンのKindleでは、約30万タイトルのeBookをそろえている。そのほか、ウォール
ストリート・ジャーナルなど、新聞や雑誌も購読できる。
■なぜ米
なぜ米国ではeBook
ではeBookが
eBookが人気を集めたのか
では、eBookはどのようにして、米国市民の心を捉えたのだろうか。米国におけるeBookの利用を見ると「ペーパー版の
代用」と単純に考えるだけでは市場の姿が見えてこないかもしれない。
私事で恐縮だが、たとえば我が家ではKindleを発売当初から愛用している。学校で子供が読書感想文の課題をもらって
くると、以前は夜に本屋に駆け込むこともあった。Kindleではそうした手間がなく、自宅にいながら学校の課題リストをもと
に検索をかけ、クリック1つで購入できる。狙った本が図書館や書店になく、困り果てることもなくなった。最近は書店に連
れて行かなくても、子供が自分で好きなときに好きな作品を探して購入している。
また、自動車で移動することが多い米国では「オーディオブック」のファンが多い。朝の通勤時間やジョギングの合間に、
オーディオブックで"本を聴く"という人は多い。こうした習慣も電子書籍端末の普及を促進させた。オーディオブックは多く
のタイトルが出ており、我が家では「読書嫌いの子供に本を読む習慣をつけさせる」ため、Kindleのオーディオブックを活
用した。
eBookのファンには主婦も多い。ちょっとした息抜きにロマンス小説などを読むわけだが、そうしたペーパーバックは一
晩で読み終える。eBookなら書店より安く買えるので、主婦には人気がある。
■印刷物にない
印刷物にないメリット
にないメリットに
メリットに市場性
このように米国ではeBookに多彩な需要がある。そのメリットをまとめると次のようになるだろ
う。
(1)書店に足を運ばなくても、好きなときに書籍を購入できる
http://it.nikkei.co.jp/internet/column/koike.aspx?n=MMITbo000010092009
2009/12/10
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(2)大量の書籍を専用リーダーに収めて持ち運べる
(3)一般的にペーパー版よりも割安に書籍が買える
つまり、eBookはコンテンツ自体はペーパー版と同じだが、印刷物にないメリットを備えるところ
に市場性と成長性があるといえるだろう。
それはアマゾンのビジネスモデルをみてもわかる。同社は印刷物としての書籍販売と並行し
て、パソコンやKindle、iPhoneなどに向けて独自フォーマットのeBookを展開している。電子版を
購入すると、Kindleで読めるだけでなく出先でパソコンを使って同じ書籍を読むこともできる。
ソニーが米国で8月下旬に発売した
小型の電子書籍端末「ソニー・リーダ
ー・ポケット・エディション」
アマゾンがKindleで実現した「パソコン・フリー」の無線通信機能もeBook市場を大きく広げる
カギになった。それまでの電子書籍端末は、eBookをパソコンにダウンロードしてから取り込む
必要があった。これに対しKindleは、携帯のデータ通信網を使う無線モデムが内蔵され、パソ
コンやインターネット契約なしでどこからでも書籍を検索・購入できる。
しかも、通信料金は書籍購入費に含まれているので、ユーザーは携帯通信網を使っていることさえ意識しない。これを
通信業界ではM2M(マシン・ツー・マシン)通信と呼ぶが、これからの電子書籍端末には欠かせない機能となっている。
■大手書店チェーン
大手書店チェーンB&N
チェーンB&Nなど
B&Nなど続
など続々参入へ
米国のeBook市場は現在、ソニーとアマゾンが2分している状況だが、10年には新たなプレーヤーが登場すると予想さ
れている。その筆頭が大手書店チェーンのバーンズ・アンド・ノーブル(B&N)だ。
書籍のオンライン販売でアマゾンと競争を繰り広げてきたB&Nは、09年3月にオンライン書店のFrictionwiseを買収し、電
子書籍端末のPlastic Logicとの提携も進めている。来年には70万タイトル以上をそろえて電子書籍端末の市場に本格参
入する。Plastic Logicの端末には、AT&T対応の携帯データ通信機能を内蔵する予定だ。
ソニーも今年のクリスマス商戦をターゲットに、通信機能を内蔵した最新機種を投入する。また、噂の域を出ないが、ル
パート・マードック会長率いる米メディア大手ニューズ・コーポレーションも、新聞読者向けに独自の端末を開発中といわ
れる。
さらにアップルが開発中の「タブレット」パソコンも電子書籍端末機能を重視していると噂されているほか、携帯電話最大
手のベライゾン・コミュニケーションズも独自参入を検討しているようだ。韓国ではサムスンが電子書籍端末市場への参
入を始めており、米国への進出も時間の問題といわれている。台湾のASUSも「Eee」ブランドの電子書籍端末を開発中
だ。
◇ ◇ ◇
このように米国のeBook市場では本格的な競争が始まっているが、なかでも台風の目となるはグーグルだろう。同社が
進めている書籍の電子アーカイブが実現すれば、近い将来eBook市場に100万タイトル以上の大量のコンテンツが流れ
込むことになる。
グーグルは08年秋に、米国の権利者団体「the Authors Guild」「the Association of American Publishers」と和解し、ブッ
クサーチの実現に向かって大きく前進した。また、ソニーと提携し部分的にタイトルの提供も始めている。この動きが本格
化すれば、アマゾンやB&Nは戦略修正を余儀なくされるだろう。
アマゾンが「同和解は独占禁止法に抵触する」と異議を申し立てたのは、こうした懸念があるためだ。グーグルが端末
市場に乗り出す気配は今のところないが、コンテンツ面から将来のeBook市場を押さえようとしていることは間違いない。
マイクロソフト、ヤフーもアマゾンと歩調をそろえて和解反対の活動に加わっており、グーグルのブックサーチは著作権紛
争から市場争奪を巡る覇権争いへと舞台を広げ始めた。
[2009年9月10日]
-筆者紹介筆者紹介-
小池 良次(
良次(こいけ りょうじ)
りょうじ)
http://it.nikkei.co.jp/internet/column/koike.aspx?n=MMITbo000010092009
2009/12/10
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ITジャーナリスト
略歴
米国のインターネット、通信業界を専門とするジャ
ーナリスト。京都外国語大学卒業後、ブラジルのサン
パウロ新聞社に入社、社会面・経済面を担当する。
その後、帰国し民間調査会社で技術動向調査、技術
出版、科学技術セミナーなどを企画運営する。88年、
同社事務所代表として渡米。1993年末情報通信分野
を専門とするフリーランス・ジャーナリストとして活動を開始、現在に至る。
日経ネット(日本経済新聞社)、インターネット・マガジン(インプレス社)に
連載を持つほか、インターネット・アスキー、月刊イントラネット、週刊ダイ
ヤモンド、中央公論、トリガー、ビジネスコミュニケーションなどに特別レポ
ート多数。
著書:電子小売店経営戦略(インプレス刊)、国際大学フェロー。
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2009/12/10