同じ商品の価格を、引き上げる方法

トップ1%のための実践ファックスレター
同じ商品の価格を、引き上げる方法
おもしろい、メガネ店がある。
ならない。だが、自動車業界は、年間300
なんとお客様に応じて、運転免許合格メガネ、
億円もかけて、新しい流行色の開発を行って
ゴルフに勝つメガネ、パソコン楽々メガネ、
いる。だから自動車でヒットしている色を、
と3種類ものメガネが販売されている。価格
そのまま家電に塗ることを検討すればいい。
帯から分かるように、運転免許合格メガネと
」それを聞いて、私は、目からウロコが落ち
パソコン楽々メガネは、ほぼ同じ商品である
た。
可能性が高い。
このように、お客に合わせて、ほんのちょ
このように、ほんのちょっとの工夫をすれ
ば、新しい商品ができる。お客にフォーカス
っとの仕様変更するだけで、一般向けの商品
すれば、ほんのちょっとの変更はカンタンだ。
に比べて、利益が取れる。極端に言えば、違
ある屋台ラーメン店さんは、おにぎりも販
うのは商品名だけで、中身は全く一緒。しか
売している。毎日100個でることもあり、
し値段は、専門化したために高くできるので
一人分の人件費がまかなえてしまう。
さらに、売るにはどうすればいいか?
ある。
以前、私が、家電を販売していただき、商
いったい、そのおにぎりは誰が買っている
品開発を、量販店のバイヤーと行った。その
のか、と聞いたら、夜の繁華街なので、「ホ
際、内容は全く同じエアコンでも、顔(吹き
ステスのお姉ちゃんと、呼び込みのお兄ちゃ
出し口の上)のデザインをちょっと変えるだ
ん」ということだった。この2つの人種で、
けで、簡単に価格がワンランクアップできた。
売上の半分を超える。すると、メガネ店の商
成型加工が必要になると、金型を起こさ
品開発例を参考にすれば、「ホステスさんの
なくてはいけないので、数千万円も予算が必
おにぎり」「呼び込みさんのためのおにぎ
要になる。しかし、それはリスクが高すぎる。
り」と名前をつける。「ホステスさんの・・・」
そこで、流行色のシールをはったり、かっこ
は、買う人が「私、ホステスなんです」とい
いいバッチをつけるだけの変更にする。しか
っているようなものだから、限界があるだろ
し、価格はワンランク上を狙える。
う。しかし、呼び込みさんだったら、次の切
このようなことは、日常茶飯事である。
り口が考えられよう。
非常に優秀な商品開発担当者で、私は、大
「呼び込みのお兄さん、毎日、立ち仕事で
変、勉強させられた。彼は、色を変えるだけ
大変でしょう。あなたに頑張ってもらいたく
で、安売品を、一番の人気商品に変えた。
て、ボリューム満点のおにぎりを作りまし
あるとき、電子レンジを、自動車の塗装
に使われている、へザーメタリックグレイと
た。」
価格はアップできないかもしれないが、同
いう色に塗り替えて、ヒットさせた。彼曰く、
じ価格ならば、こちらを買いにくるようにな
「家電業界の同業者からは、まったく勉強に
る。
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ちょっとの切り口の変更で、同じ商品が門
化できることは、食品業界に限られない。
売上を作っているかを考えると、売上貢献効
果が高い顧客グループが分かってくる。この
先日のセミナーで、工務店の方がいらっし
メガネ店の場合は、40歳以上、運転免許が
ゃっていたが、商品の強みを聞くと、高気
不安、ゴルファー、パソコン・ワーカーだっ
密・高断熱とのことである。このように多く
たのであろう。
の会社は、商品を仕様で表現してしまう。
先日、ネットで○○を売るNo.1の会社
しかし、「高気密・高断熱住宅を売る工務
の社長と面談した。びっくりすることに、彼
店がいろいろあるなかで、なぜ、お客さんは
はデータベースを眺めているうちに、自社の
御社を選んだんですか?」と聞くと、全く違
Tシャツがどのように売れていくのかを詳
う答えが出てくる。この工務店の場合も、実
細に把握している。例えば「家族の中でどの
際には、お客さんの半数が、2世帯住宅とい
順番に買われていくか?」「オフィスのなか
うことがわかった。つまり、お客は、高気密・
で、どのように売れていくか?」さらには、
高断熱だから、この工務店をえらんでいたわ
「創業時には、そのような人が買っていて、
けではなく、二世帯住宅なら地元のナンバー
それがどのように口コミとして伝染してい
ワンだから選んでいたのである。
ったのか?」。このような商品流通の流れま
この考え方で、お客に応じて、提案する商
品ラインを変更できるのであれば、二世帯ニ
コニコ住宅、社長の商売繁盛・住宅、名医の
で、データベースを眺めながら予想している
のだ。
このように顧客リストは、眺めるだけで、
ための、ピカイチ住宅等のラインアップがで
多大なヒントがある。すると、今ある商品の
きることになる。このラインアップをつくる
切り口を、どのように変更すれば、価格がア
ために、どれだけの商品変更を行わなければ
ップできるのか、そしてお客が流出しにくく
ならないか?極端な話、ネーミングだけ変え
なるのか、びっくりするほどのヒントが得ら
て、仕様は90%同じでも、通用してしまう。
れる。
このような商品の専門化は、コンサルティ
ング業界では、よくある話。同じ内容でも、
今一度、顧客リストをプリントアウトして、
眺めてみよう。
住宅業界向けセミナー、寝具業界セミナー、
メガネ業界セミナーというように、名称を変
えるだけで、内容はほぼ同じ。事例を差し替
えて、そして、その業界トップをゲスト講師
として呼べば、それで OK。
さて、今回の事例を、あなたの会社で応用
するために、一番重要なことは、次の質問を
してみることである。
「8割の収益に貢献している、2割のお客
に共通する特長は、一体何か?」
このように、どの少数グループが、大きな
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