~アロマテラピー について~ ・アロマテラピー(芳香療法)ってなに

~アロマテラピー について~
都立広尾病院
レディスケアセンター
・アロマテラピー(芳香療法)ってなに?
植物の花、葉、果皮、樹皮、種子、根、樹脂等から抽出された精油(エッセンシャルオイル)の芳
香成分がもつ薬理作用(抗菌・鎮静・免疫賦活等)を利用し、人間が本来持っている自然治癒力
を高め、心身の疾病予防や症状の緩和を行う自然療法の1つです。現代人は、様々なストレスに
囲まれて日々生活しています。こうしたストレスを和らげる手段として注目されているのが、アロマテ
ラピーです。ストレスケアやリラクゼーションの他、健康維持・美容・疲労回復にも役立てられていま
す。フランスでは医療行為の一部として認められています。
・アロマテラピーの3つの作用
①心に対する働き
鼻から入った香り成分は、鼻腔上部の嗅上皮(粘膜)にある嗅覚細胞で感知され、電気信号に変
換され、脳の一部の嗅球から大脳辺縁系に伝えられます。大脳辺縁系は、自律神経系や内分泌系
の働き、本能行動や記憶、喜怒哀楽といった情動をつかさどる部分です。これらの働きは香りによっ
て影響を受けやすく、ふと漂ってきた香りに、一瞬で昔の記憶からその時の感情までが蘇ったり、良い
気分になったり、不快になったりするのもそのためです。自分にとってここち良いと感じる香りを選び、
気持ちが穏やかに休まるよう活用してみてください。
②身体に対する働き
精油成分には、免疫系を強化し、ウイルスや細菌と戦う力を高めたり、血液やリンパ液の流れを促
す作用や、内臓器官の働きを向上させる作用があると言われています。 心地よい香りは、ストレスに
よって乱れていた自律神経のバランスを整え、リラクゼーション効果が得られる事で、身体機能が正
常に働くように助けてくれます。
③皮膚に対する働き
精油成分には、肌の調子を整えたり抗菌作用等により、スキンケアに役立つものもあります。好き
な香りで心地よさを感じリラックスすると、血管が広がり血流が促進されます。その結果、皮膚の新
陳代謝が活性化し、肌の調子が整ってくるというわけです。
簡単、おすすめ!アロマテラピー活用法
①芳香浴
熱や風の力を使い精油の芳香成分を空気中に拡散させ、香りを楽しむ方法
最も手軽にできるアロマテラピー。 香りをかぐことでリラックスしたり、リフレッシュできる
3 歳未満の乳幼児が行ってもよいとされる唯一の方法(濃度に注意)
方法1) ティッシュペーパーやハンカチに精油を 1~2 滴たらして傍に置いておく
方法2) 小瓶にコットンを入れ精油を 1~2 滴たらして持ち歩く
方法4) 電気式(アロマランプ、アロマライト、ディフューザー、アロマミスト)
水をはった上皿に精油を 1~5 滴落とし、電球の熱で温める
②沐浴法
精油を落としたお湯につかり、香りを楽しみつつ皮膚から精油成分を浸透させる
アロマテラピー効果(心理&薬理作用)+温浴効果 の相乗効果
使用する精油によって様々な効果を期待できる
精油は水に溶けにくいので、基材(塩、植物油)に混ぜて浴槽に入れる
方法1) 全身浴法
38℃くらいのぬるめのお湯に対し、精油は5滴以下
汗が出るまでゆっくり入る
方法2) 半身浴法
みぞおちまでつかる量のぬるめのお湯に対し、精油は3滴以下
心臓への負担が少ない。上半身はタオルをかけておくとよい。
汗が出るまでゆっくり入る
方法3) 部分浴法
洗面器等に手、足などの身体の一部分だけを湯につける
42~43℃くらいの熱めの湯に対し、精油は3滴以下
体力がない病気中や高齢者の方。生理中、風邪など入浴できない時
部分を温める方法だが、精油成分により全身を徐々に温められる
手浴・・・手首までつかる 上半身の疲れ 目の疲れ 頭痛 生理前中 などに
足浴・・・くるぶしまでつかる 風の引き始めなど
*皮膚に刺激のある精油もあります。異常を感じたらすぐに洗い流しましょう。
③吸入法
精油成分を鼻や口から吸い込む方法。 鼻づまりやのどが痛い時など呼吸器系の不調を緩和する
方法1) ハンカチやガーゼ、マスクに1~2滴落として精油成分を吸入する
方法2) マグカップや洗面器などにはった熱めのお湯に対し、精油は3滴以下
蒸気と共に精油成分を吸入する。呼吸器系以外にスキンケアやリラックス効果も
注意!! 目を閉じる事 刺激がある為、喘息や咳がある時は行わない
おすすめの精油
ラベンダー~香りの特徴:甘くやさしく爽やかな香り
主な成分:酢酸リナリル、 リナロール
主な薬理作用:抗うつ 抗炎症 殺菌 鎮静 鎮痛
おすすめの使い方:眠れないときにティッシュやハンカチに 1~2 滴たらして枕元へ
いつのまにか夢の中へ~
ティトリー~ 香りの特徴:ツーンとすっきりした清潔な香り
主な成分:テルピネン4オール、 γテルピネン
主な薬理作用:抗ウイルス 抗炎症 抗真菌 鎮静 免疫力アップ
おすすめの使い方:風邪の流行る時期に、マスクの外側に 1 滴たらして着用
風邪からあなたを守ってくれる~
オレンジスイート~香りの特徴:フルーティで甘くライトな香り
主な成分:リモネン
主な薬理作用:消化促進 血行促進 抗菌 鎮静 抗うつ
おすすめの使い方:みんなが集まる居間でアロマランプに 3 滴たらして
みんなが笑顔になれる香り~
精油についての注意事項
*アロマテラピーを安全に楽しく行って頂く上で、
以下の事に注意が必要です。
精油は有効成分を高濃度に含有した液体です。原液を直接肌に塗ったり、飲んだり、 目
に入れたりしないように注意しましょう。(肌に使用する時は1%以下にオイルで希釈する事)
2.
敏感肌やアレルギーのある方は、使用前にパッチテストを行ないましょう。誤って
皮膚についた時は大量の流水で洗い流しましょう。
3.
乳幼児、ペット、妊婦、てんかんの方に使えない精油があるので、確認が必要です。
4.
慢性疾患のある方は事前に医師と相談し、治療に用いている薬剤と精油の成分につ
いて、関連性などないか確認してから使用しましょう。
5.
光毒性のある精油(かんきつ系)は日光に当たるとシミになる事があるので、マッ
サージや入浴等で使用した場合、4~5 時間は直射日光に当たらないにしましょう。
6.
精油は引火する恐れがあります。火気周りでの使用は十分注意しましょう。
7.
精油は高温多湿、直射日光を避け、キャップをしっかり締め冷暗所で保管し、また、
子供やペットの手の届かない場所に保管しましょう。開封後は半年から 1 年以内に使い
切りましょう。
8.
精油に似た外見の合成オイルに注意しましょう。
9.
精油瓶は垂直に持ち、振らずに 1 滴落ちてくるまで待ちましょう。
10. アロマポット、キャンドルを使用時はその場を離れず、空炊きに注意しましょう。
電気式が安全です。
1.
*本物を見分けるために
精油は日本では雑貨扱いです。本物の精油には品名・学名・抽出部位・抽出方法・生産
地・内容量・発売元が記入されており、ドロッパー付き遮光瓶に入っています。購入時に
は注意しましょう。
*妊娠を望まれる方や妊娠中の方へ
精油には通経作用(生理を起こさせる作用)やホルモン調整作用があります。そのため
妊娠を望まれる方や特に妊娠初期の不安定な時期の芳香浴以外のアロマテラピー利用(ア
ロマバスやマッサージ)には注意が必要です。
【引用・参考文献】
「アロマテラピーの教科書―いちばん詳しくてわかりやすい!」和田文緒著 (新星出版社)