顧客経験価値の強化に欠かせない 6つの必須要素

Research REPORT カスタマーエクスペリエンス
顧客経験価値の強化に欠かせない
6つの必須要素
この調査では、業界を代表する専門家や実務担当者の皆様から、顧客経験価値
(カスタマー
エクスペリエンス)
の向上に取り組もうとする企業の参考となる貴重なアドバイスを伺いました。
以下の洞察を貴社でもC レベルの経営幹部と共有していただければ幸いです。
ローレン・ギボンズ・ポール
(Lauren Gibbons Paul)
著
顧
客経験価値を重視する姿勢があらゆる業種の企業に浸透してから、すでに何年も経過しています。
何が良好に機能し、何が機能しないかを学ぶには、十分な時間が過ぎたといえるでしょう。この調査
では、業界を代表する専門家や実務担当者の皆様に、強力な顧客経験価値の創出および維持に欠かせな
経営幹部を対象とした
い基本的な考え方を伺いました。顧客経験価値への取り組みを始めたばかりの企業、既存の取り組みを一新
Bloomberg
する必要がある企業、どちらにとっても参考になる調査結果となっています。
Businessweek
Research Servicesの
調査研究レポート
1
「オムニチャネル」
で考える。かつて人々は、チャネル
(Web、モバイル、ソーシャルメディア、店舗、電話)
が
図1
異なれば、販売方針が異なり、提供される情報も異なると
複数のチャネルを自在に組み合わせる消費者
いう状況を当然のように受け入れていました(「オンライン
商品をオンラインで検索してから店舗で購入する
61%
で購入した商品を店舗に返品できない」ことは誰も疑わな
い常識でした)
。しかし現在では、顧客は必ずしも1つのチャ
ネルだけで企業と交流する必要はなく、あるチャネルで取
オンラインで商品を検索および購入し、店舗で受け取る
50%
引を開始して(例:オンラインで注文して)
、別のチャネルで
完了するのは(例:店舗で商品を受領するのは)
当たり前
のことになっています。
Accenture 社の最近の調査によると、ショッピング体験を
改善するために小売業者に求める最善策は、実店舗、オン
ライン、モバイルといった販売チャネルの統合をさらに
1
高めることだと、消費者の 49 パーセントが回答しました。
一方、Vantiv 社の調査では、オムニチャネル
(すべてのチャ
ネル)
における購買行動は無限に多様性があり、そのすべ
商品の実物を店舗で確認してからスマートフォンで
検索と価格をチェックして、オンラインで購入する
35%
商品の実物を店舗で確認してからスマートフォンで
クーポンを受け取り、店舗で購入する
29%
回答総数:米国のオンライン消費者 1,200 名
出典:Vantiv/Mercator Insight Series,
“Omnicommerce: Taking payments to the next level”、2013 年
てのチャネルで蓄積されたデータを踏襲した顧客価値体
報道でも徹底的に批判されたことを受け、当時 CEO に就
験の一貫性を求められていることを示しています(図 1「複
任したダン・ヘッセ(Dan Hesse)氏は、経営再建の中心課
数のチャネルを自在に組み合わせる消費者」を参照)
。
題として「簡素化」を掲げました。この取り組みで重視され
たのは、顧客対応のプロセスとデータをチャネル横断で再
企業との取引や関わり合いにどの方法(チャネル)
を選ぶ
構築することでした。
「お客様が最もお怒りになるのは、チャ
かによらず、現在の消費者は、どこを利用した場合でも同
ネルによって回答が違う場合と、企業側が過去のやり取り
じ回答、情報、待遇を期待し、それを当然の権利と考えるよ
を理解していない場合です」
。こう話すのは、Sprint 社の顧
うになっているのです。しかも、やり取りや対話をあるチャネ
客経験担当バイスプレジデントであるジェリー・アドリアーノ
ルで始め、途中で別のチャネルに移った場合でも、元のチャ
(Jerry Adriano)
氏です。
ネルで中断した状態が次のチャネルに引き継がれること
を期待します。これは B2B 取引の場合にも当てはまります。
Sprint 社では顧客対応の変革という目標に向け、顧客を
本当の意味であらゆる角度から総合的に把握する取り組
1. Accenture
“Accenture Seamless Retail Study.”
April 2013
2013 年 7月
1 つの例は、米国の携帯電話事業者 Sprint Nextel 社です。
みを進めています。店舗かコンタクトセンターかを問わず、
2005 年の大規模な合併後、同社の顧客経験価値は悪化
顧客対応の従業員は、共通のナレッジマネジメントや
しました。2 年後には大量の顧客離れが発生し、マスコミ
CRMツールを活用するようになっており、同じサポートデー
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図2 ビッグデータによる意思決定の強化
世界のあらゆる地域の調査対象者が、
ビッグデータ活用に取り組んだ結果、意思決定が改善されたと回答しています。
ビッグデータ活用に取り組んでおり、
ビジネスにおける意思決定が改善された企業
ビッグデータ活用に取り組んでいるが、
ビジネスにおける意思決定がまだ改善されていない企業
北米
77%
23%
欧州
80%
20%
アジア太平洋
83%
17%
中南米
86%
14%
回答総数:1,217 名
出典:Tata Consultancy Services、2013 年
タにアクセスし、顧客からのよくあるお問い合わせには共
氏)
。Karmaloop 社は、優良顧客のグループが同社製品の
通の想定問答集で対応しています。そのため、顧客が画
プロモーションと販売を行う
「コミュニティ」
リテーリングを
面の割れたスマートフォンを店舗に持ち込んだときに得ら
考案しました
(正確には初めて大々的に活用しました)
。顧
れるサービス体験は、コールセンターに電話した場合や担
客は、自分自身の注文に加え、自分が紹介して注文された
当者とオンラインでチャットした場合と同じです。その結果、
場合についても、実績が集計されます。また、ソーシャルメ
より統一感のある、満足度の高い顧客経験価値を提供で
ディアでビデオを投稿したり、同社のブランドについて肯
きるようになります。
「今では、これまで以上に十分な情報
定的な発言をしたりすると、報酬が与えられます。価値の
に基づいてお客様と対話ができるようになっています」
(ア
高い顧客に報酬を支払う同社の手法を、グリーンバーグ氏
ドリアーノ氏)
。別の例を挙げると、あるチャネル(例:電子
は高く評価しています。
メール)で提示されたプロモーションを不要と判断した顧
客に対しては、重複するオファーを別のチャネル(例:店舗)
では行わないことを徹底する企業が増えています。
2
「支持者を獲得するのは会社の規模を拡張するのと同じこ
とです。従って報酬を支払うのは当然です。ある意味、こう
した支持者もブランドオーナーなのですから」
。ここで鍵と
顧客を支持者に育てる。多くの企業は、従来型のロ
なるのは、会社が支持者のことを理解しており、高い価値
イヤルティプログラム
(特典 / 優待制度)
への投資を
を置いていることが伝わる方法で報いることです。
続けています。しかし、それでは不十分だと話すのは、
『CRM at the Speed of Light』の著者で顧客経験価値に
関する専門家のポール・グリーンバーグ
(Paul Greenberg)
氏です。多くのロイヤルティプログラムでは会員が受け取
3
データを活用して実用的な洞察を得る。Cisco Visual
Networking Index によると、世界の IPトラフィックは
2015 年に年間 1 ゼッタバイトに達します。2 さらに社内の業
れる割引や特典にばかり気を取られている、と同氏は指摘
務システムの構造化データも加わり、これほどのデータ量
します。そうではなく、企業は顧客に自社の支持者
(ファン)
を前にしてそこから貴重な洞察を導き出すためには、アナ
になってもらうことにこそ注力すべきであり、その方がはる
リティクス導入計画を実行に移す企業が増え続けています。
かに長期的で持続可能な価値の源泉になる、と同氏はア
Tata Consultancy Services 社のレポートでは、回答企業
ドバイスしています。自社のブランド、製品、サービスに特
の 53 パーセントがビッグデータを活用しており、そうした
別な関心を寄せてくれる人々を育て、その功績に報いる対
企業の 43 パーセントが、25 パーセントを超える投資回収率
価の支払いを惜しまないことが大切だというのです。
(ROI)
を予測しています。80 パーセントという大多数が、
ビッグデータ活用に取り組んだ結果、意思決定が改善され
同氏が優れた事例として挙げるのは、年商 1 億 3,000 万ド
たと回答しています
(図 2
「ビッグデータによる意思決定の
ルを誇るアーバンファッションのオンライン小売企業、
強化」
を参照)
。
(米国ボストン)
です。
「この会社では ROI を
Karmaloop 社
2. Cisco Systems
“Cisco Visual Networking Index:
Forecast and Methodology,
2012-2017.”
2
売上実績ではなく顧客コミュニティの規模で考えており、
Sprint Nextel 社は数年前、アナリティクスを活用して経営
それが事業戦略の根幹となっています」
(グリーンバーグ
再建を果たしました。競合他社に乗り換える顧客が増えて
Bloomberg Businessweek Research Services
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きたことを受け、幅広い構造化 / 非構造化データソースを
図3
活用して、顧客の心理と市場動向の両方で何が起こってい
るのかを理解することに努めました。前出のアドリアーノ氏
パーソナライズに関する希望
によると、同社はまず、モバイル / ワイヤレス業界について
特定のパーソナライズ機能を小売業者に望む回答者の割合
定期的に調査していた J. D. Powers や他のサードパー
ロイヤルティや購入履歴に基づいた特別な価格設定、
自動割引、無料返品、プリセールス
ティーからデータを取り寄せて検討しました。次に社内では、
55%
トランザクションデータから導き出された「顧客の声」がも
たらす洞察に注目しました。さらに、顧客から直接寄せら
「私たちは、お客様の
れたフィードバックのうち、経営幹部やサードパーティー
(州
あらゆるご期待を
店舗、オンライン、またはモバイルデバイスでの
ロイヤルティ特典
(ポイントなど)
の獲得と利用
53%
検事総長や商事改善協会など)
に報告されたものを第三
顧客ライフサイクルの
のデータソースとしました。
全体にマッピングし、
必要なデータを
購入とロイヤルティポイントがオンラインでも店舗でも
完全に連動するアカウント
「私たちは、お客様のあらゆるご期待を顧客ライフサイクル
の全体にマッピングし、必要なデータを引き出して、そうし
引き出して、そうした
た期待に当社がどれだけ的確に応えているかを検証しまし
期待に当社が
た。最初の 2 つのデータソースと、お客様や業務に関する
どれだけ的確に
45%
店舗、オンライン、モバイルデバイスに共通で、
簡単・迅速に精算できる1 つのアカウント
43%
指標を組み合わせたことで、
[お客様の期待と当社の対応
応えているかを
に]
非常に大きなギャップがあることに気づいたのです」
(ア
検証しました」
ドリアーノ氏)
。この分析の結果、顧客が不満に感じる最大
ジェリー・アドリアーノ氏
Sprint Nextel 社
回答総数:8カ国の 6,000 名
出典:Accenture Seamless Retail Survey、2013 年
の領域は、ネットワークと料金設定の問題であることが判明
ため、同社としても業務の在り方を全面的に見直す必要に
し、同社はその後、この 2 つに最優先で取り組みました。
迫られました。
(
」グリーンバーグ氏)
世界の別の地域でも、洞察を導き出すためにアナリティク
現在、Disney Destinations 社に旅行を申し込む際は、利
スを活用する企業が増えています。PC メーカー Lenovo
用者自身がオンラインで予約を行えるようになっています。
カスタマーエクスペリエンス担当
バイスプレジデント
社のシンガポール拠点では、デジタルおよびソーシャル
オンライン旅行会社として著名な Expedia 社と同等のサー
(センター・オブ・エクセレンス)
[データ活用を推進す
COE
ビスです。
「自分が変更した内容はすぐに確認できるため、
る専門部署]
を通じてソーシャルメディアをモニタリングし
休暇の計画に費やす時間と手間を自分でコントロールで
ており、ソーシャルデータと社内 CRM システムの統合も計
きます」
と、グリーンバーグ氏は説明します。もちろん、予約
画中です。このデジタルおよびソーシャル COE でディレク
は常に、その時点で利用できる最新情報に基づいて行わ
ターを務めるロッド・ストローザー
(Rod Strother)
氏による
れます。同氏の言い方を借りると、Disney Destinations 社
と、これによって Lenovo 社は、たとえばタブレットの画面
サイズに関する消費者の好みなど、製品開発に関する洞
察が得られるようになるといいます。
4
は顧客経験のコントロールを顧客自身に委ねたのです。
「自分でコントロールできる」
という感覚は、顧客が企業と
やり取りする際の印象にも影響する、と同氏は付け加えます。
「6カ月後、顧客は取引の詳細までは思い出せないかもし
消費者に経験のコントロールを委ねる。ソーシャルと
れませんが、良い経験をしたという感覚はしっかり記憶に
モバイルが当たり前になった現在の世界では、製品
残っているものです。それこそがコントロールであり、自分
レビューを探し出すにせよ、オンラインで眼鏡を実際に
「試
で自分の経験を形づくることができるということなのです」
着」
してみるにせよ、誰もが自分自身の経験は自分で管理
するというスタイルに慣れています。前出のポール・グ
3
コンサルティング会社 Storyminers(米国ジョージア州マリ
リーンバーグ氏によれば、人はこうした高度なコントロー
エッタ)
の代表取締役兼シニアエクスペリエンスデザイナー
ルの感覚が大好きなのです。これに関して同氏が例に挙
であるマイク・ウィッテンシュタイン
(Mike Wittenstein)
氏は、
げるのは Disney Destinations 社です。この会社は長年に
顧客をしっかり観察して顧客の声に耳を傾けること、実際
わたり、従来型の旅行代理店として顧客に電話で対応して
に接して対応する中で顧客が何を必要としているかを理
きましたが、ある時点で、顧客の不満が高まってきたことに
解することが大切だとアドバイスします。そうすることで、
気づきました。
「いわゆるディズニー旅行はとても複雑で、
何を変えればよいかも把握しやすくなるといいます。
「注意
実に多くの異なる変動要素があり、しかもそれらが常に変
深く耳を傾ければ、お客様は何をお望みか、早い段階で
化しています。そのため、顧客は担当者と電話で何時間も
話してくれます。その結果、お客様が求めるものを、より簡
話すことが多かったのです。やがて状況が変わり始めた
単、迅速、低コストに提供できるようになるのです」
Bloomberg Businessweek Research Services
Research REPORT カスタマーエクスペリエンス
5
パーソナライズの強化。大規模なグローバル企業の
図4
多くは、さまざまな地域で顧客が経験の価値をどのよ
うに感じ取るかについては、現地の文化が影響することを
顧客経験価値に対する世界の関心
理解しています。しかし、顧客を地域でセグメント化するだけ
調査対象者の顧客サービス業務において、
「お客様を満足させ
では不十分である、とウィッテンシュタイン氏は警告します。
顧客の要望に本当の意味で応えるためには、顧客のタイプ
ること」が 2014年にどれほど重要になるかを回答していただきま
した
(数字は回答者に占める割合で、大きいほど優先度が高い)
北米
65%
をもっと意味のある基準で区分する必要があります。
「これ
「これを成し遂げる
を成し遂げる方法や顧客を知る方法に近道はありません。
方法や顧客を知る
方法に近道はありません。
地域別の分類だけではダメで、人々が自分自身をどう見て
世代、または手の関節に痛みを抱える人といった基準で分
ダメで、たとえば
類する必要があるのです」
(ウィッテンシュタイン氏)
。その目
標は、顧客を十分に知り、顧客にとって最も意味がある製品
やサービスの組み合わせを提供できるようになることです。
ベビーブーム世代、
または手の関節に
62%
いるかに合わせて、たとえばミレニアム世代、ベビーブーム
地域別の分類だけでは
ミレニアム世代、
欧州、中東、アフリカ
幸い、顧客も最近では進んで協力してくれるようになって
アジア
49%
回答総数:318 名
出典:Bloomberg Businessweek Research Services、2012 年
メントをスケジュールする Apple 社の手法です。Apple 社
痛みを抱える人といった
きていると思われます。Accenture 社によると、オンライン
の従業員は、その場で顧客のニーズを判断し、最もふさわ
基準で分類する必要が
でショッピングする消費者の 3 分の 2 弱は、個人情報の利
しいセールスエンジニアや販売担当者に引き合わせる訓
あるのです」
マイク・ウィッテンシュタイン氏
Storyminers 社、代表取締役兼
シニアエクスペリエンスデザイナー
用に関して適切な選択肢が与えられるのなら、よりパーソナ
練を受けています。
「彼らは細心の注意を払って顧客の意
ライズされたオファーを受け取るために自分の個人情報を
図を汲み取り、必要なお膳立てをしてくれます」
(ウィッテン
3 また
小売業者にもっと提供してもよいと考えています。
シュタイン氏)
。また、最新型のコンピューターを購入した
Accenture 社の最近の調査では、消費者はパーソナライズ
顧客がよくする質問もスタッフは心得ています。
「つまり、店
された経験をあらゆるチャネルで望んでいることが明らか
舗のリソースを総動員して、おもてなしを提供しているの
になっています(図3「パーソナライズに関する希望」
を参照)
。
です」
(同氏)
。そして顧客は、Apple 社が自分のニーズを
6
すべて理解してくれているという満足感に包まれることに
顧客のニーズに応えるだけでなく、ニーズを予測する。
なります。
消費者を相手にするか、法人を相手にするかによら
ず、どちらのタイプの企業も顧客を十二分に理解し、顧客
まとめ
自身が気づくよりも前に顧客のニーズを察知する必要があ
世界中の企業が、強力な顧客経験価値を生み出したいと
ります。
「顧客のニーズに後追いで対応するのではなく、顧
考えています
(図 4
「顧客経験価値に対する世界の関心」
を
客の立場でこれから何が必要になるかを理解することにこ
参照)
。顧客を魅了し企業に利益をもたらす顧客経験価値
そ、このテクノロジーを活用しなければなりません」
(ウィッ
を創出するためには、特にモバイル、ソーシャル、オムニ
テンシュタイン氏)
。そのためには、顧客が自社の製品や
チャネルの利用をめぐる顧客行動の変化に合わせて、考
サービスをどのように利用しており、自社のプロセスとど
え方を刷新することが必要です。多くの場合は、これまで
のように関わっているかを理解する必要があります。重要
とは違う業務プロセスと、それを可能にするテクノロジー
なのは、
「お客様は何をしようとしているのか ?」
、あるいは
を導入することになります。専門家や実務担当者の知見を
「お客様の生活をより良くするものは何か ?」
といった疑問
に答えを出しながら、顧客の意図を理解することです。
学ぶことで、企業は顧客経験価値のトレンドに乗り遅れる
ことなく、顧客中心主義をより徹底することができます。•
ウィッテンシュタイン氏は次のようにいいます。
「単に売るの
ではなく、ご奉仕するということです。クライアントの意図
を理解し、その実現を支援することが求められるのです」
。
ローレン・ギボンズ・ポール( Lauren Gibbons Paul )は
15 年以上にわたり、顧客関係管理と顧客経験管理をテー
マとして積極的に執筆活動を展開。Peppers & Rogers
3. Accenture
“Today’s Shopper Preferences:
Channels, Social Media, Privacy,
and the Personalized Experience.”
November 2012.
4
顧客のニーズを予測することは、企業と顧客の双方にメリッ
Group や Forrester Research などビジネステクノロジー分
トがあります。企業はより低コストで、より的確な顧客対応
野の代表的な刊行物への寄稿多数。
を実現でき、顧客は十分な対応を受けていると感じること
ができます。ここでウィッテンシュタイン氏が例に挙げるの
は、直営店にやってくる顧客のために、各種のアポイント
Bloomberg Businessweek Research Services
この調査プロジェクトはSAPからの助成金によって実施されました。
スポンサーの見解
カスタマーエクスペリエンスの
強化と維持に欠かせない
必須要素をご提供するSAP
顧
客経験価値(カスタマーエクスペリエンス)に関する取り組みを開始および持続する方法について理解
を深めるため、Bloomberg Businessweek Research Servicesでは、SAPのシニアディレクターで
あるバーナード・チュン(Bernard Chung)氏にお話を伺いました。ブロガーや講演者としても活躍す
る同氏は、変動が激しく課題が山積のビジネス環境において、マーケティング担当者による組織変革を支援すること
に情熱を注いでいます。
Q:企業が顧客に対する洞察を深めるには、どうすればよいのでしょうか?
今日のビジネスマネージャーは、競合優位性を維持するためには顧客と市場についてかつてないレベルの洞察を得
ることによって、知識を身に付ける必要があります。インメモリー方式のSAP HANAプラットフォーム上で実行される
バーナード・チュン
( Bernard Chung )氏
SAP 、シニアディレクター
SAP Audience Discovery and Targetingのようなソリューションを活用することで、マーケティング担当者は大
量の顧客データから重要な洞察をすばやく導き出せるようになります。そしてこの環境によって、発見と洞察の反復プ
ロセスを実行することが可能になります。これは複雑で変化の激しいテーマについて深く学ぼうとするときに、人間が
SAPが提供する
自然に行うプロセスです。また、SAPが提供するセンチメント(感情・感想)分析ソリューションを活用すると、企業の
顧客経験価値
SAP がマーケティング担当
者向けにご提供するソリュー
ションは、
ビッグデータがもた
らす洞察の活用、卓越した顧
製品、ブランド、キャンペーンに対する市場の反応について洞察を深めることができます。また、市場トレンドを把握し、
広報活動に伴う問題点とチャンスを洗い出すこともできるため、手遅れになる前に手を打つことが可能になります。
Q:
「顧客経験価値」に関する最新の考え方とは、どのようなものでしょうか?
客経験価値の創出、マーケ
顧客の総合的な経験価値は、現時点での購入総額をはるかに超えるものです。そこには、過去の購入履歴から予測さ
ティング業務の合理化を支
れる将来の購入見込みや、その顧客から紹介された客に及ぼす影響(によって生まれる購入見込み)も含まれます。
援します。
クラウド、
ホスティン
グ、オンプレミス(自社運用)
のソリューションを自在に選
択し、現在および将来のビジ
ネスニーズに対応することが
顧客経験価値に関する戦略を策定するにあたり、多くの企業がこの関連性をうまく活用できておらず、短期的な利益
のみを追求する段階にとどまっています。SAP Customer Value Intelligenceのようなソリューションなら、あらゆ
る顧客情報を取りまとめて分析し、顧客の完全な生涯価値と顧客セグメントを明らかにした上で、顧客価値を最大限
に高める有意義な戦略を策定することができます。
できます。
Q:購入に至るまでの一連の顧客体験(カスタマー・ジャーニー)を通じて、企業が的確に対応していくためには、
どうすればよいのでしょうか?
今日の顧客が、カスタマー・ジャーニーのどのステップでも複数のチャネルを用いて企業と交流することは言うまでも
ありません。それに対応するためには、カスタマー・ジャーニーを構成する各ステップを明確に定義することと、すべて
の対応チャネルの特長や現状を理解することが必要になります。また、過去の対応履歴から顧客の好みや購入状況に
関する情報を引き継ぎ、将来のあらゆる顧客対応に活かすことのできる業務環境を確保することも重要です。SAP
360 Customerのような統合ソリューションを活用すると、ソーシャルやモバイルのチャネルも含めたすべてのチャネ
ルを横断して、一貫した顧客経験価値を提供できるようになります。また、パーソナライズされた関連性の高い顧客対
応を提供し、ライフサイクル全体を通じて顧客満足度を高めることも可能になります。
顧客経験価値を高めるSAPの製品/サービスの詳細については、以下のWebサイトをご覧ください。
http://www.sap.com/japan/marketing
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