解明!あなたのかゆみが治らない本当の理由

NHK総合テレビ 毎週水曜日・午後8時から放送中
http://www.nhk.or.jp/gatten/
解明!あなたのかゆみが治らない本当の理由
2009年11月18日放送
今回の番組について
冬になると悩む人が多くなる「かゆみ」。その原因は何でしょうか?多くの方は「乾燥」とお考えにな
るかもしれませんが、実は「肝硬変」や「腎不全」のような重い病気が原因かもしれないんです!
なぜ重い病気でかゆみが起きるのか?その背景には脳と病気に関する驚きの仕組みが・・・!
あなたのかゆみは乾燥が原因?それとも、重大な病気のシグナル?その見分け方をバッチリご紹介!
さらに、なかなか治らない乾燥肌のかゆみを撃退できる、とっておきの最新情報も大公開しちゃいま
す!
番組ディレクターのひとこと
見えない勲章!?
かゆみを抑える実験をするためには、まず人工的にかゆみを起こす必要があります。そこで今回協力し
てもらったのが「蚊」。蚊をビンに閉じこめ皮膚に押し当て、思う存分血を吸ってもらいました。予備
実験を続けた私とスタッフの腕には無数の虫さされが!撮影中は強烈なかゆみに襲われ、普通ならバリ
バリかいてかき壊してしまいそうなくらい。しかし、番組でご紹介した「裏技」を使って、全くかかな
いうちに完全治癒することに成功!かき壊したあとが残っていないきれいな腕が、実験に成功したこと
を裏付ける勲章となりました。
まさか!かゆみでこんな病気まで・・・
かゆみを訴えて皮膚科を受診したAさん。処方されたかゆみ止めを塗ってもなかなか治らず、再び皮膚
科を受診すると、なんと「がんの疑いがある」との医師の言葉・・・。検査を受けるとぼうこうがんが
発見されたのです。
一体どうしてがんが原因でかゆみが起きたのでしょうか?
かゆみを抑えるスゴ∼い裏技!
そもそもかゆみとはどんな感覚なのでしょうか?蚊を使ってかゆみの大実験です!
右腕を蚊に刺されてすごくかゆそうな被験者のみなさん。でも、かゆみの専門家の手にかかると、刺さ
れた部分には手も触れていないのにかゆみが治まってしまいました。
専門家は一体何をしたのでしょうか?答えは「刺された腕とは逆の腕を冷やす」。でも、どうして刺さ
れていない方の腕を冷やすだけでかゆみが治まったのでしょう?
脳の中では刺激の優先順位が決まっています。「冷たい」と「かゆい」では「冷たい」の方が優先順位
が上。だから、同時に刺激が加わると優先順位の低い「かゆい」を感じなくなる機能が備わっているの
です。
ちなみに、虫にさされたところにつめで「×印」をつけるとかゆみが治まりませんか?×印をつけると普
通なら「痛い」と感じるはず。「痛い」も「かゆい」より優先順位が上なので、かゆみが消えてしまう
のです。
※この方法は慢性的で強いかゆみを伴う疾患には効果がありません。
ついに解明! 重い病気から来るかゆみの正体
ぼうこうがんが原因で全身に強いかゆみを感じたAさん。その原因を探っていくと、ある「薬」にたど
りつきました。その「薬」の正体は「モルヒネ」。進行したがんの患者さんの痛みを抑えるためなどに
使用される薬です。マウスにモルヒネを打った実験では、体をかく回数が大幅に増えました。
Aさんはこのモルヒネによく似た物質「βエンドルフィン」が体内でたくさん作られていたためにかゆみ
を感じていました。βエンドルフィンは「おいしいものを食べる」「熱いお風呂に入る」「長距離マラソ
ンを走る」など、快感を感じた時や、苦しみを和らげる必要がある時に脳で作られる「快楽物質」。一
体なぜ、この物質がかゆみにつながるのでしょうか?
脳は体内に大きな病気があると、快楽物質であるβエンドルフィンを大量に放出してストレスを和らげよ
うとします。しかし、そのままではピンチを知らせるシグナルが脳に届かない恐れがあります。
実は、かゆみを伝える神経にはβエンドルフィンを受け取る受容体がついていて、異変をかゆみとして知
らせます。かゆみは重大な病気があることを教えてくれる、貴重なシグナルだったのです!
潤ってるのにかゆい? 乾燥肌徹底撃退法!
乾燥肌のかゆみに悩むBさん。ガッテンで過去にお伝えした乾燥肌改善法
(1)お風呂に入ったら体をこすって洗わない
(2)お風呂上がりにすぐに保湿クリームを塗る
を実践してもらうと、お肌の水分量が増えました。これでかゆみが治まったかと思いきや「まだかゆ
い」とのお答えが・・・。
実は、長期間乾燥肌に悩まされた人の肌ではかゆみを感じる神経繊維が皮膚の表面近くまで伸びてい
て、かゆみに対して敏感になってしまっているのです。だから、保湿をしてもすぐにはかゆみが治まり
ませんでした。
このかゆみを抑える物質があります。神経繊維の成長を抑えてくれる「セマフォリン3A」です。この
物質は皮膚の細胞自身が作り出しています。かゆくてかいたために壊れた細胞が復活すれば、再び皮膚
で作られるようになります。復活までにかかる期間は2週間以上。だから、保湿ケアは長期間続けること
が大切なのです。
※症状の度合いによっては長期間かかる場合があります。
アトピー性皮膚炎など皮膚に疾患のある方は医師に相談してください。
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