支え合い、学び合い、認め合う、みなみっ子の育成

平成28年度
1
みつわ台南小学校
校内研究計画
校内研究全体構想図
学校教育目標
社会の要請
児童の実態
・人間関係を築く能力
豊かな心と主体性をもった、
・社会モラルや規範意
心身ともに健康な児童の育成
識の低下
・何事にも積極的に取
り組む。
・元気にあいさつでき
・情報化社会への対応
(やさしい子)
る。
☆心豊かで、思いやりのある子
千葉市の重点施策
(がんばる子)
た教育活動全体での
伝えることが苦手な
☆よく考え、最後までやりとおす子
・道徳の時間を要とし
(げんきな子)
児童がいる。
・自分勝手な行動をし
☆健康で、運動することの好きな子
道徳教育の推進
・自分の考えを相手に
てしまう児童がい
る。
研
究
主 題
支え合い、学び合い、認め合う、みなみっ子の育成
-思いやりの心を育む道徳教育を通して-
めざす子どもの姿
相手の立場を考えたり、相手の気持ちを思いやったり、親切にしたりすることができる子
下学年
上学年
他者の考えや気持ちを理解し、助け合おう
とする子
他者を理解し協力し合うことで、互いに高
め合おうとする子
研究の視点
[視点 1]自分の考えをもつための、資料や指導の手立ての工夫
[視点 2]多様な考えから、自己の考えを深めるための場の工夫
[視点 3]道徳的実践力を育成するための、他の教育活動や道徳の時間の関連の工夫
-1-
2
本年度の研究主題
支え合い、学び合い、認め合う、みなみっ子の育成
-思いやりの心を育む道徳学習を通して-
3
主題設定の理由
(1) 現代社会の要請から
現在、社会の様々な変化、自然災害の猛威など、先を見通すことが困難な時代だといっても
過言ではない。
そうした中、5年ほど前にアメリカのキャシー・デビッドソン教授が語った「2011 年度にア
メリカの小学校に入学した子供たちの 65%は、大学卒業時に今は存在していない職業に就くだ
ろう。
」という予測に驚かされる。確かに、デジタルイノベーションの潮流によって、社会や産
業構造が大きく変化してきている。そのことにより新たに生み出される職種・仕事がある一方
で、必要とされなくなる職種・仕事も出てくることが予想される。イギリスのマイケル・A・
オズボーン准教授は、
「今後 10~20 年程度で、アメリカの総雇用者の約 47%の仕事が自動化さ
れるリスクが高い。
」としている。これらはアメリカを対象とした予測であり、日本でも同様の
ことが言えるのかはわからないが、少なくとも国際化が進む社会の中では同様の現象が起こり
得ると考える方が自然である。つまり、現在子ども達が描いている将来像が、とても不安定な
ものであるということである。
また、そうした社会背景を反映するのか、規範意識の低下も叫ばれている。個人を優先しす
ぎるあまり、集団でのマナーの欠如、ルール違反、わがままな理屈などには、目を見張るもの
がある。
平成 27 年 8 月の「教育課程企画特別部会における論点整理について(報告)」では、育成す
べき資質・能力の一つとして、「どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか(学
びに向かう力、人間性等)」を挙げている。その中で「主体的に学習に取り組む態度も含めた
学びに向かう力や、自己の感情や行動を統制する能力、自らの思考のプロセス等を客観的に捉
える力など、いわゆる「メタ認知」に関するもの。」「多様性を尊重する態度と互いのよさを
生かして協働する力、持続可能な社会づくりに向けた態度、リーダーシップやチームワーク、
感性、優しさや思いやりなど、人間性等に関するもの。」をどう高めていくかが重要であると
記している。さらに、変化の中に生きる社会的存在として、「一人一人が幸福な人生を自ら創
り出していくためには、情意面や態度面について、自己の感情や行動を統制する能力や、より
よい生活や人間関係を自主的に形成する態度等を育むことが重要である。こうした力は、将来
の社会不適応を予防し保護要因 24 を高め、社会を生き抜く力につながる。」としている。また、
道徳教育については以下の記述があるので参考にしたい。
⑮道徳教育
○学校における道徳教育は、自己の生き方を考え、主体的な判断の下に行動し、自立した一人の人間
として他者とともによりよく生きるための基盤となる道徳性を養うことを目標とする教育活動で
あり、「どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか」の根幹となるものである。
○このような資質・能力の育成を目指す道徳教育においては、既に学習指導要領が一部改訂され、小
学校では平成30年度、中学校では平成31年度から、「特別の教科 道徳」(道徳科)が実施さ
れることとなっている。本「論点整理」が目指す「これからの時代に求められる資質・能力の育成」
や、「アクティブ・ラーニング」の視点からの学習・指導方法の改善を先取りし、「考え、議論す
-2-
る」道徳科への転換により児童生徒の道徳性を育むものであり、道徳的諸価値についての理解を基
に、自己を見つめ、物事を多面的・多角的に考え、自己の生き方や他者との関わりについても考え
を深める学習を通して、道徳的判断力、道徳的心情や道徳的実践意欲と態度を育てるものである。
○道徳の特別教科化は、これまで軽視されがちだったと指摘される従来の道徳の時間を検定教科書の
導入等により着実に行われるように実質化するとともに、その質的転換を図ることを目的としてい
る。
○特に、後者の「考え、議論する」道徳科への質的転換については、子供たちに道徳的な実践への安
易な決意表明を迫るような指導を避ける余り道徳の時間を内面的資質の育成に完結させ、その結果、
実際の教室における指導が読み物教材の登場人物の心情理解のみに偏り、「あなたならどのように
考え、行動・実践するか」を子供たちに真正面から問うことを避けてきた嫌いがあることを背景と
している。このような言わば「読み物道徳」から脱却し、問題解決型の学習や体験的な学習などを
通じて、自分ならどのように行動・実践するかを考えさせ、自分とは異なる意見と向かい合い議論
する中で、道徳的価値について多面的・多角的に学び、実践へと結び付け、更に習慣化していく指
導へと転換することこそ道徳の特別教科化の大きな目的である。
○義務教育においては、従来の経緯や慣性を乗り越え、道徳の特別教科化の目的である道徳教育の質
的転換が全国の一つ一つの教室において確実に行われることが必要であり、そのためには、答えが
一つではない、多様な見方や考え方の中で子供たちに考えさせる素材を盛り込んだ教材の充実や指
導方法の改善等が不可欠である。
○なお、道徳科は、改めて、教育課程全体を通して道徳教育の成果を上げるために、その核となる役
割を果たすことを求めて実施を図るものである。そのために、道徳科と各教科等との関係性を明ら
かにすることを通して、教育課程に占める道徳科の位置付けを明確にする必要がある。
○このように、道徳の特別教科化を着実に実施するため、文部科学省には万遺漏なきよう諸施策に取
り組むことを求めるものであるが、質的転換の進展状況を踏まえ、学習指導要領も含めた道徳教育
の在り方については常に見直し、改善することが重要である。
○次期改訂においては、先んじて導入された小・中学校における道徳科の内容を踏まえつつ、高等学
校における道徳教育の在り方について、公民科等における内容の充実・改善と併せて検討を行うこ
とが求められる。
このような状況の中、普遍のものとして育成するべきものは、道徳教育の中にみることがで
きる。いかに時代が急激に変化しようと、子ども達に身に付けさせたい資質・能力、または規
範意識といったものは、普遍のものとしてあるべきである。そうした力を育成していくために
本主題を設定し、新たな時代を生き抜く児童を育成したい。
(2) 千葉市学校教育の課題から
千葉市は教育施策の基調として「人間尊重の教育」を掲げている。また、千葉市学校教育推
進計画では、目指す子どもの姿として「夢と思いやりの心を持ち、チャレンジする子ども」と
定め、教育目標を「自ら考え、自ら学び、自ら行動できる力をはぐくむ」こととしている。未
来を担う人材を育成することと、生涯を通じた学びを支えることを目標とし、どのような子ど
もたちを育てていきたいかが明確に示されており、本市の教育の指針となっている。
ただ、
「わかる授業・楽しい教室・夢広がる学校づくり」を目指す中、課題も多い。道徳教育
に関しては、「道徳の時間を核とした教育活動全体での推進」「教科化への対応」が改善事項と
して挙げられている。また、「規範意識や社会性、自己指導能力の育成」「個性の伸長や心身の
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健全な育成」「豊かな心や自立心、学校への適応能力を高める」「いじめや暴力行為等の防止・
解消を図る心の教育の充実」「豊かな人間性の育成」「豊かな心を培い、互いに認め合う」とい
うような課題も多く挙げられ、道徳教育の担う役割も非常に大きいことがわかる。
本校でめざす、思いやりの心を育む道徳学習を通した「支え合い、学び合い、認め合う、み
なみっ子の育成」は、まさに本市の課題に即したものであるといえる。
(3) 学校教育目標から
本校の学校教育目標は、
「豊かな心と主体性をもった、心身ともに健康な児童の育成」であり、
めざす児童の姿は「心豊かで、思いやりのある子(やさしい子)」「よく考え、最後までやりと
おす子(がんばる子)
」
「健康で、運動することの好きな子(げんきな子)」である。この学校教
育目標の具現化のための一つの手立てとして、
「道徳教育の充実」を掲げている。
そこで、道徳教育を核とした学級経営、道徳的心情の育成、主体的な道徳的実践を念頭に置
いて指導し、他人を思いやる気持ちの育成や、自制心や規範意識の確立などの課題を解決でき
るようにしていくことが必要である。本校の教育目標は、本研究の根幹となるものである。
(4)児童の実態から
本校の子どもたちは、明るく素直な性格の児童が多い。友達の不得意なことを責めずに、相手
を思いやって温かく接する場面も見られる。
その一方で、自分中心の考えが抜けきらず、相手の立場に立てずにトラブルが発生することも
多くある。学級では、まずは自分のことがしっかりとできること、そして他者意識をもつことを
発達段階に応じて繰り返し指導しているが、なかなか改善されない。自分も同じことをしている
のに、友達がやったことに対しては厳しく注意したり担任に言いつけたりしており、他者に対す
る思いやりがまだまだ育っていないと感じることも少なくない。また、善悪の判断基準が曖昧な
ために起こす行動や、自分をアピールしたい気持ちから他者への嫌がらせをするようなことも見
聞きする。道徳を通しての学びを、児童の日常に一段と生かしていくことが求められている。
このような本校の児童の実態を鑑み、真面目に物事に取り組もうとする態度を大切にしながら、
友達と学び合って考え、他者への思いやりをもった子どもを育てたいという願いから、本主題を
設定した。
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4
研究主題について
(1)研究主題の構想
支え合い、学び合い、認め合う、みなみっ子
お互いのよさに気付き、思いやりの心をもって
よりよく生きようとする姿
道
徳
教
育
道徳的実践意欲
道徳的判断力
道徳的心情
道
徳
教
育
の
重
点
目 標
相手の立場を考えたり、相手の気持ちを思いやったりして、
親切にすることができる児童の育成
○相手の立場や気持ちを考える。
○判断の根拠を明確にして考える。
○これまでの自分を振り返って考える。
○これからの自分の在り方を考え、実践しようとする。
(2)「支え合い、学び合い、認め合う、みなみっ子の育成」について
本校では道徳教育を通して、児童がお互いのよさに気付き、思いやりの心をもってよりよく生き
ようとする姿を目指して取り組んでいく。「よりよい生き方」は、教師による押し付けではなく、
子どもたちが自分とはかけ離れた模範解答を見つけていくものでもない。道徳の時間に「自分はこ
んな考えをもっていたのか」という発見や「友達の考えを聞いて、自分が気づいていなかったこと
がわかった」という驚き、「自分がその立場だったらどうするだろうか」という葛藤を伴い、自分
のこととして現実的に想像していくことで、児童が自己の生き方についての考えを深められるよう
にしていくことである。また、自分の考えを友達に伝え、自分とは異なった友達の考えを理解する
体験をもつことで、様々な状況において、自分の行動を主体的に選択し、実践しようとする児童を
育てたい。
~支え合い、学び合い~
児童が問題意識をもって学習に臨み、より高い道徳的価値があることに気付くために、友達
と話し合い、考えを交流させる。
-5-
~認め合う~
多様な考えに触れることで、自分や友達の存在の有難さ、かけがえのなさに気付く。
(3)副題について
「思いやりの心」は、自他の違いに気付き、他者を受け入れることで育まれていくと考えられる。
相手の立場になって考えられることや、相手の気持ちを思いやれることは、日々の生活の中での
様々な判断を、自分本位ではなく他者意識をもつ中で行うことができるようになることにつながっ
ていく。自らを律していくためにも「思いやりの心」を育んでいくことは重要であり、低学年から
重点的に指導していくことが望まれる。道徳的価値観に関わる事象を自分自身の問題として捉え、
自分ならどうであろうと考える力、そしてこれからの生活に生かし、実践しようと意識する気持ち
を育むことが大切であると考える。さらに、道徳的価値観は、置かれている環境や生まれ育った状
況によって感じ方や考え方が多様であり、いろいろな価値観がある。その中からよりよい価値観を
選択し、実践していこうという意欲をもつことが重要であると考える。自分自身の考えを深めてい
くことで、思いやりの心をもってよりよい生活を送ろうとする主体的な姿勢を育んでいきたい。
(4)本校における基本的な学習過程
本校の道徳学習においては、一人一人が自分の考えをもち、お互いにその考えを認め合うことが
できるようにするために、以下のような学習過程を基本とする。
5
指導過程
学習過程
主な学習活動
導入
つかむ
展開(前半)
考える
自分の考えの根拠を明確にする
展開(後半)
深める
自分の考えと、他の人の意見や考えを交流する
終末
見つめる
本時の価値への導入
資料の内容に関心をもつ
今までの自分を振り返る
これからの自分の在り方を考え、実践しようとする意欲をもつ
研究の視点
視点 1 自分の考えをもつための、資料や指導の手立ての工夫
視点 1 は、
「つかむ」
「考える」過程での資料、指導法、場の工夫を通して、児童一人一人が自分
の考えをもつことができることをめざすものである。道徳の時間における資料とは、児童が道徳的
価値の自覚を深め、学び合うための共通の素材である。資料をもとに聴き合いや話し合いなどの
様々な活動につなげ、より考えを深めることができるようにする。児童に自分の考えを整理させ、
道徳的心情や思考力を育てることにつなげる。本校では、どの学級でも児童の学習状況に個人差が
大きく、資料や教師からの発問を十分理解することが困難な児童がいる。授業で取り上げる題材の
選定や資料の提示方法、考えの深め方など、児童の実態を把握した上で手立てを工夫することが求
められる。
視点 2
自己の考えを深めるための場の工夫
視点 2 は、主に「深める」場面での指導の手立ての工夫を通して、自己の考えを深化することを
めざすものである。学習指導要領では、内容の取扱いについて「自分の考えを基に、書いたり話し
-6-
合ったりするなどの表現する機会を充実し(中略)自らの成長を実感できるようにする」とある。
つまり児童が根拠をもって、自分自身の考えを表し、他の人の意見や考え方に触れ、自分の考えを
さらに深めていくための場を大切にするということである。しかし本校では、道徳の時間で様々な
価値に対して話し合いの場を設定しても、自分の考えを相手に伝えられなかったり、善悪の判断基
準が曖昧だったりして、思うように話し合いができず、認め合ったり深め合ったりするまでに至ら
ないことが多く見受けられる。学級の実態に応じた様々な活動を通して、より考えを深めることが
できるような手立てを工夫していきたい。
視点 3
道徳的実践力を育成するための、他の教育活動や道徳の時間との関連の工夫
視点 3 は、主に「見つめる」過程や、学習の事前や事後の他の教育活動や道徳の時間の単元を通
して、自己の考えが深まり、児童自らが成長したことを意識できる場を設定する。また、道徳の学
習で使用した資料を掲示したり、
『私たちの道徳』の書き込み部を継続して記入したりすることで、
道徳の時間で深めた道徳的価値観を継続して意識させられるようにしていきたい。
6
研究内容
(1) 研究の目的
授業研究を通して、自分や友達の考えのよさに気付き合う道徳学習の在り方を明確にすると
ともに、千葉市や本校の教育目標に照らし合わせて課題を解明する。
(2) 研究領域
道徳
(3) 平成28年度の具体的な取り組み
・道徳の時間でどんなことを考えさせたいのかを明確にし、個々に課題をもって実践する。
・年1回講師を招聘して検証授業を実践し、「支え合い、学び合い、ふれ合う、みなみっ子の
育成」のための方策をさぐるとともに、道徳教育の最新の動向を学ぶ。
・道徳の研究と並行して4教科の研修を行い、基礎的基本的な学力の向上を図る。
※実技研修、救急法実技研修、総合展(図工、書写、家庭の部)参観の実施
-7-
(4)研究組織
校
長
研究推進委員会
校長・教頭・教務主任
研究主任
研究副主任
道徳主任(道徳教育推進教諭)教育相談主任
課題別部会長
研究全体会
課題別部会①
課題別部会②
課題別部会③
-8-
課題別部会④