獣医師 B123-01 ど んな職業か 牛馬豚、犬猫や鶏などの動物の健康や生命を守る仕事に従事するが、その分野は幅広く、人の健康や社会生活にも密 接に関わっている。 「農林水産分野」では、肉や牛乳を生産するための家畜などの診療と病気の予防や衛生管理の指導、ワクチン接種な どによる伝染病の予防、人工授精や授精卵移植技術を用いた家畜の改良と増殖の仕事、動物用医薬品の安全性確保のた めの検定試験やその製造、流通、使用を監視する仕事などを行っている。 「小動物臨床分野」では、動物病院で犬や猫、小鳥など、いろいろな種類の小動物の病気の診断や治療、あるいは動 物の飼い方やしつけの相談・指導を行っている。 「公衆衛生分野」では、肉や牛乳あるいは魚介類などの食品の安全性を確保するための監視や指導、と畜検査や食鳥 検査、動物と人が共通して感染する人畜共通感染症の予防、あるいは海外から伝染病が国内に侵入するのを防ぐ検疫業 務に従事している。 「バイオメディカル分野」では、医薬品の開発や各種安全性、有効性の試験などに不可欠な実験動物の管理や試験、 あるいは遺伝子工学や生命科学に関する研究活動に従事している。 「野生動物関係分野」では、地球上に棲息する様々な野生動物たちを動物園や水族館で飼育、繁殖や病気になった動 物の診療を行う。 就 くには 獣医師になるためには、まず獣医学科のある大学に入学し、6年 間の獣医学教育を履修した後、農林水産省が行う獣医師国家試験に 合格しなければならない。 6年間の獣医学教育を履修すると獣医師国家試験を受験する資格 が得られる。国家試験は毎年1回、3月上旬に行われ、学説に関す る試験科目と獣医学全般の実地に関する試験科目とに分けて行われ る。合格者数は、毎年約千名前後、合格率は約85%前後である。 合格した後農林水産省に免許の交付申請手続きを行い、獣医師名簿 に登録され、農林水産大臣による獣医師免許を取得すると、初めて 獣医師としての資格を取得することができる。 獣医師の資格を必要とする国家公務員、地方公務員になる場合は 、まず公務員試験に合格しなければならない。ただし、せっかく公 務員試験に合格しても獣医師国家試験に合格しないと採用されない 。農業共済団体や民間企業などの場合は、それぞれ独自に採用試験 を行っている。 臨床獣医師は国家試験に合格したからといってすぐに独り立ちで きるわけではなく、少なくとも2∼3年の臨床経験を積む必要があ り、産業動物関係の場合は、農業共済団体の家畜診療所などに勤務 して先輩獣医師と一緒に診療活動に従事しながら経験を積んでいく のが一般的である。小動物関係の場合は、動物病院に研修医として 勤務しながら勉強したり、獣医系大学の付属動物病院で研修するの が一般的である。 労 働条件の特徴 公務員の場合、獣医師の給与は国や自治体の給与体系に従って処遇される。農業共済団体の家畜診療所に勤務する獣 医師の給与も、地方公務員に準じたものとなっている。一方、民間企業の場合は、給与体系はまちまちで、初任給にも ばらつきがあるが、獣医師だからといって、特別な手当をつけているところはないようである。 個人で開業している小動物臨床獣医師の場合、その所得は様々である。動物の診療費はいわゆる自由診療料金制で、 診療料金はそれぞれの動物病院で設定している。平成11年度に実施した調査によると、小動物診療の総収入額は年間 500万円から5千万円以上まで幅広く分布している。この総収入から薬代をはじめとする諸経費を除いた額が獣医師 の所得ということになる。 一方、牛や馬、豚や家禽などの「産業動物」を対象とした開業獣医師の場合、農業災害補償法という法律に基づく家 畜共済保険制度によって、人と同様の診療点数制度が採用されている。しかし診療料金が一律に決められていても、診 療頭数や診療技術の差によって、その収入にも開きがある。 小動物でも産業動物でも、診療業務に従事する臨床獣医師は、命ある動物を対象としているため、昼夜、休日を問わ ず、飼い主の要望に応えなければならない場合も多く、特に産業動物の場合は長距離を往診して体重400∼500キ ロもある牛などを相手に手術することもあるので、相当の体力を必要とする。 参 考情報 関連団体 関連資格 社団法人 日本獣医師会 http://nichiju.lin.gr.jp 獣医師国家試験
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