世界の食品輸入規制の現状

特集
食品産業の海外市場展開を考える
●Current World Food Safety Regulations Overview
世界の食品輸入規制の現状
日本貿易振興機構(ジェトロ)農林・水産食品部 長谷川
直行
各国で広まる安全確保の 取り組み
する)の飼料への混入などの事件が起
香港:規制は少なく、手続きは迅速
きている。
香港では近年、食品への安全管理
厚生労働省の資料によると、日本で
体 制 が 強 化される方 向にある。2010
日本 産の日本 食 品については2011
は食中毒の患者が毎年2万人発生して
年の食品栄養成分表示法施行、11年
年 の 原 発 事 故 以 降 、各 国・ 地 域 政
おり、米国でもFDAによると、食品由来
の食品安全法施行などがそれだ。今
府が依 然 厳しい輸 入 規 制を課してい
の疾病の罹患者が年間4,800万人にお
後、新法の制定などの動きを注視する
る。たとえば日付証明、放射性物質の
よび3,000人が死亡しているという。
必要があるだろう。
検 査 証 明 書の添 付や産 地 証 明 書 提
ジェトロでは、食の安全をテーマにし
とはいえ、香港は自由貿易港であり
出の義務付け、さらには輸入側でサン
た特集を雑誌「ジェトロ・センサー3月
青果物検疫をはじめ食品に関わる規制
プル検査等を行っている(農林水産省
号」にて掲載した。本稿では同特集に
が比較的少ない。そして、税関での手
〔『諸外国・地域の規制措置』http://
沿って主要国・地域における食の安全
続きも簡潔なため、迅速かつ確実に商
www.maff.go.jp/j/export/e_info/
確 保を巡る主な動きを紹 介する。尚、
品を市場に送ることができる。また、ア
pdf/121002.pdf〕)。
詳細については同号を参照されたい。
ルコール度30%以上の酒類に関して物
このような食の安全をいかに確保し
http://www.jetro.go.jp/
品税が課せられる以外には、食品に対
ていくかというテーマは、原発事故関連
publications/item/js-20130215.
する税金はほとんどかからない。これら
のみならず、世界的に関心が高い。そ
html
の点は、まさに香港へ食品輸出する際
の背景にあるのは日本を含めた世界各
本稿では、2012年の農林水産物・食
の最大の魅力だ。
国・地域で、食品の安全性を脅かす事
品輸出金額の多い国・地域(円ベース)
こうしたところから日本産食品の輸入
件や事故が相次いでいるためだ。昨今
の中から
(表1)、香港、米国、台湾、中
の成否を決めるのは市場そのものと言
でも中国の07年の冷凍餃子による食中
国、欧州、インドネシア、ロシアの順でそ
っても過言ではない。
毒事件や11年には使用が禁止されて
れぞれの安全確保の取組みについて
加えて、輸入規制の透明性が高い。
いるクレンブテノール(赤身部分を増加
紹介する。
香 港 政 庁は11 年 3月24日以 降 、福 島
表1 日本の食料品輸出内訳 〔12年(暦年)、13年(月次)〕
2012年
(暦年)
輸出相手国・地域
世界
伸び率
(前年比%)
<3,554.0億円、100.0%>
△1.0
2013年(月次)
輸出額(億円)
伸び率(前年同月比%)
1月
2月
3月
4月
1月
278.0
283.8
358.4
353.1
27.2
2月
2.3
3月
4月
13.8
13.7
19.3
1位
香港
<792.1億円、22.3%>
△9.7
61.6
54.3
73.8
78.2
29.4
△3.3
9.7
2位
米国
<559.5億円、15.7%>
2.0
36.8
47.6
51.5
43.9
12.2
△2.7
3.2 △19.0
81.2
3位
台湾
<515.4億円、14.5%>
△1.5
63.8
39.8
42.5
38.5
18.2
△3.0
4位
中国
<297.8億円、8.4%>
17.1
17.1
21.0
40.4
40.9 △11.5 △10.0
48.9
△5.5
39.9
5位
韓国
<264.0億円、7.4%>
△15.9
21.5
19.4
25.8
24.0
17.6 △17.3
6.2
△8.5
6位
タイ <216.5億円、6.1%>
13.5
13.7
18.9
18.2
25.7
△3.8
37.8
12.9
67.9
7位
EU
<142.9億円、4.0%>
△9.3
12.0
13.1
14.5
14.7
22.9
7.5
6.5
18.9
8位
ベトナム
その他
含む
<137.8億円、3.9%>
△3.0
7.8
16.8
28.5
26.5
3.8
27.3
62.1
34.3
<434.3億円、12.2%>
9.5
31.2
36.9
46.0
45.2
44.4
△1.6
19.4
40.2
42.8
△7.0
12.5
27.4
63.7 △25.5
144.4
14位
インドネシア
<31.8億円、0.9%>
10.1
1.7
2.1
3.7
3.7
18位
ロシア
<23.4億円、0.7%>
△19.7
0.7
2.4
1.9
4.6 △42.0
(注1)「食料品」は、概況品名「食料品及び動物」
と
「飲料及びたばこ」の合計。
(注2)2011、2012年は確定値、2013年1月以降は確報値。
(注3)< >内は、2012年食品輸出額、および同額に占める各国・地域のウェイト。
(出所)財務省 『貿易統計』
4
食品と開発 VOL. 48 NO. 8
県、茨城県、群馬県、栃木県、千葉県
非常に大きい。
の牛乳、粉乳、乳製品および青果物の
台湾①:表示ラベルは日本で貼り付けを
ため、輸出国で表示ラベルを貼付する
輸入を禁止した。現在もその状況は変
台湾食品薬物管理局によると、日本
よう求めている。
わらない(2013年7月1日現在)。ただ、
からの輸入品に対する検査で違反件
台湾②:残留農薬基準にどう対応するか
これら5県の野生動物の肉(チルドおよ
数が多いのは、加工食品の表示ラベル
コメや野菜・果物の輸入は、残留農
び冷凍)、肉類・家禽類、家禽類の卵、
違反と果物・野菜の残留農薬基準違
薬検査の対象となる。台湾は日本と同
水産品(生け魚、チルドおよび冷凍)に
反だという。
様、ポジティブリスト方式を採用してお
ついては、日本政府発行の放射性物質
台湾に輸入される加工食品には、一
り、12年9月現在、約60種類の使用禁
国内に商品が流通するリスクを減らす
検査証明書があれば、輸入停止から
般表示、栄養表示および原産地表示を
止農薬の他、約350種類の農薬につい
除外される。香港に輸入される日本産
中国語(繁体字)
で表示することが求め
て最大残留基準値(MRL)が設定され
食品は全て通関時に放射線検査のサ
られている。ラベル表示のないものや、
ている。一方、日本ではMRLが設定さ
ンプル検査を受けている。
不適切な表示内容のものは、台湾に入
れている農薬の種類は800種類以上あ
米国:強化法の動向がポイント
る際に検査官に拒否される。しかし、日
り、台湾の方が使用できる農薬の範囲
米国では食品安全をいかに確保し
本からのものを含め輸入される加工食
が狭い。さらに、ポジティブリストに掲載
ていくかというテーマにおいて、置かれ
品には表示ラベルが貼られていないも
されていない農薬に対する一律基準は
る問題意識が事故発生後の対応という
のが多く、台湾当局は問題視している。
設定されていない。日本で通常使用し
ことではなく、問題の発生を予防するた
ラベル貼り付けには、二つのパターン
ている農薬でも、種類やMRLによって
めにどのような措置をとればよいか、
とい
がある。輸出国から加 工 食 品の表 示
は、台湾側検査で拒否される可能性が
う点に移っている。
ラベルなしで台湾に輸出し、台湾の荷
あるので注意が必要だ。
このことを 反 映させ た 形として 、
主が通関業者などに委託して保税倉
生鮮のモモを台湾に出荷している山
2011年1月に食品安全強化法(Food
庫で輸入申請前に表示ラベルを貼り付
梨県のあるJAでは、日台間の残留農薬
Safety Modernization Act)が 施
ける方法と、輸出国で表示ラベルを貼
基準の違いに対応するため、台湾向け
行された(食品と開発Vol.48 No.5参
り付け後、台湾に輸出する方法だ。し
の防除暦を作ってモモを生産している。
照)。この食品安全強化法は、国内で
かし、台湾には保税倉庫の数が十分な
台湾政府は10年1月に行政院衛生署
(日本の厚生労働省に相当)の組織変
消費される食品を供給する業者に対す
く、地元の乙仲業者が保税倉庫自体を
る規制を大幅に強化するというもの。同
持っていないケースが多い。
更を行い、食品衛生処、薬政処、薬物
法により、米国食品医薬品局(FDA)
に
一方、加工食品の場合、初回輸入
食品検験局、管制薬品管理局の4組織
よる外国の食品登録施設の検査強化
時に食品薬物管理局の審査を通れば、
を統合して、新たに現在の食品薬物管
や食品安全計画の策定・実行の義務
通常、2回目以降は書類審査だけで輸
理局を設立した。そして、11年1月から
化が規定された。登録施設が製造し
入許可(申請・審査・許可プロセスはコ
は、それまで経済部標準検験局に委託
た食品が重大な健康上の影響を及ぼ
ンピューター化されている)が出ること
していた食品などの輸入検査・試験を、
す合理的な疑いがあると認められるとき
がほとんどだ。その結果として、中国語
行政院衛生署食品薬物管理局が実施
は、米国への輸出が一時的に停止され
のラベル表示のない加工食品が保税
することになった。これら一連の組織改
うる点やFDAによる検査を拒否した施
地域外に流通する事態が頻繁に起こ
編は、管理行政の効率化とともに、輸
設からの輸入は禁止される点などで、
っているという。このような状況から、台
入品を含めた食の安全のリスク管理体
日本を含めた海外の施設への影響は
湾当局は、中国語の表示ラベルなしで
制強化を目的としている。
中国:進展する食品安
表2 米国による食品等の輸入通関拒否件数(国別)
国名/年
2003
2004
2005
2006
2007
2008
1,804
1,502
1,581
1,735
1,477
1,270
1,066
11,926
1,490.7
インド
746
725
871
1,026
1,132
1,113
707
7,223
902.9
中国
541
667
616
672
664
740
479
5,005
625.6
英国
377
288
325
245
369
430
1,262
3,767
470.9
ドミニカ共和国
263
266
535
415
663
512
77
3,121
390.1
カナダ
414
543
551
284
246
238
361
3,014
376.7
ベトナム
428
332
478
350
300
378
306
2,939
367.4
が矢継ぎ早に制定され
日本
755
241
192
147
285
203
319
2,448
306.0
インドネシア
138
269
331
214
313
374
250
2,159
269.9
ている。
タイ
280
258
351
307
216
233
212
2,122
265.3
4,431
4,162
4,247
3,566
2,812
3,367
2,630
28,817
3,602
9,253 10,078
8,961
8,477
8,858
7,669
72,541
9,067.6
メキシコ
その他の国・地域
合計
10,177
注:中国、インドの両国はEUおよび米国の双方において、拒否される件数が多い。
また新興国のみならず、先進国の品目も拒否されている。
米国では、英国が4位、カナダが6位、日本が8位となっている。EUでは米国が第5位、豪州は26位(次頁参照)。
出所:Meeting Standards, Winning Markets 2010:UNIDO
食品と開発 VOL. 48 NO. 8
合計
年平均
全関連法整備
2002
2008 年のメラミン入
り粉ミルク事 件の発 生
など が 契 機となり、09
年2月に食品安全法が
制定された。このことが
皮切りとなり、関連法令
食品安全に関しては
以 前から「 国 家 基 準 」
「地方基準」
「企業基
準」の三大基準を中心
に多 数の基 準 があり、
食 品 安 全 法 が 制 定さ
5
れる前までは内容が錯綜し、重複・矛
関が重複・矛盾したルールを作ることが
た。害虫の侵入を防ぐことを目的とした
盾などが問題化していた。それが同法
避けられない。
農業大臣規定を発令し、病害虫の検
制定以降、過去3年の間に200を超え
欧州:厳しい「食」に関する扱い
査能力がある港として、スラバヤ、メダ
る安全基準が制定され、国家基準と強
欧州地域においては、最前線でビジ
ン、マカッサルの3海港、およびジャカル
制的な業界基準などを整理・統合した
ネスをされている日本産食材の卸業者
タ国際空港を定めた。この結果、輸入
新たな国家基準を制定する取り組みが
6社に対してインタビューをした。同域内
産品の消費者が多く住むジャカルタの
進んでいる。引き続き政府は15年を目
において食の安全確保のために設けら
海港からの生鮮食料品陸揚げは実質
標に基準の整理と新たな基準の策定を
れ、気をつけなければならない規制は何
禁止されるに至った。
集中的に行うとしているが、従来の基準
か。同業者の所在地、ロンドン、パリ、デ
この影響でジャカルタ向けの生鮮食
もまだ多く残っており、基準の錯綜状態
ュッセルドルフからの見方を紹介する。
料 品 輸 入はほぼスラバヤ経 由となり、
は依然として続いている。このため長
見 方として添 加 物 規 制( 特に着 色
小売価格は5〜10%上昇、所要時間は
年にわたって日本の食品企業の中国進
料)やGMO(遺伝子組換え)規制(特
3日〜1週間ほど増えた。産業界は、同
出を支援している企業からは、
「無数の
にフランス)が、日本と基準が異なるの
措置により今年の生鮮農産品輸入量
基準があることが、中国進出のハードル
で留意が必要との声があった。残留汚
は約30%減少すると予測している。
になっている」
と話す。
染物質(重金属など)に関しても、例え
加えて、政府は12年2月、国内産業
12年には食品輸入に関する規制制
ば海藻の場合などは季節により数値が
保護を目的として海産物輸入について、
度の整 備も進んだ。12 年 5月、中国に
変動し、基準値を超えることがあるので
インドネシア近海で取れない、または季
輸 入する食品を国外で生産する企 業
要注意との指摘もあった。
節により取れないもののみ輸入を認める
についての登録制度が拡充されている
この他、今後見過ごせない点として
措置を実施。現在、輸入が認められて
(2013年5月から義務 付け)。食肉と水
は2016年12月から義務化される「栄養
いるのは、サーモン類、マダイ類、ヤリイ
産品が対象で、生産企業の所在国当局
表示」
( 栄養素および熱量に関する情
カ類など8種類だ。その他の海産物の
がとりまとめて国家認証監督委員会に登
報の表示)
があるとする。複数国に販売
輸入は、インドネシア海域で生息してい
録を申請することが義務付けられた。
網を持つ企業では、他の表示に加えて
ないことを証明し、海洋漁業省総局長
加えて、12年10月から、中国への食
栄養表示も複数言語で記載しなければ
の承認を得なければならない。また、水
品輸入に関係する企業に対し、国家質
ならず、商品の「顔」となるパッケージデ
産物輸入許可申請時に、販売先のあ
量監督検験検疫総局への届け出を義
ザインへの対応に苦慮しているという。
る州政府から当該品目の需要量が示
務付ける制度も開始された。外国にお
また同規制への対応には、輸入者ま
された書類を元に海洋漁業省が輸入
ける輸出企業とその代理企業、さらに
かせではなく、日本の生産者からの積
量目安を定めるなど、実質的なクオータ
(割り当て)制ともとれる制度が施行さ
中国における受取人は、ネット経由で届
極的な協力も不可欠となっているとす
け出る必要がある(受取人は書面申請
る。常に日本の生産者から必要な情報
れている。
も必要)。さらに、中国における受取人
を円滑に得る必要があり、それが対応
日本食品は高額なことに加え、これら
には、食品の輸入記録および販売記録
できない場合は取引ができず、ビジネス
輸入規制の強化によるコスト増に対応
を付けることが義務付けられた。
を見直される状況が生じる可能性もあ
するため、日本企業の中には現地生産
この他中国では、法令を条文通り完
るとの声もあった。
に乗り出すところも出てきている。
全に履行されない場合があることを理
インドネシア:輸 入規制強化がコスト
ロシア:関税同盟統一技術規則に移行
解しておく必要がある。理由として以下
増要因に
ロシア・ベラルーシ・カザフスタンの3カ
の2点が挙げられる。一つは、法令の
インドネシア政府は、生鮮野菜と生鮮
国は10年1月1日の関税同盟発足を契
施行時期がはっきりしないことである。
果実の陸揚げ制限を12年6月に実施し
機に食品輸出の際に取得が必要な規
中国では、ある新規制
について、法令が施行
表3 EUによる食品等の輸入通関拒否件数(国別)
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
63
492
491
470
243
130
172
2,061
294.4
実施細則が出るまでの
中国
149
133
158
253
262
354
498
1,807
258.1
トルコ
141
200
180
198
250
294
302
1,565
223.6
間は義務を負っている
インド
60
119
110
137
86
111
157
780
111.4
のかはっきりしない状態
米国
25
53
52
74
231
184
144
763
109.0
され た 後 で 実 施 細 則
が出ることが多々あり、
が続く。もう一つは、前
述のとおり複数の法令
が入り乱れ、矛盾を生
じている場合だ。中国
では、中央および地方
の政 府 機 関の権 限 が
明確でないため、各機
6
国名/年
イラン
合計
年平均
タイ
143
85
45
117
85
92
103
670
95.7
ブラジル
102
116
109
124
91
58
61
661
94.4
ベトナム
67
35
56
124
68
44
55
449
64.1
アルゼンチン
11
42
46
57
75
47
58
336
48.0
インドネシア
その他の国・地域
合計
39
36
70
58
43
25
14
285
40.7
249
488
568
665
636
713
639
3,958
566
1,049
1,799
1,885
2,277
2,070
2,052
2,203
13,335
1,905.0
出所:Meeting Standards, Winning Markets 2010:UNIDO
食品と開発 VOL. 48 NO. 8
格認証制度の一つに品質と安全性に
を注視し上述の課題を克服することで、
関する国家標準規格(GOST-R/TR)
日本の食品販売は拡大していくだろう。
の域内統一化に動き始めた。そして既
に12年2月15日以降、従来のGOST-R/
民間の取り組みも
規制強化は、ビジネスチャンス
農林水産物・食品の国内市場は少
子高齢化などの影響で縮小が見込ま
TRから関 税同盟 統 一 技 術 規 則 への
民間レベルでの国際的規格の認証
れる。このような中、海外への活路を見
移行が始まっている。今後は製品ごと
取得の取り組みも欧州を中心として活
出す必要も出ている。原発事故の影響
に段階的に移行していく。食品関連で
発である。たとえば食品安全システム
があったとはいえ、海外の消費者から
は、12 年 7月1日から「パッケージの安
認 証 FSSC22000などの 国 際 的 規 格
は日本産食品を買うことは「安心」であ
全性」に関する統一技術規則の運用
の 認 証 取 得を促 す 動きなどだ。テス
るという声も聞かれている。この点を踏
が開始された。さらに13年7月1日からは
コやカルフールなど 世 界 各 国の小 売
まえてみると、既述のように世界各国・
「果物と野菜ジュース」
「食品安全性」
業や製 造 業 が 加 盟 するTCGF(The
地域において、食品の安全確保のため
「油脂製品」
「 穀 物の安 全 性 」
「食品
Consumer Goods Forum)はGFSI
の輸入規制が強化される中で、日本産
表示」
「食品添加物、香料、保存料」に
(世界食品安全イニシアティブ)を運営
関する統一技術規則が発効予定である
し、食品安全規格を統一し、フードサプ
輸出へ今後取り組まれている、もしく
ライチェーン全体のコスト効率の改善を
は関心のある企業や団体はジェトロな
(2013年6月10日時点)。
食品は有利な状況にあるともいえる。
日本食は「健康食」というイメージで
目指している。
どの情報や支援ツールなどをうまく活用
人気があり、モスクワで日本食(主にす
また日本でも、日本コカ・コーラ㈱な
しながら、新たな市場を開拓するチャン
し)を扱うレストランは600店以上あると
ど が 幹 事となって 2011 年 8 月に日本
スなのかもしれない。
いわれる。その一方、日本食材専門店
TCGFが設立された。
はモスクワ市内に3店舗、地元のスーパ
GFSIによってベンチマークとされた
ーの店頭には、みそや調味料、アルコ
FSSC22000は、国際標準化機構が策
ール飲料などが並ぶ程度である。日本
定したISO22000よりも安 全 管 理 基 準
食の潜在的な需要がある一方で、食品
が厳しいが、国内外の流通大手が取
流通はなかなか進んでいないのが実情
引先に対して取得を要請するケースが
だ。潜在的なニーズに応えるためにも
増えていることから、認証を取得する動
輸入規制や規格認証制度変更の動向
きが国内企業にも広がっているのだ。
食品と開発 VOL. 48 NO. 8
7