西松建設 技溺 VoE . 22 U. D. C.519. 6:6 27. 2:5 32. 58 3 不規則波が作用する作業台船の波浪応答 シミュレーション Nume r i c a lSi mul a t i ononI r r e g ul a rWa veRe s pons e sofaMoor edShi pf or Ma r neWor i ks 高村 浩彰 * Hi r oa kiTa k a mu r a 要 約 渡海橋 下部工 な どに代表 され る大規模 な海洋構造物 の施工 に際 し,作業台船 の係留計画 は, 施工計 画や工程管理 の蘭 ばか りで な く安全管理上か らも重要 な項 目であ る.通常 は, 波浪 な ど に代 表 される環境外 力 を定常外力 と仮定 した簡易 的 な解析手法か ら係留計 画 を立案 している. しか しなが ら,波浪お よび風 は潮流 な どに比べ時時刻刻 の変化の割合が大 きいため,現状 の解 析手法で は こゴ 1らの影響 を厳密 に反映す る こ とは薙 しい. この ような問題 を解決す るため に, ここでは,風 ,潮流お よび波浪 な どが作用す る作業台船 の動揺 を時間領域 で予測す る数値解析 手法 を開発 し,水理模型実験 の結果 と比較す ることによ り数値解析手法の妥当性 を評価 したの で報告す る. 目 次 §1.は じめに §2.理論解析 §3.水理模型実験 の概要 §4.実験結果 との比較 §5,おわ りに S l. は じめに 近年,明石海峡大橋 や東京湾横 断道路 に代表 される大 規模 の海洋構造物 が数 多 く建設 され る ようになって き た. これ らの海工事 に用い られるコンクリー トプラン ト 船, フローテ ィング ・クレー ン船お よび土運船 な どの係 留計画 は,工程管理の面 ばか りでな く安全管理上か らも 重要な項 目である.特 に, これ らの作業台船では,地形 革 技術研究所海洋技術課 条件や施工上の制約か ら係留位置お よびシンカー等 の配 置 まで も予 め決定 されている場合が多い. さらに,海象 条件が厳 しい海域では,作業台船の定常動揺量が稼働率 に直接 関係 して くる場合 もある. この ようなことか ら, 作業台船 の動揺量 な らびに係留索張力 を正確 に予測 し, 適切 な係留計画 を立案す ることは,海工事 を円滑 に進め てい く上で重要 な検討課題である. 通常 は,風 ,潮流お よび波浪 を定常外力 として取扱い, 作業台船の変位量 と係留索張力 を算定 して係留計画 を立 案 している. しか しなが ら,波浪な らびに風 は潮流 な ど に比べ時時刻刻 の変化の割合が大 きいため,現状の解析 手法ではこれ らの影響 を厳密 に反映 して応答特性 を予測 す ることは難 しい.この ような問題 を解決するため,風, 潮流お よび波浪 な どの環境外力 による作業台船の動揺 を 時間領域で予測す る数値解析手法 を開発 した. これによ って, よ り詳細 な作業台船 に作用する環境外力 を厳密 に 評価 した上で動揺特性 な らびに係留索張力の応答特性 を 9 西卒 公建設技報 VoE . 22 不規則波が作用する作業台船の波浪応答シミュレーシ ョン 予測す る こ とが可能 になる. さらに, 開発 した作 業 台船 の波 浪応答 シ ミュ レー シ ョ ン法 の妥 当性 を検証 す るため,波 浪 の入射方 向 を変化 さ せ た 3次元 的 な水理模 型実験 を実施 し,数値 シ ミュ レー シ ョン結 果 と比較 したので報告 す る. §2.理論解析 作業 台船 の変位 量x, お よび係 留索 に よる復 元力 G, の釣 合 点 を決定 す る もので あ る.す なわ ち,係 留条件 が複雑 な 場 合 ,浮体 は解析座標 の原点位 置 で係 留索 に よる復 元力 と定常 外 力 に よって釣 り合 う とは限 らない. この ため, 解析 の第 1段 階 と して は,定常外 力 ,浮体 変位 お よび係 留索 張力 の平衡点 を算 定 し,時刻歴応答計 算 の初期状態 とす る ものであ る. 〟 2- 1 基本仮定 お よび座標 系 解析 に際 し,次 の ような基本仮 定 を設 けた. ① 流体 は非粘性 ,非圧縮性 の完全流体 と し,その運動 は 非 回転 と仮定 す る.す なわ ち,速度 ポテ ンシ ャルの存 在 が保証 され る もの とす る. ② 波高 は微小 と仮 定 し,圧 力 の高次項 は無視 で きる もの とす る. ③ 浮体構 造物 に よる流体 の撹乱 は微小 と し,無 限領域 の 解析 は線形理論 の範 囲で論 じられ る もの とす る. ④ 流体 力 の算定 に際 して,流体 お よび浮体構造物 は周期 運動 す る もの と し,それぞれの定常状 態 を論 じる. ⑤ 浮体構造物 は剛体 とす る. ⑥ 係留索張力 は, カテナ リ-理論 を用 いて算定 で きる も の と し,係 留索 の動 的影響 は無視 で きる. ② 海底 面 の起伏 はな く,水 深 は一定 とす る. なお ,涜体 力 の解析 は文 献 1)に示 す手 法 を採 用 してお り,詳細 につ いて は文献 を参照 され たい. ここでの解析 に用 い た座標系 を図 - 1に示す .解 析座標 系 は,浮体重 心位 置 を原 点 と して,右 手 直交 座標 系 を採 用 してい る. さ らに,風 ,潮 流 お よび波 浪 の 入射 方 向 は XJ 軸負方 向 か ら反時計 回 りで定義す る もの とす る. 6 芸 (x"X"・・・ , X 6 ) '買cL J X J-r mn l 十F : γ 一 n d Gt Z ( 1 ) -1 , 2, ・ ・ ・ , 6) また,上武 の右辺 に定常外 力 を仮定 した波 浪荷 重 な ど を代 入す れ ば,上述 した簡易解析 モ デル となる. ① 係留索張力 2' 係 留索張 力 は,浮体重心 と係 留索 の浮体側取付 点 まで の位 置ベ ク トル を用 いて次式 の ように定義す る. (i Gl / 玩, x 2 , -, X6) --T mc o s PI G,,( x"x 2 , ・ ・ I , X6 ) -T H , S i ne. G諭 ,x2, -, X 6 ) -T v T i G ( 2 ) 4 1 玩 ,x 2, ・ I ・ , X 6 )J H, Z m, S i nP,-Tv i ym, ( x, ・ ・ ・ , X 6 ) --THL Z mi C O SPf +T v I XmE G5 ′x. ,2 X "・ I・ ,X6) -T H , ym L C OSP, -T H . XmL S i nP. I G61( x" ( i -1 , 2, -, N) T z n i 係 留索の水平張頚N) li l i 係留索の鉛直張 為 N) P, i 係留索 とxl 軸 とのなす角度( f a d) ( xがyホ L , Z 月 . ) :i 係留索の浮体取付点座標( m) 係 留索 の浮体側 取付 点座標 p(m -, Zm, )は ,静止状 態 で , ym, , , 物体 固 定 座 pて x' m , , y' , " , Z' m L ) お よび浮 の座標 p(xm, 3)- ( 5) 式 の よ うに表 示 で きる. さ らに, 体 変位 扉 こよ り( x z m E ) hy , 標 1 i U " . Z. " )と浮体側取付 点座 1 ' 係留索 の海底 面上 の設置 点A(x. 標 p( x y , , Zm , )の水 平 距 維 X,鉛 直 距 碓 Zお よびxy平 面 封ま,( 6) ∼( 8) 式 となる. の取付 角 ′ 仰 , x ,L j xm i-五 十Xi'( X -X6 yこ, ) ( 3 ) ym -完 +x 2 十( x6 Xil-ちZ こ, ) ( 令 z m,= 訂 +x, + ( x.yニ′-x,xLi) ( 5 ) x- ( 6 ) , ( xa-xm) 2 十G,a-ym)2 Z= zm - za 斑- 1 解析座標系 p - tan I 2-2 静平衡 方程 式 E t お よび潮流 ESC11,′ Z L の定常外力 , 静平衡 方程式 とは,風 p- , 1 0 yc ( 7 ) 仙 ym ( 8 ) XL 2-Xm ここで,係留索 の水平方 向並 びに鉛 直方 向の張力 は, 西松建設技報 VoL 22 不規則波が作用する作業台船の波浪応答シミュレーション 係留索の弾性条件 を考慮 した修正 カテナ リ-理論 を用い て算定す る.なお,解析 では,海底面上の索設置点か ら シンカー までの水平距離 をsl , シンカーか ら浮体側取付 点 までの水平距離 をsI , シンカーの水 中重量 をpとす る とともに,( 9 ) 式か ら( 1 2 ) 式 に示す算定式 によって分類 さ れる各a-eの状態が考 え られている. a .係留索が海底 に弛んでいる状態( x ≦xI ) b . S _ , の 一 部 が 懸 垂 線 を 措 き他 は 海 底 を は う 状 態 海水密度( kg 血】 ) g : 重力加速度( m/ s Z ) CD. : 抗力係数 4 : 投影面積( m2 ) : 潮流の流速( Ⅰ 〟S ) ㍗ ③風荷重 風荷重 については,潮流力 と同様 に各方向での風圧力 を( 1 5) 式 に従 って算定 している. ( Xt <X≦ x 2) C . S 2 は 懸 垂 線 を措 き ,s l の 一 部 が 海 底 を は う状 態 ( x2 <X≦X3 ) d.S l の 一 都 が 懸 垂 線 を 措 き他 は 海 底 を は う状 態 ( 7 ㌧1 , 2 ) 弓 βa g A ・ C D W i U1 2 0 , Fl y - ( 1 5 ) p Q : 空気密度(kg/m3) A : 投影面積(mZ) . ( X3 <X≦Xj ) U,。 L : 風速( n Js ) e.係留索全体 で懸垂線 を措 く状態( x>x4 ) C芸 蛋Z 桁2 ) 2 2 且4Z( S,+S2 )史堅蔓一 2-3 時刻歴応答解析 時刻歴応答解析では,3次元特異点分布法 によって解 x,-sI +Sz+ -2 6S 2 ( E 4 ) 2 2E 4 Z( S l +S2 ) 2BAZ一 桁荏 +S 2 ) 1 6 ) 式 に示す運動方程式 析 された流体力係数 を用 いて,( によ り作業台船の動揺 な らびに係留索張力 を算定する. 2E4 Z 拝ざ2 2-WS2 E4Z : 抗力係数 3 1 日 E 錘 が・ ( * J(i, ma i j ・ J : K, ,( t 車 ,( I) dT ‡ 3 針 筈 +S2 ) , i ,BJ( i )- u,() ) ち( t ト u ,( t 〕 ・Nv ( 1 6) X 6 ) ] 2 E 4 Z( S . +S Z ) ( ( s l +S Z ) 2 号 j Xj( t ,・蓋G"(x "x2,- , ・cl ・ ヽ.≡ 2 且4 Z-W ) W ( ( S " 2 ) 2 号 ‡ 6 ( E 4 ) Z I ( S + s Z ) 三 . 筈‡ v e l ( i )+F,waγC 2( i )+ - F , ・ wo F ( i ) , m' Te n '+F,wtnd ( Z ' -1 , 2 , ・ ・ ・ , 6 ) 2 且4 Z ( 1 2 ) : KAr #& ( k g) mL j md , ( 孤 ) : 周波数無限大での付加 質量係数 (kg) KL , ( i ) ‥ 遅延関数 ( k g / S ) : 粘性減衰係数 ( kgm/ S ) u L ( i ) : 水粒子速度( m/ S ) ' 伽 l ( i ) : 波強制力即) , m2 ( I ) : 変動波漂流力( 叩 N,, , P ; F また,係留索張力TL は次式 によって算定 している. 隼都 雷 ( i -1 , ・ ・ ・ N) ( 1 3 ) ②潮流力 1 4) 式 の ように定常外力 として評価 してい 潮流力 は,( る.ただ し,船首揺 れを除 く回転方向は,並進方向の外 力 に浮体重心 と外力の作用点間の距雅 をかけることによ り算 出 している. Fi 弓 p w g 4 , C D i V L 2 ( 7 ' -1 , 2 ) 1 4 () ① ラデ イエーシ ョン流体力 ( i ) な らびに周波数無限大での ここで用いる遅延関数Ku " ] ( ∞) は,時間領域での解析 を実施する際 付加質量係数m. に,流体力係数の周波数依存性 を考慮す るための もので ある.両者 とも時時刻刻の流体力 を単位 インパルス応答 に対す る畳 み込み積分の形で表現 した ものである.言い 換 れ ば,遅延 関数 K, , ( t )は周波数領域 での造波減衰係数 Nu (' t , )を用いて( 1 7) 式 の ように与 え られる. 三 K, , ( t )- f Nl j ( a) c o s at da ( 1 7 ) i B 西松建設技報 Vot , 22 不規則波が作用する作其台船の波浪応答シミュレーション 一方 ,周波数無 限大 で の付加 質量係数 m m,(c o) は, 周 波 数領域 での付 加 質量 恥 (a ' )と遅延 関数 K, , ( i )を用 い て ( 1 8) 式 の ように定義 で きる. 三fK L j ( t ) s i ndda ma , ( -) - m a, ( a)・ ( 1 8 ) ② 波強制力 有義波 高 HI / . 了 お よび有 義周期 Tt l L / , の Br et s chnei der-光易 型 スペ ク トル を採 用 した不規 則波 浪 の時 間変化 は , ( 1 9) 式 に よって算 定 され る.つ いで ,周波 数領域 の波 強制力 左 右揺 れ( 1 ' =2) お よび船首揺 れ( ) ' =6 ) だけ を対 象 とす る もの で あ り,( 25) 式 か ら( 27) 式 に よ り算 定 で きる. なお , こ れ らの詳細 につ いて は紙面 の都 合上省略す るが ,周波 数 領域 で算 定 された流体力係 数 と,それ らの結 果 か ら推定 ( k , ,♂)を用 い て定 した浮体 動 揺 量 に基 づ くコチ ン関数 H 常波漂流力係 数f D L t 7 , (a ) , ) が算 定 されてい る. f i f , ( a ) ) 怒 fg l H( kJ , OP ・ ( kJ , 8) ( c ose+ c o s α桓8 れ た イ ンパ ル ス応答 関数 g,(T)と( 1 9) 式 の波高 変化 か ら, e l (t ) は( 23) 式 の ように算 定 され 時 間領域 で の波 強 制力 る. F fp I H( k瀬 廉 J ) -磐 , - COSa t+Ck) ak ak ( 1 9 ) ( k ( 21 ) i / gl () m el 嘉 I ) Hi ( oil D t do] F,・Wayl̀( t ) -£ g, ( T h( i -r 桓T ( 22 ) ( 23 ) 7 7 ( i ) : 波面の時間変化 m) a) k : f i ? ( o j ) -雷 h n l fg H' ( k j , 0 ) iH(kJ,0万0 ] a2 +上 空望a 3I m 2 kJ [ 孟 H( k j , α・ 方 ) ] c o s h k , ( i ・ A ) J な ぐ 叫叫d S i q c o s h k h H( k J , C ) - n JH A e戊 J O ' 較 g D + α 町L / g a ) 真i ( 翠) ( 29 ) なお ,( 25) 求 -( 29) 式 で用 い た係 数 の説 明 は紙 面 の都 合上文献 t ) にゆず る. ④ 風荷重 風 荷 重 につ い て は ,Davenpor t 型 の スペ ク トル を用 い て風 速 の時 間変化 を求 め,静平衡 方程 式 で の潮流力並 び 角 周波数( 527 V, 比) 角周波数の刻み畷Hz ) e k ・ 0-22 の 乱数 EL a ' , ):周波数領域でのi方向波強制布叩 ? ( L D 上 ) :a・ k での波強制力の位相差 △の naPe i ( 2 6 ) ( 20 ) -0・ 3 5 3 6H"N-i/2 のk-6 ・ 3 3 T H3 ( l n芸 , ( kj0) ( s i n ,仙 〟 q ( i )芸 e + S ( 25 ) E,(帆 )に関す る伝 達 関数 HL (a ' k )を用 い て ( 22) 式 に定 義 さ : 30) 式 の ように算 に風荷 重 と同様 に各方 向で の風圧 力 を( 定 してい る. ( d( i )率 Fi W・ ' n た だ し, ' t ' よ で の伝 達 関 数 HL (C t ' よ )とは a' 太 の波 強制 力 EL (c ub )を, w A で の伝 達 関数 H( 一触 ) とは 机 にお け る波 強 制力 E, (a ' k ) の共役複素数 を示 してい る. ③ 長周期変動波漂流力 不 規則波 の ように異 なる周波数 の波が 同時 に 2つ以上 94 L CD W , U 1 2 o i(t) ( i-1 , 2 ) ( 30 ) Ul 。 ∫ ( i ): 風速( m/ S ) l 入射 す る場合 ,浮体構造物 に作 用す る流体 力 は,非線形 の涜体 力 も存在 す る こ とが知 られてい る.特 に, カテナ リ-係 留 され た浮体構造物 で は,水平方 向の固有周期 が 比較 的長 く設定 されてい るため,長周期 変動波 漂流 力 と 呼 ばれ る非線形流体 力 に同調 した運動 の発 生が予想 され る.長周期 変動 波漂流力 F,v n 、 c l ( t ) a ,Newman近似3度 用 い て( 24) 式 の ように算 定す る こ とが可 能であ る. - x ' ( o j ) 雪伽2 ( t ) 号真真U ( 24 , , , a , k ) + ( 0 ,-e k ) J l × a,ak C os t ( a なお , 定 常 波 漂 流 力 係 数 f D, ' 2 } (l t , I ) は ,前 後 揺 れ( I =1 ) , 1 2 隻3.水理模型実験の概要 実験 は,弊社技術研 究所所 有 の平面水槽 ( 長 さ25mX 帽 18mX水 深 1 . 5m) におい て,図 - 2に示 す ような矩 形 の台船 浮体模 型 に規 則 波並 び に不 規 則 波 を入射 させ て, 台船 浮体 の動揺並 び に係留索張 力 を計測 した. また,写 ダを4 50 とした時の実験状 況が ,秦-1 真 -1には入射角 ノ には浮体模 型 お よび係留索模 型 の諸元並 び に実験 条件 が 示 され てい る. なお,模 型 の縮 尺 は水槽特性 を考慮 して i / 30と し, フルー ド別 に従 って実験 を実施 した. 浮体 の動 揺 量 は, ( 秩 ) エ ムテ ック社 製 の非接 触 型変 位計 を用 いて,浮体 上面 の 3点 に取 り付 け られ た計測用 マ ー カー の変位 をccDカ メ ラで計 測 す る と ともに, チ 西松建設技報 ∨01 . 22 不規則波が作用する作業台船の波浪応答シミュレーション ジタル変換 されたマーカーの変位量 を浮体重心が原点で ある座標系 に変換 し,浮体の応答変位 を算 出 した.また, 係留索張力 は浮体底面端部 に ( 秩)ssK社製 の ロー ドセ ル ( 定格50Kgf ) を係留索模型 と共 に取 り付 けて計 測 し た.ただ し,係留索 の模型 に関 しては,水槽特性並 びに 設置水深 な どの制約 によって実機 に用 い られている もの よ りも単位長 さ当た りの重量が重い もの を用いてい る. $4.実験結果 との比較 4-1 規則波下での応答特性 写真- 1 入射角 j ダニ4 5 d e gでの実験状況 表 - 1 模型諸元お よび実験条件 模型 l 台船浮体の諸元 長 さ( L) 幅( B) 高さ( D) 吃水 ( d) 重心高さ 横揺れ慣性モ づ再 縦揺れ慣性モ ーメ 再 船首揺れ慣性モ づ再 横揺れメ タ セ ン タ ー高さ 縦揺れメタ セ ン タ ー高さ 2. 000( B l ) 0. 960( 班) 0. 200( m) 0.080( a) 0.1 0 5( a) 1 3. 51( Kg d) 56. 47( Kg m 2) 38. 00( Kg m 2) 0.805( m) 4.1 02( m) 実機 60. 0( 孤) 28.8( m) 6. 0( m) 2. 4( m) 3. 2( m) 3. 3×1 0 8( Kgm2) i . 4×1 0 9( Kg m 2 ) 9. 2×10 8( Kg m 2) 2 4. 2( m) 1 23.1( m) 係留索の諸元 5. 0, 1 0. 0( N) 初期張力( 目標) 水平索長 索単位水中重畳 係留索剛性 1 35, 270( KN) 3. 0( m) 90. 0( 孤) 2. 62,5. 6( N/也) 2. 4,4. 6( KN/m) 375,444( KN) 1. 0, 1 . 2( ×1 0 4 紙N) 水深 0, 5, 1 . 0( a) 実験条件 規則波 不規則 波 1 5, 30( 班) 周期 波高 波長 波向き 0. 69-1 . 48( S) 3. 8-8. 1( S ) 0. 0 4( a) 1. 2( n) 0, 75- 2. 78( m) 22. 4-83. 1( m) 0, 45,90( ° e g) 有義周期 有義波 高 0. 9,1 . 2( S) 0. 03, 0. 05( m) 4. 92,6. 57( S ) 0. 9, 1. 5( m) 図 - 3か ら図 - 5に,水深h=0. 5m,初期張力 T' =5. 08N として,規則波 を波入射角 ノ ダ=90degで入射 させ た場合の 浮体動揺特性 を示す.図 -3は左右揺れ を,図 -4は上 下揺れ を,図-5は横揺 れを示 してお り,縦軸 には波振 幅 ∂( =0. 02m) お よび浮体 幅 β( =2. 0m) で無次元化 され た応 答変位 を,横軸 には規則波の波周期 を採用 して整理 して いる. さらに,図中の○ は実験結果 を,実線 は周波数領 域で解析 された結果 を,破線 は時系列解析 した結果 をそ れぞれ示 している.なお,係留索 か らの復 元力 を周波数 解析 では線形で,時系列解析 では非線形で解析 してお り, 2節③ で紹介 した非線形流体 力 は考慮 さ 両手法 ともに2. れていない. 時系列解析 お よび周波数解析 ともに,実験結果 を良 く 再現 している ものの,図 -3の左右揺れ応答特性 におい ては,周波数解析 の結果 に波周期 1 , 1 s ec付近 で極小値 が 存在 している. これは,横揺 れの固有周期付近 で発生す る連成振動の影響で左右揺れが小 さ くなった もの と考 え られる. しか しなが ら,係留索 の復元力特性 をよ り現実 的に考慮 した時系列解析 では,その存在 は認 め られない ちのの,実験結果 と良好 な相関 を得ている. 図 - 6か ら図 - 11に , 水 深 h=1. 0m , 初 期 張 力 TA . 33Nとして,規則波 を波入射角 / 9=45degか ら入射 さ せ た場合の浮体動揺 ならびに T3係留索張力 の応答特性 を示す.図-6は前後揺れを,図-7は左右揺れを,図8は上下揺れ を,図 - 9は横揺 れを,図 -10は縦揺 れ を, 図 - 11は T3係留索張力 を示 してお り,前述 した図 と 同様 な物理量 を用 いて整理 されている.ただ し,周波数 領域の解析では,係留索か らの復元力 を初期設定の状態 か ら算定 して運動方程式 に代 入 しているため,係留索張 力 と して解析 結 果 を示 す こ とが で きない . そ の ため , 図 - 11の凡例 に示 した計算結果 とは,時系 列解析 に よ る結果 を示 している. 斜披(ノ ダ=45deg) が入射 した場合,横波(/ , o=90deg) の場 合 に比較 して,左右揺 れ,上下揺れお よび横揺 れの応答 特僅 は, 応答変位量が小 さ く, 特 に短周期側 で著 しく小 さ くなっている. また,図 -5と図 -9の比較か ら,横揺 1 3 西松建設技報 VoE , 22 不規則波が作用する作業台船の波浪応答 シミュレーション 1 . 0 1 . 0 0. 8 0. 8 QO, 6 も0. 6 i i Z g ギ0. 4 i Z I ギ oA 0. 2 0. 0 4 0. O. 2 0. 6 0. 8 1 . 0 1 . 2 波周期 ( s e e ) 1 . 4 1 . 6 0. 0 0. 4 0. 6 0. 8 1 . 0 1 . 2 波周期 ( s e e ) 1 . 4 1 . 6 図 - 3 左右揺 れ応答特性( ノ ブ=90deg) 潔 - 7 左右揺 れ応答特性 ( 1 ヲ=45deg) 1. 0 1 . 0 0. 8 0. 8 i Z I ギ0. 4 QO・ 6 < 01 6 0. 2 O. 2 0. 0 0, 4 図- 4 ギ oA 0. 6 0. 8 1 . 0 1. 2 波周期 ( s e e) 1. 4 1. 6 上下揺 れ応答特性(′ 夕=90deg) 0. 0 0. 4 0. 8 1 . 0 1 . 2 波周期( s e e ) 1 . 4 1 . 6 図 -8 上下揺 れ応答特性(ノ ダ=45deg) 1 4 1 4 1 2 1 2 1 0 I 忘 8 1 0 5 ≧ 8 ギ 6 ギ 6 4 4 2 2 0 0. 4 0. 6 0 0. 6 0. 8 1 . 0 1 . 2 波周期 ( s e e ) l . 4 1. 6 図- 5 横揺 れ応答特性(′ 夕=90deg) OA 0. 6 0. 8 1 , 0 1 . 2 波周期 ( ≦ e c ) 1 . 4 1 . 6 図 - 9 横揺 れ応答特性 (ノ ブ=45deg) 1 4 1. 0 2 1 0. 8 1 0 L v I I l i Z I QO. 6 忘 8 キ0. 4 ギ 6 4 0, 2 0. 0 4 0. 2 0. 6 0. 8 1 . 0 1. 2 波周期 ( s e e ) 1. 4 1. 6 0 0. 4 0. 6 0. 8 1 . 0 1 . 2 波周期 ( s e e ) 1 . 4 1 . 6 図 - 6 前後揺 れ応答特性( / ダニ45deg) 図 - 10 縦揺 れ応答特性(ノ ダ=45deg) れの固有周期が変化 していることが読み とれる.浮体の 動揺特性 は,入射波の波長 と浮体の長 さ( 幅)との関係 に 大 きく依存 している.このため,同 じ周期( 波長) の波が 入射 して も,入射角 の違 い に よってxl 軸方 向 に入射す る見かけ上の波長が変化 してお り,上述 したような入射 る見かけ上の波長が変化 してお り,上述 したような入射 角の違いによる応答特性の相違が確認で きる. 4-2 不規則波下での応答特性 図 -1 2に不規則波実験 に用 いた入射波の時系列 を水 03mお よび有義周期 探別 に示す.両図 とも,有義波高0. 14 西松建設技報 ∨OL 22 不規則波が作用する作業台船の波浪応答 シミュレーシ ョン 0. 03 ヱ0. 00 0. 03 0. 03 50. 00 0. 03 4 0. 0. 6 0. 8 1 . 0 1. 2 1 , 4 1 . 6 波周期 ( s e e ) 図 -ll T3係 留 索 張 力応 答特性 ( j 3=4 5 d e g ) 0 50 1 00 1 50 時 間( s e e ) 200 25 0 図 -12 各水 深 にお け る入射 波 の特性 et s chnei deト光易塑 スペ ク トルを再現 した もの 0. 9s ecのBr で,浮体 を設置 しない状態で浮体重心位置の計測結果で ある.縦 軸 は波高 を,横軸 は計測時間を示 している. 図 -13か ら図 -15に は,水 深 わ=0. 5m , 初 期 張 力 TF5. 08Nとして,波入射角 / , o=90de gか ら図 -1 2上側の不 規則波 を入射 させ た場合 の浮体動揺特性 を,図 -16か ら図 -2 0には,水深h=1. 0m,初期張力 TF4. 33Nとして, 波入射角 / ダニ45degか ら図 -12下側 の不規則 波 を入射 さ せた場合の浮体動揺特性 な らびにT3係留索張力応答特 性 を示す.なお,縦軸 には応答変位 を,横軸 には計測時 間を採用 して整理 している. 図 -1 3か ら,長周期変動波漂流力 を考慮 しない解析 結果 は,入射波 と同様 の周期特性で動揺 してお り,実験 結果 との相違が読み とれる.一方,実験結果 な らびに長 周期変動波漂流力 を考慮 した解析結果では,係留索 の復 元力特性 に大 きく依存す る左右揺 れの固有周期 に同調 し た応答が顕著 に発生 している. したが って,長周期変動 波漂流力の荷重 自体が小 さい場合で も,水平方向の固有 周期 に依存 した大 きな応答が発生する可能性 もあること がわか る. また,図 -16は,波 入射角が45degの場合 の 7に示す 前後揺 れ応答特性 を示 した ものであ る. 図-1 左右揺 れの応答特性 と同様 に,入射波の周期特性 ( 図12下側参照) よ りも著 しく長周期 の変動 が 出現 してい る. これ らよ り,長周期変動波漂流力 は,前後揺れお よ び左右揺れの水平方向の動揺特性 に大 きく影響す ること が明 らか となった. さ らに,図 -2 0か らT3係留索張力 は,入射波 の周 期帯 よ りも長周期側で変動 し,長周期変動波漂流力の影 響 を顕著 に受けていることが読み とれる. この ような水 平方向の同調現象 については,係留索の初期張力 をよ り 大 きく設定す ることや, よ り重 い係留索 を使用す ること な どによって,係留索の復元力 を大 きくし,浮体構造物 の 水平方向の固有周期 を短周期側 にシフ トさせ ることによ って抑制す ることが可能である. 得 られた実験結果 には,不規則波 を遷波 している時間 が比較的長いため,反射波の影響 による誤差が含 まれて 0 50 1 00 1 5 0 時間( s e e ) 200 25 0 図 -1 3 左 右揺 れ応 答柳 生( ′ ブ=9 0 d e g ) 0. 01 5 0. 00 ×-0. 01 0. 01 5 0. 00 ×-0. 01 0 50 1 00 1 5 0 時間( s c c ) 200 250 図 -1 4 上 下揺 れ応答 特性 (∫ , 9=90deg) 0 50 1 00 1 50 時間( s e e ) 200 250 図 -15 横 揺 れ応 答粋 牲(i タ=90deg) 1 5 西松建設 技朝 V ol . 22 不規則 波が作用する作業台船の波浪応答シ ミュレーシ ョン 0 0 0 0 0 0 7 6 5 7 ∠ U 5 ( ∼) [( 蝿 m 塔怒墜︹ ト( Z) n 蒜m 塔整蟹f ト 0 50 1 00 1 50 時 間( s e e ) 200 25 0 0 50 1 00 1 50 200 250 時間( s e e ) 図 -16 前後揺j t応答特性( ノ ダ=4 5 d e g ) 図 -20 T 3係留索張力応答特性( ノ ダ=45de g) いる.これによって,浮体動揺特性の結果 に若干の相違 が生 じ,特 に係留索張力 に関する解析結果は実験結果 よ りも過大 に算定 されている. しか しなが ら,長周期変動 波漂流力 を考慮 した本手法 は,作業台船の動揺量 に関す る実験結果 を比較的良 く再現 してお り,本手法の安当性 が検証で きた. 0. 0 4 且O. oo X0. 0 4 0. L H 50. 00 x0. 04 0 50 1 00 1 50 時 間( s e e ) 200 250 図-1 7 左右揺れ応答特性(/ タ=4 5 d e g ) 0. 01 且0. 00 六一 0. 01 0, 01 5 0.oo x -0 . 01 0 50 1 00 1 50 時 間( s e e ) 200 25 0 図 -18 上下揺れ応答特性( ノ ブ= 4 5 d e g ) $5. おわ りに 本手法 を適用することによって、波浪条件 と作業台船 の動揺量か ら作業可能な海象条件 を事前 に検討すること や、係留計画の変更に伴 う最大変位量ならびに最大張力 の変化 を時間領域で算定す ることがで きる.その結果, 作業台船 の稼働時 を含めた動揺量 などを厳密 に予測 し, 適切 な係留計画 を立案することが可能である. また,近年,海上空港や沖合港湾施設等 に代表 される インフラス トラクチ ャーを浮体構造物で整備 しようとす る動 きが活発化 している.本手法は,上記のような浮体 構造物の解析 にも適応が可能であ り,実際に建造 されて いる浮体構造物の詳細設計 に用い られている手法 と同等 の算定手法である. 参考文献 1 )高村浩彰,多田彰秀 :矩形浮体構造物の波浪応答 に 9号 ,pp. 9-pp. 1 6, 関する数値解析,西松建設技報第 1 1 996. 6. 2) 庄司邦明 :係留浮体 の運動 と係留索張力 に関す る研 38 号 ,pp. 233-pp. 2 46, 究, 日本造船学会論文集,第 1 1 9 75. 0 50 1 00 1 50 時間( s e e ) 200 250 図 -19 横揺れ応答特性( / ダニ45de g) 1 6 3)Ne wma nj .N.' .TheDr i f tFo r c ea n dMo me ntonShi pi n ・ 11,No圭 p p. 51Wa ve s ,J ou r na lo fSi pRe s e a r c hVo l p p. 60,1 967.
© Copyright 2024 Paperzz