アジアクラブ通信

2015 年 12 月配信 【第 48 号】
名銀「アジアビジネスクラブ」
アジアクラブ通信
― CONTENTS (第 48 号) ―
○ トピックス
【タイ】自動車物品税の改定について
○ 次号のトピックス予告
次回は、ベトナムからの現地情報をご紹介する予定です
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自動車物品税の改定について
2016 年 1 月 1 日に、タイの自動車物品税が改定されます。今回はその改定内容についてご紹介いたし
ます。
まず物品税とは、商品およびサービスに対して課税される税金です。課税品目は、
「石油製品・非アルコール飲料・電気製品(空調機器、鉛クリスタルガラスのシャンデリア)
・香水・鉛
クリスタル製品・乗用車・定員 10 人以下の公共交通用自動車・4 トンを超えない G.V.W.トラック(ピッ
クアップ)
・自動二輪車・ヨット・ウールのカーペット・バッテリー・加工された大理石および御影石・
ナイトクラブ、ディスコの売上・浴場(バスまたはサウナ)およびマッサージ施設の売上・競馬場での
馬券収入・宝くじ・遊戯用カード・ゴルフ場のサービス料、会員権収入、固定電話、携帯電話による国
内外の売上など」が該当します。
自動車物品税は、日本と同様に排気量に
よって税率が変わりますが、車種によって
課税率が違うのが特徴です(表 1 参照)
。
今回の自動車物品税の改定では、エコカ
ーを除くすべての車種で税率が上昇されま
す。一般向けのセダンやSUVは、5-10%
増と軒並み高く、業務用として使われるこ
とが多いピックアップトラックやSUT
(スポーツユーティリティトラック)が比
較的低く設定されています。
今回の税制改定の目的は、税収効果はもちろんですが、環境に配慮したエコカーの普及が目的です。
タイ投資委員会(BOI)の新恩恵にもあるように、タイは今後、製造業の競争力強化を目標に掲げ、
付加価値の高い製品を世界に送り出すことを目指しています。そこで、現在タイが推し進めているのが
「EV自動車」の普及です。エネルギー省の役人は、2036 年までにEV自動車を 120 万台に増やしたい
と意気込んでいます。
自動車物品税の増税をにらみ、2015 年 12 月 2 日から 2015 年 12 月 13 日までタイ国際モーターエキ
スポ「THE 32ad THAILAND INTERNATIONAL MOTOR EXPO 2015」が開催されました。各メーカ
ーがゼロ金利ローンや無料の自動車保険などの販促プロモーションを大々的に展開し、駆け込み需要の
取り込みを図りました。モーターエキスポ開催前の自動車の予約販売台数の目標は、前年比+18%増の 5
万台が見込まれていましたが、実際の予約台数は四輪・二輪車を合わせて計 44,874 台でした。前回実績
の 44,972 台に比べ 0.2%減とほぼ横ばいの結果となりました。
主催者の集計によると、予約台数の内訳は、四輪車が 39,125 台に留まり、前回の 42,254 台から減少。
二輪車は 5,749 台で、前回の 2 倍強となりました。予約台数の上位 5 社はトヨタ 5,975 台、ホンダ 4,864
台、マツダ 4,542 台、いすゞ4,348 台、日産 3,617 台でした。四輪車予約台数のうち、スポーツ多目的車
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(SUV)が全体の 31%となり、前回の 15%から大幅に拡大しました。これは来年1月から導入される
自動車新税制で増税となることにより、SUVの値上げ幅が大きいため、年内の駆け込み需要が出てい
るからです。一方、セダンの予約は全体の 44%と前回の 50%から縮小、ピックアップトラックは 17%
(前回は 15%)
、その他は 8%でした。二輪車の予約台数は、大型バイクの人気上昇で大幅に増加しまし
た。
期間中の予約台数が目標の 5 万台を達成できなかったことについて、主催者は、メーカー各社が来年
の値上げを控えた需要増に応じて、モーターエキスポ開催前から販促キャンペーンを行っていることが
要因だと指摘しています。
政府(物品税局)は、来年 2016 年の国内販売台数を 80 万台、輸出台数を 120 万台の合計 200 万台と
予測し、2013 年度以来 2 年ぶりに 200 万台を回復すると発表しています。しかしながら、自動車メーカ
ーの話では「来年の販売台数は、良くても 70~75 万台の見通し」との予想がされており、また、サプラ
イヤー等からは、来年は今年よりも生産台数も販売台数も大幅に減少するだろうとの声が聞こえてきて
います。来年のタイの自動車業界は厳しい情勢となる見通しです。
<参考>
タイにおける自動車生産台数・国内販売台数・輸出台数の推移
出所:タイ工業連盟
名古屋銀行 法人営業部 タイ駐在
宮川 潤
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