実践的な態度を育てる学級活動の在り方

小学校における自主的、実践的な態度を育てる学級活動の在り方
− 年間計画の作成を通して −
1
研究の意図
長門市立深川小学校
教諭
原
田
健一郎
岩国市立杭名小学校
教諭
岩
崎
克
下関市立一の宮小学校
教諭
三
井
宇部市立恩田小学校
教諭
光
森
彦
清
英
子
実践的な活動を助長、充実することは大切な
近年、国際化、高齢化・少子化等社会環境
ことである。本研究では、教師主導の指導に
が大きく変化する中で、21 世紀を拓き築く子
なりやすい健全な生活習慣を身に付けること
どもたちに対して、互いを認め合い共に生き
への自主的、実践的な態度を育てていくため
ていく態度や、自他の生命や人権を尊重する
に、望ましい集団活動を実現する学級活動の
心などの豊かな人間性や社会性の育成が求め
在り方を探っていく。望ましい集団活動を通
られている。しかし、子どもたちの生活には、
して、これらの態度を育てていくことは、日
ゆとりが見られず、生活体験や自然体験の著
常生活に即した生活習慣を身に付けていくこ
しい不足、社会性の不足、規範意識の低下、
とが可能になるとともに、よりよい人間関係
自立の遅れ、健康問題や体力・運動能力の低
を築いていくことにも役に立つと考える。
下等が見られる。
具体的には、学級活動の中で学級の実態や
また、いじめや不登校問題等の生徒指導上
個々の子どもの実態に応じた内容を扱ったり、
の諸問題が年々深刻化してきている。生徒指
子どもによる自主的な話し合いの活動を取り
導上の問題の多くは人間関係の問題がからん
入れ、問題を解決していったりする。また、
でおり、望ましい人間関係の育成に関わる指
特別活動の目標とする自主的、実践的な態度
導事項が多い特別活動の重要性は一層高まっ
を育てるには、学級活動において、年間の活
ていると考えられる。
動の流れを踏まえた活動のねらいを設定し
特別活動の中でも、学級活動では、望まし
行っていかなければ成果に結びつかない。し
い集団活動を通して、好ましい人間関係の醸
たがって、6年間を通じた計画的・系統的な
成、社会生活上のルールの習得、協力してよ
指導をしていくことが必要になると考える。
りよい生活を築こうとする自主的、実践的な
しかし、学級活動を実際に行うに当たっては
態度を育てることが求められている。さらに、
以下のような課題がある。
子どもたちが学校生活に充実感を抱く上でも、
・授業展開が単調になりやすいため、自主
学級活動が重要な機能を果たしている。
的、実践的な態度を育てにくい。
小学校において、児童の学校生活は、その
・子どもたちに十分活動させるための時間
大部分が学級という集団を基盤にして展開さ
確保ができない。
れている。学級は子どもたちにとって、学習
・指導計画が十分でないため、計画的な指
する場であるとともに生活する場であり、学
導ができにくい。
校生活の基盤ともなる大切な場である。その
・学級の実態に応じた指導の重点化が図ら
ような学級の中で、望ましい集団活動を通し
れていない。
て学級や学校の生活の充実と向上を図るとと
もに、健全な生活態度を身に付ける自主的、
このことから、以下の2点を研究していく
ことにした。
- 309 -
2
・教員主導の指導になりやすい学級活動の
研究の内容
(1) 自主的、実践的な態度に対する基本的な
活動内容(2)「日常の生活や学習への
適応及び健康や安全に関すること」(表
考え方
1)を中心に、自主的、実践的な態度を
特別活動の指導においては,子どもの自発
はぐくむための支援の在り方を探る。
的、自治的な活動を一層重視し、好ましい人
・自主的、実践的な態度をはぐくむための
間関係の醸成や社会生活上のルールの習得,
計画的・系統的な指導を行うことができ
集団の一員としてよりよい生活を築こうとす
る年間計画を作成する。
る自主的、実践的な態度を育てることが求め
られている。
表1
学級活動(2)の指導内容
学級活動における自主的、実践的な態度と
指導内容例
は、子ども自身が、自ら見つけた生活上の問
・学校生活への希望や願い
題を自分たちの力で、解決していこうとする
指導事項
日常生活での目標設定・
態度ととらえた。
学校生活への適応に関す
この自主的、実践的な態度を育てるには、
をもって生き
る内容・集団への適応に
子ども自身が、興味や関心、取組への意欲が
る態度の形成
関する内容
もてる活動の中で、子ども自身が問題点に気
(ア)希望や目標
・自己を見つめる内容・意
づき、問題を解決していく経験を積むことが
欲的計画的な学習態度の
必要である。この経験を積み重ねることによっ
て、子どもは、学級内における集団の一員と
形成に関する内容
(イ)基本的な生
活習慣の形成
・基本的な生活習慣にかか
わる問題
(ウ)望ましい人
・様々な人間関係を経験さ
間関係の育成
(エ)学校図書館
の利用
(オ)心身ともに
せること
した問題解決能力、希望や目標をもち自己を
生かして主体的に生活や学習に取り組む態度
などを身に付けることができると考えられる。
(2) 学級活動の特性
・図書館の仕組みの理解や
学級活動のねらいは、小学校学習指導要領
利用の仕方に関する実践
解説特別活動編で、「児童が自分たちの学級
や学校の生活の充実と向上を目指して、学級
・保健指導
内の組織作りや仕事の分担処理、解決方法に
健康で安全な ・安全指導
ついて話し合う活動など学級生活に関する諸
生活態度の形
問題の解決を自主的に行うとともに、生活や
成
(カ)学校給食と
しての所属感、学級生活の充実と向上を目指
学習への適応や健康や安全な生活など心身の
健康を増進し、健全な生活態度を身に付ける
・望ましい食習慣の形成
望ましい食習 ・食事を通して好ましい人
活動を通して、集団の一員として自覚を深め
慣の形成
協力してよりよい生活を築こうとする自主的、
(キ)その他
間関係の育成を図る。
実践的な態度を育てる。」*1 と示されている。
・日常の道徳性の指導
・学校行事の事前事後指導
・国民の休日や長期休業日
の事前・事後指導等
このねらいに示された「学級内の組織作り
や仕事の分担処理」「学校生活に関する諸問
題の解決を自主的に行う」「生活や学習への
適応、健全な生活態度」などは、他の教育活
動では容易に得られない教育的価値を実現す
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る場としての学級活動の特質を述べたもので
以下、それぞれの手立てに対する基本的な
ある。このことから、学級活動の特性として
考え方について説明する。
次の3点について教員自身が認識し、子ども
(ア) 「①子どもにとって身近なテーマ・教材
の学習活動を子ども主体の活動として展開し
等の提示」
ていくことが必要である。
学級活動の活動内容(2)は、日常生活や
・学校生活の基盤となる教員と子ども及び
学習へ適応していくことや、健康や安全に関
子ども相互の温かい人間関係を形成し、
する内容である。教員は、これらの内容を日
学校における子どもの居場所をつくるこ
常生活の中で必要な身に付けておくべきこと
とや所属感を高めることができるという
と考えてしまいがちである。そのため、教員
こと
から子どもたちへの一方的な指導に陥りやす
・特別活動のねらいを達成するために不可
くなってしまう。
欠な子どもの生活に密着した切実な願い
が出されやすいということ
ここで重要なことは、子どもにとってそこ
で培う態度や習慣が、日常生活で必然性をと
・教科・道徳・総合的な学習の時間との関
連が図りやすいということ
もなったものとしてとらえられるように支援
していくことである。
(3) 学級活動の実践に当たって留意する点
そのためには、子どもの日常生活の中にあ
学級活動は、生徒指導の中核と言われてい
る様々な事象の中に子どもが問題点を見いだ
る。その実践に当たっては、次のことに留意
していくことが求められる。それが、自主的、
することが必要である。
実践的な態度の習得につながると考える。
・学級の実態や子どもの発達段階に応じ子
以上のことから、子どもにとって身近なテー
どもが直面している諸課題の内容を十分
マや教材を提示していくことが必要である。
に検討し、活動内容の重点化を図る。
(イ) 「②体験的な活動の設定」
・扱う内容は、他学年との重複や発達の程
度を考慮して決定する。
学級活動の活動内容(2)で求められてい
る望ましい態度や習慣への認識は、個々の子
・子どもの自主的な活動を助長するため、
学級内の児童ができるだけ役割を分担し
どもの生活環境や経験の違いによって大きく
異なるものである。
ながら話し合い活動を運営していくよう
援助する。
態度や習慣を形成していくためには、これま
・活動への教員による助言は、必要に応じ
て適切に行う。
でと同様に体験的な活動を経験していくこと
で、よりよい態度や習慣のよさを実感してい
(4) 授業研究
ア
したがって、子どもたちにとって望ましい
くことが求められる。
自主的、実践的な態度を育てる支援
学級内における体験的な活動は、家庭での
自主的、実践的な態度を育てる支援として、
次の①∼④の手だてを考えた。
体験的な活動とは異なり、多様な態度や習慣
にも出会える場である。
他者の態度や習慣のよさを感じることで、
①子どもにとって身近なテーマ・教材等の
提示
これまでの自分自身の態度や習慣を振り返り
②体験的な活動の設定
ながら、これからの自己の生き方を見つけて
③地域や家庭との連携
いくことができると考える。
④指導体制の充実
(ウ) 「③地域や家庭との連携」
子どもたちの態度や習慣はこれまでの生活
- 311 -
経験の中で形成されてきたことである。その
授業を行うことが多かった。以前、
「病気の予
形成に影響を与えてきたのは、子どもの生活
防」についての授業を行ったとき、子どもた
の場である家庭や地域である。中でも、家庭
ちの多くが大変興味をもち、たくさんの質問
の影響は特に大きいので、連携は非常に重要
を出した。しかし、担任の知識を超える質問
になる。
が出され、対応しきれないことがあった。
しかし、各家庭にはそれぞれ異なった生活
小学校では担任による授業が多いため、時
習慣や事情があり、正しいことだからといっ
に担任以外の指導者が授業を行うことで、大
て押し付けるわけにはいかない。ここで大切
変意欲的に学習に参加でき、子どもにとって
になることは、学級活動で行う内容や行った
印象深い活動となることがある。
内容について各家庭へ連絡し、そのことにつ
さらに、指導者がある分野の専門的な知識
いて家族で考えてもらうきっかけを作ってい
をもっている場合は、望ましい態度や習慣の
くことである。
形成がより深く行われていくと考えられる。
すべての家庭での実現は困難であっても、
以上のことから、担任以外の指導者による
家族で考えたり、実際に新たなことを体験し
直接指導の機会を設定することは、有効な支
てみたりしたことが授業の中で紹介され、各
援になると考えた。
家庭へ広まっていくことも考えられる。図1
イ
は、学級活動における子どもの様子を各家庭
に伝える文書である。
授業実践による支援の検証
これらの①∼④の支援の有効性を検証する
ため、長門市立深川小学校第6学年において、
学級活動「全校の給食の献立を考えよう!」
の授業実践を行った。
(ア) 指導案
a
単元について
本学級の児童は、個性豊かで多様な優れた
面をもっていると感じるが、集団活動の中で
は自己主張が弱くなってしまう者が多い。高
学年になり、様々な行事を経験することを通
して、少しずつ協力してよりよい生活を築こ
図1
うとする態度も育ちつつある。
学習の様子を家庭へ伝える文書
最終的なねらいとして、学級活動で学習し
「食習慣」にかかわる実態として特に気に
た態度や習慣を生活化していくためには、家
なるのは「偏食」である。子どもたちは「偏
庭に学校の様子を伝えていくことは、非常に
食」が健康的な生活を送っていく上で望まし
重要なことと考える。
くないということは知っている。しかし、摂
また、子どもたちの態度や習慣の形成は、
取する食品のバランスが極端に偏っている食
生活する地域から受ける影響も大きい。地域
習慣の現状がある。本来「食」は個別のもの
の人々との交流、地域素材の活用、地域への
であるが、生涯にわたって健康的な生活を送っ
情報発信などを通し、地域の一員としての自
ていくために最低限必要な知識や態度は身に
覚をもって生活していくための態度や習慣を
付けさせておく必要があると考える。
形成していくことが必要だと考える。
「食」は「人」を「良」くするという文字
(エ) 「④指導体制の充実」
通り、その人全体にかかわるものととらえる。
学級活動の時間は、これまで、担任一人で
しかしながら、子どもたちの「食」に関する
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現状は、
「生活習慣病の増加」、
「偏食」、
「孤食」
体的に身に付けていくことができるよう
等、数多くの問題を抱えている。そのため、
にする。
新学習指導要領において新たに食習慣の形成
b
に関する事項を指導するようになった。
目標
友だちと協力して全校の給食の献立を考え、
したがって、本研究において、特に重点的
つくっていく活動を通して、給食をつくって
に指導すべき、食に関する授業を行い、その
下さる方々の気持ちを感じとり、好き嫌いな
プランを示すことは意味があることだと考え
く食事をとろうとする自主的、実践的な態度
る。
を育てる。
指導にあたっては次の視点から支援を行う。
(イ) 授業の様子
【子どもにとって身近なテーマ・教材を扱う
こと】…①
単元の導入時に、担任が昨年度の6年生が
考えた献立による給食の写真を提示した。
・給食の献立を考える活動を提案すること
子どもたちに、この給食が特別な給食であ
で、子ども一人一人が願いをもち、この
ることを伝え、どのように特別な給食なのか
学習活動に主体的に参加できるようにす
を考えさせた。おいしそうな写真を見て子ど
る。
もたちの表情は和らいだが、それだけで、ど
・家庭科や保健との関連を図ることによっ
て子どもにとってより身近に感じさせ、
んな給食であるのかを想像することは困難で
あった(図2)。
子どもが偏食をなくし、健康的な生活を
送るための自主的、実践的な態度をより
効果的に身に付けることができるように
する。
【体験的な活動の設定】…②
・給食の献立を考える活動を経験すること
を通して、食事を提供する者の立場に立
ち、好き嫌いをしないように食べること
や給食の残量に目を向け、残さず食べよ
うとする気持ちがもてるようにする。
図2
【地域や家庭との連携】…③
献立を考える活動の提案の様子
・学級通信等により学習の様子をお知らせ
その後、担任から、栄養士以外が考えた献
することで、献立づくりで培った経験を
立というヒントをもらったことで、子どもた
家庭生活においても発揮できるようにす
ちはすぐに、昨年度の6年生が考えた献立だ
る。
ということがわかった。
・料理に使う材料として、地域の特産物等
担任から、これから全校の給食の献立を考
も取り入れていくことを紹介することに
えていく学習をしていくことを知らされた子
より、地域のよさを見つめなおすことが
どもたちは、大変興味・関心をもった様子で
できるようにする。
あった。
【指導体制の充実】…④
次に、どんな料理を食べたいと思うか、一
・学校栄養士と連携して指導に当たること
人3枚ずつのカードに記入していった
(図3)。
や、家庭科の学習との関連をはかること
子どもたちは、自分が給食の中で食べたい献
で、栄養に関するより専門的な知識も主
立を次々に書いていった。中には、三つの料
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理を組み合わせ、一食分の献立を考えた子ど
いることに驚いていた(図4)。
ももいた。
図4
図3
食べたい料理を考える活動の様子
栄養士から献立を立てるポイントの提示
この後、実際の献立を完成させることは、
全員のカードを黒板に掲示し、献立づくり
家庭科の学習で行うことを伝えられ、まとめ
のポイントを整理していくため、それぞれの
として感想を記入した。
料理を組み合わせ、学級全体で献立を考える
(ウ) 学習後の子どもたちの感想
活動を行った。
学習後に本時の感想を書く時間を設定した。
最初に担任が、意図的にラーメンとチャー
これは、今後家庭科の学習で献立を考えると
ハンと焼きそばを、同じ献立に入れることを
きに、本時で得た思いを想起しながら学習に
提案した。すると、子どもたちから「おかし
取り組めるようにするためである。その一部
い」「そんなに食べられない」「麺類が多い」
が資料1の通りである。
などの意見が発表された。
資料1
次に、子どもの意見をもとに、献立を考え
る活動を行ったが、それぞれの料理に対する
好みの違いから、一つの献立としてまとめる
ことは難しかった。そこで、献立を考えると
きに必要な条件を全員で考えることになった。
子どもたちから出された意見は、
「 栄養のバ
ランスをとること」と「同じようなものがた
くさん重ならないようにすること」の2点で
あった。
ここで、Aさんから「栄養士の先生に、ど
んなことに気をつけて献立を考えているのか
を質問してみようよ」という意見が出された。
そして、栄養士から子どもたちが考えていた
ことに加え、「組み合わせ」「季節感を取り入
れること」「地元の産物の利用」「金銭面」等
の献立を考えるポイントを聞くことができた。
これを聞いた子どもたちは、こんなにたく
さんのポイントを踏まえて献立が考えられて
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学習後の感想の一部
【献立づくりに意欲的に取り組もうとす
る感想】
・給食の献立を考えるのはすごく大変な
ことだった。栄養のバランスや季節の
ものも入れたりして私は初めて知りま
した。地域のものがあるとは気づいて
もいませんでした。
【自分の食習慣を振り返っている感想】
・一回の給食でもこんなにたくさんのこ
とを考えて作っているとは思わなかっ
た。6年1組は残飯が多いということ
を考えたらもっとちゃんと給食を食べ
ようと思った。
【献立を考える大変さを感じている感想】
・献立を作るときいろいろなことを考え
ながら作っている新山先生がすごいと
思った。「栄養のバランス」「同じよう
なものが重ならない」
「組み合わせ」こ
の3つのことを考えながら献立をつく
るのは難しそう。
感想には、献立づくりに意欲的に取り組も
(イ) 「②体験的な活動の設定」
うとするものや、反対に献立づくりを大変そ
献立づくりの体験的な活動を設定したこと
うだと感じ、これからの活動に消極的なもの
で、子どもたちは楽しみながら活動に取り組
も見られた。
んだ。それと同時に、友達と献立を考えた理
また、本時の学習における、栄養士の助言
由を紹介し合うことで、献立には自分たちの
から、自分たちの給食の献立を決めるのに、
成長を考えた様々な工夫がなされていること
自分たちの健康や成長を考えてくれているこ
に気づくことができた。
とに気づき、自分のこれまでの食習慣を改め
たいと考えている感想も多く見られた。
また、活動過程において、教員からの適切
な助言により、自分の食習慣を振り返るきっ
また、調理員や栄養士にあてた日ごろの給
食に対する感謝の気持ちを表現した手紙も寄
かけとなったと考える。
(ウ) 「③地域や家庭との連携」
せられた(資料2)。
資料2
学級通信で依頼した保護者の献立づくりに
関する助言により、数名の子どもが各家庭の
調理員にあてた手紙
工夫点を生かしながら活動に取り組むことが
いつも給食を作ってくれて、ありがとう
できた。
ございます。でも、6年1組は残す量が多
それにより、自分の献立という思いを強く
く、食べる量が少ないので、ぼくはとても
し、積極的に献立づくりに取り組むことがで
残念です。
きた。
給食の先生は、いつも朝から昼まで、ほ
また、それを知った子どもたちは、自分の
とんど休まずに作っておられます。何百人
家庭での食事に対しても、どのような工夫が
の残飯が多く残っていると、後片付けも大
なされているのかを改めて見直すきっかけと
変だと思います。
なったのではないかと考える。
6年間の中で、先生方は、「残さず食べ
今後、各家庭に学校の取組を理解してもら
んとだめです。」と言っておられました。
い、より多くの家庭と連携が図れるように工
世の中には、食べ物が食べられない人もい
夫をしていくことが本授業実践の課題である。
ると家の人にも言われます。ぼくは、すぐ
また、地域の特産物を材料に取り入れてい
おなかがへるので、その大変さがよく分か
くことを例として紹介したことで、材料に地
ります。とても大変ですが、これからもお
域の特産物を積極的に取り入れようとして、
いしい給食をつくってください。
ウ
どのようなものがあるか調べる子どももいた。
(エ) 「④指導体制の充実」
支援の考察
学校栄養士による献立づくりに関する指導
各支援において、次の効果が見られた。
(ア) 「①子どもにとって身近なテーマ・教材
により、子どもたちは学校給食の献立を考え
ることの大変さを知ることができた。
等の提示」
献立を考えるというテーマを提示したこと
その結果、全校の給食の献立を考えていく
は、これまでの食事に対する与えられるだけ
ことが、全校の子どもたちの成長に大きくか
の受動的なかかわりとは異なった、主体的な
かわる責任の重い活動であることを感じ取る
かかわりをもたせることができた。
ことができた。
その結果、食事を提供する側の思いを実感
このことにより、好みだけでは決められな
することができ、自分の食習慣を見直すこと
い、様々なポイントを踏まえた献立を考えよ
にもつながっていったのではないかと考える。
うとしていた。
- 315 -
エ
他教科との関連
第1次
(ア) 他教科との関連に対する基本的な考え方
学級活動「全校の給食の献立
を考えよう」(1時間)
本単元の内容は、家庭科の「楽しい食事を
・栄養士の先生に教えていただいたことに気
をつけて、献立を考えていくぞ。
・栄養について、もう一度学習し直した方が
よさそうだ。
・どんな味なのか自分たちでも作って食べて
みたいな。
しよう」と3学期に計画している学級活動と
保健の「偏食と健康」と横断的にかかわった
内容ととらえて計画した。
図5は、学級活動において作成した献立に
したがって、家庭科の時間に実際に調理して
いるところである。
第2次
家庭科「楽しい食事を工夫
しよう」(12 時間)
・献立が完成したぞ。全校のみんなに喜んで
食べて欲しいな。
・給食の献立を考えることは、こんなに大変
なことなのだな。
・今まで、自分は給食を残すことが多かった
のだけれど、悪かったな。
図5
考えた料理を実際に調理してみる子ども
これらの単元を、子どもの意識の中でつな
がるように構成していくことで、よりよい食
第3次
習慣の形成を図ることができると考えたから
学級活動+保健「偏食と健
康」(1時間)
である。本単元の学習活動は、家庭科で学ぶ
・ 最近自分は、好き嫌いが減ってきたな。
・ 好き嫌いをしないと、健康的な生活が送ら
れるのだな。
べき内容も多く含んでいる。本単元を横断的
に構成したことによって、学級活動は学級活
動だけの内容で、家庭科は家庭科だけの内容
で構成されていない。
図6
このことは、学級活動は家庭科の学習への
本単元における他教科との関連図
(イ) 他教科との関連の実際
動機付けの役割を果たし、家庭科は本単元で
第2次の献立づくりにおいては、家庭科の
目指した、望ましい態度や習慣をより確かに
学習内容である
「日常の食事に関心をもって、
形成していく役割を果たすという相互補完を
調和のよい食事のとり方がわかるようにする」
している。このような単元構成を図ることで、
の習得が、全校の子どもたちの成長を考える
子どもが必然性を感じながら、学級活動と家
という明確な目的意識によって支えられたこ
庭科の学習内容を習得していくと考える。
とで、一層深まったと考えられる。
このように、教科等の領域を超えて実際の
また、一部の料理については、実際に調理
生活に即した形で学習過程を構成していくこ
して確かめながら献立を考えることで、より
とが、子どもに自主的、実践的な態度を確か
食事に対する思い入れが深まった。
に育てていくのではないだろうか。本単元に
このことも、食事を提供する側の思いを実
おける、他教科との関連は図6の通りである。
感し、自己の食習慣を振り返るきっかけになっ
たと考える。
- 316 -
図7は、家庭科の学習において子どもが作
ことが大切だと考える。
成した献立表である。
したがって、学習したことを学級内にとど
めるのではなく、それを生かした実践や交流
ができる場を設定していくことも必要になる
と考える。
図8
6年 生が考えた献立を食べる1年生
(5) 計画的・系統的な指導を行うことができ
る年間計画の作成
学級活動の活動内容(2)
「日常の生活や学
習 への適応及び健康や安全に関すること」に
ついて、指導内容を網羅した一覧表を作成し
た。この一覧表は、学級活動の活動内容(2)
に関する内容をデータベース化したものであ
図7
オ
子どもが作成した献立表
る。一覧表の作成においては、Microsoft Excel
全校の子どもたちへの教育効果
を用いた。
長門市立深川小学校では、数年前から、子
どもが考えた献立を、学校給食へ取り入れる
取組を行っている。
作成にあた っては、教員が活用しやすいよ
う に次の点に留意した。
ア
今回の実践においても、全校の給食を考え
るという活動の提案が行われた時に、子ども
たちがすぐに意欲的に取り組もうとしたこと
は、これまでの6年生の取組によって、自分
学級活動の活動内 容(2)
「日常の生活や学
習 への適応及び健康や安全に関すること」は、
表1に示したように七つの指導事項から構成
されている。
も考えてみたいという思いをもっていたから
だと考えられる。実際に下学年の学級で、6
年生が考えた献立だと聞いたことで、最後ま
内容別の構成
各指導事項に おける具体的な内容例は以下
の 通りである。
(ア) 希望や目標を もって生きる態度の育成
で残さず食べようとする子どもがいたそうで
・学校生活への適応・集団への適応・自己
ある(図8)。
を見つめる内容・余暇活用・日常生活で
学級活動の内容は、学級活動の時間がきっ
かけとなって、学級活動以外の時間に影響を
の目標の設定等
(イ) 基本的な生活習慣 の形成
与えていくことで、少しずつ個々の子どもの
態度や習慣に変化が見られるようにしていく
- 317 -
・掃除・あいさつ・返事・学 習習慣・整理
整頓・言葉づかい等
て、知りたい学年に関する情報を調べやすく
(ウ) 望ましい人間関係の育 成
なると考える。図 10 は、4年生に関する指導
・学級の友達・家族・上級生 と下級生等
内容一覧表の一部である。
(エ) 学校図書館の利用
・図書館の利用の仕方 ・図書館の仕組み・
本の選び方等
(オ) 心身ともに健康 で安全な生活態度の形成
・交通安全・病気の予防・日常の生活にお
主題名
ける安全・心身の健康を高める生活等
(カ) 学校給食と望ましい食習慣の形成
みんなよろしく
・勤労と感謝・健康によい食事のとり 方等
学級目標を決めよう
(キ) その他の内容
・貯蓄・環境美化 ・学校行事等
新学年になって
学年 月
目 標
展 開 例
○学級、学校の一員であることを学び、友達や担 1 自分の名前や好きなことなどをみんなの前で発表させ、自分
任のことを知り楽しく学校生活を送られるように のことを紹介する。
全 4 する。
2 クラスの友達の紹介を聞く。
3 自己紹介・似顔絵をプリントに書く。
○クラス全員で学級目標を考え学級全体の連帯 1 どのようなクラスにしたいかクラスの願いを発表する。
2 クラスの願いを集約し、クラスの目標とする。
全 4 感を高めることができる。
3 学級目標の掲示を飾ることができる似顔絵等をかく。
○新しい学年への希望や目標を考えさせること 1 新しい学年になり、自分ががんばりたいことややってみたいこ
により、新学年を意欲的に過ごそうという心構え とを考える。
2∼5 4 をもつことができる。
2掲示用の紙に書く。
これらの指導事項ごとに表を作り 、同じ内
容 に関する一覧表を作成した。指導事項ごと
に全部で七つの表となった。同じ指導事項ご
図 10
ウ
4年生に関する一覧表の一部
展 開例の掲載
とに分割しておくことによって、教員の意図
一覧表には、指導 内容・主題名・目標を加
に応じた指導内容を探しやすくなると思われ
え、授業の概要について教員がわかりやすい
る。
ようにした。
また、授業の 展開例についても併せて掲載
図9 は、
「希望や目標をもって生きる態度の
し た。教員は、展開例の欄から、授業の進め
育 成」に関する一覧表の一部である。
方に関する情報を得られ、授業のねらいに沿っ
指導事項
指導内容
主題名
学年 月
た適切な指導を行うことができる。
図 11 は、「学校給食と望ましい食習 慣の形
(ア)希望や目標 学校生活への適応
新学年になって
2∼5 4
成 」に関する展開例の一部である。
展開例
(ア)希望や目標 集団への適応
高学年として
高 4
(ア)希望や目標 学校生活への希望や願い
運動会を盛り上げる
工夫をしよう
高 9
図9
イ
指導内容一覧表の一部
学年別 の構成
1年生から6年生 までにおける学年別の指
導 内容一覧表についても作成した。各学年の
一覧表には、学級活動の活動内容(2)
「日常
の生活や学習への適応及び健康や安全に関す
ること」に関する七つの指導事項が掲載され
1 調理員さんの大変な仕事について考え、発表する。
2 調理員さんがどんな仕事をしているか、VTRと見学から知る。
3 給食の食べ方や後始末の様子を振り返り、調理員さんのため
にできることを話し合う。
4 実際に調理員さんが喜ぶような、食べ方や後片付けをする。
5 調理員さんのお話を聞く。
1 毎日給食になぜ牛乳が出てくるのかを考え発表する。
2 牛乳にはカルシウムがたくさん含まれていることを知り、その
働きについて知る。
3 牛乳とオレンジジュースのカルシウム含有量を比較する。
4 腹話術人形を登場させ牛乳が美味しく成長に大切な飲み物で
あることに気づく。
1 入学してからの体の成長を話し合う。
2 給食の食材を分類する。
3 食べ物の好き嫌いの実態を知る。
4 好き嫌いをなくしたい体験を発表する。
5 今後がんばることを発表する。
ている。学年別に指導内容一覧表を分割する
ことによって、教員が学級活動の内容に関し
- 318 -
図 11
展開例の掲載
の意図に応じた年間計画の作成が求められる。
エ
効果的な支援の掲載
既に作成されている年間計画においても子ど
本研究の授業実践で学級 活動に関する四つ
の 支援の有効性が明らかになった。
もの実態に応じて修正を加えていくこと、つ
まり、年間計画の学級化が必要とされる。
そこで、学級活動における各指導内 容にお
い て、身近なテーマ・教材の提示、体験的な
学級活動の内容(2)指導内容一覧表
活動の設定等、自主的、実践的な態度を育て
指導内容1 指導内容2 指導内容3 ・・・
るために有効だと考える四つの支援を必要に
選択して
貼り付け
応じて掲載した。
これらの支援を行 うことによって、自主的
実 践的な態度を子どもに育てることができる
と考えるからである。
その欄に掲載している 情報により、教員は
学 級活動の時間にどのような支援を行えばよ
学校・学級の実態に応じた年間計画
いかを知ることできる。
図 12 は、「学校給食と望 ましい食習慣の形
成 」に関する支援の一部である。
図13
そこで、作 成や修正を容易に行うこ とがで
この欄に掲載されている支援によ り、学校
給 食に関する授業においてどのような支援を
き る工夫をした。
以下、学級の実態 に応じた年間計画作成に
行えばよいかがわかる。
支援
関 する手順を示す。
身近なテーマ・教材 体験的な活動の設定 地域や家庭との連携 指導体制の充実
調理員さんのお仕事 給食室の見学する。 家庭で調理して下さる方の 調理員さん(日ごろ
の様子をVTRで紹介 4時間目に授業を実 ことを考えた、食べ方や後 のお仕事の中で苦
する。
施し、給食時間に実 片付けができるように協力 労されていることを
生活科「家庭生活を 践できるようにする。 していただけるように学級 話していただく。)
支えている家族のこ
通信等を利用して呼び掛け
とや自分でできること
る。
などについて考え、
自分の役割を積極的
に果たすとともに、規
則正しく健康に気を
つけて生活すること
ができるようにす
る。」
図 12
オ
年間計画作成の手順
一覧表に掲載した支援例
項目だけ表示され、 それ以下が白紙になっ
て いる図 14 のような年間計画がある。白紙欄
に教員の意図に応じた年間計画が作成される
ことになる。
指導項目
(ア)希望・目標
時 数 指導項目 時 数
0
0
0
0
(イ)生活習慣
(ウ)人間関係
(エ)学校図書館
支
(オ)健康・安全
(カ)学校給食
(キ)その他
合 計
0
0
0
0
援
指導事項指導内容 主題名 学年 月 目標 展開例 身近なテーマ 体験的な 地域や家庭 指導体制の
年間計 画を作成しやすくするため の工夫
教材
活動の設定 との連携
充実
図 13 のような手順で学校、学級の実態や
項目の下部が空欄の年間計画
教 員の意図に応じた指導内容を選択、貼り付
けを行うことができる工夫をした。
この工夫により、年間計画を作成し やすく
図 14
項目のみ記載されている年間計画
学 年別または指導内容別の一覧表の中か ら
な るとともに、途中での変更も容易に行うこ
教 員の意図に応じ、指導したい項目を選択す
とができる。
学級活動にお いては、学級の実態及び教員
る(図 15)。
- 319 -
例(一部)である。
カ
指導内容ごとの時 数表示
学級活動の活動内容(2)の 一覧表には、
指 導内容ごとに何時間ずつ選択したかという
ことが図 18 のようにわかる仕組みになってい
る。この表を見ながら指導項目を選択するこ
指導したい項目を選択する。
とにより、指導内容に偏りのないバランスの
とれた年間計画を作成することができる。
指導項目
時 数
指導項目
時 数
(ア)希望・目標
5
1
2
2
(オ)健康・安全
1
1
1
13
(イ)生活習慣
図 15
(ウ)人間関係
「みんななかよく」を選択
(エ)学校図書館
図 18
キ
(カ)学校給食
(キ)その他
合 計
指導内容ごとの時数表示
内容検 索機能
教員の意図に応じ た指導内容を検索できる
機 能を加えている。例えば、指導の時期を検
選択して、コピーボタンを押す。
索することができる。図 19 は、3月の指導内
容を検索しようとしているところである。
図 16
「コピー」ボ タン
図 16 のよ うに、表の左上にある「 コピー」
ボ タンを押す。
図 17 で選択した指導項目が年間計画の欄に
貼 り付けられた。
図 19
指導時期の検索機能
また、指導 内容によっても検索が できる。
図 20 は、「歯」に関する内容を検索している
ところである。この機能により、教員の意図
に沿った内容を検索しやすくなると考える。
図 17
貼り付けられた年間計画
一覧表から選択し、コピーすることにより、
教員の意図に応じた年間計画を作成できる。
資料3は、図 15・図 16 を繰り返すことによっ
て作成した学級活動(2)に関する一覧表の
- 320 -
「歯」に関する内容を検索する。
- 321 -
学校生活への希
望や願い
図書館の利用の
しかた
学校生活への希
望や願い
(エ)学校図
書館
(ア)希望や
目標
新年を迎えて
日常生活での目
標の設定
読書指導
自己を見つめる
内容
(ア)希望や
目標
(エ)学校図
書館
(ア)希望や
目標
1年間の振り返り
ファイル資料の作り方を学習しよう
楽しい2学期終わりの会をしよう
(ウ)望ましい 学級・友達・なか
人間関係
よく
学習発表会をがんばろう
図書以外の資料を調べよう
その他の指導(学
校行事の事前・事 秋の遠足
後指導)
集団生活と私
運動会を盛り上げる
工夫をしよう
(キ)その他
の内容
(ウ)望ましい
学級の友達関係
人間関係
(ア)希望や
目標
バランスのとれた食事
−朝食の大切さ−
(カ)学校給
食と食習慣
健康によい食事
のとり方
雨や風の日の危険と安全な行動
(オ)心身とも
に健康で安
安全(交通安全)
全な生活態
度の形成
学級目標を決めよう
主題名
学年
月
目 標
展 開 例
全
5
全
4∼6
全
5
中
高
高
5
高
全
全
3
2
1
12
11
10
10
10
9
7
6
5
4
指導項目
学級通信で知らせ
る。
地域や家庭との連携
目標を学級通信で知
らせる。
援
合 計
(キ)その他
(カ)学校給食
(オ)健康・安全
○ファイル資料の特性や働き
を知り、自作ファイルとその整
理のしかたを理解させ、学習
の中で利用できるようにする。
○1年間の学級活動を振り返り
次の学年への目標を持つこと
ができる。
社会科や理科、総合的
な学習の時間における
テーマをもとにファイル
づくりをする。
1 1年間を振り返り、思い出に残っていること等を発表する。 自己評価カード
1年間を振り返り、自
2 振り返りを紙に書く。
己評価カードを記録
する。
1 ファイル資料の見本となるものを見る。
2 ファイル資料のよさを知る。
3 自分のファイルを作成する。
1年間の様子や自己
評価カードの内容に
ついて保護者会や学
級通信で紹介する。
作成したファイル資料
を参観日に掲示す
る。
自分のめあて等を書 書き初めしたものを
初めとして書く。
掲示したり、学級通信
で紹介したりする。
○新年を迎えて目標としたいこ 1 1年間を振り返る。
とやがんばりたいことを決め、 2 新しい年を迎えて今年1年間の抱負をもつ。
意義ある1年を過ごそうとする
ことができる。
学級通信で知らせ
る。
学習発表会の準備・
案内を家庭に呼びか
ける。お年寄りに案内
状を出す。
学習後に、学級通信
等で学習内容につい
て伝える。
学級通信で知らせ
る。
練習
集会発表
書き初め
学習発表会
栄養士さん(バランスのよい
食事をとることの大切さにつ
いて教えていただく。)
警察官
指導体制の充実
1
1
1
13
時 数
校区内のお年寄りに 校区のお年寄り
案内状を出す。
○計画・準備・練習・集会で、 1 計画委員会が提案する。
お互いに協力し合い、楽しく活 2 自由発表にするか係の活動を盛り込んだ発表にするか
動に取り組むことができる。
話し合う。
○自分なりのめあてを持って、 1 学習発表会に向けてがんばりたいことを考える。
学習発表会に取り組むことが 2 決めためあてを掲示できるような紙に書く。
できる。
○視聴覚教材の特性を考えさ 1 わからないことを調べるときに何を利用するか発表する。 社会科や理科、総合的
せ、有効に利用しようとする態 2 インターネット・新聞・切り抜き・絵葉書・写真などの視聴 な学習の時間における
度を養う。
覚資料があることを学習する。
テーマをもとに資料探
3 自分が調べたいことに関して資料を集める。
しをする。
学習発表会
コースや目的地を写真 しおりに赤鉛筆で
などで提示する。
コースを書かせる。
1 遠足のしおりを読む。
2 遠足の目的を話し合う。
3 きまりや約束について話し合う。
4 まとめをする。
○集団行動のきまりや約束を
守り、校外学習を通して学習
が発展できるようにする。
運動会
悩みについての話し合 決まったことを掲示
い
する。
1 運動会の日程や役割について確認する。
2 運動会を盛り上げるためにできる取り組みについて考え
る。
学習後に、学級通信
等で学習内容につい
て伝えるとともに、家
庭でも気をつけるよう
に呼びかける。
1 栄養バランスのとれた朝食の食品を栄養素に分け、気づ 自分の朝食の栄養バ 学習直後の1週間、 学習後に、学習内容
いたことを話し合う。
ランスについて調べ
学習1ヵ月後の1週間 について伝えるととも
2 自分の朝食も五大栄養素に分け感想を発表する。
る。
で、朝食の栄養バラ に、バランスのよい朝
3 朝食の必要性について知る。
家庭科「日常の食事に ンスについて調べ
食がとれるように協力
関心をもって、調和の る。
していただけるように
よい食事のとり方が分
お願いする。
かるようにする。」
1 雨の日と晴れの日の道路の様子の違いについて話し合 道路の歩き方
う。
2 雨の日の道路にはどんな危険があるか話し合う。
3 雨の日の安全な歩行について話し合う。
1 どのようなクラスにしたいかクラスの願いを発表する。
2 クラスの願いを集約し、クラスの目標とする。
3 学級目標の掲示を飾ることができる似顔絵等をかく。
1 今までの学習生活を振り返る.。
2 学習態度や忘れ物などについて反省をする。
3 今後へ向けての改善点を考えさせる。
支
体験的な活動の設定
学級目標の掲示を飾
ることができるように
似顔絵等をかく。
自己評価カードの活用 振り返りカードを書
く。
今後の改善点を書
く。
身近なテーマ・教材
学級掲示
(エ)学校図書館
(ウ)人間関係
5
1
2
2
時 数
○集団の中で自分のあり方を 1 集団の中での悩み等を話し合う。
考え、学級の仲間が仲良く生 2 学級の仲間が仲良く生活できる方法を考える。
活しようとする意欲を持つこと
ができる。
○運動会のテーマにもとづき
工夫することができる。
○健康を守るためには、朝食
が大切であることを知る。
○クラス全員で学級目標を考
え学級全体の連帯感を高める
ことができる。
○今までの学習生活を振り返
り、学習態度や忘れ物などに
ついて反省をし、今後へ向け
ての改善点を考えることができ
る。
○気象の変化に伴う交通の潜
在的な危険について理解 し、
安全な歩行を心がけ、行動で
きる。
(イ)生活習慣
指導項目
(ア)希望・目標
学習習慣を確認しよう
学校生活への希
望や願い
指導内容
年間計画作成例
(イ)基本的な
学習習慣
生活習慣
(ア)希望や
目標
指導事項
資料3
図 20
指導内容の検索機能
3
まとめと今後の課題
とにより、自主的、実践的な態度が、確実に
本研究は、小学校特別活動の学級活動を通
育てられ、子どもが自らの生き方を十分に考
して、自主的、実践的な態度を育てることを
え、自己を生かし、目標をもって生活するこ
ねらいとし、小学校特別活動の指導の改善に
とができると考える。
役立てようとするものである。
また、本研究において作成した『学級活動
そのために学級活動の授業を展開するにあ
の活動内容(2)
「日常の生活や学習への適応
たって四つの支援を考えた。それらの支援の
及び健康や安全に関すること」について、指
効果について授業実践により明らかになった
導内容を網羅した一覧表』を活用することに
ことをまとめると、次のような点を上げるこ
より、子どもの実態や発達段階、学習履歴に
とができる。
応じた6年間を見通した年間指導計画の作成
・子どもにとって価値ある学習活動を適切
が容易にできる。
な時期に設定することによって、課題意
さらに年度途中の学級の実態に応じ、指導
識を高めることができる。
内容の変更も容易にできる。このことから、
・幅広く人材を活用し、より専門的な知識
子どもの実態に応じた指導の重点化が図られ
を伝えることによって、子どもの思考や
ることにつながり、一人一人の子どもが、健
活動意欲を高めることにつながる。
全な生活態度を身に付けるとともに、心身の
・家庭に協力を依頼し、学習したことを日
健康の保持増進を図っていくことができる。
常生活の中で実践していけるような環境
今後の課題として、単元の展開例と具体的
づくりを行うことによって、現実生活の
な支援を掲載した学級活動の活動内容(2)
中で目標をもって自らその実現に努める
の指導内容一覧表を、実践研究によりさらに
態度を育成することができる。
充実したものにしていきたい。
学級活動では、これらの支援を継続するこ
【引用文献】
*1:文部省、『小学校学習指導要領解説
特別活動編』、東洋館出版社、平成 11 年5月、p23
【参考文献】
宮川八岐、児童会活動の活性化、
『特別活動研究』
、明治図書、2003-5
高橋和宏、教科等との関連を生かす工夫、『特別活動研究』
、明治図書、2003-5
宮川八岐、いま、特別活動の意義、
『指導と評価』
、日本図書文化協会、2003-5
宮川八岐、特別活動の評価、『指導と評価』、日本図書文化協会、2003-5
宮川八岐、自発的活動を生かす学校体制、『特別活動研究』
、明治図書、2003-12
宮川八岐、実践的な社会性をはぐくむ特別活動の展開、『初等教育資料』
、東洋館出版社、平成 16 年 1 月
宮川八岐、
『小学校特別活動
基礎・基本と学習指導の実際』
、東洋館出版社、2002-3
宮川八岐、
『小学校新学習指導要領 Q&A∼解説と展開∼
山口
満、
『新版
特別活動編』、教育出版、1999-7
特別活動と人間形成』
、学分社、2001-4
成田國英、
『新学習指導要領指導事例集
小学校特別活動1
宇留田敬一・河野重男、
『双書/特別活動の実践研究1
新しい学級活動の指導事例』
、明治図書、1990-7
特別活動の経営と全体計画』
、明治図書、1981-6
弓野憲一、
『特別活動と総合的学習の心理学』
、ナカニシヤ出版、1990-3
宮川八岐、
『改訂小学校学習指導要領の展開
宮川八岐、
『全訂
特別活動編』
、明治図書、1999-7
特別活動読本』
、教育開発研究所、2003-7
- 322 -
323