乳幼児にビタミンD 欠乏性くる病に

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放射能恐れ?
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外あそび減り、乳幼児にビタミンD欠乏性くる病に
日光を浴びずに母乳栄養での育児を続けた影響からか、乳幼児がビタミンD欠乏性くる病になる事例が報告さ
れている。小児科医らは「子供の成長には日光は不可欠。妊娠期から適度な日光浴とバランスの良い食事を取っ
てほしい」と呼び掛けている。
(産経新聞)
◆紫外線不足
栃木県下野市の自治医科大付属病院とちぎ子ども医療センターには一昨年8月から昨年3月にかけて、日照不足と
みられるビタミンD欠乏性くる病の乳幼児3人(1歳2カ月~1歳9カ月)が来院した。1人はカルシウム不足によ
るけいれん、2人はO脚。3人のうち2人が1歳以降も母乳を続け、離乳食をほとんど食べていなかった。
くる病は、成長期(骨の発育期)の小児でカルシウムが骨に沈着せず、軟らかい骨の組織が増加している状態。
多くの場合、骨の成長障害、骨格や軟骨部の変形を伴う。足に加重が掛かり、O脚になる幼児が多い。
カルシウムを骨に取り込む助けとなるのがビタミンD。ビタミンDは、食品(魚、卵黄、キノコなど)からの
摂取と紫外線で生成される。しかし近年、紫外線による皮膚がんや白内障への影響が指摘され、若い女性を中心
にビタミンD不足が増えているとされる。過度の日光浴は良くないという考えから、現在は母子手帳に日光浴を
勧める記載もない。ビタミンDが欠乏している人は、多発性硬化症や1型糖尿病、大腸がん、乳がんの発生頻度
が高いという報告もある。
同センターで診察にあたった八木正樹医師(31)が、ある家庭に保育状況を聞くと、平成23年3月11日
の東日本大震災に伴う東京電力福島第1原発事故による放射能漏れを恐れ、子供を屋外に出さない生活をしてい
たという。八木医師は「乳幼児の保護者らは日照不足がくる病を起こすという認識が少なかったようだ」と振り
返る。
八木医師は適度な日光浴と離乳食についてアドバイス。
「離乳食にいつから切り替えなければならないということは
ないが、母乳だけでは栄養が不足する。骨や筋肉の発育にはビタミンDが多く含まれる食品も食べさせるよう指導した」
◆冬は積極的に
ビタミンDの生成に必要な日光浴時間はどの程度だろうか-。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(201
0年版)」では、ビタミンD目安量は1日当たり5・5マイクログラム(成人)。紫外線で生成できる量は場所や
季節、天候などで異なるため、国立環境研究所(茨城県つくば市)が今年、国内3地点(札幌市、つくば市、那
覇市)で、顔と手の甲を空に向けた状態で、必要な日光浴の推定時間を調査。その結果、札幌市では、冬季は正
午でも1時間以上必要なことが分かった。
同研究所の中島英彰・地球環境研究センター室長は「春に生まれた赤ちゃんにビタミンD欠乏症が多いという
報告もある。冬季の北日本では積極的に日光浴を」と話している。
■ビタミンDの必要摂取量
体内で必要とする量の70~90%を日光から得ているとされるが、実際の
必要摂取量は不明。日本では1日当たり5.5マイクログラムが目安(成人)
としているが、他の先進国では10~25マイクログラムを推奨している所が
多い。京都大が平成20年に発表した調査では、ビタミンD欠乏症を示唆する、
頭蓋骨がへこむ症状がある新生児は5人に1人に上り、特に春に生まれた赤ち
ゃんが高かった。母親が日照時間が短い冬に妊娠期間を過ごしたためと考えら
れている。一方、1日当たり50マイクログラム以上など過剰に摂取すると、高カルシウム血症、腎障害などを招く
恐れがある
くる病とはどんな病気か
くる病とは、成長期(骨の発育期)の小児でカルシウムが骨に沈着せず、軟らかい骨様組織が増加している状態をいい
ます。多くの場合、骨の成長障害および骨格や軟骨部の変形を伴います。
原因はビタミンD欠乏、ビタミンDの合成障害、ビタミンD受容体の異常、リンの不足、腎尿細管障害などさまざまです。
症状および検査
O脚、肋骨のこぶ(肋骨念珠(ろっこつねんじゅ))、肋骨の前方突出(鳩胸(はとむね))、低身長などを示します。骨X線
検査では、主に成長が盛んな膝(ひざ)、手関節のX線像が診断に役立ちます。
くる病のいろいろ
(1)ビタミンD欠乏性くる病
ビタミンDは皮膚が紫外線の照射を受けて、コレステロールから生合成されます。しかし、乳児ではそれだけでは不十
分なため、食物からの摂取が必要で、とくに極小未熟児ではビタミンD欠乏になりやすいことが知られています。また、ア
トピー性皮膚炎があるために著しい制限食を続けた場合にも、くる病になることがあります。
ビタミンDは、肝臓や腎臓で代謝されて活性体となるため、肝障害や抗けいれん薬摂取時、あるいは腎臓の病気では
食事性の欠乏がなくてもくる病を発症することがあります。
治療には、腎結石に注意しながら活性型ビタミンDを用います。
(2)ビタミンD依存性くる病
ビタミンD依存性くる病には、I 型と II 型の2つの病型が知られています。I 型の原因はビタミンDを活性化する酵素の異常で
あり、活性型ビタミンDが産生されないために起こります。一方、II 型の原因はビタミンD受容体の異常です。
いずれも発症年齢、臨床症状とも類似しており、2歳未満で低カルシウム血症と骨のくる病性変化を起こします。見分
け方としては、II 型において禿頭(とくとう)を高頻度に認めることなどがあります。
治療は、活性型ビタミンD製剤の投与ですが、II 型の場合、治療困難な場合が少なくありません。
(3)低リン血症性ビタミンD抵抗性くる病
腎臓でのリンの再吸収および腸管でのリンの吸収障害の結果、著しい低リン血症と過リン酸尿、くる病を起こす病気で
す。一般に伴性(はんせい)優性遺伝形式をとりますが、散発例も少なくなく、未熟児くる病、腎性くる病を除けば、日本で
最も発生頻度の高いくる病です。
低リン血症などは生後早期には認めないことがあり、多くは生後1年ころに四肢の変形、歩行異常、歩行遅延、低身長
などにより発見されます。
治療は、経口リン製剤および活性型ビタミンDの投与です。