『地味な』ビタミンDが 注目されつつある

2014年
(平成 26年)1月
〔№ 238〕
『地味な』ビタミンDが
注目されつつある
JA 西日本くみあい飼料株式会社中国支店 獣医師 中尾 継幸(なかお つぐゆき)氏
いるそうです。
ビタミンDがある種のブームになって
果が解明され、今やカナダや米国では
性化させる効
免疫細胞を活
ク を 軽 減 し、
究で癌のリス
他、 最 近 の 研
れた効能の
いうよく知ら
や歯を作ると
には丈夫な骨
とビタミンD
の記事による
ミ ン D 」の 特 集 が 載 っ て い ま し た。 そ
ための健康法」なる連載があり、「ビタ
カラーグラビアに挟まれて「中高年の
パ ラ パ ラ と ペ ー ジ を め く っ て い る と、
合席にあった週刊誌の一冊を取り出し
カーティスが行った解析では、分娩
後の低カルシウム血症を発症した牛は
ると考えられています。
こすため、乳房炎の発症を容易にさせ
さらには免疫細胞の機能不全を引き起
を 弱 め 乳 腺 へ の 病 原 菌 の 侵 入 を 招 き、
う調査とともに、乳頭括約筋の収縮力
七倍に増加
濃度を五~
ルチゾール
ある血中コ
抑制物質で
娩時の免疫
低 下 は、 分
ウム濃度の
血中カルシ
ま す。 ま た
の低下と深く関連することを述べてい
後の負のエネルギーバランスは免疫力
の採食量維持の三項目を挙げ、分娩前
②正常なカルシウム濃度、③分娩前後
栄養学者のスニッフェンは、分娩前
後 の 疾 病 予 防 と し て ① 免 疫 系 の 強 化、
があります。
させるとい
う実態が認識されるようになったこと
注目されるビタミンになるかもしれま
ビタミンDは、乳牛でもこれから最も
る血中カルシウム濃度の重要性が謳わ
を絶たない現状と、免疫力向上に対す
す。しかし分娩前後の乳房炎発症が後
もなく『地味な』ビタミンの感がありま
め、普段は大きく取り上げられること
管理では欠乏は起こらないとされるた
ミンDは、AやEと違って通常の飼養
推 奨 さ れ て い ま し た。 乳 牛 で の ビ タ
などの海産物を摂り積極的な日光浴が
床屋の週刊誌では、人間での血中ビ
タミンD濃度維持には含有量が高い鮭
奨・実施されています。
対する予防法の一つとして古くから推
ミンD三製剤の筋肉内注射が、乳熱に
牛に対して、分娩前二~八日前にビタ
を果たします。その理屈から特に経産
て血中濃度を正常範囲に調節する役割
とともに、骨からカルシウムを動員し
は小腸でのカルシウム吸収を促進する
こそが「ビタミンD」です。ビタミンD
とが重要ですが、ここで活躍する要素
を防ぐには、分娩前に乳牛本来の持つ
病の元凶と云うべき低カルシウム血症
普段は不精な私も正月くらいは小綺
麗 に し て 迎 え よ う と、 年 末 に 床 屋 に
さて昨年の酪農に関するトピックス
として、分娩前後の移行期管理の情報
四倍高
が再び注目されました。その背景には、
まると言われます。その他多くの代謝
せん。
れ始めた今、その調節機能を受け持つ
カルシウム恒常性機能を高めておくこ
今まであまり移行期管理と関連付けて
乳房炎を発症する可能性が五
行った時の事です。順番を待つ間、待
論議されなかった乳房炎について、そ
のほとんどが分娩前後に発生するとい
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