平成27年度 修学旅行 児童向け事前講話

平 成 27年 度 修 学 旅 行 児 童 向 け事 前 講 話
平 成 27年 6月 4日
尾道市立三成小学校 校長 武田義治
皆さん, おはようございます。
6年生になって,毎日登校班の班長・副班長として,下級生を安
全に登下校させてくれてありがとうございます。一年生を迎える 会
では縦割り班のリーダーとして活躍しました。先日の運動会では,
準備や片づけでは6年生が手伝ってくれたおかげで大変助かりまし
た。児童会の運営でも学校のリーダーとして活躍していることをと
ても頼もしく思っています。最高学年としての自覚が生まれてきて
いるからだと思います。
さて,いよいよ皆さんが楽しみにしている修学旅行が近づいてき
ました。
校長先生も小学校の時の修学旅行を今でもよく覚えています。
近畿地方に行く今とは違って,船で四国に渡り,香川県の金比羅
山や栗林公園に行きました。船の甲板に出て瀬戸内海のここちよい
海風に当たりながら,遠くに四国が見えたことや,金比羅さんの千
段以上もある石段を友だちと競争しながら登ったことを今でも時々
思い出します。
高学年の「高」は,いったい何が高いのでしょうか。
そ れ は ,「 自 分 を 磨 き 」「 相 手 を 思 い や る 」 能 力 が 高 い と い う こ と
なのです。ですから,高学年である6年生の皆さんは,学校で一番
しんどいことやつらいことに耐える力が大きいのです。6年生が修
学旅行に行くことできるのはその力を信頼されているからです。
まず,最初に言っておきます。この三成小学校の代表として6年
生が行くと受け止めて下さい。尾道市の小学校の一つとして行くと
考えて下さい。
修学旅行は,家族や友人などと一緒に行く観光旅行ではありませ
ん。修学とは「学問を修める」という意味です。
様々な出会いや体験を通して物事に対する見方・考え方を広げた
ることができます。近畿地方の文化や歴史を学んで社会科学習に生
かすことができます。今暮らしている尾道との違いを知って見学し
た町のよさを発見することができます。その一方で,ふるさと尾道
のよさを改めて確認したりすることもあります。これらが修学旅行
の目的です。さらに,宿泊を伴う二日間,全員で行動して,集団行
動のきまりや社会のきまりを学ぶのも大きなねらいです。
今まで何度も担任として,団長として修学旅行に行きましたが,
楽しかった,有意義だったと,誰もが思えた,楽しい思い出ができ
たと思える修学旅行には,いくつかの共通点がありました。それは
次の三つです。
一つ目は旅行中,プラス言葉が多いことです。
「はいっ」
「喜んで」
「わかりました」
「ありがとうございます」
「ご
め ん な さ い 」「 す ご い ね 」「 大 丈 夫 」 な ど は プ ラ ス 言 葉 で す 。 言 わ れ
るとうれしくなったり,元気が出たりする言葉です。
その反対のマイナス言葉を繰り返す人がいると楽しい修学旅行
になりません。
「えー」
「いやだ」
「えー」
「だってー」
「むかつく」
「無
理 」「 最 悪 」「 面 倒 く さ い 」 な ど で す 。
(例:授業中の呼び捨て:先生の指導に対する不遜な言葉)
もし呼び捨てが広まると乱暴な言葉遣いをする人が増えてきます。
ことばが乱暴になると,人をからかったり,ばかにしたりすること
が平気になってきます。もし,こんな6年生を,他の観光客の方が
見られたら,どうでしょう。
こ ん な こ と を し っ か り ふ り 返 る こ と が で き て い な け れ ば ,修 学 旅
行には連れて行かれません。
二 つ 目 は ,き ち ん と 話 を 聴 く こ と が で き る こ と で す 。昨 年 の 6 年
生がよくできていました。
旅 館 に 着 い て 旅 館 の 人 の お 話 を 聞 く 時 ,バ ス の 中 で バ ス ガ イ ド さ
ん の 説 明 を 聞 く 時 ,班 で 集 合 し て 先 生 の 指 示 や 説 明 を 聞 く と き な ど
です。静かにじっくり聴くことは必要です。
(例:バスガイドさんとのやりとり)
三つ目は,誰もが少しずつがまんしていることです。
新幹線の中では大きな声でしゃべられません。夜遅くまで起きて
いることは許されません。お風呂の時間も決まっています。テレビ
も見られません。パソコンのゲームなんて以ての外。電話も禁止で
す。お風呂は短い時間で済ませます。
(例:バイキング形式での態度:昨年度6年生)
(例:法隆寺宝物殿:他校の6年生の傍若無人な様子)
(例:遠足の時,勝手にグループを離れる:I君ほか)
車で出かける家族旅行とは違うことを改めていっておきます。
ホテルの部屋のメンバーは,仲のよい人だけになっていますか。
バスの席の隣には,いつもよく遊んでいる人だけがいますか。
そんなことはないでしょう。なぜ,このようにいろいろな人とか
かわるようにしているのか分かりますか。
学 校 で は ,「 好 き な 者 同 士 」 は あ り 得 ま せ ん 。「 好 き な 者 同 志 」 を
認めることは,
「 好 き で な い 者 」の 存 在 を 認 め る こ と に な り ま す 。そ
ん な 学 級 は ,い じ め な ど が 起 き や す い 学 級 に な っ て し ま う か ら で す 。
将来皆さんが大人になった時,まわりをあなたの知らない人に囲
まれて生きていくことになるからです。そのなかには「いいなあ」
と思う人と「苦手だなあ」と思う人がいるかもしれません。
そんな人間同士がお互い理解し合い,歩み寄り,いっしょに生き
ていくのは人間社会なのです。
ですから,偶然という魔法のおかげで仲よくなるチャンスができ
たと考えてほしいと思います。
最初言いましたように,修学旅行は6年生になったから行くので
はありません。しんどいことやつらいことに耐える力がついた6年
生が行くことができます。
また,この三成小学校の代表として6年生が行きます。一人の発
言,態度や行動によって三成小学校が評価されます。そこをしっか
り自覚し,自分の発言,態度や行動に責任を持ってください。
楽しく有意義で,思い出に残る修学旅行になることを期待してい
ます。