編集後記 洛陽訪問を終えて

編集後記
洛陽訪問を終えて
訪問団団長
橿原市教育長 吉本
重男
洛陽青少年訪問団の団長として6年ぶりに洛陽を訪れました。
昨今、中国の経済的発展にはめざましいものがあると聞いていましたが、その現実を目のあたり
にし、改めて驚きを禁じ得ませんでした。
洛陽市の市街地でも高層ビルが林立し、現在、建設中のものも多数ありました。この発展が見か
けだけのものではないということは、中国の人達の服装、特に子ども達のそれは日本と少しも変わ
らない様子からも十分にわかります。中国の発展は、広範囲でしかも実質を伴っているものである
と感じました。
さて、交流の相手先である洛陽外国語学校(中・高一貫校のような6年制の学校)は、生徒数3
千人の規模であり、その内8割の生徒が英語を専攻し、1割が日本語を、残りの1割がその他の外
国語を専攻しています。日本語の専攻率は相当高いのではないかと予想していたのですが、英語の
圧倒的な率を聞いて、現在そしてこれからの国際社会の中で、日本語はあまり重要視されていない
ことを認識しました。我々はこの事実を冷静に受けとめ、わが国の将来のあり方を謙虚に考えてい
く必要があると思いました。
当方の生徒たちは、中国語はほとんど話せません。対して洛陽側の生徒達は日本語科であること
から、ある程度の会話はできますが、自由自在というわけではありません。お互い手探りで会話を
行い、自分の思いを他者に伝えることがいかに大変であるかを実感できたと思います。この経験は、
日本に帰ってからも、自分の意見を他者へ伝える際、少なからず参考になることでしょう。
交流の様子を見て回りましたが、国民性の違いからか、全体的に中国側の積極さが目につきまし
た。この不完全燃焼ぎみの交流経験が、子ども達の将来や人生にとって、大きなバネになり、社会
に出てから花が咲くことだろうと期待しています。
中国訪問の楽しみの一つは食事ですが、少し気になったことは、子ども達の好き嫌いが多いこと
でした。家庭の食事に慣れ親しんでいるため、大皿に盛った少し辛めの中華料理は口に合わなかっ
たかも知れませんが、それでも初めてのものにチャレンジしていく気概がもう少し欲しかったと思
います。
第2回橿原市青少年洛陽訪問団は、各人各様の思いを乗せ、無事に帰国することができました。
子ども達のこれからの人生にとってかけがえのない、貴重な財産になった中国訪問であったと確信
しています。
最後に今回、子どもたちにこの貴重な経験をする機会を与えていただきました保護者の皆様に感
謝を申し上げ、洛陽訪問における締めくくりの言葉とさせていただきます。
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