世界史ミュージアムの旅(1)<パリ編②>

世界史ミュージアムの旅(1)<パリ編②>
世界史分野 3 年
井上まな
研究のキーワード:西洋美術史、フラ・アンジェリコ、
〈受胎告知〉
②オルセー美術館(Musée d’Orsay)
セーヌ川のルーブル美術館の対岸にあるこの
建物は、20 世紀頭に駅舎として建築されたもの
を改築し、1986 年に美術館となりました。ここ
には、ルーブル美術館の所蔵作品のうち、19 世
紀半ば以降に制作された作品が展示されていま
す。日本人にも人気があるルノワール、モネ、マ
ネなどの印象派の作品やセザンヌ、ゴーギャンら
のポスト印象主義の作品が集います。館内は撮影
禁止のため写真はありませんが、私のお気に入り
の作品はミレーの〈晩鐘〉です。高校資料集でお
目にかかるこの有名な作品は、その色調から少し
薄暗い印象を私に抱かせていましたが、実物は想像以上明るく、生き生きとしたものでした。
また、私の住むナンシー市の美術館でもオルセー美術館の企画展が開催されており、ゴッホ、クール
ベらのオルセー美術館所蔵の作品を見る機会がありました。下の写真は、ナンシー市立美術館で筆者が
撮影した、ゴッホの〈自画像〉
、クールベの〈傷ついた男〉です。
クールベ〈傷ついた男〉1844-54 年
ゴッホ〈自画像〉1887 年
開館時間:火~日
9:30-18:00(木曜は、21:45 まで)
休館日:月曜、1 月 1 日、5 月 1 日、12 月 25 日
入館料:11€(第一日曜日は無料、16:30 以降の入館は、8.5€)
アクセス:地下鉄 12 番線、Solférino 駅または RER C 線、Musée d’Orsay 駅
住所:1 rue de la Légion d’Honneur, 75007 Paris
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③中世美術館(Musée national du Moyen Age)
ソルボンヌ大学(パリ第 7 大学)を始め、教育機関
が点在するパリ左岸カルチェ・ラタンにある中世美術
館。またの名をクリュニー美術館ともいうように、建
物自体が、クリュニー派修道院長の別邸を利用した中
世のものです。その展示物は、ステンドグラス、祭壇
画、教会遺物、織物、写本など、5 世紀から 15 世紀ま
での中世コレクションに溢れています。中でも見所は、
鮮やかな赤地に、動植物が細やかに描かれた、タペス
トリー(左写真)です。現代の眼から見ても、その技
術の質は一目瞭然で、感激したことを覚えています。
館内は薄暗いですが、屋外の中庭は中世と同様の薬
草園が、美術館裏には古代ローマ時代の浴場跡があり、
作者不詳 〈一角獣と貴婦人〉 15 世紀末
屋内とは違った雰囲気を楽しむことができました。
開館時間:月、水~日 9:15-17:45
休館日:火曜、1 月 1 日、5 月 1 日、12 月 25 日
入館料:8€(第一日曜日は無料、25 歳未満は 5.5€)
アクセス:地下鉄 10 番線、Cluny la Sorbonne 駅
住所:6, place Paul-Painlevé, 75005 Paris
④カルナヴァレ美術館(Musée Carnavalet)
歴史的風情が色濃く漂うマレ地区にある、16 世紀の貴族の元
邸宅(右写真)
。この美術館では、先史時代から現在に至るまで
のパリの歴史を、絵画、彫刻、工芸品などの歴史資料からたど
ることができます。古い建築物の模型や装飾、フランス革命期
に由来する展示物、ルイ 16 世、マリ=アントワネットゆかりの
身の回りの品など、多種多様なコレクションが集まります。
ルーブル美術館やオルセー美術館のように、画集でおなじみの
名画が並んでいる訳ではありませんが、パリの各々の時代を生
きた人々に想いを馳せながら、観賞を楽しむことできました。
個人的には、学芸員さんがフレンドリーだったことが印象に残
っています。常設展の入館が無料なところや、待ち時間なしに
入れる気軽さからも、親近感が湧いた美術館でした。
開館時間:月、水~日 10:00-18:00
休館日:火曜、1 月 1 日、5 月 1 日、12 月 25 日
入館料:常設展/無料、企画展/4.5€
アクセス:地下鉄8番線、Chemin vert 駅
住所:23, rue de Sévigné 75003 Paris
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【カルチェ・ラタンとマレ地区】
パリ左岸にあるカルチェ・ラタンは、ソルボンヌ大学をはじめとする高等教育機関が集まる学生街
です。歴史的風情が漂う右岸のマレ地区は、若者に人気のショッピング街でもあります。両者とも、
パリの中では治安は良いとされる地区であり、古本屋、骨董屋など味のある店が多く、パリらしいお
洒落な雰囲気を楽しむことができます。
注1)美術館の説明は、
『世界美術館の旅』(小学館、2002 を)参考にした。
注2)写真は、全て筆者撮影。
屋外にあるアンティークショップ[マレ地区]
古着屋が並ぶ通り[マレ地区]
パリ第 2 大学(法学部のキャンパス)[カルチェ・ラタン]
マルシェのとあるパン屋[カルチェ・ラタン]
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