第63号

<ニューファーマーズカレッジ情報紙>
-第63号-
発
2007. 1
行
西北地方農林水産事務所
普及指導室 つがる普及分室
電話42−2222
今年最初のテーマは
グローバルでありつつ身近な問題
地 球 温 暖 化
と
農 業
地球温暖化は農業にとってどのような影響を及ぼすのでしょうか??
ここに、ひとつの興味深い記事を紹介します。
【温暖化によるワイン産地の変貌】
~2006年1月26日付
読売新聞記事から~
地球温暖化の影響により、最近ワイン産地として注目され
ているのが英国です。これまで、ワインといえばフランスを
思い浮かべる人も多いことかと思います。
実際、英国はワイン産地(白、発泡)としては格下の扱い
を受けていましたが、ここ近年、各品評会の上位をさらって
いるのが英国ケント州産ワインだというのです。この要因は
いったい何なのでしょうか?
ひとつの原因は、フランスでの気温上昇があります。シャンパーニュ地方では、20年前
まで10月初旬に行われていたブドウの収穫が、徐々に早まり9月中旬となり、記録的猛暑
だった2003年は8月下旬まで早まりました。猛暑は果実の糖度を急上昇させるが、肝心
の芳香が失われるため、気温の上昇は大打撃となっているようです。
英国ケント州の土質は仏シャンパーニュ地方と同じ「白亜石灰
質土壌」と呼ばれる、ワイン産地に向く土質です。その上、地球
温暖化の影響を受け、平均気温が2~3℃上昇したことにより、
以前の仏シャンパーニュ地方と同様の自然条件となりました。地
質・気候、それに仏から学んできた「技術力」が加わったことに
より、ワインの新たな産地となったのは、当然といえば当然のこ
とかもしれません。白ワイン、シャンパン関係のメーカー、貿易
会社等の注目は、現在、完全にフランスからイギリスへ移り変わったとも言われています。
ワインだけではない・・身近なところでも温暖化の影響が(!?)
近年、我が国でも様々な試験研究機関から「地球温暖化による産地移動」の研究・報告が
されています。最も大きな影響を受けるのは「果樹産地」と言われています。
(独)農業・食品産業技術総合研究機構果樹研究所(前・農林水
産省果樹試験場)の報告(2002年)によると、リンゴとウ
ンシュウミカンの栽培適地が、地球温暖化による平均気温上昇
をうけ、今後数十年のうちに 大きく移動 するとシュミレーシ
ョンされています。
下の図は、このまま地球温暖化の影響が続いた場合、2060年までにリンゴの栽培適地
が 北海道全土まで拡大 することを表しています。その一方、本州平野部でのリンゴ栽培
適地の 激減 も示しています。 青森県 でも津軽平野部、県南地方は「 より高温の地域 」と
なるという、ちょっと想像し難い予測結果となっています。もしも、このシミュレーション
が現実のものとなるのであれば 、「りんご王国」青森県にとっても、この地球温暖化問題は
まさに「他人ごと」とは言えない結果と言えるのではないでしょうか?。
図:(独)農業・食品産業技術総合研究機構果樹研究所シミュレーションより
ヨーロッパでのワイン産地の事例や、日本におけるりんご産地移動予測など、温暖化
問題は”ひたひた”と確実に身近なところで進行しているのかもしれません・・。
地球温暖化問題については、私たちが知っている以上にもっと深刻化し
ているようです。それは決して遠い未来の話しでは無いようです。
身近なところから始めよう ストップ・ザ・温暖化!
地球温暖化に関する情報等は
環境省ホームページ(地球環境局) http://www.env.go.jp/earth/でもご覧になれます。