本ニュースの印刷用PDF版はこちら(PDF:537KB)

2015 年
赤十字国際ニュース
第 27 号 2015 年 5 月 12 日
( 通巻 第 1112 号 )
日本赤十字社 国際部
東京都港区芝大門 1-1-3 TEL 03-3437-7087 / FAX 03-3435-8509
E-mail:[email protected]
http://www.jrc.or.jp/
■レバノンにおけるシリア難民支援:
「公平性」を実現するために
今なお続く紛争により、シリアでは 390 万人以上が国外
へ難民として避難し、国内では 1200 万人以上が人道支援を
必要としています(2015 年 4 月 2 日現在、国連調べ)。シ
リア国内と周辺国では、現地の赤十字社や赤新月社がそれ
ぞれ支援事業を実施しています。
日赤は 2014 年 7 月から、レバノン赤十字社(以下、レバ
ノン赤)を通じてベカー高原に避難しているシリア難民を
支援しています。レバノンは、118 万人の難民を受け入れ
ている一方、政府は国際 NGO や国連機関による難民キャン
プの設立を認めていません。そこで、逃れてきた難民の中
でアパートを借りる経済力がない、または身寄りのない人
びとは、自分たちで非公式な住居を作って暮らしています。
■
受け入れコミュニティーの負担
ベカー県中央のザーレにある非公式難民キャンプ
シリア国境に位置するベカー高原は、非公式
な避難居住が最も多く、日々新しい難民が流入
してくる地域でもあります。約 75 万人が住む地
域なのですが、シリア紛争が起こって以来、11
万人以上のシリア難民を受け入れてきました。
公式なキャンプがないため、農地や空き地にテ
ントや簡易な小屋を建てて避難生活を始める難
民。着の身着のまま逃れてきた難民たちは、雨
風をしのぐ家はもちろん、水や食料、生活用品
も必要としています。
日々の生活では、トイレなどから汚水が発
生します。受け入れコミュニティーがそれら
の負担をすべて担うには負荷が大きく、人口
が一気に増えると電気や水の供給が不安定
になり、汚物・汚水処理を挙げても行政のみ
で対応することは不可能です。人道支援のニ
ーズが高まるものの、公式なキャンプではな
いため、状況を把握することも、大掛かりな
支援を届けることも非常に困難な状況です。
ベカー県西部ラチャヤにある非公式の難民キャンプ
からはシリアのアンレバノン山脈が見える
■
支援の行き届かない小さな難民キャンプへの支援
日赤は、他団体が支援することのできない地
域にも支援活動を行っています。ベカー高原に
あるベカー県中央のザーレ、ベカー県西部のラ
チャヤ、南レバノン県のハスバヤとチェバで、
トイレの排せつ物の処理と衛生促進を行う衛
生事業や、給水、毛布や台所用品、トイレット
ペーパーや歯ブラシなど洗面用具(衛生キッ
ト)の物資を配布しています。
レバノン赤は、「平和を広め、社会を支え、
中立に人種、性別、社会、宗教、支持政党など
の隔たりなく人びとの苦しみを緩和すること」
を目標に掲げ、赤十字原則の「公平性」を実現
できるよう、支援活動を続けています。
ラチャヤでの物資の配布
●中東人道危機救援金を受け付けています
http://www.jrc.or.jp/contribute/help/cat751/
〔お振り込みについての連絡先窓口〕
日本赤十字社組織推進部海外救援金担当 TEL 03-3437-7081
FAX 03-3432-5507
★日赤のさまざまな情報を配信中です!公式アカウントをぜひご登録ください★
Facebook:日本赤十字社