1 <テーマ> 保証契約 <関連条文> 保証債務(民法 446 条∼465 条

<テーマ>
保証契約
<関連条文>
保証債務(民法 446 条∼465 条)
融資を受ける場合や、事務所を借りる場合、貸主は貸金の回収を確保するため、家賃の
回収を確保するために、財産に抵当権や質権を設定するか(物的担保)債務者以外の第三
者にも債務を負わせて債務者本人が弁済できない場合に、第三者の一般財産から回収でき
るようにします(人的担保)。
物的担保には確実性がありますが、債務者が適当な担保物を有していなければ設定が出
来ません。これに対して、保証契約などの人的担保は、第三者の資力を引き当てにする関
係上、担保力の変動の危険も大きいのですが、比較的容易に設定できる利点があり、実務
上良く利用されています。
今回は、保証契約の概観について、条文を追って解説していきたいと思います。
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知って得する知識と知恵シリーズ08’2月号
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保証契約
(保証人の責任等)
第四百四十六条
保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。
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保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。
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保証契約がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識
することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをい
う。
)によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用す
る。
(保証債務の範囲)
第四百四十七条
保証債務は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべ
てのものを包含する。
2
保証人は、その保証債務についてのみ、違約金又は損害賠償の額を約定することができる。
(保証人の負担が主たる債務より重い場合)
第四百四十八条
保証人の負担が債務の目的又は態様において主たる債務より重いときは、これを主たる
債務の限度に減縮する。
(保証契約)
保証債務は、保証人と債権者との間の保証契約によって成立します。
通常の場合は、債務者に頼まれて保証人になることが殆どだと思いますが、契約自体は、
債権者と保証人の間に成立していることに注意が必要です。
主たる債務者と保証人の事情は保証契約の内容とはなりません。主たる債務者から、「他
にも連帯保証人がいるから大丈夫」と頼まれて保証人になったところ、実際は他の保証人
がいなかった事案に付き、保証契約は保証人の要素の錯誤(民法95条)による無効とは
ならないとした判例があります。
また、わが国の契約は一般的には『意思主義』を採用しており、通常の場合、両者の意
思の合致により契約は成立しますが、保証契約については歴史的にその濫用が問題となっ
たこともあり、必ず書面契約でなければ効力を生じないものとされています。(446条2
項)
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(催告の抗弁)
第四百五十二条
債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告を
すべき旨を請求することができる。ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又はその
行方が知れないときは、この限りでない。
(検索の抗弁)
第四百五十三条
債権者が前条の規定に従い主たる債務者に催告をした後であっても、保証人が主たる債
務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債
務者の財産について執行をしなければならない。
(連帯保証の場合の特則)
第四百五十四条
保証人は、主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、前二条の権利を有しない。
(催告の抗弁及び検索の抗弁の効果)
第四百五十五条
第四百五十二条又は第四百五十三条の規定により保証人の請求又は証明があったにも
かかわらず、債権者が催告又は執行をすることを怠ったために主たる債務者から全部の弁済を得られなか
ったときは、保証人は、債権者が直ちに催告又は執行をすれば弁済を得ることができた限度において、そ
の義務を免れる。
(保証契約の法的性質)
①
独立債務性
保証債務は、主たる債務とは別の債務と考えられています。
主債務とは別個の消滅原因を持ちうるからです。
②
付従性
保証債務は、主たる債務が履行されない場合に、これに代わって履行することによって
債権者に主たる債務が履行されたのと同じ効果を与えるものなので、主たる債務の存在を
前提とし、主たる債務に従うという性質を持っています。
(これを付従性といいます)
具体的には、
Ⅰ.主たる債務が成立しなければ、保証債務も成立しない。
Ⅱ.主たる債務が消滅すれば、保証債務も消滅する。
Ⅲ.保証債務は、主たる債務より重くてはいけない。重い場合には、主たる債務の限度
まで縮減される(448条)
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③
随伴性
保証債務は、一種の債権担保として随伴性を有します。
例えば、保証債務によって担保されている債権が譲渡された場合、保証債務もこれに伴
って移転します。
④
補充性
保証人は、主たる債務者がその債務を履行しない時に始めて自己の債務を履行する責任
が発生します(446条)。
具体的には、
Ⅰ.債権者が保証人に債務の履行を請求してきた場合に、保証人はまず、主たる債務者
に請求するように主張することが出来ます(催告の抗弁権
452条)。
Ⅱ.債権者が、保証人の財産に執行してきた場合に、保証人は主たる債務者に資力があ
ってかつ執行が容易であることを証明して、まず主たる債務者の財産に執行するよ
うに抗弁することができます(検索の抗弁権 453条)
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(連帯保証)
連帯保証とは、保証人が主たる債務者と「連帯」して債務を負担する特約のある保証契
約です。
(契約書に「連帯して」の文言があるかどうかで決まります)
この場合、連帯保証人は、上述の「催告の抗弁権」及び「検索の抗弁権」が認められな
いため(454条)
、保証人は債権者からいきなり支払いの請求をされても、弁済を拒めな
いことになります。
連帯保証は、強力な債権確保手段であり、取引ではむしろ一般保証のほうが見ることが
少ないほど利用されています。連帯保証をする時は、上述「催告の抗弁権」
「検索の抗弁権」
が認められないことをこころして、署名捺印をする必要があります。
ちなみに、商取引では商行為で生じた保証自体を「連帯保証」とする規定があります。
(商
法
511条2項)
これも、覚えておくと役に立ちます。ちなみに、社会保険労務士の業務は、対価を得てい
たとしても商行為には当たらないとされています。
(商法の適用が無いという意味)
(参考条文 商法)
(多数当事者間の債務の連帯)
商法 第五百十一条
数人の者がその一人又は全員のために商行為となる行為によって債務を負担した
ときは、その債務は、各自が連帯して負担する。
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保証人がある場合において、債務が主たる債務者の商行為によって生じたものであるとき、又は保証
が商行為であるときは、主たる債務者及び保証人が各別の行為によって債務を負担したときであっても、
その債務は、各自が連帯して負担する。
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(委託を受けた保証人の求償権)
第四百五十九条
保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、過失なく債権者に弁済
をすべき旨の裁判の言渡しを受け、又は主たる債務者に代わって弁済をし、その他自己の財産をもって債
務を消滅させるべき行為をしたときは、その保証人は、主たる債務者に対して求償権を有する。
2
第四百四十二条第二項の規定は、前項の場合について準用する。
(委託を受けない保証人の求償権)
第四百六十二条
主たる債務者の委託を受けないで保証をした者が弁済をし、その他自己の財産をもって
主たる債務者にその債務を免れさせたときは、主たる債務者は、その当時利益を受けた限度において償還
をしなければならない。
2
主たる債務者の意思に反して保証をした者は、主たる債務者が現に利益を受けている限度においての
み求償権を有する。この場合において、主たる債務者が求償の日以前に相殺の原因を有していたことを主
張するときは、保証人は、債権者に対し、その相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求するこ
とができる。
(保証人の求償権)
保証人が、主たる債務者に代わって債権者に弁済した場合は、保証人は主たる債務者に
求償が出来ます。他人の債務の弁済をしたのですから、ある意味当然とも言えます。
保証人は、通常は主たる債務者から依頼を受けて保証することが多いと思いますが、依
頼を受けずに保証するケースも考えられます。
民法では、求償権の行使を、「委託を受けた場合」(459条)と「委託を受けない場合
(債務者の意思には反していない)」
(462条1項)
「債務者の意思に反して保証した場合」
(462条2項)で区別しています。
①
委託を受けた場合、当然、代わりに「支払った全額」およびそれに付帯する費用に付
き求償権を取得します。
②
委託を受けない場合、「当時利益を受けた限度」に付き求償権を取得します。
③
債務者の意思に反して保証をした場合には、
「現に利益を受けている限度」に付き求償
権を取得します。
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分かりやすく説明しますと、
①の場合には、返済した元本のみならず、利息・費用・損害賠償まで請求することがで
きます。
②の場合は、求償権は元本のみで「費用・利息・損害賠償」は請求できなくなります。
③の場合は、②よりもまだ狭く、例えば債務者が、相殺できる反対債権を持っていた場
合には、その反対債権の相殺権を行使した後の残額しか求償することが出来ません。
(相殺
された部分は、債権者に返還を求めることが出来ます)
以上、保証契約について、基本的な部分を簡単にご説明いたしました。今後の業務推進
上のお役に立てれば幸いです。
タキモト・コンサルティング・オフィス
代表
社会保険労務士・CFP 瀧本 透
瀧本透先生【タキモト・コンサルティング・オフィス】
東京都西東京市泉町 1-5-8
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なおこちらの情報は2008年2月時点での情報です
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