資料2 - 新潟県極東連邦総合大学 留学生支援機構

極東連邦総合大学サマースクール 報告書
はじまり
~極東連邦総合大学サマースクールでつかんだもの~
新潟大学人文学部 2 年 塩澤大地
平成 25 年 8 月 6 日から 8 月 24 日までの約 3 週間、私はロシアのウラジオストクにある極東連邦総合大学のサマースクールに参加した。
昨年度、ロシア語を 1 年間学んだうえで臨んだ短期留学であったが、このサマースクールを通して、私は様々なものを得ることができた。以
下はその記録である。
1.ロシア
1.ロシア留学
ロシア留学を
留学を決めた理由
めた理由
はじめに、今回、私がこのロシアのサマースクールに留学を決めた理由を述べていきたい。私が留学を決めた理由は以下の 3 点である。
Ⅰ.ロシアを知りたい
私は高校時代、世界史の授業でロシアの近現代史に興味を持ち、さらにロシアのクラシック音楽を聴いたり、ロシアのバレエを見ることを
通して、ロシアという国に対して、非常に興味があった。大学ではロシア語やエネルギー問題、ロシアアニメの講義を受講し、ますますロシ
アに対する興味が深まった。そこで、ロシアとはどのような国なのだろうか、ロシア人とはどのような人々なのかということを現地に行き、
知りたいと思い、今回の留学を志願した。
しかし、一般的にロシアという国に対して、日本人はあまり馴染みがない。ロシアはその区分こそ、ヨーロッパに属するものの、地理的に
は日本と非常に近い。それにも関わらず、日本にはロシアの情報がほとんど入ってこない。私のロシアに対しての知識も、高校や大学で学ん
で初めて知ったものばかりである。
「地理的に近いはずなのに、なぜここまで情報が少ないのか」。この疑問こそ、私を今回のサマースクール
に導いた一番の動機であった。
Ⅱ.ロシア語と英語の勉強がしたい
私はこれまで、中学から 7 年間、英語を学び、大学に入って 1 年間、ロシア語を学び続けてきた。今回のサマースクールのロシア語や英語
で行われる授業や外国の地での生活を通して、ロシア語、英語で様々な人と話し、自分がこれまで学んできたロシア語や英語がどこまで通じ
るか試してみたいと思った。また課題を発見し、少しでも自分のロシア語や英語を上達させたいと思い、今回の留学を志願した。
1
Ⅲ.ロシアや極東地域の外交政策を学びたい
今年の 4 月 29 日に安倍首相とプーチン大統領が共同声明を結んだことに象徴されているように、日本とロシアは現在、政治的にも、経済
にも、文化的にも急速に接近している。私はこのような現在の状況を見て、将来、ロシアは様々な面で日本の大切なパートナーとなる可能性
があると感じている。そこで、日本とロシアはどのような関係にあるのか、日本とロシアは、これからどのように関わっていけばいいのかと
いうことを短期留学中に開講されるロシア外交の授業を通して考えたいと思い、今回の留学を決意した。
2.授業
2.授業、
授業、課外活動
次に現地での授業、課外活動の様子について報告したい。
授業は 9 時~15 時に行われ、午前はロシア語の speaking と grammar の授業を、午後は英語による、ロシア極東地域の外交政策について
の授業を受講した。ロシア語の授業は、現地で行われた能力テストの結果によって、Group 1~Group 4 まで、4 つのクラスにわかれ、それ
ぞれのクラスで授業が行われた。私は Option1 に参加した日本人の中でただ一人、Group2 のクラスに配属され、ドイツ人のクラスメイトと
ともにロシア語の講義を受けた。外交政策の授業では、日本人やドイツ人などの留学生とともにロシアの極東地域における外交政策、ロシア
外交の問題点などを学んだ。最終日には、六か国協議をモデルにした討論が行われ、私は中国側として、この討論に参加した。
課外活動では、観光名所や博物館・美術館、教会など、ウラジオストク市内を見学した。また留学生の交流の場として、浜辺でピクニック
が行われた。さらに 8 月 16 日~18 日には、シベリア鉄道に乗車してハバロフスクへ向かうオプショナルツアーが実施された。ツアーでは、
ハバロフスク市内の見学やアムール川をクルージングなどが行われた。
授業も課外活動も非常に充実した内容であったということができる。
3.留学中
3.留学中で
留学中で見つけた課題
つけた課題、
課題、強み
次に自分時自身について振り返っていきたい。今回の留学は私にとって、非常に充実したものとなった。ロシアの言語や歴史、文化に触れ
たり、ロシアの外交政策について考えることで、ロシアという国について様々なものを知り、考えることができた。もちろん、このことは今
回の留学の大きな成果である。しかし、私は今回の留学の様々な活動を通して、自分自身の強み、弱みを発見し、「自分とはどのような人間
なのか」と自分自身について考え、自分自身と向き合えたことこそが、今回の留学の最も大きな収穫であったと考えている。留学の成果とし
2
て、今回の留学で得た知識を報告したいところだが、今回は留学で発見した自分自身の強み、課題に絞って述べていきたい。
Ⅰ.留学で見つけた弱み
まずは留学を通して発見した自分自身の課題について報告したい。今回の留学では、主に自分の語学についての課題が浮き彫りになった。
授業では、ついていくのがやっとで、先生やクラスメイトの言っていることがわからないということも頻繁にあった。そのためか、他のク
ラスメイトに比べ、あまり発言をすることができず、自分の語学に対する実力不足を実感した。また実力不足を痛感してしまったためか、留
学の後半は、先生やクラスメイトに対して、あまり自信を持って話すことができなかった。さらに実力不足、自信喪失から失敗することを恐
れるようになり、黙り込んでしまう場面も後半では見られた。今回の留学では、自分の語学に対する実力不足が浮き彫りになった。しかし、
そのような技術的な側面より、むしろ精神的な側面にこそ重大な問題点があったと私は考える。すなはち、コミュニケーションをとるうえで
最も大切な、「とにかく失敗してもいいから、相手に自分自身を伝えよう、わかってもらおう、話してみよう」という積極的な姿勢が欠如し
ていたということこそが、今回の留学の最大の問題点であったと思うのである。語学のスキルなどの技術的な側面は学びながら身につけてい
くことはできる。しかし、いくらそのような実力がついたとしても、「相手に伝えたい、わかってもらいたい」という心がない限り、相手に
自分自身を伝えることはできないし、コミュニケーションをとることもできない。私はそのような心を自信喪失、失敗に対する恐れから、自
ら閉ざしてしまっていたのである。いかに私が失敗に対して弱い人間であるかということを改めて実感した。
Ⅱ.課題
今回の留学をふり返ってみると、自分の実力不足を改めて実感したが、何よりもコミュニケーションの基本となる積極的な姿勢を持てなか
ったことが悔いに残った。今回のような過ちを繰り返さないためには、何よりも失敗を恐れず、挑戦し続ける心を持つことが最も大切であり、
そのような心を育てていくことが今後の最大の課題である。さらに技術的な側面を強化するために、精神的な面では、今のレベルで満足せず、
どこまでも伸ばしていきたいと願う向上心を持ち続けることが大切であると考える。また、語学の実力は、すぐにはつくものではないので、
毎日の努力も欠かせない。これらのことを通して、実力を伸ばし、自分に自信をつけ、積極的な心を持って、相手とコミュニケーションをと
りたい。
3
Ⅲ.留学で見つけた強み
次に留学を通して見つけた自分の強みについて報告したい。今回の留学で発見した自分の強みは大きく 3 つある。1 つ目は日常生活におい
て、いろいろな人と積極的に話すことができたということである。大学の授業では、ついていくことがやっとで、あまり話すことができなか
ったものの、日常生活においては様々な人々と話すことができた。例えば、大学の警官に話しかけて道案内してもらったり、食堂のスタッフ
に話しかけて、おいしい料理を紹介してもらったり、おみやげを選ぶ際には、店員や警官がおみやげ選びを手伝ってくれた。このように様々
な人々と日常生活で話し、ふれあうことができた。また大学以外の場所では、英語はほとんど通じず、ロシア語を話せなければコミュニケー
ションをとることができなかった。そのような状況の中で、私はロシア語を話し、多くの人と話すことができた。このことは私にとって、大
きな自信となった。2 つ目は問題が起こっても、自分の力で解決することができたということである。たとえば、ウラジオストク市内の観光
で訪れた美術館を見学中、グループからはぐれてしまい、一人になってしまうということがあった。私は美術館の職員の方や警官に話しかけ、
大学側と連絡をとれるように電話を貸してくれることを頼んだ。すると、警官が私のために電話をかけてくれた。さらに「車で大学まで送っ
てやるよ」と言って、サポートしてくれたのだ。そして私のグループがバスで待機しているということがわかると、職員の方が「一緒にバス
までいきましょう」と言って、私をバスまで案内してくれたのだ。こうして私は、グループと合流することができたが、このトラブルに遭遇
した際、私は様々な人とロシア語で話し合い、なんとかトラブルを解決することができたのである。そのほかにも道に迷ってしまったり、食
堂でカビが生えたヨーグルトが出てきたりとトラブルの連続であったが、その度に私はロシア語で話し、トラブルを自分の力で解決してきた。
このことも私にとって、大きな自信になった。3 つ目はやろうと決めたら、行動に移せるということである。私は今回、将来、ロシア語を活
かした職業に就き、日本とロシアをつなぐ役割を果したいという想いから、ロシアの留学を決意した。ロシア語を始めたばかりであったため、
まだ自分の語学に自信がなく、海外での生活が不安に感じることもあった。しかし、留学を決意した時の志を忘れず、留学という形で行動に
示すことができた。このように初志貫徹し、留学をすることができたということは、私にとって、大きな自信になった。
このように様々な経験を通して、私は自信を手に入れることができた。こうして、留学を通して自分の強みを発見できたことは私にとって、
大きな財産である。
4
4.まとめ
4.まとめ
今回、留学を通してロシアについて様々なことを知り、ロシアに対する興味を高めることができた。今回の留学によって、留学の前後で大
きな変化があった。留学後、私は具体的な目標を持ち、ロシア語と英語の学習にモチベーションを上げて取り組めるようになった。また、自
分の強みと弱みを発見することによって、自分と向き合うことができるようになった。そして何より、今回のロシア留学によって、ロシアへ
の想いがますます強くなった。私は来年 9 月~再来年の夏まで、ロシアのサンクトペテルブルグ大学に 1 年間、交換留学を予定している。今
回の留学で得たものを糧にして、来年の留学がより充実したものとなるよう、今後、努力していきたい。そして将来は、ロシア語を活かした
職業に就き、「日本とロシアを結ぶかけ橋になりたい」という夢を実現に導いていきたい。今回の留学は、夢を叶えるための「はじまり」と
して、大きな収穫を私に与えてくれた。今回の留学の経験をエネルギーに変えて、夢に向かって一歩一歩、前進していきたい。最後に今回の
留学をサポートして下さった皆様に深くお礼を申し上げたい。
5