第22号 - 平群里山クラブ

2011 年4月
KATI-KATI山だより 第22号
http://web1.kcn.jp/katikati/
事務局;平群町緑ヶ丘6-16-4
e-mail:[email protected]
田中
勇蔵
℡0745-45-4598
「里山で遊び、里山から学ぶ」
花の KATIKATI 山で第6回総会開く
4月10日、青空と満開の山桜の下で75人(うち子供10名)が参加して総会が開かれました。事務局長の
フライングで予定より15分も早く開会(誰も疑問を出さなかった)
。
会長の挨拶の後、昨年度の活動報告と会計報告、本年度の役員・活動予定を承認。続いて
青年部から北さん、ログハウス建造を大塚さん、オオムラサキ飼育を星野渉さん、養蜂について松村さんと中野
さんがそれぞれ説明され、里山クラブが多彩で充実したクラブに成長している様子がよくわかりました。昼食は
恒例の筍ご飯と豚汁、タラの芽や筍、椎茸のてんぷらです。なごやかで楽しい時間が流れました。昼食後は筍堀
や花見散策、ヤギ・オオムラサキ見学などのコースに別れてカチカチ山の春を満喫しました。いつもながら準備
と当日の食事の世話をしてくださった皆さんに感謝です。また、差し入れやご寄付くださった方々にこの紙面に
てお礼申しあげます。
(田中勇蔵)
23年度役員
会長
星野紀夫
自然体験教育
小嶺敏勝、近藤
泉
副会長
岸本満雄
広報
窪井紀子、星野一子、加藤久美子
会計
右成啓三
青年部
北
会計監査
井上隆司
事務局長
田中勇蔵
和恵
東日本大震災への義援金74061円を日本赤十字社に振り込みました
その内訳は 総会までに集まった義援金
総会で集まった義援金
15000円
9821円
会食代からの収益金
32140円
食品販売からの収益金
17100円
です。
(右成啓三)
業 平 道(なりひらみち)
若葉台からカチカチ山入り口の給水塔にむかって急な坂を登り切った丁字路に平群町
が設置した木柱が立っている。
大きな文字で「←重文
藤田家
1.0 ㎞」、その下に小さな銘板が付けられており「十
三街道 業平ロマンの道」と2行に書かれている。
この東西の道が平群町設定の「業平ロマンの道」の一部であることを示しているのだが、
残念なことにこの道は「業平道」そのものではなく帰路にあたる道である。
平群町内の「業平道」はもう少し南の道、近鉄竜田川駅から石床神社、四ツ辻を通り十三峠へ登っていく道とされている。
「業平道」の伝承は平群町だけではなく、天理市・安堵町・斑鳩町等にも残されている。斑鳩町も「藤の木・業平つれ
づれの道」を設定しており、また斑鳩文化財センターの前には「業平道」の説明板が建てられている。
「業平」とは在原業平(825~880)のこと。平城天皇の孫で平安時代の歌人、六歌仙の一人である。業平の代表作と
される「ちはやぶる 神代もきかず 竜田川 からくれないに 水くくるとは」の一首は「小倉百人一首」にも採られて
いるのでご存知の方も多いだろう。業平は大変な美男子で奔放な恋多き人であったと伝えられており、
「伊勢物語」
(平安
初期成立の歌物語)の主人公とされている。
「伊勢物語」第23段に「河内の国、高安の郡に、いきかよふ所出できにけり」という話が載っている。八尾市高安に
残る伝説はもっと具体的で、高安の「玉祖神社」にお参りした業平が茶屋の娘梅野を見初め、800 夜も通いつめたという。
この伝説の通い路が「業平道」である。
「業平道」の始点は天理市櫟本、天理インターすぐ横の「在原神社」。今はほんの小さな社殿が残されているだけであ
るが、この地は業平誕生の場所とされており、明治9年までは9世紀建立の「在原寺」が存在していた。
「在原神社」から西に向かって、大和郡山市八条町・安堵町・斑鳩町の高安・法隆寺門前の松並木を横切り・竜田神社
の北を通って竜田川へ、竜田川にそって平群町に入り、竜田川駅の辺りで西へ曲がり、十三峠を超えて八尾市高安までと
いうのが「業平道」伝承のルートである。
もう一説としては、斑鳩町から王寺町を通り、大和川に沿って柏原市へでる「竜田越
え」もあるがこの道はかなりの遠回りとなる。「在原神社」から八尾市高安までは直線
距離で 19Km ほど。道の曲がりくねりや峠越えを考えると、休まずに歩いても9時間・
10時間の道のりである。しかも、先にふれた「伊勢物語」によると夜半に一人で越え
て行ったとある。
とても信じ難い話であるが、古の人は恋の力はこれほどにも偉大であると考えていたのであろうか。
(岸本満雄)
2011年度活動予定 定例活動は毎週水曜日、毎月第2日曜日 9:30からです
4月27(水) 竹炭焼き、東斜面整備
7月4(月) 七夕用笹の切り出し
5月4(水) 自由活動
6(水) 馬鍬淵竹藪伐採
8(日)
自然観察会
10(日)
カチカチ山・周辺整備
11(水) 自然観察道整備
13(水)
ヒノキ林間伐
18(水) 的場竹林、雑木林整備
20(水)
ヒノキ林間伐
25(水) ヒノキ林間伐
24(日)
親子自然体験教室
29(日) 馬鍬淵除草 (町クリーンアップ行動)
27(水)
的場竹林、雑木林整備
6月4日か5日? 大和高原茶摘
8(水) 櫟原街道整備
12(日)
オオムラサキ放蝶会
8月3(水) 子ども自然体験教室
10(水) ヒノキ林間伐
17(水) ヒノキ林間伐
15(水) ヒノキ林整備
24(水) 櫟原街道整備
22(水) ヒノキ林間伐
31(水) 東斜面整備
29(水) 桃源郷草刈
9月11(日) 森の音楽会・観月会
かちかち山博物誌(21) おつきあい
世の中には名著と言われながら、意外に読まれてい
い内容には変わりない。私も挫折組なのだが、新旧と
ない書物がある。その双璧は聖書と昆虫記、と誰かが
りまぜて拾い読みはした。狩人バチ(鱗翅類の幼虫を
書いていた。聖書は通読すべき本かどうかはさておい
捕らえるジガバチ)、糞コロガシ(スカラベ)、ヴァン
て、昆虫記のほうはさもありなん、と思う。
トゥ山登山記などは記憶に残るが、大部分はとばして
著者はアンリ・ファーブル(1823 - 1915)。南フラ
ンスの片田舎でム
しまった。
著書はかように面倒なのだが、ファーブル自身の生
シの習性を観察し、
き方は単純明快。炎天下、何時間でも野原に寝そべっ
知見を読み物とし
て、ムシを見ていれば満足した、と伝えられる。生活
て出版した。日本
費を得るために大学教授の地位を狙ったり、染料会社
では「ファーブル
を設立したり、それなりの波乱万丈ともいえる生涯を
昆虫記」として集
経て、92 歳の天寿を全うした。
大成され、岩波文
*
庫では全 20 分冊
ムシ観察が楽しいかどうかは個人の好みによる。た
の大部、初版は
だ、相手がムシでは急がせるわけにもいかないから、
1930 年 代 に 出 版
暇と根気が有り余るほど必要なことは確かである。そ
された(1993 年の新版では 10 冊になったが翻訳は元
れが気にならなくなるのが「ファーブルもどき」の事
どおり)。たいていの昆虫少年は、一度は取り組むのだ
始めだろうか。
が、ほとんど挫折、最後まで読んだ人はたいへん少な
カチカチ山ではジガバチがアゲハチョウの幼虫をく
いのではないか。翻訳が直訳調で難解、日本語の体を
わえて歩いているし、センチコガネ(スカラベの一種)
なしていないこと、内容も微にいり細にいりくどいこ
もクヌギにくる。ファーブルが見たら飛び上がりそう
と、冗長なこと、日本にはいない虫が扱われているこ
なタマムシも豪快に飛ぶ。彼がアルマスと名づけた南
と、など悪条件が重なるせいだろう。自称ムシ屋、本
フランスの寒村よりは数倍もの種類がいるはずである。
業フランス文学者の奥本大三郎氏はそれを憂い、新し
これからはクヌギやコナラが新緑にけむり、よろず
い完訳版を出版しはじめた。
のムシどもが活動を開始する。
「よし、つきあってやる」
それにしても、読破するには覚悟がいる。奥本氏の
新訳で日本語としては随分読みやすくなったが、くど
この木なんの木?
と思うのだが、さて、うまく付合いきれるかどうか...
(佐野
浩、April 8, 2011)
カチカチ山の木シリーズ・・・第22回
さんしょう
ミカン科 サンショウ属 落葉低木
カチカチ山の春の味覚・・・竹の子につきものなのは、やはり何といっても山椒の一葉。
ウナギやちりめんの佃煮にと日本人にとってなじみ深い香辛料のひとつだ。一般に実山椒、
花山椒の区別があるが、じつは、山椒は雌雄別で実の生るのは雌木、実の付かない花だけ
のは雄木となる。ちなみに山椒の英語名は Japanese
pepper。
カチカチ山には食用にならない犬山椒の木が多い。山椒かなと思っても、葉を少し取って
手で揉んでみるがあの独特の香りはしない、香りが違う。がっかりしてつまらない木だと思っていた。私の家にあ
るのは、植木鉢に植わっている小さい山椒の木だが、春になるとナミアゲハチョウがやってきて卵を産む。結果、
ほとんど葉が残らないくらい丸坊主の惨めな姿に変わり果てる。しかし、犬山椒には特に黒い美しいカラスアゲハ
やナガサキアゲハが好んで卵を産むらしい。あの美しい蝶がカチカチ山の上を舞うのなら、犬山椒で山が覆われて
もかまわないと考えがかわった。(星野
一子)
見晴らしログハウス、完成!
青年部です、
こんにちは
2010年 秋 に 生 ま れ た 「青 年 部 」。
12月 か ら 製 作 に と りか か っ た
【見 晴 ら し ロ グ ハ ウ ス 】を 3月 に 完 成
させ ま し た 。 初 め て の 春 を 迎 え 、
ま す ま す 元 気 で す ! これ ま で の
活 動 と今 後 の計 画 をご紹 介 します 。
大 盛 況 ! 竹 伐 り 競 争 、竹 笛 作 り
奈 良 県 文 化 会 館 で 3月 6日 、 『パ パ
力 (ち か ら) U Pフ ェ ス タ 』が 開 催 され 、
青 年 部 も 出 展 し ま し た 。 イ ク メン パ パ
を 応 援 し よ うと い うの が フ ェ ス タ の 主
旨 で す 。 青 年 部 は 、 パ パ ・パ ワ ー と パ
パ の 偉 大 さを ア ピ ー ル し て も ら お うと
考 え 、 「竹 伐 り競 争 」と 「パ パ と 作 る 竹
笛 教 室 」を 展 開 し ま し た 。
「竹 伐 り」会 場 は 熱 気 と 声 援 で 賑 や
か ! パ パ た ち は ノコ ギ リの 扱 い に 苦 戦
し て い る 様 子 で し た が 、「パ パ が ん ば
れ ~ っ ! 」と 必 死 に 応 援 す る 子 ど も た
ち に パ パ も 全 力 で こた え て い ま し た 。
「パ パ と 作 る 竹 笛 教 室 」で は 、 子 ど も
と 親 が 切 り出 し ナ イ フ を 一 緒 に 握 っ て
竹 を 削 っ た り、 吹 き 口 を ず ら し て 音 の
た だい ま
計画中
昨 年 か ら 製 作 を 開 始 し た 【見 晴 ら し ロ グ ハ ウ ス 】が 3月 上 旬 に 完 成 し 、 平 群
町 立 平 群 幼 稚 園 で 贈 呈 式 が 行 わ れ ま し た 。 自 称 ・青 年 部 精 鋭 部 隊 (= パ パ
た ち )が 毎 土 日 曜 日 に コ ツ コ ツ と 作 業 を 進 め 、 マ マ 部 隊 や 子 ど も た ち 、 幼 稚
園 の 先 生 ・保 護 者 の 皆 さん も 、ヒノキ
の皮 む きや 仕 上 げ 磨 きを手 伝 い、地
域 の方 々 からもご協 力 を頂 きました。
もち ろん里 山 クラブ の大 先 輩 方 か ら
のアドバ イスは 絶 大 で した 。ご 協 力 頂
いた皆 様 に心 か ら感 謝 いたします 。
【見 晴 ら し ロ グ ハ ウ ス 】は 園 庭 に あ る
大 き な ク ス ノキ の 下 に 設 置 され ま し
た 。子 どもた ち は 早 速 の ぼ って 、高 い
所 か ら 「ヤ ッホ ー 」と 叫 ん だ り、ヒノキ を
な で た り、 匂 い を か い だ り、 屋 根 に 開
い た 窓 か ら 空 と 木 を 眺 め た りし て 楽 し
そ うに 遊 ん で い ま し た 。自 然 の 木 の 心 地 よ さを 肌 で 感 じ て い る こと で し ょう。
子どもたちが里山 や身近な自 然に興 味を持つ一 つのきっかけになれば、
と願 っています 。
を 上 映 し た り、 里 山 に あ る 木 や
竹 で 作 ら れ た ク ラ フ トや 花 器 、
玩具 などを展示しました。
ア ン ケ ー トで 、 有 名 企 業 の
ブ ー スと並 び 里 山 ブー スが高
く評 価 され た の は 本 当 に 嬉 し
い 限 りで す 。
出 る 位 置 を 何 度 も 探 っ た りと 、親 子 で じ っ く
り挑 戦 。 音 が 出 た 瞬 間 、 満 面 の 笑 み に な る
の が 印 象 的 で し た 。 「楽 し い な あ 」「い い 音
鳴 る な あ 」と い う感 想 も 頂 き ま し た 。
ま た 、里 山 ク ラ ブ の 竹 細 工 名 人 に 協 力 を
お 願 い し 、 竹 さば き の 実 演 、 竹 と 里 山 保 全
のお話 をしていただきました。
この ほ か 来 場 者 に 里 山 の こと を 知 っ て も ら
うべ く、ミニ シ ア タ ー 【カ チ カ チ 山 の あ ゆ み 】
◆ 『里 山 図 鑑 』の 製 作 … カ チ カ チ 山 周 辺 の 草 花 ・樹 木 を 図 鑑 形 式 で 紹 介 す る 試 み 。 子 ど も に も
わ か りや す く、 見 て 楽 し い カ チ カ チ 自 然 図 鑑 を 目 指 し て い ま す 。
◆ 『自 然 観 察 会 』の 開 催 … 夏 休 み に 子 ど も た ち と そ の 保 護 者 を カ チ カ チ 山 に 集 め て 開 催 。
そ の 際 、カ チ カ チ 自 然 図 鑑 も 活 用 で き れ ば と 考 え て い ま す 。
オオムラサキの人工飼育
日本ミツバチの巣箱を設置
ヤギが来てから丸 1 年
編集後記
異常な寒さにもやがて春はやってくる。例年に比べ遅い春がカチカチ山にもやってきました。
若い仲間が増え、やぎたちは食欲旺盛で、山はますます忙しくなりそうです。カチカチ山を日本たんぽぽでいっぱい
にしたいという話もあるとか・・・楽しみです。
(星野
一子)