事業承継・相続・資産税ニュースレター Vol.23 生命保険金~相続税計算~ 2011 年 11 月 30 日配信 5.税額シミュレーション 死亡保険金 6,500 万円、累計払込保険料 1,000 万円と仮定 して、各パターンにおける納税額をシミュレーションしま 前月配信のニュースレターでは生命保険金の種類につい す。なお、計算の前提として、上記記載の保険金以外に計 てご紹介致しました。今回は実際に生命保険金を受けとっ 算の対象となる財産、所得、贈与等は無いものとし、相続 た場合の課税関係についてご紹介致します。 人は 1 人とします。 1.税務上のポイント ●相続税・・・・・・・・・・・・・0 円 税務上は次に掲げる者の組合せがポイントになります。 ①課税対象財産 ●保険契約者(保険料を支払う人) ②基礎控除 5,000 万円+1,000 万円×1 人=6,000 万円 ●被保険者(保険の対象となる人) ③生命保険金非課税 500 万円×1 人=500 万円 ●保険金受取人(保険金を受け取る人) ④ 上記 3 点の組み合わせ次第で、生命保険金には相続税又は ●所得税・住民税・・・・・・約 1,083 万円 所得税及び住民税若しくは贈与税のいずれかが課税され ①課税所得(6,500 万円-1,000 万円-50 万円)×1/2 ます。また、負担すべき税額も異なることとなります。 =2,725 万円 2.ケース 1(相続税が課される場合) ②所得税額 2,725 万円×40%-約 280 万=約 811 万円 契約者と被保険者が同一人の場合の保険金は相続税の課 ③住民税 2,725 万円×10%=約 273 万円 税対象財産となり、以下の金額に相続税が課されます。 ④ 【保険金-非課税となる金額(※)】 ●贈与税・・・・・・・・・・・2,970 万円 (※)一定の生命保険金につき相続人が保険金を受け取る ①課税価格 6,500 万円-110 万円=6,390 万円 場合に限り、非課税規定があります。非課税の限度額は以 ②6,390 万円×50%-225 万円=2,970 万円 下のように決められています。 6.最後に (500 万円×法定相続人の数=非課税限度額) シミュレーション結果のとおり、生命保険は契約者、被保 3.ケース 2(所得税及び住民税が課される場合) 険者、受取人等の契約内容により納付すべき税額が大きく 契約者と受取人が同一人の場合の保険金には所得税法上 異なります。また、相続税は今後税制改正が予定されてい の一時所得又は雑所得として以下の金額に所得税及び住 る項目にもなります。そのため常に最新の税制を把握し、 民税が課されます。 対策を検討する必要があります。生命保険は現金として遺 【[保険金-累計払込保険料-特別控除 50 万円]×1/2】 族の方々に残すことができるので財産分割等がしやすく ただし、遺族の方が年金として受給する生命保険金のうち、 なるなどのメリットもあります。今現在ご加入の保険契約 相続税の課税対象となった部分については所得税・住民税 はご自身及びご家族に対してどのようなメリットをもた の課税対象となりません。なお、同一人である契約者と受 らすか、ライフプランの観点及び相続税の節税及び納税対 取人が法人の場合には、その生命保険金の全部又は一部が 策等の観点から是非一度適切な専門家にご相談されてみ 課税所得となり、法人税が課されることとなります。 ては如何でしょうか。 6,500 万円(生命保険金額) ①-(②+③)=0 円 ②+③=約 1,083 万円 4.ケース 3(贈与税が課される場合) 契約者、被保険者、受取人の全てが異なる場合の保険金は (文章担当:今井儀徳) 【お問い合わせ:事業承継・相続・資産税研究グループ】 当該保険金額に対し贈与税が受取人に課されます。 税理士法人 平成会計社 なお、暦年課税の場合は基礎控除 110 万円が適用できます。 HSKコンサルティング 株式会社 Email : [email protected]
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