世羅町立世羅中学校(パイロット校) 校内授業研修会に参加して

№9
庄原市立東城小学校
平成 27 年 10 月9日 片山
世羅町立世羅中学校(パイロット校)
校内授業研修会に参加して
世羅中学校はパイロット校に指定され,研究主題を「主体的に課題を発見し追求する生徒の育成」副題を
「学びを深める協同学習を通して」と設定し研究を進めています。育成する資質・能力を「思考力・表現力」
「主体性」
「自らの自信」とし,全教科において意識して,育成すべく取り組まれています。
授業について
参観したのは第2学年音楽の授業です。世羅
中学校のパイロット教員の教科は音楽です。
参観する前は正直,音楽で課題発見・解決学習
をどのようにするのだろうと思っていました。
しかし,授業の中には,さまざまな思考スキル
が意図的に仕組まれ主体的な学びが展開されて
いました。流れに沿って紹介します。
単元名「記憶に残る全校合唱とは…」(単元構成は指導案を参照)
学習過程
・ 中間発表会の全校合唱を振り返り,反省を生徒に出させる。
・ 生徒の反省をもとに本時の
声が出ていない。全員が歌え
課題を設定する。
導入
ていない。
・ 自分たちの歌声を録音し,プロの歌声と聴き比べる。
展開
個人思考
思考スキル→比較(共通点・相違点から工夫したい
ことを見付ける。
)
・ 5つの視点に沿って聞き比べ,個人のワークシートに記述。
思考スキル→関連付け(今までの学習との関連付け)
集団思考
【5人グループ】
・ パートリーダーを中心に3分で意見を出し合い,まとめる。
・ 音楽用語を使用して(子音をたてる・強弱 ピアニッシモなど・響き・息継ぎ)楽譜を
指し示しながら根拠をもとにした発言が飛び交う。
【全体】
・ 指名なし発表で,各パートごとの意見をどんどん発表していく。楽譜の流れに沿って同
じ場面の意見に次々と付け足すような発言の流れ。
・ 学級リーダーの子が最後にまとめる。
表現力 (発言力の高さ)
全体の意見を集約すると,Cのパートの~を練習
しなければいけません。Cの練習でいいですか。
私は,~の理由でAのパートの練習をするべきだと思います。
まとめ
・ 再度自分たちの歌声のAパートを録音し,聴いた感想を振り返りに書く。
録音
聴く
表現の工夫
・ ←このサイクルを繰り返すことで表現の工夫を行わせる。
・ 自分たちの歌声を聴いて,新たな課題を発見する。→次時の課題へと。
気付き・ 学習規律が整っている。黙想・立腰
・ 少人数での話合い活動がスムーズである。
・ 意欲的に活動するように仕掛けをしている。
(地域の方からのビデオレター・選曲は投票で)
・ テンポの良い授業。
・ 指導者の発言・指示が短い。
(一時に一事)
・ タイミングよく評価が入る。
事後研修会について
世羅中学校で育成する資質・能力の中で「主体性」があります。
「主体性」というのは具体的にどのような姿になったらよいの
か?音楽でねらう主体性とは何か?何で見取るのか?といったこ
とが初めに議論されたようです。
そこで,今回の事後研修会では,小集団での協同的な学びの中の生徒の具体的な発言内容を検証してい
くことにねらいが絞られていました。前回と同じメンバーの小グループの話合いの様子が,動画で流され
ました。そして,今回の話合いの動画と比較し,発言内容と,発言回数の偏りについて話し合いました。
前回は,リーダーの生徒に発言が偏り,全員が発言できていなかったとの反省がありましたが,今回は,
リーダーが周りの子に意見を求めたり,聴いている子がうなずいたりと,話合いの質の向上が見られまし
た。授業では話合い活動の様子を先生方が分担し,記録していました。記録用紙には,すべてのグループ
で予想される発言まで事前に書いてあり,教材研究をしっかりされていることがよく分かりました。
このように,生徒の発言を記録していくことは「主体性」という評価が難しい能力を見取るのに有効で
あると感じました。
グループ協議では,写真1のよ
うな模造紙に,協議の柱が書いて
あり,そこに話し合ったことを直
接書き込む形式で行われました。
目標の達成度を書き込む帯グ
ラフや,手立てなどの視点が示さ
れており,工夫された様式だと思
いました。
中学校は教科担任制です。小集
団活動の工夫については,本時の
気付きから,各教科において小集
団活動で工夫していることに話
題がのぼり,全職員で生徒の協同
的な活動を高めていこうとする
姿が見られました。
少しずつ本校でも取り入れて
いきたいと思います。
写真1