モンゴル (748KB、2016年3月)

モンゴル医療情報
以下は必ずしも最新の医療事情ではありません。詳細(特に緊急時対応や予防薬の
服用方法など)については現地医療事情に詳しい医療専門家から常に最新のアドバ
イスを受けるようにしてください。
最新更新履歴:2016 年 01 月 22 日執筆(あるいは修正または校閲)
1.赴任前の準備
(1)予防接種
●入国に際し義務付けられている予防接種はない。
●推奨予防接種:①狂犬病、②A 型肝炎、③B 型肝炎、④破傷風
(モンゴルは肝炎蔓延国であり、A 型肝炎・B 型肝炎ともに接種を強く勧奨する。)
●インフルエンザ: 流行時期は、11 月~2 月 医療機関でのワクチン接種は、毎年、
10 月中旬ごろから実施されている。
ウランバートル市内では国立感染症研究センター及び SOS インターナショナルク
リニック(会員制)でワクチン接種をおこなっているが、在庫は安定しておらず WHO
推奨のワクチンは限られているため、赴任前に本邦での予防接種を推奨する。
(2)その他の準備
大陸性気候で年間を通じて乾燥・粉塵が多いため、コンタクトレンズ使用者は気候
に応じて眼鏡を使うなどするとよい。(3~6 月は特に風が強く粉塵がひどい)
コンタクトレンズは、モンゴルでは一般的ではなく販売店はウランバートル市内に 1
店舗のみ。洗浄液などの在庫も安定していないため、コンタクトレンズに関する物は、
日本から持参するほうがよい。
高血圧・脂質異常症・糖尿病薬などの基本的な生活習慣病の治療薬は入手可能
だが、流通が不安定であったり、内容量は日本と異なるものも多い。新薬はないこと
も多いため、赴任時に最低 3 カ月分は持参したほうがよい。あらかじめ本邦主治医に
薬品の一般名(商品名とは異なる)と、類似薬・代換薬が可能か否かを確認しておく。
また、英語の診断書や紹介状(診断名、検査所見、処方内容等が記載されたもの)を
持参したほうがよい。
歯科に関しては、モンゴルでは治療を受けることができるが、衛生面や技術面にお
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いては十分とは言えない。特に地方都市での歯科治療は勧められない。赴任前に検
診・治療を完了しておくことが望ましい。
2.医療事情
(1)医療機関
外国人滞在者には私立病院の受診をお勧めするが、休日診療・夜間救急が限ら
れているため、営業時間内に受診できるように早めの受診を勧める。
国立病院は、病院ごとに専門があるので、症状に応じて選択する。MRI や CT など
の医療機器が導入されつつあるが、読影技術、機材の保守点検不備、衛生面での問
題などがあり、受診はお勧めできない。受診システムもわかりにくく、モンゴル語しか
通じないため、受診の場合は通訳を同伴した方が安心である。
重症の整形外科疾患・外傷は、国立外傷センターのみ対応可能である。
夜 間 救 急 は 、SOS イ ン タ ー ナ シ ョ ナ ル ク リ ニ ッ ク 、United Family Intermed
Hospital、もしくは国立病院受診となる。
モンゴルでの一般的な受診システム:
① 受付時に初診料を支払い、医師の予約を取る。
② 診察後、検査等の指示が出た場合は、追加料金を支払い、検査を受ける。
その後、再び診察を受け治療が決定する。
③ 薬は院内・外薬局で購入する。
地方の国立病院では、点滴などの医薬品を院外薬局で薬を購入し、処置室で専門の
看護師または医師に実施してもらう。一方、首都ではそのようなシステムを取っている
病院はほとんどない。特に私立病院では、点滴薬・内服薬などほとんどが院内処方さ
れている。
[ 私立病院の受診料の目安]
初診診察料:25,000TG~45,000TG
レントゲン:20,000TG~30,000TG
CT/MRI 等:300,000TG~
個室入院費(1 泊):50,000TG~
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ウランバートル市内主要 私立総合病院
●Song Do Hospital (ソングド病院 2007 年設立)
所在地:Choidog St. 5, 1st Khoroo,
Sukhbaatar District, Ulaanbaatar
(スフバートル広場より徒歩 5 分)
電話:+976-70129000
診療時間:月~金 8:30~16:30、土 9:00~
12:00 (昼休み 13:00~14:00)
診療科目:呼吸器内科、循環器内科、消化器内科、婦人科、歯科 、
備考: MRI・MRA.・CT・内視鏡などの検査設備を有する。韓国資本で設立されたが
2011 年にモンゴル資本に売却。韓国ソングド病院との医療連携は継続してい
るが、モンゴル人医師のみとなった。受付は英語可能。
●Gurvan gal Hospital(ゴルバンガル病院 2011 年設立)
所在地:Amars anaa Street 24, Ulaanbaatar
(母子センター隣。ガンダン寺を北上したあたり)
電話:+976-11-70113344
診療時間:月-土 9-17:00
(土曜日の小児科は予約診療のみ可能)
診療科目:内科・一般外科・産科・婦人科・
小児科・耳鼻科・眼科
備考:母子に特化しているが、生活習慣病を中心とした内科・消化器外科も扱う。
CT・内視鏡等の設備あり。入院・食堂・売店などの設備もある。クレジットカー
ドでの支払いが可能。
●SOS メディカ インターナショナル クリニック
所在地:4a Building, Big Ring Road, 15th Micro District,
7th Khoroo, Bayanzurkh District, Ulaanbaatar
(チンギスハーンホテル前の大通りを北上)
電話:+976-11-464325/26/27
携帯:+976-9909-6175(マネージャー)
時間外・緊急時:+976-91913122 (Mongolian) 99110335 (English)
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FAX:+976-11‐454537
診療時間:月~金 9:00~18:00 (時間外、休祝日は電話呼出)
備考:会員制クリニック。救急受診・一部予防接種は非会員も利用可能。短期入院
施設もあるが、重症時・整形外科などの外傷はそれぞれの専門病院へ自社
救急車にて搬送される。海外への医療搬送も行う。
※緊急時に会員以外が受診する場合、コンサルテーション料金として 1 回
①モンゴル人医師(英語可):90$
②外国人医師:230$
一般利用する場合は、個人での会員契約が必要。
<メンバー料金>
①モンゴル人医師の:750$/年
②外国人医師:1880$/年
●SOS MEDICA MONGOLIA (ZAISAN Branch)
所在地:Khan Uul District,11th Khoroo Zaisan Center 2F
電話:976-77114325 (英語可)
診療時間:月~金 (9:00~18:00) 昼休み(13:00~14:00)
※(木)のみ 16:00 まで
診療科目:内科、小児科
☆本院と同じく会員制。夜間・緊急対応は本院へ。
●United Family Intermed Hospital
所在地:41 Chinggis Avenue khan-Uul District 15 Uildver 17040, Ulaanbaatar
✿APU 飲料水メーカー工場の隣。UB 中心部からは、平和橋を渡りザイサン
方面と空港方面との分かれ道を空港の方向へ右折。すぐ左側に見えるガラ
ス張りの建物)
電話:976‐7710‐0203
診療時間:月曜日~金曜日 8:00~17:00 土曜日 9:00~17:00
※24 時間救急あり(一般内科、小児科、産科のみ)ER 電話:7000‐0103
救急車あり(医師と看護師の付き添い可能)
診療科目:一般内科、消化器科、神経内科、循環器科、泌尿器科、内分泌科、呼吸
器科、外科、産科・婦人科、皮膚科、耳鼻科、歯科、小児科
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ウランバートル市内主要国立病院
●国立第 2 病院
所在地:Bayanzurkh District,
Peace Avenue 49, Ulaanbaatar
(平和通を東にスフバートル広場より徒歩 30 分)
電話:+976-70150234 /70150235(休日・夜間)
FAX:+976-70150200
診療時間:月~金曜 8:20~16:20 (夜間救急受付あり)*検査は午前中のみ
診療科目:内科、外科、脳神経科、泌尿器科、眼科、耳鼻咽喉科、皮膚科、婦人科、
小児科、歯科、ICU、伝統療法科
備考:外国人病棟や ICU を備えている救急対応総合病院。
●国立外傷病院
所在地:Bayangol District 7,
Ard Ayush Street, Ulaanbaatar
電話:+976-70180136/687791
診療時間:24 時間
診療科目:整形外科、外傷外科(頭部、胸腹部)、
麻酔科、理学療法科
備考:救急外傷を扱えるほぼ唯一の医療機関。交通事故や一般の事故による外
傷、整形外科疾患を扱う。CT・レントゲンなどの設備あり。
午後 5 時以降 CT は稼働せず、レントゲンのみ。
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●国立感染症センター
所在地:Bayanzurkh District 14, Ulaanbaatar
電話:976-11-450491(平日のみ)/100
FAX:976-11-458699
診療時間:月~金 9:00~16:00(夜間救急受付あり)
診療科目:感染症全般、結核科
備考:感染症専門の医療機関。ワクチン外来があり、A 型肝炎、B 型肝炎、破傷風、
インフルエンザワクチン等の接種を行っているが、ワクチンは入札により決め
られるため在庫数・品質は不安定。
●国立母子センター
所在地:Amarsanaa Street 24, Ulaanbaatar
電話:976-11-362715
夜間救急外来 976-70141403
診療時間:月~金曜 8:00~16:00
(夜間救急受付あり)
診療科目:産婦人科、小児科(内科・外科)、麻酔科
備考:産婦人科・小児科の専門医療機関。他院で対応できない異常分娩や小児疾
患を扱っている。2011 年ゴルバンガル病院開院後は連携サービスを取ってい
る。
ウランバートル市内専門科クリニック
●オルビタ眼科
所在地:Sukhubaatar district, 5th Khoroo,
Ulaanbaatar
(サーカスよりソウル通りを西に 5 分)
電話:+976-11-316358/316244
FAX:+976-11-330500
診療時間:月~金 9:00~12:30、13:30~18:00、
土日 10:00~15:00
備考:2006 年開設。院内は明るく衛生的。手術・入院施設を有し眼底検査等も可能。
院内薬局にて各種点眼薬が入手可能。
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●セラモ歯科医院
所在地:4a Building, Big Ring Road, 15th Micro District,
7th Khoroo, Bayanzurkh District, Ulaanbaatar
電話:+976-11-464330
携帯:+976-98884088
FAX:+976-11-464331
診療時間:月~金 9:00~18:00、土 10:00~16:00、
日(緊急時)
備考:2007 年開設。(SOS メディカ国際クリニックの 2 階)
費用は高めだが、広々とした空間に最新設備を備えており、患者サービスも良い。
英語可。要予約。*初診料$28(処置料は別途徴収)
●ホープ歯科医院
所在地:Chingeltei District, Peace Avenue 23,
Apartment#18, Ulaanbaatar
電話:+976-11-310490、+976-99053175
診療時間:月~金 8:00~19:30、土 9:00~19:30、
日 9:00~18:00、 祝 10:00~14:30
備考:日本人が経営。日本製の歯科ユニットを使用。
●オレンジ歯科医院
所在地:科学技術大学 東側
電話:+976-9974-3377(日本語可)
診療時間:火・土・日 9:00~19:00
月・水・木・金 16:00~19:00
備考:経営者は日本人歯科医師だが、診療は常勤モンゴル
人医師が施行。院長は日本語が堪能。
使用機材の多くは日本から輸入している。要予約。
地方主要病院
各地方に県立総合病院があり、UB 市内病院と遠隔診断システム(主に産科・循環
器内科)があり、風邪等の日常的な傷病受診は可能だが、重症時や精密検査が必要
な場合は、首都への上京が必要である。
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以下、2 診療所はそれぞれ東部・北部の核医療センターであり地方の中では設備
が整っている。
●エルデネト地域診断治療センター
電話:99363036
備考:北部(セレンゲ・ボルガン・フブスグル)
3 県の核病院であり、2012/8 月より CT/MRI/マン
モグラフィーが導入された。人工透析も行っている。
●ドルノド県東部地域診断治療センター
電話:01582-23201
備考:東部(ヘンティー・ドルノド・スフバートル)3 県
を 管轄する。
各国からの援助での検査・治療設備はあるが、
整備不足・試薬/消耗品不足で使用不可な機
器が多い。
(2)緊急時の対応と措置
緊急電話番号:消防 101、警察 102、救急車 103
ウランバートル市内の救急システムは、慢性的な交通渋滞により、市内中心部か
ら病院まで1時間以上かかることもある。また、103 救急車を呼んだ場合、一般的に
搬送先は選べず、怪我の場合は、国立外傷病院、その他内科的疾患と思われる場
合、外国人は、国立第 2 病院へ搬送される。ウランバートル市内の道路状況・病院事
情を考慮すると、救急時は、車やタクシーで直接病院へ向かう、私立病院の救急車を
利用する手段が妥当である。(首都で流しているタクシーを見つけるのはほとんど不
可能。自分で車を持っていない場合は、緊急時の車の手配、通訳の為の同行者を決
めておくことを勧める。)
地方で事故や傷病が発生した場合、早期に保険会社や緊急移送会社にコンタクト
を取り、ウランバートルに搬送する方法を検討する必要がある。
●Blue Sky Aviation(BSA)社
所在地:Sukhbaatar District, 1st Khoroo, Apartment S-61-2, Ulaanbaatar
電話:+976-11-312085 (営業時間:月~金 9:00~17:00)
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FAX:+976-11-322857
緊急時:+976-99094920 (24 時間対応)
E-mail:[email protected]
URL:www.bsamongolia.com
備考:セスナ1機、専属パイロット 2 名を有している。地方で重症者が出た場合に緊
急移送を手配することができるが、医師からの移送が必要との診断書が必要
となる。夜間の離発着は不可。専属の医師・看護師は備えておらず、国内移
送契約を結んでいるモンゴル SOS クリニックの医師・看護師もしくは搬送元医
師・看護師の同行が必要。緊急移送に要する費用は 1700USD/hr.(+VATS
10%)
3.医薬品、衛生用品
(1)携行することが望ましい医薬品
基本的な薬剤は入手可能だが、薬剤によっては流通していない可能性があるため、
慢性疾患の内服薬はゆとりを持って持参したほうがよい。
赴任直後は上気道感染・胃腸炎の罹患者が多いが、市販薬はロシア・韓国・トルコ
などの輸入薬が大半を占め、英語表記が少なく、内服容量等の把握も難しいので、
薬局での購入は、困難が予想される。総合感冒薬・うがい薬・胃腸薬/整腸剤・粉末ス
ポーツドリンク等は持参することを勧める。
夏期の蚊・ダニなどの刺咬後のトラブル・乾燥と強い日差しによる皮膚トラブルも多
いため、使い慣れた虫よけ、虫刺され用医薬品や、乾燥対策としてリップクリームや
ハンドクリーム・ボディクリーム・化粧水等の保湿剤も必要である。メーカーを選ばな
ければ現地のスーパー・薬局・市場などで入手可能。
また、地方への車両移動は、悪路で長時間揺れが激しいため、車酔いの心配があ
る人は酔い止めを持参した方がよい。酔い止めは、現地での入手は困難。
小児用医薬品は種類が限られているため、日本から携行することを勧める。
(2)現地で調達できる医薬品
鎮痛解熱剤(アスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン等)や抗菌薬(アモキシ
リン、シプロキサン等)、総合ビタミン剤、目薬(日本製)、シップ薬は韓国製、日本製
が購入可能なこともあるが、購入できる店が限られているため必要に応じて持参する
ことを勧める。
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医師の処方箋なく様々な医薬品を購入できるが、未承認薬や不正医薬品が販売さ
れている可能性があるため、医師の処方を受け、院内薬局での購入もしくは、製造会
社、保存状態、使用期限等を必ず確認する必要がある。
首都では、韓国・中国・日本の栄養食品・化粧品・医薬品などの入手可能である。
(3)現地で調達できる衛生用品
①衛生用品:生理用品・おむつなどはスーパーマーケットやデパートで購入可能。首
都では種類も豊富である。地方でも種類を選ばなければ入手できる。
②医療用品:絆創膏、包帯、コンドーム等の避妊具や妊娠検査薬は薬局で入手可能。
体重計、血圧計等の現地購入も可能。
③その他:ウエットティッシュや速乾性手指消毒薬もスーパーなどで入手可能。
(4)薬局
首都・地方ともに市内のあらゆる場所に薬局が点在しており、24 時間営業の店も
多い。薬剤名(一般名)が分かれば医師の処方箋がなくても購入できるが、モンゴル
語しか通じないことや、薬剤師資格を持たずに医薬品を販売している場合もあるため、
医師の処方箋下での購入・内服をされたい。
●医薬品を販売薬局
所在地:サンサルトンネルの北東 電話:+976-11-452328
備考:多種にわたる医薬品・衛生材料を輸入販売しており、在庫数も比較的安定。
●Monos Pharma Co.,Ltd (Monos Group)
所在地:(本社):Songinokhairhan District 20, Sonsgolon toiruu5, Ulaanbaatar
電話:+976-11-633107
FAX:976-11-633117
E-mail:[email protected]
URL:http://www.monos.mn/
備考:地方都市にもあり、事前に電話をすると取扱いの有無を教えてくれる。
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4.妊娠、出産、育児
(1)妊娠した場合の対応
超音波検査や血液検査等の妊婦検診を受けることは可能。妊娠合併症や異常分
娩時の対応は限界がある。現地では、帝王切開が盛んに行われているが、医療技術、
肝炎等の二次感染リスクも高く現地での出産は勧められない。妊娠が判明した場合
は、日本に帰国して出産することが望ましい。
(2)出産後の対応
母子検診・予防接種は実施されている。出産した医療機関で出生カードが発行さ
れ、身長や体重、ワクチン接種歴が記録される
<モンゴルの基本ワクチン接種スケジュール>
出生後
24H 以内
実施場所
出産病院
BCG
ポリオ
B 型肝炎
○
○
○
2M
3M
4M
9M
2Y
7Y
15Y
○
○
各地区の家庭病院
○
○
○
○
○
○
5 種混合
ジフテリア・破傷風・
百日咳・B 型肝炎・
Hib
3 種混合
麻疹・おたふくかぜ・
風疹
2 種混合
ジフテリア・破傷風
○
○
薬剤の品質や保管状況などは保証できず、日本での出産・ワクチン接種を完了さ
せることを勧める。
モンゴルでは、A 型肝炎が蔓延しており大多数が幼少期に罹患し、自然抗体を獲
得している。邦人関係者は予防接種を行ったほうがよい。また、現地小児科医より、
冬季の環境が厳しく、風邪が重症化しやすいため肺炎球菌ワクチンも接種がすすめ
られている。(SOS クリニックにて接種可能)
(3)育児
粉ミルク、ビン詰め離乳食、紙おむつ、ベビー石鹸・オイル等、乳母車等ほとんどの
育児用品の入手は可能である。多くが輸入品であるため比較的高価であり、メーカー
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や種類にばらつきがある。日本製も購入可能。
冬の寒さや乾燥など環境が厳しい上に、外国人向け母子医療施設は限られるため
育児が容易な環境とは言えない。
5.手術
(1)現地で可能な手術
腹腔鏡・内視鏡下での胆石・虫垂炎の手術などは一般的に行われている。
十分な検査・診断が実施されないまま緊急手術が勧められることも多く注意が必要
である。また、消毒や衛生管理が不十分であり二次感染リスクが高いため、緊急の場
合以外は、応急処置をして日本で手術を受けるのが望ましい。
整形疾患は、術後のリハビリもほとんど実施されないため、機能障害を残すモンゴ
ル人も多い。
一般的にモンゴル富裕層は韓国・北京・日本などで手術を受けることが多い。
(2)手術設備の状況
腹腔鏡手術や顕微鏡下手術の設備を有する総合病院や私立クリニックは増えてい
る。設備はあっても消耗品が供給されず使用できていないことも多い。また、機材の
消毒・保管状態にも問題がある。
(3)その他の留意点
私立病院では個室(トイレ・シャワー付き)で衛生的な入院環境がある。国立病院で
は 2 人部屋・トイレシャワー共同が一般的だが、個室対応も可能。
ただ、国立病院は、建物が古く設備が整っているとは言えない。入院中の食事は
用意されるがほとんどの病院では、モンゴル料理である。
6.現地での傷病
(1)一般の疾病
上気道感染・胃腸炎が多い。
冬季は、大気汚染・室内の集中暖房での乾燥による咽頭炎が多く、夏季も昼夜で
の気温差が 10℃近くになるため体調を崩しやすい。胃腸炎は出張者や赴任直後に
多くみられる。モンゴルの食生活(羊肉・油・アルコールなど)・硬水による影響が原因
と思われる。
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夏季は、虫刺され(ダニ・ノミ・蚊など)による皮膚の炎症が多く、また 1 年を通して
紫外線・乾燥トラブルも多い。
(2)風土病、感染症
ペスト、炭疽病、ブルセラ症など家畜に関連した人畜共通感染症があるが、家畜に
直接触れる機会がなければ感染する危険性は低い。
ペストを媒介するタルバガンというげっ歯類の動物(草原に棲息するマーモットの一
種)は、狩猟禁止だが密猟者から時折感染者が出る(旅行時に食べるよう勧められる
ことがあるので要注意である)。
炭疽症のほとんどは皮膚炭疽である。牛や馬などの動物(毛・革製品を含む)から
接触感染するが、汚染区域へ立ち入らなければ、まず感染を心配する必要はない。
ブルセラ症は家畜との接触や非加工の乳製品から感染するため、加熱処理がなさ
れていない乳製品は摂取しないこと、むやみに家畜には近寄らないことが重要である。
モンゴル国内でこれらの感染症患者が発生したり、家畜への感染が認められた場合
は、その地域への立ち入り制限、接触者が隔離されることもある。
糞便などに汚染された食品から経口感染する A 型肝炎率も高く、ほとんどのモン
ゴル人は自然抗体獲得している。寄生虫はほとんどないが、市場などの衛生環境は
悪いため食中毒対策は必須である。
その他、HIV 感染、ウィルス性肝炎、梅毒・淋病・トリコモナスなどの性感染症の蔓
延が問題となっており、保健分野で対策に力を入れている。
結核については、ウランバートル・ダルハンは、人口が急激に増えているため感染
者が増える傾向にある。
(3)有害動物、病害虫
夏、草原・水辺には大量の蚊・アブ・ダニ・ノミ・ハエがいる。また触るとピリピリとし
びれる「ハルガイ」などの毒草も多いため、夏のアウトドア時は紫外線予防もかねて
帽子・長袖・長ズボン・足を覆う靴が必須である。
刺咬中のマダニを、無理に引っ張ると、頭部だけ皮膚内に残ってしまい、炎症を起
こす。この場合は、皮膚科で切開しての除去と抗生剤治療が必要となる。
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7.保健衛生
(1)飲料水
水道水は、濾過・煮沸すれば引用が可能。給水パイプの老朽化による鉄・さびなど
で濁る場合もある。ボトルウォーターも安価で入手可能である。
市内のアパートは水道水、ゲル集落では給水所からの汲み水、田舎では川水か井
戸水となる。また、給水パイプは、飲料用水(冷水)・熱湯・セントラルヒーティング用温
水の 3 ラインであり、ゲル集落以外は、下水システムが整っている。
(2)濾過器の入手
現地調達可能。
(3)その他の留意点
モンゴルは、平均海抜 1,500m であり、まれに軽い高山病症状(頭痛・腹満感。倦
怠感など)を感じる人もいるが、数日で消失する。また年間を通じて紫外線が強い。
① 冬季の問題点
冬季は、-30℃を下回る日もあるが、室内は 20 度前後を保っている。集中暖房の
ため温度調整が難しく、室内外での温度差が 50 度前後となるため、外出の際は、重
ね着で保温をする方がよい。湿度は 30%程度となり、加湿器の使用や静電気対策
が必要である。日照時間が短く、寒さのため屋内に閉じこもりがちとなり、飲酒量の増
加や運動不足で生活習慣病の悪化、うつ症状を呈することがあるため、適度な運動
や気分転換の方法を見つけることが大切である。フィットネスジムは豊富にあり、温水
プールを備えた施設もある。室内運動器具(バランスボールやヨガマットなど)は市
場・デパートなどで購入できる。
また、凍結路面での転倒による打撲・骨折にも注意が必要である。
羊・駱駝・カシミヤ等の靴下・帽子・手袋などや、毛皮のコート、ブーツは現地調達
が可能で、質もよく日本より安価だが、ダウンジャケットなどは高い割に質が悪いこと
が多い。また、石炭使用量が増える冬季の大気汚染は深刻で、屋内では空気清浄器
の使用、屋外ではマスクの着用を勧める。空気清浄器は、購入可能であるが、マスク
に関しては、PM2.5 対応というような高性能マスクの入手は難しいため日本から持参
することを勧める。
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② 夏季の問題点
昼夜の温度差が 10℃近くあることもあり、肌寒い日もあるため夏でも上着が必要
になることがある。乾燥しており、気が付かないうちに脱水症状を呈することもあるた
めこまめな水分摂取を勧める。
冬季とは逆に、朝 5 時前から夜 10 時頃まで明るいため、睡眠不足を感じる人も多
い。
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