Y’s consulting Group Research 台湾政治環境 報告書 2014年9月調査 Y’s consulting Group 1 調査概要 Y’s consulting Group 調査期間 • 2014.09.01〜2014.09.30 調査主旨 • 台湾における政治とビジネス関連性検証調査 調査概要 • 台湾の政局概要 ——台湾の政治動向(歴代大統領紹介、過去の選挙結果) ——主要政党とキーパーソン紹介 • 台湾政治とビジネスの関連検証(過去10年間) ——案件、事件の洗い出し ——専門家の見解 ——過去の選挙結果が台湾経済に与えた影響 • 台湾の対中関係 ——過去の対中関係の流れ(経済の規制緩和、政治関係) ——選挙後の政治、経済、観光業における変化(専門家の見解まとめ) ——太陽花デモ事件の紹介 2 台湾の政治動向(歴代大統領紹介、過去の選挙結果) Y’s consulting Group 代 総統 副総統 政党 就任 退任 1 蔣中正 李宗仁 中国国民党 1948/5/20 1954/5/20 2 蔣中正 陳誠 中国国民党 1954/5/20 1960/5/20 3 蔣中正 陳誠 中国国民党 1960/5/20 1966/5/20 4 蔣中正 嚴家淦 中国国民党 1966/5/20 1972/5/20 5 蔣中正 嚴家淦 中国国民党 1972/5/20 1975/4/5 6 蔣經國 謝東閔 中国国民党 1978/5/20 1984/5/20 7 蔣經國 李登輝 中国国民党 1984/5/20 1988/1/13 8 李登輝 李元簇 中国国民党 1990/5/20 1996/5/20 9 李登輝 連戰 中国国民党 1996/5/20 2000/5/20 10 陳水扁 呂秀蓮 民主進歩党 2000/5/20 2004/5/20 11 陳水扁 呂秀蓮 民主進歩党 2004/5/20 2008/5/20 12 馬英九 蕭萬長 中国国民党 2008/5/20 2012/5/20 13 馬英九 吳敦義 中国国民党 2012/5/20 現任 SSAAMMPPLLEE 出典:総統府HP ワイズリサーチまとめ 3 台湾の政治動向:1996年総統選挙 Y’s consulting Group 立候補者 所属 中国国民党 民主進歩党 無所属 無所属 総統 副総統 李登輝 連戦 得票数 得票率 5,813,699 54.00% SSAAMMPPLLEE 彭明敏 謝長廷 2,274,586 21.10% 林洋港 郝柏村 1,603,790 14.90% 陳履安 王清峰 1,074,044 9.98% l l l l 初めての直接総統選挙。 総統選に挑む李登輝は当時すでに8年在任。 民進党は独立色強い彭明敏を推薦。 林洋港と陳履安は李の独立志向を疑い、国民党から離脱し、無所属代表として出馬。二組はいずれも 院長クラスの重役を経験。 l 李を牽制するため、中国はミサイル演習を実行。 l アメリカも第7艦隊を派遣、一時睨み合った緊張状態。 SSAAMMPPLLEE l それ以降中国・アメリカの態度は総統選挙の要因の一つと考えられるようになった。 l 入り乱れ乱戦の結果、国民党推薦かつ台湾人である李登輝は過半数の票を得て当選。 出典:中央選挙委員会HP、各紙 ワイズリサーチまとめ 4 歴代総統人物像ー李登輝 Y’s consulting Group 期間(年) 政党(当選当時) 生い立ち l l l l 京都帝国大学農学部農業経済学科(中退) 台湾大学農学部農業経済学科(学士) アイオワ州立大学農業経済学科(修士) コーネル大学農業経済学博士 SSAAMMPPLLEE 1988〜2000 中国国民党 政治経歴 l 1978年「台北市長」に任命。 l 1981年「台湾省主席」に任命。 l 1984年「蒋経国」により「副総統」と指定。国民大会 での間接選挙により当選。 l 1988年「蒋介石」死去により総統代行。国民党主 席に当選。 l 1990年「総統」選、国民大会での間接選挙により再 選。 l 1996年「総統」の直接選挙に出馬、圧勝で当選。 l 2000年退任、現在は僅かな政治的活動を除き引 退状態。 l 1923年(91歳)淡水(三芝)に出生。 l 中美(米)基金奨学金、ロックフェラー及び コーネル大学奨学金を得て、二度渡米。 l 帰国後「中国農業復興聯合委員会」技正(技 師)に就任。 備考 初めての直接選挙により当選。 初めて「本省人」として当選。 日本教育を受け、戦時中陸軍少尉として名古屋配属。 本人は「21歳まで自分は日本人であった」と供述。 親日家として名高い。総統就任後台湾の民主化を推 進。 l 国会・直轄市長・総統の直接選挙を実現。総統の直接 選に勝ったのち独立色濃くなり、「二国論」を発表。 l 引退後台湾独立を目的の政党「台湾団結連盟」の精 神的指導者となる。 l l l l l SSAAMMPPLLEE 出典:総統府HP、各紙 ワイズリサーチまとめ 5 主要政党とキーパーソン紹介:現在国会議員を有する主要政党 Y’s consulting Group 政党 略称 党主席 政治 政治的 連立 立場※ イデオロギー 国民党 (KMT) l l 馬英九 汎藍 右翼 l l 保守主義、中華意識 「一つの中国」と中国と基本合意。 「大陸」−中華人民共和国、「台湾」−中華民国。 各自の解釈で皆「中国人」と自称。 民進党 (DPP) l l 蔡英文 汎緑 左翼 l l 社会自由主義、台湾意識 台湾の主権は中国が所有してないと主張。 憲法改善により国家を正常化。 国名変更するかは別だが、中国人ではなく台湾人と認識。 台湾団結連盟 台連党 l 自由主義、臺灣獨立 l 基本理念は民進党とほぼ合致だが、さらに積極に独立を追求。 黃昆輝 汎緑 左翼 l 「現状は独立状態」だが満足せず、「台湾共和国」として独立が 必要と主張。 親民党 ー (PFP) l 中華意識 宋楚瑜 汎藍 左翼 l 基本的「ひとつの中国」を認める。 l 両岸(中国と台湾)の平和を望み、互い繁栄をもたらすと主張。 中国国民党 民主進歩党 無党団結連盟 無盟 SSAAMMPPLLEE l 保守主義 林炳坤 汎緑 右翼 l 有力政党の脱退者の寄せ集め。 l 基本国民党と同調。 ※汎藍・汎緑、藍緑陣営:メディアはよく「陣営」、「連盟」と称しているが、実際具体的な組織がなく、 政治的主張が近い政党らの集団的な呼び名にすぎない。 出典:各政党公式HP ワイズリサーチまとめ 6 主要政党キーパーソン:中国国民党(1/3) Y’s consulting Group 氏名 (数え年) 略歴 l l l l 呉敦義 (66歳) l l l l 1948年南投生まれ、台湾大学歴史学学士。 現在「副総統」、「国民党第一副主席」。 「台北市議」、「南投県長」、「高雄市長」(二期)、「立法委員」を歴任。 2006年時の馬主席の指名により「国民党秘書長」に就任。以降「馬系」(馬英九派 閥)の人物と見なされ。 2009年馬総統の要請に応じ「行政院長」に就任。 2012年「副総統」立候補として馬総統の二期目に出馬、当選。 2014年国民党の「第一副主席」。 来期総統選党代表として出馬の可能性はある。 l l l l l SSAAMMPPLLEE 1960年基隆生まれ、イェール大学政治学博士。 現在「行政院長」。 帰国後「台湾大学教授」、「中央研究院研究員」、長年学者として活躍。 2008年当時総統選に出馬した馬立候補者のため、マニフェスト(民主、教育)を画策。 これを機に、馬総統の信頼を得た。選挙後「行政院研究発展考核委員会主任委員」 江宜樺 に就任。 (54歳) l 2009年「内政部長」、2012年「行政院副院長」、2013年「行政院長」と異例なスビート で出世。 l 2014年太陽花デモの拡大により行政院侵入・流血事件に対し、「強制排除の命を出 さなかった」と責任回避。 l 党内において勢力があまりないので、来期総統選党代表として順位が低い。 出典:国民党HP、各紙 ワイズリサーチまとめ 7 主要政党キーパーソン:民主進歩党(1/3) Y’s consulting Group 氏名 (数え年) 略歴 l 1956年屏東生まれ、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス法学博士。 l 現在民進党主席。 l 国民党李登輝時代から、法律・経済の専門家として経済部・行政院の各委員会の委 員に就任し活躍。 l 陳水扁時代に入り、「行政院大陸委員会主任委員」、「立法委員」を歴任。 蔡英文 l 2006年陳総統の要請により「行政院副院長」に就任。 (58歳) l 2008年「民進党主席」に当選。 l 2012年党の代表として総統選に出馬、落選。 l 2014年党主席に巡って蘇貞昌、謝長廷らと水面下で競争を繰り広げたが、反対勢力 を一掃し党主席に返り咲き。 l 次の総統選に代表の呼び声が高い。 l l l l 蘇貞昌 l (67歳) l SSAAMMPPLLEE 1947年屏東生まれ、台湾大学法学学士。 美麗島事件の被告担当弁護士として政界入り、かつて「民進党の四天王」の一人。 台湾民主化以前から選挙に参加し、「屏東市議」、「屏東県長」、「台北県長」を歴任。 陳水扁時代は「総統府秘書長」、「行政院長」を歴任。 その他「民進党秘書長」、「民進党主席」など党役員に就任した経験。 2008年副総統立候補として謝長廷と組み総統選、2010年台北市長選に挑んだが、い ずれも落選。 l 2012年再度民進党主席に就任。 l 2014年次期党主席選に意欲を示したが断念、政界引退。 出典:民進党HP、各紙 ワイズリサーチまとめ 8 過去10年間、政治とビジネスの関連検証 Y’s consulting Group BOT方式により重大投資・建設※� No. プロジェクト名 特許期間 現在 建設費(台湾元) 1 台北101 1997−2067年(70年) 完成 580億 2 台湾高速鉄道 1998−2033年(35年) 完成 4,806億 台湾高速鉄路公司 高雄MRT(赤線+橘線) 2001−2037年(36年) 完成 1,814億 高雄捷運公司 3 一部完成 主な請負業者 KTRT団隊 4 台北港 2003−2053年(50年) 123億 台北港貨櫃碼頭公司 5 雙和醫院 2004−2054年(50年) 完成 44億 台北醫學大學 6 台北バスターミナル 2004−2054年(50年) 完成 109億 万事通実業公司 7 市政府バスターミナル 2004−2054年(50年) 完成 82億 統一開発公司 8 台北ドーム 2001−2061年(50年) 建設中 280億 遠雄集団 9 台北双子星 未定 契約交渉中 10 広慈博愛園区 未定 契約打ち切り 再度契約先公募 SSAAMMPPLLEE 700億以上(予測) 200億(予測) 出典:行政院公共工程委員会・台北市捷運工程局・高雄市捷運工程局HP、各紙 ワイズリサーチまとめ 9 過去の選挙結果が台湾経済に与えた影響 Y’s consulting Group 重大選挙と経済データ〜国内総生産� 25,000 15.00% 20,000 10.00% 15,000 5.00% 10,000 0.00% 5,000 -5.00% 0 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 総額(米ドル) 15,012 16,051 16,491 17,154 17,399 16,359 18,503 20,057 20,423 20,952 GDP成長率 6.92% 2.74% 4.02% 1.43% -5.98% 13.11% 8.40% 1.82% 2.59% 県県 市 市議 長員 直直 轄轄 市市 長議 員 立 総法 統委 員 県県 市 市議 長員 直直 轄轄 市市 長議 員 9.00% SSAAMMPPLLEE 立 総法 統委 員 出典:中央選挙委員会HP、行政院経済部統計処 ワイズリサーチまとめ 立 総法 統委 員 2004年 -10.00% 九 合 一 選 挙年 10 過去の選挙結果が台湾経済に与えた影響 Y’s consulting Group 重大選挙と経済データ〜輸出入額および年成長率� 350,000.0 50.00% 40.00% 300,000.0 30.00% 250,000.0 20.00% 200,000.0 10.00% 150,000.0 0.00% -10.00% 100,000.0 -20.00% 50,000.0 0.0 -30.00% 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 -40.00% 輸出総額(百万米ドル)182,370.4198,431.7224,017.3246,676.9255,628.7203,674.6274,600.5308,257.3301,180.9305,441.2 SSAAMMPPLLEE 輸入総額(百万米ドル)168,757.6182,614.4202,698.1219,251.6240,447.8174,370.5251,236.4281,437.5270,472.6269,896.8 年成長率(輸出) 21.10% 8.81% 12.89% 10.12% 3.63% -20.32% 34.82% 12.26% -2.30% 1.41% 年成長率(輸入) 31.83% 8.21% 11.00% 8.17% 9.67% -27.48% 44.08% 12.02% -3.90% -0.21% 直直 轄轄 市市 長議 員 立 総法 統委 員 県県 市市 長議 員 出典:中央選挙委員会HP、行政院経済部統計処 ワイズリサーチまとめ 立 総法 統委 員 直直 轄轄 市市 長議 員 県 県市 市議 長員 立 総法 統委 員 九 合 一 選 挙年 11 2000年〜現在、各期総統の産業政策 Y’s consulting Group 提出者 産業政策 提出年 両兆双星※ 2002年 発展を図る産業 「両兆」産業:半導体産業、ディスプレー産業 「双星」産業:デジタル・コンテンツ産業、バイオテクノロジー産業 六つのセンターを発展させ、太平洋地域の経済中心になると図る。 陳水扁 アジア運営センター (APROC) 2003年 六大新興産業 四大知恵産業 • • • 製造センター 海運センター 航空センター 2009年 • • • バイオテクノロジー 観光旅行 エネルギー 2010年 • • 2010年 • • • • • • • • 金融センター メディアセンター 電気通信センター SSAAMMPPLLEE クラウドコンピューティング 電気自動車 • • • • • 医療介護 農業 文化創造 グリーン建設 発明特許を産業化 馬英九 十大サービス業 国際医療 音楽及びデジタル・コンテンツ 都市再生 高等教育の輸出 WiMAX(通信産業) • • • • • 美食の国際化 中国語による電子商取引 コンベンション 国際物流 ハイテクおよび革新型の 資金調達プラットフォーム ※「両兆」は生産額が1兆元に達すると見込まれる産業。「双星」とは、将来の台湾の有望産業と期待される産業。 出典:ワイズリサーチまとめ 12 対中関係:中国⇔台湾の経済交流について(5/5) Y’s consulting Group 年度 発生地 2010年 中国・ 台湾 政策・事件 「ECFA」締結 概要 影響 l ECFAは「(中台)経済協力枠組み協定」の l アーリーハーベスト項目の実行により中 略称。 国側539品目、台湾側267品目の関税を l 当協定締結により、最終的には互いの関税 減免。 を全面的に撤廃を目指す。 l しかし、思うほど経済効果がなかったため、 l 締結と同時にアーリーハーベスト項目を早 協定自体の後続進行が難しくなる。 期実行。 l 中台両者の合意のもとで、慣例の品物貿 易協定より、先にサービス協定を締結。 l 総統選挙時ECFAの続行を掲げた馬英九 l 締結は順調だったが、立法院では「審議の は再選を果たし、対中融和がさらに加速。 中国・ ECFAの みで内容が変更できない」のは行政の独断 2013年 台湾 「サービス協定」締結 l 締結後双方の国会の審議を得られれば実 とクレームがつく。 行に移る。 l これが原因でその後「太陽花デモ」に発展。 (詳細はP131〜) SSAAMMPPLLEE l サビース協定の教訓を生かし、台湾政府は 事前説明に尽力。 l 太陽花デモ後、サービス協定の進展がない。 l 補助金、反ダンピング法など保護策も同時 l 「両岸協議監督条例」が通ってから審議す 協議すると台湾政府は明言。 中国・ ECFAの るのは民衆・国会の大多数意見。 2014年 l それでも、衝撃を受けた産業界は反対。 台湾 「品物貿易協定」協議 l そのため、順位を変え品物貿易の協定を先 l さらに自由貿易自体に反対する団体の意 に交渉。 見も次第に高くなり、国内意見の整理が必 要となる。 出典:行政院経済部HP、各紙 ワイズリサーチまとめ 13 太陽花デモについて Y’s consulting Group 名称 • 太陽花デモ(太陽花學運、318學運) SSAAMMPPLLEE SSAAMMPPLLEE SSAAMMPPLLEE 発生時間 • 2014/03/18−2014/04/10 合計24日間 発生場所 • 中華民国立法院(台北市中正区) 主要人物 • 台湾大学政治大学院院生 林飛帆 • 清華大学社会大学院院生 陳為廷、魏揚 • 世新大学社会発展大学院院生 陳廷豪 資料:ウィキペディア、ワイズリサーチまとめ 14 太陽花デモの概要 Y’s consulting Group 中台サー ビス貿易 協定、委 員会を強 行突破 行政院か ら学生強 制排除、 けが160 人流血も 「中台協 定撤回 を」、学 生・市民 が大規模 デモ 立法院か ら学生退 去、中台 交渉の透 明化主張 で成果 SSAAMMPPLLEE SSAAMMPPLLEE SSAAMMPPLLEE 3月 3月 3月 3月 4月 17日 18日 23〜24日 4月 30〜31日 7〜8日 10日 学生が立 法院占拠、 中台サー ビス協定 強行に抗 議 資料:中央社、ワイズ経済ニュース、ワイズリサーチまとめ 学生が 「名誉の 撤退」、 10日夕方 に 15
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