大山口小 指導室訪問 図画工作科学習指導案

第1学年1組
図画工作科学習指導案
指導者
1
題材名
(1)
S
うつしてあそぼう
題材観
本題材は,学習指導要領の第 1 学年および第 2 学年の内容 A 表現(1)「ア
人工の材料の形や色などを基に思いついてつくること。」「イ
しくつくること。」と,B 鑑賞(1)「ア
「イ
T
身近な自然物や
感覚や気持ちを生かしながら楽
自分たちの作品や身近な材料などを楽しく見ること。」
感じたことを話したり,友人の話を聞いたりするなどして,形や色,表し方の面白さ,材料
の感じなどに気づくこと。」を受け,造形的な操作にかかわり,鑑賞する活動である。
ここでの活動は,「写すこと」を中心的な課題として,試したり見つけたりしながら自分らし
い造形的な表現の追求と発見をすることを目標としている。
「モノプリント」
「スタンピング」
「粘
土の型押し」「フロッタージュ」の4つの活動を通して,学習指導要領の共通事項(1)「ア
自分の感覚や活動を通して,形や色などを捉えること」「イ
形や色などを基に,自分のイメー
ジをもつこと。」を指導していく。様々な写し方を試してみることで,形や色の面白さに気づき,
それを楽しみ自分なりの表現を工夫していくことができると思う。
「型押し」や「こすりだし」など,何ができるか分からない所に大きな期待感も生まれ,でき
あがった物に対する喜びも大きくなっていく。そのときに,友だちの話を聞いたり,作品を見た
りすることでさらに自分の作品のイメージを広げることができる。写した作品から発想を広げて
かき加えたり,切り取って別の台紙に貼ったりするなど活動の広がりも持てる題材である。
(2)
児童の実態(男子16名
女子17名
計33名)
本クラスの児童は,図画工作科の授業を楽しみにしている児童が多い。どの題材に対しても
制作意欲は旺盛で,喜んで活動している様子がうかがえる。これまでに行った学習では,『どう
ぶつむらのピクニック』や『ひかりのくにのなかまたち』のように,箱や袋などで工作をする活
動に特に意欲が感じられた。実態調査のアンケートでも,「楽しかった」と答えている児童が6
割となっている。楽しかったと思う理由として,「うまくできた」と感じられることや,「友だ
ちと一緒にやって楽しかった」をあげている児童が多かった。達成感を得られることや,友だち
との交流が学習への意欲を高め,図工の学習を楽しみにしている。反面,自分の思いのままにつ
くることや,感じたことや表したいことを思いついたり,形や色,作り方などを考えて作品に表
したりすることが十分にできない子も多い。図工の学習で難しいと感じることとしてあげている
のが「何を作ろうか考えること」である。『みてみていっぱいつくったよ』は,粘土で自分の作
りたい物を作る活動だったが,粘土を目の前にして何を作ったらよいか考え込む児童が何人か見
られた。自分から,材料に働きかける気持ちがまだ育っていないものと思われる。
本題材についての調査では,「スタンピング」や「粘土の型押し」は半数近くの児童が経験し
ている。「モノプリント」は,4人しか経験がなく,絵の具を使うこと自体が小学校で初めての
経験だった児童が多い。粘土の型押しは,粘土遊びをやりながら,型抜きの道具で粘土を抜いて
いった経験が多いようだ。本題材では,紙粘土で好きな形を作ってから,身の回りにある材料で
型押しをしていくので,できた作品の意外性も楽しめると思う。
-1-
実態調査から
1
今までにやった図工の学習で,楽しかったものは何ですか?(複数回答)
どうぶつむらのピクニック(雑材による立体題材)
62.5 %
ひかりのくにのなかまたち(飾る物をつくる題材)
59.3
うきうきボックス(遊びや生活に使う物をつくる題材)
46.8
みてみていっぱいつくったよ(粘土による立体題材)
28.1
くるくるグルーリ(形や色,材質や触覚感などにかかわる題材)
21.8
チョッキンパッでかざろう(飾る物をつくる題材)
15.6
しぜんとなかよし(自然材料にかかわる活動)
6.2
2 今までにやった図工の学習で,難しかったと思ったものは何ですか?(複数回答)
3
うきうきボックス(遊びや生活に使う物をつくる題材)
37.5 %
みてみていっぱいつくったよ(粘土による立体題材)
34.3
どうぶつむらのピクニック(雑材による立体題材)
31.2
しぜんとなかよし(自然材料にかかわる活動)
25
ひかりのくにのなかまたち(飾る物をつくる題材)
21.8
チョッキンパッでかざろう(飾る物をつくる題材)
21.8
くるくるグルーリ(形や色,材質や触覚感などにかかわる題材)
18.7
図工の学習で,楽しいなと感じるのはどんなことをしているときですか。
うまくできた時やほめられた時
21.8 %
友だちと一緒にやった時
15.6
絵の具を使った時
12.5
作品を作っているとき
その他
4
9.3
はさみを使っている時
折り紙を切って遊ぶ時
図工の学習で,難しいな,困ったなと感じるのはどんなことをしているときですか。
絵の具を使った時
18.7 %
何を作ろうかなと考えるとき
12.5
難しいと思ったことがない
12.5
みてみていっぱいつくったよ(粘土)
その他
5
箱をくっつけるとき
9.3
絵が変になったとき
今までにやったことがあるものに○をつけましょう。
いろいろな物に絵の具をつけて型押し(スタンピング)
50.0 %
粘土に,形を押しつけて型押し
45.3
のばした絵の具をへらやフォークでひっかいて絵を描く。
(モノプリント)
12.5
紙の下に何か置いて,クレヨンでこすり出す。(フロッタージュ)
40.6
-2-
6
紙粘土に形を押しつけてでこぼこ模様をつけます。その後,絵の具で色を塗って仕上げ
ます。どんな作品を作ってみたいですか。
(3)
具体物(ロボット,恐竜,くま,ポケモンなど)を作りたい
37.5 %
星・ハート・花の形
31.2
かわいく作りたい・みんなに笑顔になってもらえる物
12.5
イメージが浮かばない,質問に答えていない
12.5
指導観
このような実態から,様々な写し方を試してみることで,自分なりの表現を工夫して楽しめ
る活動にしていきたい。「モノプリント」「スタンピング」「粘土の型押し」「フロッタージュ」
の4つの活動をしていく中で,材料の形のおもしろさや着色した色のおもしろさを発見し,自
分なりの表現を見つけていくようにする。そのために,3つの観点を考えた。
1つめは,材料の工夫である。身近にある洗濯ばさみや,キャップ,ボタン,文房具など形
が多彩な物や,スポンジ,ひも,食品トレイなど質感が異なる物などを集めておく。その中か
ら,「押したらどんな形になるだろう。」と想像させながら材料を選ばせることで,発見や工夫
につながっていくと思われる。
2つめは,導入の工夫である。「スタンピング」を最初の時間に行うことで,材料の形のお
もしろさに気づかせ,以後の活動への見通しが持てるようにする。好きな材料で,好きな絵の
具をつけて次々に押していくことで意欲も高まり,そのことで自分なりの表現の発見や工夫が
みられると思う。また,教師がつくった作品を見せ,「どうやったらできるのか。」と予想させ
ることで,さらに活動への期待感を高めていきたい。
3つめは,見せ合う場の設定である。この題材では,鑑賞も大きな目標となっている。グル
ープで活動していくことで,自分とは違う考え方や物の見方に触れられ,鑑賞がイメージ作り
の手助けになっていく。版の重ね方や,並べ方,色の組み合わせなどを鑑賞のポイントとして
提示することで,自分の考えだけでは不安になっている児童も安心して活動していけると思う。
できあがった作品も随時掲示し,互いに見合うことで友だちの作品の形や色,表し方のおもし
ろさに気づかせていきたい。
このような観点で指導していき,児童が自分なりの表現を工夫して楽しめる活動にしていき
たい。
3
題材の目標
・写し方をみつけ,その集めた型で写すことに興味や関心を持とうとする。
(造形への関心・意欲・態度)
・写り具合を想像しながら繰り返し試し,自分のイメージを広げることができる。
(発想や構想の能力)
・自分なりのイメージに近づけるために,絵の具の濃さを工夫したり,型の押し方や押す場所な
どを工夫したりして表すことができる。
(創造的な技能)
・それぞれの活動の違いに気づくと共に,友だちの表し方の良さや違いを互いに認め合うことが
できる。
(鑑賞の能力)
-3-
4
指導計画(
10時間扱い)
時配
主な学習活動
3
評価規準(方法)
・教師のつくった作品をみて,これからの ・写し方を知り,集めてきた材料を使
活動の見通しを持つ。
って写すことに興味・関心を持って
取り組もうとしている。
(関)
[発言]
・「 型 押 し 」 の 方 法 ( ス タ ン ピ ン グ )を 知 ・絵の具の色を変えたり重ねたり,工
り,いろいろな型を使ったり気づいた方
夫しながら自分の気にいる方法で何
法で型押し遊びを楽しむ。
度も試そうとしている。
(創)
[作品]
・できた作品を互いに見せ合う。
・他の班の作品の良さに気づき,やっ
てみたい活動を思いつきさらに試そ
うとしている。(鑑)[作品]
2
・「こすり出し」の方法(フロッタージュ) ・見つけたでこぼこ模様を楽しみなが
を知り,色を変えたり重ねたりしながら
ら,色を変えたり重ねたりしてイメ
繰り返し試行する。
ージを広げようとしている。
(発)
(創)
[作品]
・校庭に出てマンホールのふたや、コンク
リートなどに紙をつけてこすり出しをす
る。
3
・「 粘 土 の 型 押 し 」 の 方 法 を 知 り , 気に 入 ・写し取る型を選び,写し方を試しな
(本時
った型を選び,紙粘土に押しつけながら
がらイメージを広げていこうとして
6/10)
形の変化を繰り返し楽しむ。
いる。(発)[作品]
・乾いたら,色をつけたり飾りを付け加え ・色つけや加える材料を選択し,作品
たりして表現を豊かにする。
をさらに豊かな表現をしようとして
いる。(創)[作品]
・できた作品を互いに見せ合う。
・作品カードを読み合い,友だちの作
品のおもしろさや工夫したことに気
づいている。(鑑)[発言]
2
・絵の具をのばしてひっかいて線を描いて ・写り具合を予想しながらイメージを
写していく方法(モノプリント)を知り,
広げようとしている。(発)[作品]
どんな工夫ができるかいろいろ試してみ
る。
・できた作品を互いに見せ合う。
・作品カードを読み合い,友だちの作
品のおもしろさや工夫したことに気
づいている。(鑑)[発言]
5
本時の指導
(1)
目標
・紙粘土に型を押しつけて形を写し取る方法に興味・関心を持ち楽しんで活動をしようと
している。
(関心・意欲・態度)
・気に入った型を選び,紙粘土の形や押し方を試しながら,自分のイメージを広げること
ができる。
(発想や構想の能力)
-4-
(2)
展開
時配
2
学習内容と学習活動
1
指導・支援
2
3
けの壁飾りを作ることを知らせる。 教師作品
本時のめあてをつかむ。
いろいろなかたちをおして,
5
資料
本時の学習内容を確認し,学習の見 ・教師の作った作品を提示し,自分だ 教科書
通しを持つ。
2
○評価
じぶんだけのかべかざりをつくろう。
紙粘土に型を押しつけて形を写し取 ・教師が児童の前で紙粘土をこね,作 紙粘土
る方法を知る。
ってみせる。
型押しの材
○紙粘土に型を押しつけて形を写し取 料
る方法に興味・関心を持とうとして 粘土板
いる。(関)[観察・発言]
15 4
紙粘土を平たくし,土台を作る。
・厚みはホットケーキ位を目安にさせ
・「どんな形にしようかな。」
る。形は,あまり凝らずに土台とし
・「柔らかいね。」
て作ることを強調する。
・「星の形にしよう。」
・壁掛けにするので,上部にひもを通
す穴を鉛筆などで開けさせる。
15 5
気にいった型を選び,紙粘土に押し ・粘土が柔らかい内は,形を変えるこ
つけながら形の変化を楽しむ。
ともできるので,色々な型を押して
・「キャップで押したら,ぎざぎざ
試すようにさせる。
模様になったよ。」
・「丸い模様を続けて押したよ。」
・友だちの表現を見ながら,良い所は
取り入れても良いことを伝える。
・「クッキーの型はきれいに押せた ○気に入った型を選び,紙粘土の形や
よ。」
押し方を試しながら,自分のイメー
ジを広げることができる。(発)[作
品]
6
6
表現した作品を見合い,次回の学習 ・友だちの作品を見て,形や色のおも
の課題をつかむ。
しろい所はどこか考えさせる。
・できた作品を班の中で見せ合い, ・次回は色を塗って仕上げることを知
互いの良い所を伝え合う。
らせ,どんな色にしていくかイメー
ジを持たせる。
-5-
へら