CG業界の若い力を応援しながら 一緒に成長していきたい

Interview
CG業界の若い力を応援しながら
京楽ピクチャーズ.
一緒に成長していきたい
小川博史
京楽ピクチャーズ.株式会社は大手遊技機メーカーである京楽産業.
グループに所属する
映像制作会社で、CG・映像業界を目指す若い力を応援するための施策を積極的に展開している。
同社の代表取締役社長である小川博史さんに、
そのねらいを伺った。
代表取締役社長
TEXT_ 尾形美幸
活動
04
活動
03
海外からの留学生への
奨学金支給
社内勉強会の開催
社員の成長を後押しするうえでも、新しい刺激を提供することが
大切だと小川さんは語る。そこで同社が積極的に推進しているのが、
クロッキーや絵コンテなどの社内勉強会の開催だ。例えばクロッ
キー勉強会の場合には、美術大学から講師を招き、本格的な指導が行
われている。新しい価値観や技術、知識を学べる勉強会は、日々の仕
一般社団法人
VFX-JAPAN の理事就任
活動
活動
01
ゆうばり国際ファンタスティック
映画祭への協賛
02
2013 年で 23 回目を迎えるゆうばり国際ファンタスティック映
画祭には、毎年国内外の多くの映画関係者が参加している。同社は
2012 年度からショートフィルムショウケース部門を支援しており、
2013 年度には CG・アニメ・実写の各ジャンルでサプライズ賞を設
けた。同部門は 40 分未満の映像作品が対象で、一般的な映画のイ
メージに囚われない、多様な作品を受け付けている。例えばストー
リー性のないアート作品も評価の対象だ。
「この部門は若手の登竜
門という側面もあります。多くの方々に応募していただきたいです」
と小川さんは語る。CG・映像制作を志す本誌の読者は、ぜひ 2014
年度の募集開始を視野に入れ、
作品を準備してほしい。
VFX-JAPAN は日本の CG・VFX 業界の興隆を支援するために設
立された団体で「業界産業基盤の強化」、
「技術の向上」、
「人材育成」
、
「国際化」などを具体的目標として掲げている。この姿勢と「あらゆ
る映像エンタテインメントにチャレンジ !!」を標榜する同社の姿勢は
合致しているため、小川さんに理事就任を依頼したと、VFX-JAPAN
海外から日本の大学や専門学校へ CG・映像制作を学びに来ている
留学生に対して、奨学金を支給する活動も開始した。小川さんは、こ
の活動の主旨を次のように語ってくれた。「現在は 6 名の留学生を
支援しています。いくつかの教育機関の先生方に候補者を推薦して
いただき、作品内容や、将来の展望を伺って対象者を決めました。優
秀な学生には、学費と生活費の工面や、日本の生活と就業環境への順
応で頭を悩ませてほしくない。できるだけ多くの時間を、高度な制
作技術や開発技術の習得のために使ってほしいですからね」
。多様
なバックグラウンドをもった留学生の存在が日本の CG 業界の刺激
代表理事の秋山貴彦さんは語る。
VFX-JAPAN は、左で紹介したゆうばり国際ファンタスティッ
ク映画祭の会期中に複数のイベントを企画している。例えば VFXJAPAN アワード 2013 では、2011 年冬∼2012 年秋に制作、公開さ
れた劇場公開映画・アニメ・テレビ番組などの映像作品からノミネー
ト作を選出し、優秀作品を表彰する。「こういった活動を通して、日
本の優れた VFX 映像作品が評価され、注目される機会をつくってい
Infomation
Comment
本映画祭は、常に新しいメディア、映像技術に着目しており、海外からも注
目を集めています。我々の挑戦にとって、様々な企業とのコラボレーショ
ンは欠かせません。京楽ピクチャーズ.の支援の下、実写だけでなく、CG
やアニメのクリエイターに向けた作品発表の場を提供できました
http://vfx-japan.com/
秋山貴彦さん
VFX-JAPAN /代表理事
Comment
小川理事には就任直後から事業の実現化に尽力いただき、その迅速でパワ
フルな支援に感謝しております。今後も関係者一丸となって、世界に誇れ
る日本独自の映像エンタテインメントの開拓に寄与していきます
Comment
新しい価値観を吸収することで、硬くなった頭が柔らかくなっていくのを
感じます。固定観念から解き放たれ、新鮮な気持ちで仕事に取り組めるの
で、
新しいイメージやアイデアが浮かぶようになりましたね
社内勉強会の参加者
ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2013
日程: 2013 年 2 月 21 日(木)∼ 2 月 25 日(月)
会場:アディーレ会館ゆうばり(旧夕張市民会館)、
ホテルマウントレースイ、ゆうばりホテルシューパロ、
夕張市内会場
URL:http://yubarifanta.com/
Comment
の強いハングリー精神に触れることは、社員の良い刺激になってい
るという。垣根を越えて多様な価値観が混ざり合い、化学反応が生
まれ、全員が成長することを期待していると、
小川さんは語る。
上)クロッキー勉強会の様子。鏡を見
ながら短時間で自分の顔の特徴をと
らえ、魅力的な無駄のない線で表現
する術を学んでいる
右)留学生に開放されている M aya 勉
強会の様子。専任の講師やカリキュ
ラム、機材が用意されている
上)奨学生の一部が通う東京工科大学は、海外から芸
術系や理工系の優秀な学生を受け入れ、育成するカリ
キュラムを実施している。その中には、日本の企業に
就職している卒業生もいるそうだ
右)
同大学 准教授 三上浩司さん
ショートフィルムショウケース部門の 2012 年度ノミネー
ト作品
ている参加者が同じ体験を共有できる場にもなっているそうだ。
この勉強会は、左で紹介した留学生にも開放されている。留学生
になればと、小川さんは期待している。
きたいと考えています」と小川さんは語る。
ゆうばり国際ファンタスティック映画祭 2012 の様子
事のやり方を見直すきっかけになると同時に、普段は別の仕事をし
本制度の参加者は、全力で学業に取り組めるのに加え、実制作の現場の中で
制作技術を高め、日本企業の就業環境に適応する機会も得られます。実際
に参加した学生は大きく成長し、
業界での就職を実現しました
東京工科大学 准教授 三上浩司さん
小川博史さん
一般社団法人 VFX-JAPAN 代表理事 秋山貴彦さん
京楽ピクチャーズ./代表取締役社長
ゆうばり国際ファンタスティック映画祭 事務局長 外川康弘さん
若手クリエイターの積極的な
支援に挑戦しています
PR
り上げに貢献できるような活動にも挑戦しま
緒に成長しくことを願っているのだと思いを
ク映画祭」では、ショートフィルムショウ
ことを期待しています」
と小川さんは語る。
す。とりわけ、若い力を応援する施策には力
語ってくれた。
ケース部門のサプライズ賞設立や、VFX-
さらに、海外から日本の教育機関へ学びに
JAPAN のイベント企 画に協 力している
来ている留学生への奨学金支給も開始し
そうだ。
「 国内外のアーティストとその
た。慣れない環境の中で頑張っている留
卵たちに、作 品 発 表や表 彰の場を提 供
学生たちは、近い将来日本と海外の CG・
を入れたいです」
。残念ながら、今の日本で
京楽ピクチャーズ.は2008年の設立以来、
は CG・映像業界を支えるアーティストたち
ぱちんこ・パチスロ遊技機向け映像の企画と
への支援が十分ではない。だからこそ、未来
業界活性化を願って
種を蒔いていきます
開発を中心に業務を展開してきた。そんな
を担う若い力が腕を磨くための手助けをした
2012 年頃から、小川さんは CG・映像業
していきます。 受 賞の実 績を名 刺 代わ
映像業界の橋渡しを担う人材になる可能
同社の舵とりを担う小川さんは、今後の展望
いのだという。
「業界全体からみれば、我々1
界の活性化を目指し、様々な活動に取り組
りに、ぜひ新たなチャンスをつかんでほ
性がある。彼らを支援することは、業界活
を次のように語った。
「遊技機だけでなく、
社の挑戦はほんの小さな試みにすぎません。
んでいる。上で紹介している 4 つの活動は、
しい。 サプライズ賞では 50 万 円の賞 金
性化への種蒔きにつながると小川さんは
映画やアニメなど、あらゆる映像エンタテイ
それでも周囲の方々に何らかの刺激や影響
その内の代表的なものだ。映画祭、VFX 業
もご用意したので、さらなる意欲作の創
考えているそうだ。
ンメントの世界に活動の場を広げていきた
をもたらすことができれば、業界の成長や活
界、教育機関など、アプローチの対象は多岐
造に充ててもらいたいですね( 笑 )
。こ
同社の挑戦が契機となって、若い力の未
いと考えています。オリジナルコンテンツ
性化につながると信じています」
。挑戦を通
にわたる。
うした活 動を通して得られる新たな
来に期待し、その背中を後押しする動きが
の企画や制作はもちろん、CG・映像業界の盛
して、小川さん自身や社員も見聞を広げ、一
協賛する「ゆうばり国際ファンタスティッ
出 会いが、当 社の財 産になっ てくれる
今後も広がっていくことを期待したい。
CGWORLD 2013_03
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