家族法(中島肇、西 謙二)

家族法(中島肇、西 謙二)
1
1年前期
必
修
2単位
15回
科目内容・目標
科目内容:民法第 4 編「親族」、同第 5 編「相続」をとりあげる。「親族」と「相続」を併せて「家族法」と総称され、
民法第 1 編ないし第 3 編のいわゆる「財産法」とは異なった色彩の領域である。しかし、「家族法」の中でも「親
族」と「相続」とは、これまた異なった色彩を持っていて、「親族」に関する紛争処理法は人事訴訟法、家事事件手
続法で規律され、最近、大きな法改正があった。これらの手続も含めて学習する。
到達目標:本学で設定されている「共通的到達目標モデル」記載の各事項の理解・修得を核として、家族法の
基本的枠組みと判例理論の正確な理解を目標とする。
2
授業の基本方針
教科書の case をベースとして、判例百選に掲載されている重要な判例をできるだけ取り上げ、具体的な事例
の中で理解・修得することを目指す。本科目は 1 年前期に配置され、未修者は、法律学習のスタートをきったば
かりであるため、財産法領域の知識が必要となる箇所がある。民法全体をコンパクトにまとめた本(教材にあげた
川井「はじめて学ぶ民法」など)で全体を鳥瞰しておくとよいだろう。
家族法は、実務に出てからも接する場面が多い法分野であるが、講義はあくまで法律論の基礎に重点を置き、
実務でどう取り扱われているかは参考にとどめる。ただし、判例は、この分野で重要なものが多く出ているので、
新しくなった判例百選に重点を置いて、積極的に検討していくつもりである。
3
成績評価
期末に実施する定期試験の結果を基本とするが、レポートまたは小テストの結果、学習に対する積極性(自主
的学習結果の提出等を意味し、講義への出席回数は積極評価の要素とはならない。)を加味して評価する。評
価の割合は、定期試験の結果を 70%、授業中の発言・質問・レポートの評価を 30%とする。
-1-
4
教材
〔教科書〕 半田吉信ほか「ハイブリッド民法 5 家族法」(法律文化社・第 2 版 2012 年)
〔判例集〕 水野紀子ほか編「民法判例百選Ⅲ親族・相続」(有斐閣 2015 年)
〔参考書〕
(1) 内田貴著「民法Ⅳ(補訂版)親族・相続」(東大出版会 2004 年)
本来は取引法にあわせて本書を教科書にしたいのだが、2004 年以降改訂されておらず、近年の法
改正(家族法・家事事件手続法等)や新判例に対応していないため、使用に耐えず、変更することとし
た。財産法の授業の補足的な記述もあり、参考書として参照することが望ましい。
(2) 窪田充見著「家族法 – 民法を学ぶ 第 2 版」(有斐閣 2013 年)
非常に分かりやすく教科書としてもよいが、やや読み物的なところがあるので、ハイブリッド民法 5 を
教科書とした。
(3) 梶村太市ほか「家族法実務講義」(有斐閣 2013)
手続的な記述が詳しく、実務的な好著である。
〔入門書〕 川井健著「はじめて学ぶ民法」(有斐閣 2011 年)
民法全体のイメージをつかんだ上で、財産法や家族法に入るための好著。民法全体を横断的に捉
えているので、民法を一応学習した段階で改めて読んでも有益である。
5
授業計画
第 1 回 親族法総則
第 2 回 夫婦 1
婚姻の成立/婚姻の効力
第 3 回 夫婦 2
離婚の成立/離婚の効力
第 4 回 夫婦 3・親子 1
婚姻外関係について
親子とは何か/実子
第 5 回 親子 2
養子/親権の意義
第 6 回 親子 3・後見・保佐・補助 1
親権者/親権の内容/親権の停止・喪失
制限行為能力者のための保護制度
成年後見制度 1-成年後見法の再生
第 7 回 後見・保佐・補助 2・扶養
成年後見/保佐/補助
任意後見制度
扶養
-2-
第 8 回 親族法総括
第 9 回 相続法の基礎・相続人と相続分 1
相続法の基礎
相続人の範囲と順位/代襲相続/相続分
第 10 回 相続人と相続分 2、相続の効力 1
相続欠格/推定相続人の廃除/相続回復請求権
相続の一般的効果
第 11 回 相続の効力 2
相続と登記/祭祀財産の承継/遺骨・遺体の相続性/遺産共有/遺産の管理/相続分の譲渡・取戻し
第 12 回 相続の効力 3、相続の承認・放棄 1
遺産分割
相続する自由・相続しない自由/相続の単純承認・限定承認
第 13 回 相続の承認・放棄 2、財産分離、相続人の不存在
相続の放棄・事実上の放棄
財産分離の意義と種類/財産分離の効力
相続人不存在と相続財産法人/特別縁故者への相続財産分与
第 14 回 遺言
遺言の意義/遺言の方式/遺言の効力/遺言による財産処分/遺言の執行
第 15 回 遺留分
遺留分とは/遺留分の確定/遺留分減殺請求権/遺留分の放棄
-3-