1 演習 2.1 物質波の波長と運動量との関係 λ= h h =√ p 2mK を使う。 野球のピッチャーの投げるボールについて考えてみよう。硬球は直径約 7 cm、重さ約 150 g である。これを時速 150 km/h で投げるピッチャーがいたとしよう。このとき硬球 の運動量は (0.15 kg) × (150 × 103 m/h)/(3600 s) = 6.25 kg m/s したがって、物質波の波長は (6.6 × 10−34 Js)/(6.25 kg m/s) = 1.1 × 10−34 m となり、硬球の直径に比べて著しく小さい。この場合、硬球の直径にオーダーの長さで変 化する位置エネルギーの変化にくらべて波長はきわめて小さいため波動性が顕著に現れる ことは無い。 これに対して、電子が 100 V 程度の電場で加速された場合を考えてみよう。電子の エネルギーが 100 eV(= 100 × 0.16 × 10−18 = 1.6 × 10−17 J) とすると、電子質量が 9.1 × 10−31 kg なのでその運動量は p 2 × (9.1 × 10−31 kg) × (1.6 × 10−17 J) = 5.4 × 10−24 kg m/s ドブロイ波長は (6.6 × 10−34 Js)/(5.4 × 10−24 kg m/s) = 1.2 × 10−10 m すなわち 1.2 Å である。したがって、オングストロームオーダーで変化するポテンシャル は電子のドブロイ波長と同程度となる。したがって、このような系では物質の持つ波動性 が顕著に現れてくる。 2
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